2004年10月21日 from 食材
前の前のエントリで扶桑鶴さんを出したのには実は意味がある。先日、僕のオフィスに、周囲を幻惑させる香りが染み出ている箱が届いたのだ。段ボール箱の中身は、、、4Kg 入りの酒粕である!
この圧倒的な存在感(持って帰るの重かった、、、)を醸し出す酒粕をどうするか? 自家製の奈良漬けを作ろうという魂胆なのである。
僕も33歳、イイ年になってきて、昔は好まなかったものを美味しいと思うようになってきた。漬け物、特に本漬け、古漬けという、発酵食品としての王道の熟成した漬け物の味わいが溜まらなく好きになってきた。それでも奈良漬けはあまり美味しいものに出会わずにここまで来たのだ。
それがこの初夏、40度を超す猛暑の中、素晴らしく旨い奈良漬けに出会ったのだ。blog読者にしてアメリカ在住の読者、のぶかなさんが帰国している時、今のところ僕の中では日本最強のご飯の友である「なんばんの粕漬け」(山形県白鷹町 まあどんな会の手作り)を所望されたので、引き渡しのためにオフィスに来てもらったのだ。
(最近の読者さんはその辺の事情もしらないだろうな。あまりに旨いんで、このblogで68本共同購入したという、すごいご飯の友なんですよ!過去ログその1 か その2 をどうぞ。)
過ごしやすいアメリカからいきなり日本の蒸し暑さの中、清楚な佇まいののぶかなさんは、なんとご実家から白瓜の粕漬けを持ってきてくれた。
「義母が作っているんですが、とても美味しいんですよ」
と、かなりの分量を分けて下さったのだ。その時は実は「ん~奈良漬けかぁ、、、」と思っていたのだが、家に帰って切り分け、食べてみてびっくりした!
なんだこりゃ旨い~ いままでこんな奈良漬けくったことないぞ!
ということでのぶかなさん経由で、のぶかなさんの義母さんに造り方を教わったのである。
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<材料>
白瓜 4kg
塩 適量
酒粕 (練り粕) 4kg
砂糖 1.5kg *最後に容器の上に振りかける分を取り分けておく
焼酎 少々
<作り方>
1. 白瓜は種を取り、その穴に1/3量の塩を入れて全体にまぶし
一昼夜置く。
2. 水気を切って、半日ほど天日で干す。
(ここでしっかり水気を切っておくことが、漬けてからカビないコツ)
3. 酒粕と砂糖を混ぜて、干した白瓜を漬ける。
4. 漬け込んだら、残りの砂糖をふりかけて、焼酎を少々振りかける。
5. ラップをぴっちりかけて冷暗所に寝かす。
1ヶ月後くらいから食べれます。
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なんとなんと。練り粕ってのが必要なのね。早速、竹鶴の石川杜氏に連絡した。
まず、酒を搾ったときにできるのが板粕、それを桶などで寝かせて(常温にて)軟らかくなったものが練り粕である。 竹鶴では、6月頃にそれを掘って(重労働)、袋詰めする。前にも話した通り、粕の売れ行きは好調なので、詰めた端から売れてしまう。ということで、ほんの少しならともかく、在庫はない。ないと言っておいて自慢するのも嫌味だが、うちの粕はかなりのもんだぞ。まあ、来年まで待っていなさい。
なんだよぉ~ 来年まで待てるか!
ちゅうことで、昨日のエントリにも登場した扶桑鶴の大畑専務に相談。
「いいですよ、やまけんさんの分、確保します」
やったぁ!!! 大畑さん最高です! そんで送ってもらったのが先の練り粕なのである。この粕、すばらしい香りだ!舐めてみると、米の味と甘さ、そして酒の風味がたまらない。このまま焼き魚に塗って食べてもイイくらいだ!これに漬け込めば、人為的に失敗しても食えるものが出来る気がする。
次ぎに困ったのが、肝心の白瓜である。 白瓜(しろうり)って、一般の人は余り知らないだろう。漬け物用のウリなので、晩春から夏までの一時期に、限られた店頭にしか出回らないのだ。で、タイミング的にもう間に合わない。長島農園や、茨城の生産者団体さんに連絡しても「もうないよ~」とのことだ。
「ウリだったら、まあハヤトウリが獲れるかな。」
というのが長島君の弁だった。よし、ハヤトウリでやろうということになったが、そのタイミングで台風が襲ってきた!
「やまけん、台風でやられちゃうから、今日送っておいた!ものは小さいけど、台風で全部だめになるから、我慢して!」
ということで送ってきてくれたのだ。感謝!
こいつを塩漬けにし、さらに水気を切るため天日に干す。こうしておかないとカビが生えたりするそうだ。湿気が多い日が続くので丸2日間干した。このハヤトウリを粕床に漬け込む。
粕床だけど、タッパーなどでヤルのがいいのだろうけど、満足に保存する場所がない。なので、ビニール袋で代用!砂糖と焼酎と混ぜた酒粕をビニールに入れ、下漬けしたハヤトウリを漬け込む。あとは待つだけである。
アメリカでハヤトウリで試したのぶかなさんからは、「ちょっと失敗~(涙)」という報告が上がってきている。さて、僕の奈良漬けは成功するか否か? 答えは1ヶ月先に明らかになる、、、
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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