2004年8月18日 from
宮崎料理の魚山亭については、このblogでも再三採りあげている通りだ。
■夏真っ盛り! 宮崎出張編 チキン南蛮と日南海岸の魚料理を堪能しまくり
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/000371.html
■宮崎にいくならチキン南蛮と釜揚げうどんを食べよう
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/000114.html
実はこの魚山亭、東京の渋谷に支店がある!宮崎に行かなくても宮崎の郷土料理を堪能することができるのである。この店、1年半くらい前に行ったことがある。その時は漠然と、宮崎とは味が少し違うなと思っていた。その漠然感を払拭するために、再度行ってみようと思ったわけである。
しかし!
なんとお盆中の閑散期(のはず)に行ってみたら、「すみませーん満員で、予約も入っているので1時間半待ちなんです、、、」という。びっくりである。店内は確かに満員。宮崎料理ってそんなに人気があるのかよ!おそらくこれは、盆に諸般の事情で宮崎に帰れなかった人が集まっているのだろう、、、とあきらめた。
しかしチキン南蛮の誘惑は募るばかりだ。再度リトライ、今度はきちんと予約付きである。
================================================
■魚山亭 渋谷店
渋谷区渋谷2-19-21 第3城南ビルB1
03-3400-2500
================================================
テーブルは予約で埋まっているようで、張り出しカウンターに座る。おおぶりのがんもどきや南蛮漬けが入った大皿が並んでおり、食欲をソソル。また、壁一面に宮崎焼酎が並んでいる。僕の好きな京屋酒造の「かんろ」もモチロン置いてある。宮崎県内でしか流通していないはずの瓶まであったので、さすが魚山亭と思った。
品書きは、少しずつ宮崎店と違うが、宮崎名物の飫肥天(おびてん)や地鶏のたたきと炭火焼き、チキン南蛮といった基本的なメニューはもちろん共通している。今日はじっくり腰をすえて味をみてみた。どの料理も600円~1000円程度である。チキン南蛮の単品は950円だ。色々な料理が盛り込まれた定食(お膳)もあるので、初めての人はどれにしようか悩むだろうな。さすが地元の名門郷土料理屋だけあって、どのメニューもいいチョイスである。
■メヒカリの南蛮漬け
メヒカリは最近よくみかけるようになってきた小魚だ。見た目はハゼみたいでお世辞にもよくないが、実に旨い!生でも干物にしても旨いが、南蛮漬けにすると絶妙なのだ。宮崎空港内にある魚山亭では「冷汁定食」というのがあり、これには飫肥天と南蛮漬けがついてくる。しかしいつも僕はちきん南蛮定食を頼むので、南蛮漬けが食べられず、悔しい思いをしていたのだ。
初めて食べた魚山亭の南蛮漬けは、かなり上位のレベルである!甘酢はダシで割られており、鼻にツンと来ることもなく口当たりがよい。何よりメヒカリが最高だ。これだけで10匹くらい食べたいなぁ。メヒカリ南蛮定食とか作ってくれないだろうか。
■地鶏のたたき
初めて宮崎で地鶏のたたきを食べた時にはびっくりした。だって、ほとんど生なんだもん!また、通常のブロイラーの飼育日数をはるかに超えるであろう、肉の固さ。噛み切れないほどに歯応えがあり、それがまた最高感を醸し出しているのである。地鶏のもも肉の皮目だけを網目がつくくらいに炙り、それを薄切りにして、万能ネギを添えてポン酢で食べる。コレがまた、最高なのである。宮崎に行く時にはかならず毎日これを食べないと気が済まないといっていい。
渋谷店バージョンでは、最初からポン酢に浸して出てくる。鶏肉は厚めにカットされている。食べてみると、確かに地鶏たたきなのだが、、、なんだろう、宮崎で食べているのと違う感覚である。シコシコ感が足りないのだろうか、、、これだけは、まあまあ、というレベルであった。
■あぶら味噌のスティックサラダ
あぶら味噌というのは、沖縄とかにもあると思うが、豚肉を練り込んだ練り味噌で、各家庭で作られている。前に、シチリア料理「無二路」の重シェフが、実家のあぶら味噌を具にしたおにぎりを作ってくれたのだが、こいつがマジ旨であった。
魚山亭のあぶら味噌は、料理屋らしく上品だ。僕などはもっと脂ぎった、味の濃いやつを食べたいと思うが、これはこれで旨い。ただ、スティックサラダにするなら、もっと豪快に野菜を食いたいものだ。このあぶら味噌、瓶詰めで売らないかなぁ。そしたら家に来る旨い野菜でいろいろ試せるのだが。
■飫肥天(おびてん)
飫肥天は、日南海岸周辺の郷土料理で、魚のすり身揚げである。しかし、同じすり身揚げでも薩摩揚げとは異なり、地元感の強い旨さである。おそらく原料小魚の違いだろうか、鰯やトビウオを原料にして、味噌を混ぜ、ゴボウなどの野菜も入れて揚げる飫肥天は、甘さ控えめで酒(焼酎)に合う!
