2004年1月14日 from 首都圏
今日は11時から銀座で一日仕事をした。そうなったら昼飯は、当然ながらロメスパ「ジャポネ」しかない。本日はジャリコ横綱である。
もはや横綱レベルでは全く意外性がない自分が居る。いずれ未開の地である「親方」へ、そしてその先にある「理事長」への彷徨が始まるだろう、、、
さて、仕事、、、
(仕事終了)
2時から6時までの長尺の会議が終了。頭を使い、腹が減る(横綱食っといてほんとか?)。気力が萎えてきたので、銀座で何か元気快復を図りたい。以前にも書いたように銀座は周辺部が好きだ。中央に行けばいくほど高くてコストパフォーマンスが悪くなる。
そこで向かったのは東銀座、歌舞伎座の横。けっこう有名な店だが、絶品なオムライスを供する喫茶店「YOU」である。
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喫茶YOU
東京都中央区銀座4-13-11
03-3541-5204
営業:8時~22時30分(日祝9時~) 基本的に無休
※とにかく歌舞伎座を出て左に歩いてすぐのところにあるので、
道は間違えようが無い。
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オムライス、、、それも、故・伊丹十三監督の不朽の名作「たんぽぽ」に出てきたオムライスの流れを汲む、トロトロオム乗っけ系のオムライスである。同じような系統に、これまた有名なグリル満点星のオムライスがある。こちらはピラフをきちんと炊くところからはじめており、上にかけるのはドミグラスソースと、非常に高度な洋食技術がてんこもり。間違いなく美味しいけど、オムライスって、もう少し手軽なほうがいいなぁ、という人には「YOU」がお薦めだ。
プルプルのオムレツをケチャップライスの上に載せ、客席でそれにスプーンを入れて、中から流れ出るトロトロを楽しむというスタイルのオムライスでは、何は無くともそのオムレツの出来がすべてを左右する。オムレツをプルプルに仕上げるコツ、、、それは、技術とかそういうものの前に、「思い切り」が必要である。何の思い切りかというと、「高カロリーへの恐怖を捨てる」という思い切りだ。
オムレツをプルプルに仕上げるのは、フライパンを繰る技術を抜かせば、それほど難しいことではない。卵液に水分を足せばいいのだ。それにより、卵の凝固点が下がり、柔らかく仕上がる。これはだし巻きも同じことだ。ただ、だし巻きと違い、西洋風に仕上げるためには乳製品との相性が最高だ。中でも生クリームは、風味と濃厚さは言うまでも無く、その適度な粘性がフンワリトロトロに仕上げてくれる、卵との相性抜群な相思相愛関係的恋愛対象なのである。
その代わりクリームの量をけちってはいけないのである。例えばここ「YOU」で使用するのは、卵の半分量のクリームだ。これに、焼き上げる際のバターを足すと、カロリー的にはかなりなものになる。家庭料理とレストラン料理の差とは、技術はもちろんのことだが、実はこういった「思い切り」の違いが大きな部分を占めると思う。たま~にお菓子作りをすると、投入する砂糖の量にびびってしまうのと似ている。
まあしかし、食い倒ラーはそんなことを斟酌してはいけないのである。ここ「喫茶YOU」では、普通盛りのオムライス、大盛り、そして特大(400円増し)が選べるようになっている。当然食べるのは「特大」しかないに決まってるジャン!と自分を鼓舞する僕です。
そうして運ばれてきたオムライスを見ていただきたい。まさに美の極致であろう。優雅にして典雅。気品すら感じる、一切のこげ目の無い、ライトイエローのオムレツが、その柔肌を惜しみなく横たえているのである。
このオムライスを表現するのは、申し訳ないのだが官能小説的にならざるを得ない。
(以下、18歳以下は閲覧禁止である)
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柔肌の中心部にスプーンの切っ先を入れる。 プニョリン ポニョリン と 震える柔肌を金属の硬質な輝きが舐めながら切開していく後には、トロトロと溶けた中心部が恥ずかしそうに覗く。横一文字に開かれた割れ目はしかし、未だ恥ずかしそうに閉じた花蕾のままだ。それを優しくちょっと強引に押し広げると、中から耐え切れない吐息のような湯気が「ホウ」と立ち上るのだった、、、さらにトロトロの周縁から中心部にかけて深紅のケチャップを塗り広げると、柔肌は暴力的に蹂躙された様を呈し、先ほどまでの清楚さは消え失せ、途端に蠱惑的な表情で私を誘うのだった、、、
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うわぁあああああああ~
もう我慢できねぇえええええ~
喰わせろぉおおおおおお~
と、このような興奮を毎回楽しめるのである! これが一回1200円!(←普通盛りね)
■蹂躙(じゅうりん)前の柔肌
■蹂躙後の夜の姿
本題に立ち返るが、味も実に綿密に設計されている。クリームたっぷりのオムレツのトロトロ感と、適度に濃厚な風味は実に最高。土台のケチャップライスはケチャップ控えめだがしっかりとした味で、食感はオムのそれと反対にかなり固めの仕上がりだ。これはオムのトロトロ感を際立たせるための設計だろう、実に心憎い仕上がりである。
「特大」は普通盛りの約二倍だろうか、食べ応えも十分過ぎるほどである。また、その辺のカフェなんかよりずーっと居心地がよいのもこの店の特徴だ。70年代モダンジャズが流れる2Fでオムライスを食べ、昨日よりも寒さを増した東銀座界隈を眺めていると、なんだか日常の些事が流れていくような気がする。そんな夕方だった。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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