高品質でリーズナブルな蕎麦屋が増えてきた!

2004年10月18日 from 首都圏

 最近、都内の蕎麦事情が良い方に変わりつつあるんだろうか。リーズナブルで敷居が低く、高品質な蕎麦を食べさせる店が多くなってきた。昔から飲食の世界では、「蕎麦屋を出しときゃ潰れることはない」と言われるくらい、蕎麦という料理はこの日本での地位を獲得している。しかし、品質のよいそば粉を仕入れ、圧倒的技術でそれを打つという高級店スタイルが一世を風靡したここ10数年から、だんだんとその秘伝的旨さが一般に開放されているのだろう。

そんな印象を抱いたのは、どちらもこのblogへのタレコミまたはblog仲間からの情報で2つの店で食べてからだ。

一店は、先日ロメスパ「ジャポネ」にて劇的に出会い、僕の親方チャレンジをサポートして下さったおうさるさんのWebに紹介されている「山崎製麺所」だ。

■山崎製麺所
http://www.ajiken.com/
〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-14-5 1F
TEL:03-3299-3761

おうさるさんの紹介ページ
http://www.ousaru.com/
http://www.age.jp/~ousaru/soba_yama/

本社は信州にあるらしいが、この山崎製麺所はアンテナショップ的な位置づけなんだろうか。駅前の代々木ゼミナールから歩いて3分ほどで着く好立地で、外観はオシャレな民芸風カウンター居酒屋といった呈である。嬉しいことにこれから月に4回は代々木にいく用事が出来たので、ゆっくり攻略しようと思っている。まずは一度、と思って行ってみたのだが、デジカメを忘れてしまった。その際にはかき揚げ天ざる大盛りを食べた。量的には蕎麦のほうはまあまあ、しかしかき揚げがドカンとデカイ!かき揚げを箸で崩しつつ、天つゆではなく、置いてあった塩で食べると、ゴボウや人参といった野菜主体のかき揚げで実に旨い。こいつぁいい。

肝心の蕎麦だが、僕のコンディションのせいか、蕎麦の香りが漂ってこない。新ソバの季節なのになぁと思ったが、誤差範囲かもしれないので、その一週間後にもう一度座ったのがこの写真の会だ。

Webでも語られている奈川産の蕎麦というのを食べたかったのだが、残念ながら「台風の被害にあって、出せなくなってしまいました」とのことだった。ん~それってもうこの一年食べられないってことなのかなぁ、、、今度行った時に訊いてみよう。

仕方がないので先日も食べた通常のざるを大盛りで。今回は蕎麦の香りを確認したかったのでかき揚げは付けない。運ばれてきた蕎麦がこれだ。

蕎麦は何割かは明示されていないので分からない。ネギやわさびといった薬味は付いてなく、もりづゆだけで勝負しているらしい。その代わりに野沢菜のわさび漬けが付いてくる。

蕎麦を二本ほどなにもつけずに啜る。噛みしめると、前回は感じなかった、あのくすんだような蕎麦の香りがジワッと染み出てきた!これだよ、これ、、、もりづゆは甘辛感の強い濃い味で十分に旨い。合間にぴりっとわさびの利いた野沢菜を食べつつ蕎麦をたぐる。カウンターには常連の若い兄ちゃんがおり、店主と会話をしている。店主も若く30代後半くらいに見える。僕の昔の職場に居たショウジさんに似ているが全く別人だろう(←当たり前だ!)。

この山崎製麺所の親会社Webを観ると、生蕎麦を宅配で販売している。ここももしかして、送られてきた生蕎麦を茹でるというオペレーションなんだろうか?厨房内には蕎麦打ち用のスペースや捏ね鉢、のし棒が観られなかったのでそうかもしれない。それにしても、大盛り640円ならば十分に満足できる質と量だった。いや、量は俺には足りないんだけど、名店といわれる盛りの少ない店よりは全然よい。

店を出ると、使っているらしい醤油(やはり長野産)が飾ってある。蕎麦処・信州の復権を賭けた心意気を感じるのであった。

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もう一件は、僕のWebへのタレコミである。ワンタン麺の旨い京橋「しんせん」のエントリへのコメントで、「しんせん」の近くに「恵み屋」という旨い店があるという。

■「しんせん」のエントリ
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/000468.html

実はつい先ほど、昼飯に行ってきたんである!この店は、前を何回か通ったことがあるのだけど、割と小綺麗な印象があって、「汚い店の方が旨そうだ」というB級固定観念が邪魔をして今まで入ったことがなかったのである。

■京橋 恵み屋

昼になると激混みになるということだったので、11時45分くらいに入店。サラリーマンが数人黙々と蕎麦を啜っている。店内は完全立ち食いである。

店主と女性の2人で切り盛りしており、蕎麦の出し口に行ってオーダーする。ここでは蕎麦粉とさらしな粉を合わせた「恵み盛り」蕎麦が旨いらしい。当然そば粉しか使っていないので10割蕎麦である。ここの特徴としては、手打ちではなく圧縮空気を使った押し出し製麺機で生蕎麦玉を打ち出し、茹で上げるという工程を経ていることだ。つまり、蕎麦打ち工程を機械化しているということ。それで出来る蕎麦の味がハンパじゃないということだったのだが、、、

僕は恵み盛りの大盛り(640円)を頼む。先の山崎製麺所の大盛りと同じ価格だ。ほどなくして出てきた恵み盛りは、想像を絶する大盛り加減だった!

こいつは、国会議事堂の地下にある「藪伊豆」を思わせる盛りではないか!素晴らしい!

早速蕎麦を何もつけずにたぐると、口に入れた瞬間から蕎麦の香りがブワッと鼻にぬけた! 麺の腰は若干緩くエッジは立っていないものの、そのクオリティは押し出し製麺機のものとは思えないハイレベルな蕎麦だ!何よりこの香り。10割のアドバンテージを存分に引き出している。いい粉つかってるなぁ~

もりづゆも江戸前できりっと仕上がっている。それほど辛づゆではないので、大盛りを食べきるには少しつゆを足してもらった。

いや、びっくりである。山形の蕎麦師匠である芳賀さんが今度上京されたら、必ず連れて行こう。こんな店が立ち食いであるなんて、かなりのものである。

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ということで
リーズナブルで高品質な蕎麦屋が勃興している。老舗に行くのが嫌になるような状況だ。無論、蕎麦の楽しみとは、腹一杯に蕎麦を食べるということだけではない。その雰囲気を味わうという楽しみがあるわけで、それは場としてのパワーが必要になる。老舗の存在意義はもちろんにあるのだ。でも、一方で蕎麦を存分に腹一杯食べたい!というニーズも存在する。盛り蕎麦で腹一杯になれないのは東京くらいのもので、福井にしろ山形にしろ、「なんで東京はあんなに少ない盛りなの?」といつも言われてしまう。そう思う東京の蕎麦屋が多くなってきたと言うことだろうか?

どちらにせよ、食い倒ラーには嬉しいことだ!