2004年10月 7日 from 出張
「やまけんさーん、今度うちの従業員達とお客さんとでキャンプ行きましょう、キャンプ。うちの鶏を仕入れている奥久慈シャモの組合のそばに、すごくいいオートキャンプ場があるんだって。そこに、途中にある直売所で常陸牛や豚、それに奥久慈シャモ買っていって焼いたら最高でしょ、、、」
というお声が、バードコートの野島さんからかかった。そんなん、一も二も無く行くに決まっているのであった。
「それでね、週末に下見に行こうと思うんだけど。」
「あ、おれその下見から行きますよ!」
ということに相成ったのだ。週末の朝9時、北千住に集合して高速に乗り、一路北関東へ。
バードコートには、竹鶴の石川杜氏に連れて行ってもらったのが縁で、野島さんとすっかり仲良くさせて頂いている。彼は仕事柄もあるが、みたこと無いほど旨い物好きで、旨い店にはほぼすべて訪れているんじゃないだろうか。それもそのはずで、店に訪れるそうそうたる食通の面々(山本益博さん、マッキー牧元さん、、、)が集まるので、その人達から旨い店を訊いて食べに行っているらしいのである。ウラヤマシイ。
「最近、余り人が寄らないちっちゃいサービスエリアに寄って飯を食うのがマイブームなんですよ」
といって小さなサービスエリアに本当に入っていく。ここで朝昼兼用のメシを食う。なるほど、高速道路の食堂にしてはムチャクチャに気合いが入ったメニューが並んでいてそそられるではないか!
思わずカツカレーと天玉そばを食べてしまった。
カツカレーが550円、天玉そばが400円くらいで、その辺の定食屋と同じレベルの金額ではないか。味もまあまあで、最近の高速はいいなぁと思ってしまった。
さて、車は一路、奥久慈シャモ生産組合へ。この車中で野島さんに色んな話を訊いた。
奥久慈シャモは、茨城名物となりうる食材を作ろうと、ある畜産試験場の人が育種したものなのだそうだ。それも、3元交配という技術を用いて、名古屋コーチンとロードアイランドレッドを掛け合わせたメスと茨城の軍鶏のオスを掛け合わせている。これにより品質が安定するらしい。その特質として、胸肉が旨いコーチンの特性と、モモが旨い軍鶏の双方が出てくるという。
「筋繊維の細かさが他の地鶏と比べてもスゴイ。それに、皮が薄いからカリッと仕上がる。肉汁も適度で、焼き鳥にこれほど向いている地鶏はないと思います。」
と野島さんが言う。この惚れ込みようから、生産組合とは親子関係のようにしょっちゅう訪ねに行っている訳だ。飲食店のみならず、これは本当に大事なことだ。生産者は、ユーザの声を聞くことを心から欲している。足を運んで、お客さんの反応を話し、そして生産現場をみる。この当たり前のことが信頼関係を築くのだ。野菜も果物も、畜産物もみな同じ。
そうした四方山ばなしをしているうちに、組合に到着する。
■奥久慈シャモのページ
http://ibaraki.lin.go.jp/shouhi/001.html
「組合っていっても、小さい所帯だし、たいしたことないですからね」
と野島さんが控えめに言っていたとおり、組合事務所はログハウス風の小さな店で、ここから土手を降りていくと鶏舎が数基ある。残念ながら鶏インフルエンザの流行以来、部外者立ち入りは禁止になっているので鶏舎はみられないのだが。
「おじゃましまーす」
といって引き戸を開けると、注文票を書く後藤さんが出迎えてくださった。
「最近はどうかねー」
と世間話を織りまぜながら、野島さんの師匠である銀座バードランドの和田さんのお話や、シャモの供給体制の話をする。
この組合事務所では、シャモ肉を買うことが出来るのだが、通常店頭に並んでいるのは残念ながら冷凍肉だ。
「うちのシャモみたいに少ない羽数を処理してくれる食鳥処理所がこの辺にないんですよ、、、なので、福島の処理所に持っていっているんです。そこから全国に発送するんですが、距離があるので、この事務所で生のを沢山売るのは出来ない状況なんですね。」
