2004年6月 4日 from 食材
(12:50 内容追加しました。)
秋田県を旅行して食事をすると、必ずと言っていいほど食卓に上る山菜がある。「みず」である。蕗(フキ)のような外観、合成着色料でも使っているのではないかと思うような派手なライトグリーンの見た目と違う、実に地味な渋い味わいの山菜である。
しかし山菜の名前って不思議だ。「ミズ」って、水のことか?と最初に思ってしまったし、それ以外にも「しどけ」とか「うるい」、「あえこ(あいこ)」など、由来を知りたくなってしまう名前が多い。無論それらは、美しい名前だ。
さて、今年深くコミットすることになる秋田県庁にお勤めのイトウ氏より、ご連絡をいただいた。
「昨日の朝に、実家(河辺町:秋田県のほぼ中心地点)の脇にある沢筋で「みず」と「うるい」をゲットしました。
家の中でお茶飲んで「さあいくぞ」と言ってから、ものの25分位で山菜採りは終了しました。私は、一人ではできないので、実家の両親に教えを乞うていますが、なんだか、あまりに手軽なので拍子抜けしました。
伊藤の家に戻ってから、伊藤の祖母・義母に話を聞くと、家の周りにも「みず」はいっぱいあるということでした。
食べ方とか処理の仕方はご存じのことと思って、昨日、早速クール便で送ってあります。モノ持ちを考えて葉っぱを採らずにおいたので、ゴミになりますが御勘弁ください。
伊藤の家では、甘口だし醤油とショウガの千切りの漬けダレに浸して、お浸し風(一夜漬け?)にアレンジして食べました。」
そして送られてきたのがこれだ!
たっぷり3Kgくらいの堂々とした太さのミズ。葉付きのものでこんなに太いのは初めて観た。けど、いつも秋田の食卓でみかけるミズと違って、あの鮮やかな緑色ではなく、山中に地味に生えているような色そのままだ。どうやったらあんなに際だったグリーンになるのだろうか?
幸いなことに伊藤さんから、調理方法の解説ページを教えて頂く。初めて知る山菜の下ごしらえ方法の数々。情報取得については本当にいい時代になったもんだぁ。
■保存版 山菜の下ごしらえ&調理法
http://www4.dewa.or.jp/hatt/sansai.html
書かれている通りに、ミズの葉をプチプチととる。これが結構面倒である。根本からしごいて一気にとろうとすると、食べる茎部までもブチっととれてしまうからだ。1Kg分をはずすのに結構な時間がかかってしまった。
葉をとって鍋に入る長さに切った(何せ40cmくらいある立派なものなのだ)ものがこれだ。
これを、沸騰した湯にさっと30秒ほど通すと! なんとなんと! ダイナミックに色が変わったのである!
これかぁ、、、このどぎついばかりの鮮やかなグリーンは、やっぱり自然由来だったのかぁ、、、目の前で起こった錬金術に、実に納得である。
さてこの湯通し状態になったみずを冷水で冷やした後は、おひたしにしてもよし、煮物にしてもよいとのことだ。僕は、Webにも書かれていた「みずのたたき」を作ってみた。
太いミズの根元部分には、トロンとした粘りがある。ここを包丁の背でたたき、細かくしてニンニク味噌と和えるのだそうだ。ちょうど青森の田子町のニンニク味噌がある。それに山形まあどんな会のなんばん粕漬けを混ぜてみる。
こんな単純な一品が、びっくりするほどに旨い! 新鮮なミズは、かみしめると ザキっという強い歯触り、そしてトロンと汁が染み出してくる。癖はほとんどないが、甘い香りがニンニク味噌に絡み、その後、なんばんの辛みがウワっと湧いてくる。 、、、身体の中に秋田の清涼な風が吹いた気がした。
さて、このエントリを読んでくださった、農産物業界の大先輩であるアマナイさんから、連絡があった。
「やまけんちゃん、僕は青森出身で、ミズは大好きなんだよ。それでね、ミズの扱い方、間違ってるよ。ミズは、包丁で切っちゃダメ。手でちぎるようにするのが一番。あと、フキのように繊維があるから、皮をむくとイイよ。手でちぎるときにむけるから。あと、ミズには赤ミズと青ミズがある。君が食べたのは赤ミズの方だね。どっちも美味しいから、今度は青森にも食べにおいで!」
なるほど!アドバイスありがとうございました!
こんなに地味に美しく、野に在って都の人間の心を豊かにする山菜に、今年は会いに行こうと思う。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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