2004年5月23日 from 首都圏
(その1より続く)
※羊のロースト画像を追加しました。 (23日23:02)
さあ、伝説の夜が始まった。日がまだ陰るかかげらないかの午後6時半あたりから、今夜の参加者が到着しだした。
初めての参加に若干の不安と興奮、そして美味しい予感を浮かべた人たちと、笑顔で握手を交わす。そう、この時点で彼らを名前だけでもわかっているのは僕だけなのだ。静かで綺麗なテーブルセッティングの世界は、みるみる間に人いきれで埋め尽くされるのであった。
■使用前↓
■使用後↓
開始予定の7時を少し回り、すでに33人が席に着いていた。皆、あまり物怖じせず周りの人たちと話をしている。いいもんだ。
「はい それでは食い倒れ党のオフ会を始めたいと思いまぁ~す!」
食い倒れ党広報担当を自ら任じる、僕の理解者・加賀谷の結婚式司会的進行がいよいよ開始した。促されて登壇し、みんなに挨拶する。
「いいですか皆さん、、、今日は食べますよぉ! 大塚オーナーにさっき聴いたら、前菜が出終わるのが今から一時間半後の8時半、そんでメインの羊が出てくるのが10時半くらいだそうです!最後まで着いてこい!」
なんだか訳のわからないものすごい熱狂とともに宴はスタートした。
さてここから僕は各テーブルを周り(38人いるので、なんとテーブル9組に分かれているのである)、いちいち出てきた料理を解説し、「どう!?うまいでしょ?」を連発する役回りに徹してしまったので、あまり写真を撮ることが出来なかった。しかしさすがは僕のblog読者の皆さんだ、料理が運ばれてくるとまずはみなデジカメや携帯カで撮影をしている。これは思わず笑ってしまう風景だ、、、
実はオフ会参加者のみの画像掲示板にそういう画像をアップしてもらっているので、本日以降、追加という形で全料理の写真をこちらにも転載していきたい。
※ちなみに今回、電脳カマタ食堂を主宰するカマタスエコさんの写真を多用させていただく。さすがの撮影テクニックでツボをおさえられているのだ。
とりあえず本日のメニューの組み立てだが、完全にやまけんコースである。
「前菜が10種類程度でしょうか。テーブルごとに3種の盛り合わせを作ってお出ししていく感じです。その次にパスタが3種類用意してあります。この後、肉料理ですけど、これも3種類、そしてドルチェという感じです。」(大塚オーナー談)
さて、みな着いてこられるのだろうか? しかし現実には、予期しないコトも起こったのである。
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■19時スタート
前菜が運ばれてくる。レバーペーストにはみなびっくりした後、うっとりとなる。デュラムセモリナの揚げパンにも「これは旨い!」という声が集まる。
ここからいつもの怒濤の前菜責めが始まる。解説しながらテーブルを回ると、みな「これってメインですよね?」というくらいの分量なのだ。
↑中でもこの野菜のトマト煮込みカポナータはグンバツに旨い!こんがり揚げたナスがとろりと濃くトマトで煮られている。松の実も一緒に入っていて、コクと食感でアクセントをつけているのだ。左側に盛られているのはカリフラワーのフリットである。
↑この二品、鰯のフリットと、鰯を丸めて中にパン粉やチーズなどを練ったフィリングを詰めてあげたものだ。名前、忘れてしまった、、、
~20時半 前菜10種出し終わり
■21時 パスタ3種出し始め
さてパスタの皿が運ばれてくると、各テーブルから歓声が上がる。みな、期待してきたんだな。
まずは鰯のフジッリから。パン粉をかけることを説いて回ると、みな旨い旨いと食べていた。
フレッシュトマトのスパゲティ。スパゲティが出てくるのは珍しいなぁ。うえにはリコッタがどかどかとかけられていて、その強い香りがひねたイイ味わいを出している。
そして、満を持してペスカトーレが出てきたのであった!
毎回変わるこのペスカトーレの味、本日はシェフが材料を張り込んでくれたらしい。貝類がどっさり入り、いつもよりトマトの分量を減らしたビアンコ。魚介のブロードと極上のシチリアオリーブ油が乳化されたソースがたっぷりと絡んだリングィーネは、ブチブチぶりんぶりんのアルデンテに決められ、照り照りしている。
みなに麺をサーブし、食べさせる。一口食べた参加者はみな、目を丸くし驚きの表情でこう言う。
「こんな旨いペスカトーレは初めてです!」
そう、この日のペスカは、後生に語り継いでいい、伝説のペスカだったと思う、、、はやくレシピを教えてもらうことにしよう。
オーナー&シェフご挨拶
肉料理の前に、オーナーご夫妻と重シェフから一言いただいた。熱狂のライブ開場のような会場で、オーナー&シェフはみんなの賞賛と共感を浴びた。これが店にとって最大の幸福なのだろうな。こういう場を作ることが出来て、本当にヨカッタ。
さて、いよいよ怒濤の肉料理の時間がやってきた!
22時 肉3種出し始め
厨房に行くと、すごいことになっていた!バーベキュー用の炭火焼きコンロを持ち込んで、その上で豚ロースが10本近く焼かれている。その横では羊の足が丸ごと二本グリルされ、ジュワジュワと音を立てて油がはぜている。
「はい、やまけんさん、これをまずみんなにお披露目してきてください!」
と差し出されたのがこれだ↓
どどーんと羊の足二本!これを持ってテーブルを回る。みんなはと言うと、パスタ攻勢でもうそろそろ満腹中枢がチカチカしているところにこれを見て、少し食欲が励起されている。
↑うしろから肉をのぞき込んでいる二人の驚愕した顔が傑作である!
