2004年9月15日 from 常夏の楽園・沖縄を食べ尽くす
沖縄にいる最中に、このblogではおなじみの長島農園の勝美君からメールが来た。
「島豚のアグーを絶対食べてきて! 黒豚っていうのはバークシャー種のことを指しているけど、本物の黒豚は沖縄のアーグ。沖縄行ってるんだったら食べてきて!」
おお、アグー! それは、沖縄に存在した混じりけのない在来種。ルーツは当然ながら中国。ということは、このblogでも登場した金華豚の血の入った豚のような、中国系の豚である。
アグーについてはこのページがきちんとした情報を載せていた。
■九州沖縄農業研究センター
沖縄在来豚「アグー」
http://konarc.naro.affrc.go.jp/okinawa/letter/topic3/sub2topic3.html
戦後、ランドレースやバークシャーといった西洋種が流入してくる一方でアグーが絶滅寸前になっていたのを、少数のアグーを交配させて増やしてきたという歴史がある。それでも現在、100頭余りしか純血種が存在していないらしい。このため、「戻し交配」という技術を用いて、純粋なアグーの遺伝子を持った豚に近づけていく努力も続けられているということだ。
このアグーが食べられる店があるのか?とキッペイに訊いたところ、
「アグー食べたいの?じゃあ夜にいこうかね!」
と、力強い返事をもらったのである。キングタコスの残滓が胃袋や直腸でその存在感を誇示している最中で、皆の表情は暗かった(笑)ものの、これは食べておこうということで即決。キングタコスから約4時間でアグー詣でになったのだ。
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■炭火焼と泡盛 GeN
沖縄県那覇市久茂地2-6-23
Tel:098-861-0429
http://www.wagyu-gen.com/
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座敷に上がって品書きを開き、とにかくアグーばかりを注文する。内地の感覚からすれば普通の価格もしくは割安だが、沖縄では高い水準だろう。
あぐーかるび 780円
あぐーロース 880円
あぐー豚トロ 680円
といった感じである。
何だか沖縄にきて初めて、「通常の店」に来た感じだ。というのは、店員のお兄ちゃんがバイト慣れしていないのか、オーダー時の会話の反応が鈍く、かなり気が利かない。でも、後から来たおねーちゃんは乗りがよかったので、個人差だな。
「うん、ここはサービス的には沖縄っぽくないね、でも肉は美味しいから!」
まさしく肉は旨かった!
アグーは中国系、ということは、肉に含まれる旨味成分量はハンパではないはずだ。また、脂はきめ細かく甘い、香りのよいものだろう。そう思っていたら、予想以上の肉質だった。
カルビを網に拡げると、脂がジュワッと滲み出てくるが、脂が溶けて流乏してしまうわけではなく、きちんと固体が残っている。
焦げ目が軽く付いたのを口に運ぶと、臭みのないが独自の綺麗な癖を持つ香りが拡がった。
「おお! 旨いじゃないの、アグー!」
カルビも旨かったが、あごの下肉である豚トロも旨かった。肉の旨味は本当に濃い。これは素晴らしい豚だ、、、こいつのラフテーは極上に旨いだろうな。
カルビを3人前追加して、泡盛と一緒につつく。気づいたのだが、泡盛の水割りは、豚の癖と脂をさっと流してくれる。沖縄文化は実に簡潔!
「旨かったね! じゃ、山登りと川下りに行こうかね!」
と、キッペイの案内を頼りつつ、僕らは夜なのに、山と川に行軍し、そして堪能したのであった。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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