なんとなんと、残念な話である。畜肉は、家畜を屠畜し解体処理するセンターで処理をすることが義務づけられている。センターも商売なので、解体効率があがらないものは扱ってくれない。シャモは通常のブロイラーとは違い、一定以上の温度の湯に通さないと羽がむしれないなどの理由があり、引き受けてくれないのだそうだ。ん~ なるほど。
「でも、冷凍肉をここで買って、キャンプ場にいって流水につけていればすぐに解凍できるし、味にも影響ありません。通常の鶏よりも筋繊維が細かいんで、肉汁がでちゃうこともないんです。」
とのことだ。これを検証するため、キャンプ本番では実際に冷凍と生の双方を焼いてみることにしたのであった。
「東京から2時間でこられるし、これから行くキャンプ場には温泉もあるし、バーベキューも出来る。だから、ここでシャモ肉を買ってキャンプするっている循環が出来るといいな、って思って。最高でしょ?やまけんさんのページに書いてよ!」
なるほど、野島さんは奥久慈の観光振興のこともあって僕に声をかけてくれたのである。そうか、では気合いを入れて下見をせねばならんな。
シャモ肉売り場にいくと、なんとそこにはでかでかと、銀座バードランドのパネルが!
やはりこのバードランドの和田さんこそが、奥久慈シャモを全国的に有名にした立役者だ。実は僕はまだ行ったことがないんだよなぁ。今度いかなくては。
この直売所では、バードランド、バードコート双方で親子丼に使われているシャモの卵も売っているゾ。
「じゃ、当日よろしくお願いしまーす」
雨のなか、後藤さんが見送りに出て下さる。感謝である。
さて一路キャンプ場へ。シャモ組合事務所から30分ほどで大子町のキャンプ場だ。この日は雨だったので残念だったが、この大子広域公園オートキャンプ場グリンヴィラ というところはすんごくいい!
■キャンプ場のWeb
http://www.greenful.jp/camp/daigo05.html
http://www9.ocn.ne.jp/%7Ecamp.day/index.htm
道具やBBQ設備はきっちりと何から何まで揃っていて、究極な話、手ぶらで来ても大丈夫だ。なんとダッチオーブンまでレンタル・販売しているのだ。
ダッチは僕が愛用するロッジ社のではなく、ユニフレームという国産のものだが、この会社のアウトドア製品が所狭しと並んでいる。提携でもしているのかな。しばしアウトドア魂が久々に燃え上がり、ツール群を眺めてしまった。
入念に設備のチェックをし、当日の予想をし、帰途につく。
と、ロードサイドに大きな「舟納豆」という看板が。野島さんがニヤニヤしながら言う。
「やまけんさん、この舟納豆、すごいからみていこうね」
何がすごいんだろう?納豆やさんの佇まいではないのは確かだが、、、こういう大きい店構えのところはイマイチなんだよな、、、と思いながら入店すると、お客さんですごくにぎわっている!
■舟納豆
http://www.h2o-lp.co.jp/~fune/
「はい、試食やってますよぉ~」
という口上に載せられ、おばちゃんの前に座ると、軽妙な語り口でここの製品全部を食べさせてくれる。この納豆が実に旨い!
富良野で出会った富士食品も旨かったが、ここのもハンパじゃない!小粒の大豆原料を選別しぬいている感じだ。いやこれはびっくり。
「ね、うまいでしょ?」
「うまいうまい 旨い~」
思わず大量に買い込んでしまった。納豆は冷凍が利くのである。
納豆の旨いヤツは本当に旨い!感動しながら再び帰途へ。
その後、一つ前のエントリに書いたように、匠に行って寿司をつまんだのである。
このバードコートキャンプの詳細は、11月には速報できると思う。楽しみにしていて欲しい。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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