しかしそこで僕が非情な一言を発する。
「この羊にいくまで、あと2品肉料理がありまーす!」
会場をどどーんとショックがおそう。マダアルノカ、、、
しかし、終了後に皆が口をそろえて「あれ最高!」という一品が、みんなの食欲を再点火する!そう、とぐろ巻きサルシッチャである!
豚のローストに甘辛いソースをかけ、ポレンタを練って焼いたパンを並べた上に、サルシッチャである。こんなの見たことありますか?
「やまけんのWebにのっていたこれが食べたかったんですよぉ!」
見て嬉しく、食べてびっくりである。あふれる肉汁と旨み、フェンネルシードのエキゾチックな香りで、かなりみんなの舌がリフレッシュされる。豚もトロトロに仕上がり、甘辛いソースとの相性がばっちりである。
そして、僕も初めての料理が出てくる、ハンバーグ(肉団子だな)と豆の煮込みと、マッシュポテトを塗った皿に盛りつけたシチリア田舎料理だ。マッシュの優しい食感と、ダシという感覚のスープが皆を優しい気分にさせる。
参加者の中には肉が食べられない人もいたので、魚を一つ頼んでおいた。出てきたのは立派なカサゴのアクアパッツァ!旨そうだぁ。。。
さあ、メインだ。羊は大ぶりに切り分けられて出てきた!この店の特徴である最高に旨いガルニもたっぷり添えられている。
もう、参加者はみな目が死んでいる。トロトロに溶けそうな目を宙に浮かせている。そんな中、日本酒ソムリエの神澤さんと、よくコメントを書いてくれるOneさんがいるテーブルは、快調に羊肉が無くなっていく。オーナーも「すごいですねあそこ、、、」と驚いておられた。
時間はもう23時にさしかかっている。この間、みんなには「ヤマケンへの質問」を書いてもらい、それをくじ引きにして3人の方に、プレゼントを差し上げた。讃岐の鎌田醤油店のダシ醤油、僕が連載を書いている雑誌「やさい畑」、そして、農産物流通業界の人でないと読んでもあまり意味がない僕の著書(サイン入り)である。
23時 ドルチェ&コーヒー
女性陣は口々にドルチェは別腹!という。そりゃそうだ、この店でこれを食べずしてどうするのか。けいこさんの写真を下記に拝借する。
シチリアンロールを食べたみんなが、「ばさばさしてるかとおもったら、しっとりとしていて、しかも軽くて、リコッタクリームが最高!」という。そうだろう?そうなんだ。
チョコケーキもどっしりと甘く、その舌をパッションフルーツのシャーベットがさわやかに洗う。大満足してもらえたようだ。
23時半 御礼&ハッスルポーズ唱和 ~解散
さて驚愕のできごととは、、、 この日参加者37人に「食べろ食べろ」といっている僕自身が、まったく食べられないのである。みんなのテーブルを廻って進め、適当に僕もつまむのだが、腰を下ろしてゆっくり食べる時間がない。いや、それだけではなく、胸が一杯で食べられないのだ。
僕のWebをみてくださっている37人が一カ所に集ってくれる。いったい何の集まりだ?と首をかしげられそうな怪しい集団だ。でも、どのテーブルもとんでもなく盛り上がっている。
やはり、美味しい食事、豊かな食卓は、それだけで人を幸せにする力があるのだ。
僕が新しく設立した会社の名前は「グッドテーブルズ」だ。食べる喜びは、食べ物それ自身にあるのではなく、それを囲む人たち、空間、すべてひっくるめた総体に発生するのだと思う。それを象徴的に「テーブル」としたわけだが、はからずも今夜、僕はグッドテーブルズを見ることができた。
もう23時半だ。遠方から来てくれたカマタさんが電車の関係で帰られた以外は、みな残っている。そう、新潟から駆けつけてくれた人もいる。ワシントンから帰ってすぐに参加してくれた人もいる。みんなどうもありがとう!
最後の挨拶の時は、実は涙も出そうだったのだが、ヤバイので明るく、プロレスイベントで有名なハッスルポーズを決めた。
8MBの動画だが、回線に余力のある人は見てほしい。本当に何かと思うほどの熱狂がそこにあったことがわかるだろう。
>ハッスル動画
今回、グッドテーブルを囲んだ皆さん、本当にどうもありがとうございました!いい夜でしたね、、、また美味しいものを食べに行きましょう。
※ そうそう、今回は未曾有の規模であり、いろんな人の助けをいただいた。企画から司会進行、会計までこなしてくれた加賀谷がいなかったら、この会は成立しなかっただろう。いつも僕を鼓舞してくれてありがとう。同じく受付と会計を手伝ってくれたバシさんもありがとう。
そして、無二路のみなさんには感謝に堪えない。オーナーご夫妻、間違いなくいい店だということはこれから立証されると思います。重シェフ、信じる料理を作り続けてください。そして若い厨房の二人、小林君とトモ子ちゃん(だったよな)、お疲れさん!またまかない食べさせてくれ!
■本日参加者
松澤
稲田ぬのくま
いけさん一家
原田夫妻
長澤
小林
加賀谷
桂一家
いげた
高橋
荒浜
カマタスエコ
矢坂
タカハシカオリ
岸崎夫妻
神澤ゆみこ
伊藤ひろっきい
林
瀬尾
ちよ
さかもと
池谷
じん
河野
大黒
氏原
ハギワラ
榊原
峯
あゆも
直太郎
やまけん
テーブルを囲んだ参加者達はこちら↓
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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