日本橋ランチカレーの隠れた実力派は、ずっと隠しておきたかった。 「千疋屋 カレーコーナー」

2004年7月23日 from 首都圏

 まったく困ったものだ。今月号のdanchyu誌、毎年夏恒例のカレー特集なのだが、僕が好きな店ばかり掲載されている。以前紹介した丸善ビルのレストラン丸善、そして本格カレーのデリー新川店など、静かに通っていた店がこれでまた行きにくくなる。

 そして最も「やめろー載せるな~」と思ったのが、この日本橋千疋屋の1Fスナックコーナーである。のっちまったもんはしょうがない。向こうを張るワケではないが書いてしまおう。


 千疋屋といえばトップクラスの果物屋さんである。僕の会社の事務所が日本橋にあることもあり、三越本店の向かいに在る店頭をウォッチすることが多くなった。手のひらにすっぽり入る黄桃がひとつ2000円だったり、一つ8000円のマンゴーがあったりと、考え込んでしまう価格帯の商品が並んでいるが、トップを狙おうとする場合これは仕方がない。このクラスになると、生産者レベル、そしてその生産者の園地の「この樹の、かつ外側に生った実だけよこして!」というような買い方をするのである。従って生産者に支払う価格も高いはずだし、それなりの価値はあると思う。

 しかし正直、そんなフルーツについてはここで買う必要はないのであった。目当ては違うところにある。この千疋屋、二階がレストランになっていることはかなり有名で、かなりハイソサエティ向け価格で営業をしている。これも僕には縁がない。そして意外に知られていないのだが、1Fの果実売り場の隅に、ドリンクや軽食を出すコーナーがあるのだ。

ここが、日本橋における超・穴場ランチスポットであることを知る人はそれほど多くない。だからあまり掲載したくなかったんだがしょうがない。


品書きを観ると、スパゲッティやハヤシライスに並び、「マンゴーカレー」というのがある。これが実に最高なんである!マンゴーというと、なんだか甘ったるいイメージがあるだろうが、ピューレ状にしたものを甘味と旨味増強のために惜しげなく放り込んでいるのだろう。実に深くコッテリネットリとした味わいの極上カレーなのだ。
 そんなカレーがなんと580円、しかもデザートのフルーツポンチ小皿付きである。一体どうしたことなのだろうか。ここがほんとの穴場である。

ちなみに大盛りにすると、100円増しで僕でも「おお!」と声が出てしまうほどに盛りが佳くなる。左側が大盛りである。


このネットリ感を想像して欲しい。横には福神漬けではなく甘酸っぱいピクルスのみじん切りが付いてくる。タップリかかったカレーを白飯にまぶし口に運ぶ。マンゴーという語感から連想されるような甘さではなく、実に抑制された、「旨味」と同義な甘さが拡がる。スパイシーなカレーを期待してはいけない。日本風トロトロカレーではあるが、そのトロ味は小麦由来ではなくフルーツであることが一目瞭然である。
 そして意外なほどに肉がゴロゴロ入っている。豚バラの角切りらしき肉片がかなり入っており、トロトロに煮込まれている。マンゴーには肉の繊維を分解する酵素がかなり含まれているので、相乗的に柔らかく煮込まれるのであろう。

 久しぶりに食い倒ラー仲間と訪れた千疋屋、予想以上には混んでいなかったのでよかった、、、みんな、あまり来ちゃダメ。でも、まったりトロリ系カレーが食べたい人には超お奨め。しかもリーズナブル。
 ちなみにカレーに含まれるスパイス類は、結果的に身体を冷やす。暑い夏を乗り切るためにもカレーは必須なのであった。

 黒板みたら、「激辛ココナッツカレー」ちゅうのが出ていた。む、試さねば。