2004年7月13日 from 出張
この度、僕向きの面白い仕事を引き受けることになった。先日このblogでも紹介した宮崎の絶品芋焼酎の「かんろ」と「かめしづく」を販売している京屋酒造(http://www.kyo-ya.com/)のオフィシャルサイトにて、焼酎文化を拡げていくための企画blogを運営するというものだ。詳細はまだこれからの煮詰めだが、素晴らしい芋焼酎を、例えばイタリアンに合わせてみる!とか、フレンチに!とか、そういうベストマッチを探してみたり、海外に焼酎を持っていって現地の人に呑ませたり、というような、まさしく食い倒れ道にはずれない試みをしていきたいと思っている。その際にはぜひ読んでいただきたい。
で、その京屋酒造の取材に訪れているワケだ。宮崎に来るのは1年半ぶりだ、、、定番メニューであるチキン南蛮や地鶏モモ焼きなどを食いまくってやるのダ!
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宮崎空港についたら、とにもかくにも3Fの魚三亭(http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/000114.html)に直行である。すでに過去のエントリで書いているとおり、僕はチキン南蛮はこの店のが一番好きだ。チキン南蛮の元祖「おぐらチェーン」など色々あるのだが、この魚山亭のタルタルは少し赤みがかっていて、味も非常によろしい。しかも、この店のちきん南蛮定食はご飯のお代わりがし放題なのだ!これが一番すばらしい。
今回、これに冷や汁を追加して、ちきん南蛮&冷や汁定食にした。冷や汁については先述の過去ログに記載している。また、チキン南蛮のレシピもこちら(http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/000115.html)に書いているので、興味のある人はぜひ試してみて欲しい。
魚山亭は基本的には料亭的な店なので、どの料理も作りが非常に綺麗でしっかりした味付
けだ。
チキンは2口サイズくらいに切り分けて揚げられ、南蛮酢にくぐらせている。これにタルタルをタップリと絡めて食べると、口に福、すなわち口福がやってくる。
「旨いよぉ~」
やはりいつも通り、ご飯は3杯お代わりをする。1杯目はチキン南蛮だけで。
2杯目は冷や汁。3杯目は冷や汁をかけたご飯にチキン南蛮とタルタルをのっけて掻っ込む。ウマイ。
満腹になり、日南に向かう車中ではまたぐっすりである。食い倒ラーには、3度の飯の後の睡眠が必須である。肉体労働だもんなぁ。
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日南での打ち合わせと、蔵の中の見学についてはいずれ公開する京屋酒造のblogで詳説しよう。2時間程度の打ち合わせ後、京屋酒造の渡邊社長さんが、
「じゃあ、隣町の旅館で飯を準備してますから、行きましょう」
と、送迎のマイクロバスへご案内くださる。
「ここはねぇ、旅館の大将が釣りとか、珍しい魚が大好きでね。地元の人しか知らないような魚を出してくれるんですよ。これが旨くてねぇ、、、」
とおっしゃる。うーむソソル。
日南市街から10分ほどで目的の魚料理旅館に到着した。この旅館の詳細についてメモを忘れたので、また後に告知したい。
それほど新しくはない外観だが、こういう観光地では、みかけと料理の内容はまったく関連性がない。ウマイ店は地元の人のみが知っている。渡邊社長さんは女将さんや仲居さん達と談笑しながら上に案内されている。座敷に座ると、目の前は海だった。でも僕は海なんざ観ないのである。7人が囲む円卓上にはすでに色んな皿が準備されている。
まず真っ先に目を引いたのがこれ!
この三葉虫的気味悪系の甲殻類は、何を隠そうエビ海老えびちゃんなのである。知ってる人は「あ、瀬戸内海とかによくいるうちわエビですね」と仰るだろう。しかし違うのだ!
「これはね、ゾウリエビ。うちわエビよりも大きいんだよ。味も濃いねぇ」
ゾウリエビはきいたことがないゾ!ビールの乾杯もそこそこにかぶりつくと、みっしりと詰まった身から、甘くて濃いエビの香りが立ち上る。ゆで汁に旨スープが凝縮されて、噛みしめるごとにエビ味が芳香と共に味蕾に浸透する。
このエビ味噌がまた超濃厚でウマイ。
そこへ仲居さんが、舟盛りを持ってきた!これが度肝を抜く逸品だったのだ。
「はい~ アカジュウの舟盛りですぅ~」
で、でかい!そしてこの面構えを観よ!食えるのか本当に、、、という色であり柄である。ま、しかしこれはおそらくハタの仲間だろう。こうした面の魚は旨いことが多い。
刺し身は実に美しい切り身になっているし、濃い白身はかなり濃厚な旨味を湛えているようにみえる。これを宮崎スタンダードの甘醤油につけて食べる。
「え、やまけんちゃんは甘い醤油でも大丈夫なの?おれはこっち(日南)の出身だけど、甘すぎて好きじゃないよ」
いや、おいらは好きです。九州南部の醤油は、甘草(カンゾウ)という草からの抽出成分を使って甘く仕上げている。単身赴任で彼の地に赴いた関東人は大抵、トロリとしたこの醤油がどうしても嫌だという。けど僕はすきだな。九州で食べると、実に佳い。
そしてこのアカジュウの淡泊かつ旨味の濃い身と醤油の相性が実にウマイ!
