2004年4月21日 from 首都圏
親友のしんのすけの手伝いで、ある学校で生徒に菜園で野菜を作らせ、それを販売するという授業のお手伝いをすることになった。授業の趣旨はもっと説明を要するのだが、しんのすけのblogでいずれ明らかにされるだろう。
昨日、初めて中高生の前で教壇に立つ。心配していたような荒んだ空気もなく、非常に自発的な生徒達に丁々発止で植物の生理について教えていたら、あっというまに時間が過ぎていた。終了後、どっと疲れがでる。本当に疲れたぁ~。いつも農業関係者さんに90分以上の講演をしているが、全く別種の作業。向こうからの反応に更につき合い、授業の中身が形作られていくというのは、相当に大変な作業であった。
で、二人で「ビール飲んでこか」と相成った訳だ。ちょうど、これまた慶應SFCの同期生だった寺田が経営に参画しているレストラン「CICADA」が近くにあるという。かなりスノッブな土地柄だが、たまにはいいもんだと寄ることにした。
CICADAの前に、天王洲アイルにあるTYハーバー・ブリュワリーという地ビールレストランを紹介すべきだな。ここの地ビールは旨い!そして料理もかなり気が利いててスバラシイ!きちんとキメに使える(何のキメだ!?)ロケーションとサービスでありながら、プライスもリーズナブルって感じの店で、同期の友人がこんな店をやってるんだなぁと感慨にふけったのはしばらく前の話だ。その際に、違う店も出すんだヨという話でCICADAのことを聴いてはいたんだった。
「ふうん 広尾かぁ、、、(俺が行かない土地柄だなぁ)」
と思ってたわけだが、行けることになると単純に嬉しいのであった。
■CICADA
住所:東京都港区南麻布5-2-40
TEL03-5447-5522
店構えは、場所柄、落ち着いた渋いいいセンス。元は有名なイタリアンだったらしい。
店に入って空席を確認。まだ17時だし、すぐに入れると思ったら、、、
「20時半には満席の予約ですので、それまでのお時間限定でよろしいですか?」
うーむすごいな、水曜日から予約客で一杯なのであった。人気店である。ま、ビールを飲んでつまみをとるだけでいいや、と思っていたので席を作ってもらう。
店内は、外観からは想像できないほど広い。調度もぐっと落ち着いてて、一流の雰囲気である。ウェイター・ウェイトレスはみな地中海風無国籍のような服を着ているが、一人一人違う格好で、それがまたよい。
まずは何はともあれビールだ!ここのビールは旨いはず。TYハーバーで醸している上面発酵の、酵母の味の濃いビールを飲ませてくれるはずだ。
このCICADAには、TYハーバーでは飲めない「オーガニックラガー」という銘柄がある。まずはこれで攻めてみる。
シンプルなグラスのたたずまいが美人である!飲むと、熱処理をしているせいか酵母の発酵香は押さえられているが、その分爽やかな苦みと甘みが複雑に混ざって、脳を刺激した。
「旨いねぇ、、、」
ここのビールは「プハッ 旨い!」という類ではない!一気飲み厳禁なのであった。
さてこの店のメニューは、細長い紙がクリップで留められた、なかなかカッコイイ体裁なのである。そして書き込まれているドリンク・料理ともに、激しく興味を引き立てるものばかりなのであった。
本日は軽くビールを飲むという趣旨なので、それほどずっしり食事をするつもりはない。従ってタパスを数皿頼んでという感じにしようと思う。
しかし、メニューの内容はタパスだけでも全品頼みたくなるものだった。耳慣れない単語がメニューに点在しており、給仕の女性に教わる。この小柄な女性の料理の説明、リコメンドが完璧であった。説明の仕方、旨そうなシズル感の持たせ方、好感の持てる控えめなフレンドリーな態度、スバラシイ!
「いちいち『ちょっとお待ち下さい』といって厨房に訊きに行ったりしないのがいいね」
としんのすけが言う。
「はい、勉強はしていますので、、、」
そうだろうなあぁ。 この店では少なくとも、給仕の人間のレベルは高いと見た。これだけでもかなり満足度が高い。
さて料理は本当にタパス(前菜)のみにしてしまった。ゴメンね寺田。こんどがっつり食べに行くよ。
■ガルバンゾ豆のペースト(名前ワスレタ)と特製パン
この豆のペースト、僕の好物だ。ガルバンゾ豆を時間をかけて柔らかく煮て、ミキサーでニンニクやスパイス類、ヨーグルトなどと合わせてドロドロにする。この店では特製のパン(2次発酵させていない、ソリッドでスパイシーなパンだ)をつけて食べさせる。
こいつが実に「旨い!」と思わず叫んでしまうほどのできばえであった。ペーストは滑らかに油分を含んでいる。旨味が濃く合わせている素材を訊きたいと思うほど、さすがのプロのテイストである。これにつけるパンがまた旨い。強めの塩味がペーストの旨さを倍増させる。
「このパンは大麦とスパイスが入っています。これがやみつきになるっていうお客様が多いんですよ!もう少し追加を持ってきますね!」
と、説明&サービスはまたも心地よい。もう俺なんか、このペーストどんぶり一杯食べたいと思うのであった。
■カラマリのロースト、プロシュートと香草パン粉詰め
カラマリは油との相性がいいのでフリットで食べたかったのだが、ローストしかなかったのでこれを頼む。イカ飯のように胴にフィリングがパンパンに詰められた状態だが、中身がプロシュートとパン粉である。味付けは濃さと淡さの絶妙なバランスの綱渡りで、文句なしに旨い!
ただし、カラマリは4つ串焼きになっているだけで、脇には野菜がボワンと盛られている。生の水菜、ルッコラ、アンディーブなどだが、これになにもドレッシングがかかっていないのは意図的なのだろうか?ちょっと芸がないと思ってしまった。かといって「素材を活かしてそのままで」食べるにはパワー不足の野菜なので、もう少しひねりを加えて欲しいと思う。
■ワカサギのフリット バジルアイオリ添え
カラマリでフリットが食べられなかったのでワカサギでいただく。しかもバジルアイオリって、相当にそそる響きではないか!アイオリはご存じだろうか。マヨネーズの原型で、オイルと黄身を練って、マヨと違うのはそこにニンニクを溶かし込んでいく。あと、酢は使わなかったと思う。
果たしてバジルアイオリはニンニクがぷんぷん、これをスパイシーなワカサギにたっぷりつけて食べると、カリッという音と濃厚なアイオリの油分と香りがトロリと舌に乗ってくる。
うーん 本当に素晴らしいではないか!
■ポテトのロースト(なんとかという唐辛子ペースト添え)
なぜかこの日は肉を食べる気がせず、気の利いたタパスで攻めてしまったが全ての料理が手が込んでいて旨かった。シェフはアメリカ人らしいが、地中海料理をベースにした気持ちの良い無国籍風で、日本人にも外国人にも歓迎されるレベルの高さだ。
店内は僕らがビールを飲み始めてすぐに満席になった。外国人が非常に多いのと、その中でもドレッシーな装いでくる一団もあり、この店の位置づけが高いことを印象づける。
4品のタパスとビール二杯ずつで一人4000円。十分に楽しませてもらった。今度はがっつり食べに来よう。
広尾、、、スノッブで嫌だと思ってたけど、ちょっと距離が近くなったと思う夕暮れ時だった!
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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