2004年6月29日 from 出張
さて 帯広二日目は、午前から午後にかけて、気象情報ロボットである「ウェザーバケット」の現地視察だ。
このバケットは、通常なら200万円くらいする精密な気象情報ロボットを30万円にダウンサイジングした優れもので、太陽電池で自家発電して動作し、情報を無線で200m飛ばせるという凄まじいものだ。また、リアルタイムの気象データをネットワーク上に配信することで、日本中のバケットのデータを基にした気象予測などが可能になるという、Linux的な非常に面白い気象情報システムなのだ。すでに、三浦の長島農園に配備されているのは、2月頃の過去ログにあるとおりだ。
バケットを販売しているのはアグリウェザーという、北海道の江別にある会社だ。その社長である横山さんは、北海道の開拓心と良心を双方持ち合わせた尊敬すべき方だ。大手の気象情報サービス企業の支部長をやっておられたが、自分の信念に反する仕事はできないと、独立をして作ったのがこのウェザーバケットなのだ。この詳細については近いうちに兄弟blogである「俺と畑とインターネット」に書いていくつもりである。
で、それらの視察をしながら、昼食。帯広から芽室に向かう道すがら、あちこちに「ジンギスカン」の看板がみえる。実はこの時点で、「今日はジンギスカンだな、絶対」とヤマを張っていた。もう腹はジンギスカン待望状態である。
しかし! 違ったのだ。車は芽室と帯広の間くらいにあると思われる国民宿舎に入っていった。
「ここのレストランが美味しいんですよぉ、、、どこかの一流ホテルのコックがいるんです。」
そうか、早急にお腹のモードを変えねば!と努力。「コロボックル」というそのレストランはたしかに国民宿舎とは思えないクオリティの高さであった。
■豚のコートレット(カツレツ)
ランチとは思えぬ造りだった、、、タップリのオイルでパン粉焼きしたコートレットは、断じてカツではない!ホテルのフレンチの王道を行くような料理であった。
こういう料理に油控えめはいけない。主婦と料理屋の違いは、油や砂糖を思い切り使うか否かだけなのだ。
■デザート
それと、ランチなのにデザートも出色のできばえであった。
アップルパイはきっちりと焼かれているのである。コーヒーと共に、これだけで500円取っていいぞ。
という感じではあったのだが、何かやはり物足りなさが残る。柔らかく談笑するみんな。しかし、前日に鶴橋の超特大豚丼で拡張された胃袋にはあまりにも少ない。
車に乗り、移動する。津田ちゃんが急遽、早めに帰らねばならないということで、帯広空港に向かう。
と、そこで横山社長がニヤリとした声で僕に声をかけたのダ!
「やまけんさん、白樺がありますよ、し・ら・か・ば。寄ってきます?どうします?」
おおおおおおおおおおおおお
生ラムジンギスカン「白樺」である!
この白樺は、帯広空港の食堂「白樺」ではないのでご注意! 帯広近辺に住む者であれば誰でも知っている、ジンギスカンの名店である!
僕はJA幕別の人に連れてきてもらったのだが、あの札幌の名店「だるまや」と同等の旨さでびっくりしたものだ。以来、再訪のチャンスをうかがっていたのだ。
しかーし! 寄ってる時間あるのだろうか?
「空港への道のりを考えてもまだ間に合いますよぉ。どうします?」
車内の視線が僕へ集中しているのがわかる。オトナとしての対応は、
「はは、何言っちゃってんですか、もうお腹一杯ですよ。空港に急ぎましょう!」
ということであろう。
でも俺には無理! 無理ムリムリムリムリ無理!
「じゃあ、二人前くらいつついていきましょうかぁ!」
ええええ まだ食べるのぉ という車内のざわめきをヨソに、車は駐車場へと吸い込まれた。
■じんぎすかん 白樺
北海道十勝郡帯広市清川町西2線126番地
0155-60-2058
11時~17時
定休日:月曜日
着座するとあの白樺ジンギスカン鍋が鎮座ましましている。
このプレート、盛り上がった筋のところに穴があいているのに、なぜか油がテーブルに落ちたりしない、不思議な鍋だ。そしてしっかりと白樺の刻印顔されている↓
品書きはシンプルだ。基本的にジンギスカンと飯、野菜しかない。ジンギスカンを頼むとタマネギがついてくるので、それで十分だ。ここではとにかく肉を食べよう。
「じゃあ、とりあえず6人前持ってきて!それとご飯、ご飯食べる人いる??? 俺だけか!じゃあ一つご飯!」
皆の顔に、6人前って誰が食べるんだ、、、?という疑問マークが点灯している。いや、この○人前ってのは実はフェイクだ。一人前がそんなに多くないから、6人前くらいでちょうどいいはず、、、と思ったらこんなに出てきた。
「多いじゃないですかヤマケン!」
う~ん確かに計算違い。けど、観てくださいこのラムと思えないピンクの美しき肉肌を!旨そうでしょう、、、
ここのラム肉は本当に臭みなど全くないのだ。本州では喰えない羊である。これで食べられない人はどこへ行っても羊を食べられないのではないだろうかと思うくらいだ。
鍋を熱く焼き、肉をガンガン載せていく。
ジュワワワと瞬間的に肉が焦げる。紅一点の鈴木女史が「焦げちゃうわよ」と仰るが、僕は少々は焦げ目を付けた方が好きなのだ。肉のタンパク質が焦げることで変化し、旨味成分が多量に感じられるようになる。
生ラムジンギスカンは、モミダレに肉を漬け込まないので、焼いた肉をタレに付けて頂くのが基本になる。このタレが店の味を決めている。
白樺のそれは、フルーツタップリの甘いまろやかなタレだが、若干の酸味とニンニクが効いており、最後まで飽きさせない。このタレだけご飯にかけて食べてもいいと思うくらいだ。ああ、書いているうちによだれが出てきた。
とりあえずみんな食べないから僕がガンガン食べる。この食べっぷりについて、同行者(僕の対面で、最後まで箸も握らずじーっと僕の食う姿を見ていた)の津田君が、彼のblogでこう評してくれている。ちなみに彼のblog「父親的生活」は非常に面白い。僕はまだ結婚すらしていないのだが、将来参考にしようと思っている。
ガンガンガンガンガン食べる。いつの間にか肉が無くなったので、2人前追加し、ご飯ももう一杯たべる。同行のヤナさんとDさんが一口ずつ食べていたので、全部で8人前中の7人前を僕が食べた計算になるだろうか。
「ごちそうさまでした!」
皆さん拍手をしてくださる。鶴橋豚丼効果てきめんである。胃袋が巨大化しているのであろう。いや実に旨かった。この後、帯広空港で津田ちゃんを送り、その後、六花亭の美術館を見物。アグリウェザー一行と別れを告げて、次なる地、富良野に向かう。
富良野でもとても素晴らしい最強の出会いが待っていたのだった!続きはまた。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
本サイトの著作権はやまけんが保持します。出版物・放送等に掲載される場合はご連絡を下さい。トラックバックはご自由に。