魚山亭の飫肥天、実に旨かった。揚げたての熱々が出てくるので満足度が高いぞ。
■地鶏の炭火焼き
もも肉の炭火焼きは、東京でコレといった旨い店に出会えていないのだが、ここの地鶏焼きはまずまずである。東京で食べられる店の中ではかなり旨い方だな。柚子胡椒が欲しいところだが付いてこなかった。けど、よい。定番料理なので、絶対に頼むべし。普通の鶏肉とは違い地鶏の歯応えが強く、かつ炭火で真っ黒に焼いてあるのがスモーキー&ジューシー、思わず焼酎をぐいぐいと呷ってしまう旨さなのだ。間違いなく楽しめるだろう。
■ちきん南蛮&冷や汁
さて真打ち登場だ。 あのちきん南蛮を東京で、、、と、運ばれてきた皿をみて、思わず「あれっ?」と声を出してしまった。
これが渋谷店のちきん南蛮だ。
そしてこちらが宮崎空港店のものだ。
違いがおわかりだろうか?タルタルソースが違うのだ。
宮崎空港の魚山亭は、タルタルに赤身がかっている。対して渋谷店のものは、白っぽい黄色で、よくみかけるタルタルソースの色である。中の具も違うようで、渋谷店には野菜やピクルスのみじん切りが多量に入っている。
「へぇえええ 店によって違うの?」
と仲居の女の子に訊くと、
「そうですね、基本的なレシピは同じなんですけど、店長によって少しずつカラーが違うと思います。」
ふうむなるほど!
場所によって好みも変わる。それを反映しているのだろうか。
食べてみると、これは紛れもなくちきん南蛮である。旨い。しかし、やはり宮崎空港店とは味が違う。肉の切り方、揚げ具合も違う。渋谷店は揚げ具合が強めで、甘酢にもしっかりくぐらせているのか、味が濃い。空港店の方はもうすこしあっさり目に揚げ、甘酢も淡く利かせていた分、タルタルが濃厚であった。面白いものだ。同じチェーンでも店舗により細かく味付けが変わるのだな。
どちらかというと、渋谷店の味付けはチキン南蛮の元祖と言われる「小倉チェーン」のものに近いのではないかと思った。僕としては宮崎空港店のタルタルが好きだ。でも、渋谷店が好ましくないかというと、そんなことは全くない!実に良心的かつ本格的な宮崎料理屋であることに間違いはない!
これにご飯を合わせるのだが、冷や汁を頼むと、650円でご飯のおかわりし放題になる。きっちりと3杯食べて元を取った気になった。冷や汁をひたひたにした麦飯と、チキン南蛮は非常に合うのだ!
結論として、この店は在京時にチキン南蛮を食べるためには最良のソリューションの部類に入ると思う。この他に、まだ行っていないのだが、歌舞伎町に「都城」という名店があるらしい。いずれそちらも攻めてみたいと思う。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
本サイトの著作権はやまけんが保持します。出版物・放送等に掲載される場合はご連絡を下さい。トラックバックはご自由に。