2004年6月22日 from 食材
(その1から続く)
さて御園家に付く。デザイナーズマンションか?と思わんばかりの綺麗なマンション一室である。真空管アンプ専門誌を出している出版社の編集者らしく、かっちょいい真空管アンプが鎮座ましましている。YMOを聴きながら、撮影と調理を開始した。
今回はなんと言っても、スパイスのメッカである大津屋商店のオリジナルレシピを教えて貰ったのが最高の収穫だ。できるだけ記憶に忠実に、レビューを再現していこう。撮影はすべて、新進気鋭のカメラマン・青柳君だ。「CAPA」などのカメラ専門誌にも登場する彼により、クオリティ高い画像をお届けできるのが嬉しい。被写体は俺なのでクオリティ低いけどゴメン。
■スパイス一覧
上段左からクローブ、カルダモン、シナモン、そして問題の長胡椒。
中段左からターメリック、カイエンヌペッパー、クミン。
下段左からガラムマサラ、コリアンダー。
そしてこれも特選素材!左がカレーリーフというハーブの一種。ベイリーフのように使うが、香りがカレーの風味を増す。右が激辛の唐辛子、、、
以下、解説をしていくが、分量は4人前見当で、適当だ。レシピの分量は参考程度。ちびちび味見をして自分のよい塩梅を見つけて下さい。
■ジャスミンライスをセットする。
さっと研いで、水を少なめにして炊飯器にセットする。本当は鍋で炊く方がいいらしいが面倒なので。オイルコーティングしていないレーズンを適量入れる。
■鶏肉を準備
もも肉の皮を剥き、余分な脂肪を捨て、肉の筋繊維に沿って食べやすい大きさに切り分ける。筋繊維に沿わせて切る方が、歯触りが残って美味しい。下味は特につけなくてよい。インドではこれを焼いたりせず、生のままカレーに投入する。それによって味がすぐに染みこむようだ。
■タマネギをみじん切りにする
タマネギ大一個をみじんに。それほど細かくなくていい。インドではすり下ろしタマネギを炒めたりもするが、ここではみじん。
■ニンニク、ショウガはすりおろしておく
ニンニクは3かけ、ショウガは親指2本分くらいか。ケチると旨くないぞ。控えめな味のカレーはなんとも頼りない。ドンと濃い目でいこう。
■ギーを熱し、スタータースパイスを投入
インド料理に欠かせぬ油脂、ギーを投入。ラードのように固まっているのが溶け、黄金色の海になる。ここに、香り出しをするスタータースパイス群を投入する。
クローブ、カルダモン、シナモン、そしてカレーリーフを投入する。
なぜ油の中に投入するかおわかりだろうか?スパイスの香り成分は、水には溶けない。油にしか溶け出さないのだ。だから、油を控えめにしたカレーやパスタは旨くない。カレー食った翌日は走ることにして、思い切り油を使おう。スパイス群が焦げないように弱火でじっくり熱を通し、油に香りを移す。あ、そうだここで唐辛子も入れる。唐辛子の辛み成分も、油に溶けるのである。
■スタータースパイスが薄く色づいてきたらタマネギ、ニンニク、ショウガを投入。
油が少ないとここで焦げ出すので注意。
弱火にして、蓋をして蒸し煮する。料理研究家の辰巳芳子さんがおっしゃるように、「蒸し煮は素晴らしい。」蓋をすることで、素材の水分のみでの加熱調理ができる。蓋を開けると、水蒸気がブワッと出る。この状態でタマネギが薄く色づくまで火を入れよう。
■ジャスミンライス炊きあがり。
水分はできるだけ飛ばしておこう。
■スパイス類投入
先のパウダースパイスを投入していく。大体4人分だと、すべて大さじ1.5杯と考えればいいらしい。唐辛子の量だけは好みに応じて加減した方がいい。カイエンヌペッパーは結構辛い。
僕はそれぞれのスパイスを大目に入れた。この辺になると凶悪に旨そうな香りが立つ。そうそう、特選素材の長胡椒は、ミルで細かく挽いてこの段階で投入した。あのすさまじい香りも一役かっているはずだ。
■トマト投入
缶詰のホールトマトを手でつぶしたものを投入する。トマトを入れると味がとたんに日本人好みになる。
■ヨーグルト投入
無糖のヨーグルトを投入。200ml程度かと思うが、これが水分だと思って調整して欲しい。この段階で味見して辛すぎるようだったら、ヨーグルトをどさどさ入れて中和しよう。インド料理にヨーグルトは必須です。
かなりカレーらしくなってきました。ここで塩を少なめに投入して味のベースを決めます。
■鶏肉投入
ここでもも肉の投入です。鍋があふれそうになってきた。ちなみに鍋は合羽橋商店街で買い求めたアルミ鍋です。熱伝導がよいチープなやつ。
ミックススパイスであるガラムマサラを加える。先に入れると香りが飛んじゃうのだ。
塩加減をみて、必要なら加えること。もうかなり完成に近い。
■盛りつけ、完成
ジャスミンライスにカレーをかけて完成。もう~早く食いたい!
どう?やっぱりプロが撮ると決まるね! なんだか料理研究家になった気分でしたよ。
インドカレーだから水分が多め。だから、米は水分すくなくパラパラに炊いた方がいい。
長胡椒の香りとかカレーリーフがどこに利いているのかを見極めようとしたが無理!スパイス群の相乗効果で香りが増幅されているので、とにかく芳醇な香りと味が口中に炸裂する!そして辛い!カイエンヌペッパーに、生唐辛子を入れたので、かなりすごいことになった!でも旨い!でも辛い!でも旨い!でも辛い!(以降ループ)
辛さは、バジルシードジュースで中和すると非常によいな。
編集者御園氏とカメラマン青柳君もご相伴。いや、マジで旨いでしょ。やっぱり大津屋レシピ、最高ですわ。ところどころヤマケン流にアレンジしましたけど、ベースが決まってるから旨い。これでパーティがあっても大丈夫ですな。
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大津屋商店は素晴らしい店だ。アメ横にいくと、一見ぶっきらぼうそうに見える店の人が恐いかもしれないが、全然そんな心配はない。スパイス類も、使い方をきけばよい。レシピも教えて貰おう。大津屋の皆さんはそれに応えてくれる方達だ。
近日中に、このスパイスボーイズの連載の第二弾、タンドリーチキン編をお送りできるはずだ。お楽しみに、、、
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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