そしてこれは、ハモの叩きだ。
「こちらでもハモは捕れますからね。こうやって叩きにしてポン酢で食べるんですよ、そんなに上品に食べるんじゃなくてガシガシ食べてください」
ハモ好きにはこたえられん風景であろう!少なくとも大きめの2匹分はあるだろうこのボリュームに僕の胃袋はいきり立つ。ポン酢に身を落とすと、油が滲み出る。
骨切りは完璧で口にあたるところはない。
「はい~、刺身盛りです。シブ鯛、ハマチ、伊勢エビ、鰹、イカです。」
おお、またもや刺身攻撃!しかも一筋縄では行かないものばかりだ。
シブ鯛というのは初めてだが、実に脂ののった、トロリと溶ける一品であった。
本日ナンバーワンがこのシブ鯛だな。厳密には鯛ではないのではないかと思うが、イシダイのようなコシの強さに、脂の乗った甘い旨味が感じられる。これには、甘醤油ではなくキレのよい辛口醤油が合う。
そして伊勢エビ。
実は日南の伊勢エビはウマイ。このプリンプリンした肉塊をみよ!こいつを口に放り込むと、もうその甘い甘いエビ味と官能的なセクシー食感にやられまくりである。
なんてことはないハマチでさえもウマイ、この写真だけでも伝わるだろう。
これは鰹の心臓の味噌煮である。
鰹の心臓はガツっとした歯触りで、回遊魚らしく肉のような濃い旨味だ。味噌煮にして正解である。
ここで、旅館の大将がやってくる。
「いやぁ 魚ウマイ? 旨いでしょうぉ~ あのね、これからこのドラゴンフルーツを出すから。これね、赤と白があるのよ。ワインみたいでしょ?ヨーグルトと混ぜてデザートにするから!」
おお、面白い、宮崎ではドラゴンフルーツのようなトロピカルフルーツを専門的につくる農場があるのだ。そこから仕入れているという。赤いのは初めてなのでこれは楽しみ。
その間にも料理は続く。マグロの胃袋の唐揚げが出てきた。個人的にはこいつが本日最高の一品。まるで肉のような分厚い食感、ブリッとした食感。唐揚げタレの醤油味の濃厚さ。レモンをかけて囓ると、これぞ本当に海の肉という感じである。
これに、定番であるマグロの内臓の煮物。濃い口でこっくり煮含めてあって、これもご飯のオカズに旨い。
「〆は普通のごはんか、カツオ飯にできますよぉ」
そりゃもうカツオ飯である。てっきり炊き込みご飯かと思ったら、違った。
カツオの切り身をほっかりご飯の上に並べ、タマネギやショウガがまぜられた特製ダレとたっぷりのもみ海苔を載せてある。
このタマネギダレが旨い!実にカツオの身の癖に寄り添ってくれるのである。
「これにお茶をかけてお茶漬けも美味しいですよ!」
そりゃやるしかないでしょう!熱い緑茶をかけてカツオの身の色が変わりばなのところを一気にすすり混む。旨い!
「はい、デザートです。」
出た!これがドラゴンフルーツの赤・白だ。ドラゴンフルーツはサボテンの一種の実だ。だから味は淡泊なのだが、この赤いやつは色素も濃くて食欲をソソル。かなりビビッドな色で、日本には存在し得ないような南国系の色だ。
これをヨーグルトに載せて混ぜ込む。いい感じでとろとろに熟していて、スプーンでモロリと崩れる。赤のドラゴンフルーツは、色素が果汁とともに流出しまくり。赤いのはアントシアンだろうが、甘みが強い。ヨーグルトに混ぜ込むと、合成着色料ではないかと疑ってしまうような綺麗な色だ。
十分に堪能しまくってしまった。うーむ 感動である。
渡邊社長様がご馳走してくださったので勘定はわからないが、社長いわく
「こっちの物価は、東京の約2分の1くらいだよ」
ということだ。うーむ
日南に住もうかなぁ、、、
ということで一夜が過ぎていった。明日はまたもや素晴らしい食紀行が続くのである。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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