寿司 匠にて、年内の食べ納め。とはいっても、31日に匠のスタッフ忘年会に出席するのだが、、、ま、客としての納めだ。親友の竹澤と、その同僚の香ちゃんと飲む。
師走ということもあり、混んでいなかったので、日曜日ながらいい仕事をしてくれた。
加藤ちゃんには首都圏の部 グランプリ受賞の旨を伝える。「うわっ ありがとうございます!」彼はインターネット接続環境を持っていないので、見せてあげられないのが残念。
いつものネタをやりつつ、マグロの赤身ヅケを所望。この店はこういう、仕事をするネタの旨さが絶品に光るのだ。この艶やかな照りをみて欲しい。大トロもいいが、このヅケ赤身の香り高さこそが、コハダと並ぶ江戸前寿司の代表格だと思う。
穴子は、例の「臼杵の熟成カボス」でいただく。スダチと違い、柔らかみがあるので、たっぷりめにかけてもらうとよい。これも、今年であったイイ食材だ。
さて、本日の〆は、この店のスペシャリテだ。生いくらが旨いことは以前にも書いたと思うが、ここのいくらにはバージョン違いのスペシャル版がある。これは手間と時間がかかるので、あまり混んでいない時で、かつ常連でないと出てこないと思った方がいい。
加藤ちゃん、いくらのオーダーを聞き、やおら串にキュウリを刺し、桂剥きを始める。薄~く薄く、向こう側が透けてみえる薄さに剥いていく。そして、、、こうなるのダ!
どうだろう?キュウリの桂剥きで軍艦にした生イクラだ。キュウリだけでは軍艦がはずれてしまうので、細く切った海苔をシャリに巻いておき、その上にキュウリをかぶせるという、徹底した技術開発だ。見栄えの美しさで、まずはイチコロだ。この時点で香ちゃん、うっとりである。
口にすると、キュウリの清涼感と歯触り、そしてイクラのプチプチが重なり、実に妙味である。このblogを見た人は、店内を伺ってから、加藤ちゃんに「できます?」と訊いてみて欲しい。とにかく一度食べておいて損はない。
もう3人すっかり堪能して酔っぱらう。そしてこの後さらに、支那そば「晴弘」に向かい、くだを巻き続けたのであった、、、
門前仲町「晴弘」は、支那そばの名店としてdancyuにも掲載されたことのある、有名店だ。支那そばは勿論旨いが、酒の品揃えも素晴らしく、芋焼酎は品書きの表面にラインナップがびっしりと書き込まれている。そして、グレンリベットやマッカランといったシングルモルトが、1杯500円で飲めてしまう、恐ろしいほど酒をわかった店なのだ。それに合わせる酒肴も秀逸の一言で、芋の煮物などは、昆布ダシの強く効いた、実に滋味溢れる仕上がりだ。
■晴弘
江東区富岡1-21-9 竹内第一ビル1F
03-3642-8037)
地下鉄東西線の「門前仲町」の一番出口を出て、永代通りを左手(木場)方面へ直進。富岡八幡宮の次の通りを左折してすぐ。
月曜定休
※飲食は1時間以内にすること。ちなみに酔っぱらいは嫌われる。
前の店で飲みまくって酔っぱらい、何気なくラーメンが食べたくなり、寒い中、自転車を走らせて富岡八幡宮横を通り、暖簾をくぐる。カウンターにつき、すぐに
「つけ麺、メンマ増し!」
と注文する。一人で来る時は酒抜きである。 そう、しばらく前からこの店の品書きに加わった「つけ麺」が、とてもよい感じなのだ。つけ麺はブーム以前から大好き。ここのつけ麺は、実は支那そば本体よりも旨いと密かに思っている。ここの支那そばは細麺だが、つけ麺は中太麺で、とてもよい風味なのだ。
卵の香りがプンとし、腰の通った麺を熱いスープにくぐらせ、青ネギをまとわせてすすりこむ。強めの塩と香りの高い醤油の旨味が旨い。この店は素材をすさまじく吟味しているから、醤油の旨味が非常に強く、素晴らしいのだ。
そして、このつけ麺のクライマックスは、実は麺を食べ終わってからにある。銀色の紅茶ポットのような器になみなみとたゆたっているのは、この店の味付け前の濃厚なスープそのものである。背脂も浮き、実にコラーゲンタップリ感のあるスープだ。こいつを、つけ汁の残りに注ぎ足し、アツアツをフーフーしながら啜る。これが絶品!本当に旨いのだ。しばらく前に編集者の師匠を連れてきた時には、「そばより何よりこれが一番旨い」と言っていた。それは本当かもしれない。
さて、本日も同じように割りスープを楽しんでいたら、珍しく店主のおっちゃんが話しかけてきた。
「うちのつけ麺、悪くないでしょ?」
ああ、このおっちゃんが話しかけてきてくれたのは初めて。ていうか、客と話すのをみるの自体初めてである。うーむ、覚えられたか!ていうか、つけ麺、悪くないどころかスゴ旨っす!
「いや実はね、2月から、もっとパワーアップするから!」
なに?一体なんのこと??
「あのねぇ、製麺機を買うことにしたんだよ!自家製麺をやるよ!」
ええええええええ まじぃ????
なんと、晴弘が自家製麺だ。これは大ニュース!
そう、今まで実は、晴弘の唯一の弱点は麺だと思っていた。オーソドックスな醤油味の支那そばには、極細麺が使われている。この麺、旨いんだけど、やはりパンチが効かなさすぎ。なので、僕はいつもつけ麺にしている。
それが!なんと自家製麺になると!
つけ麺のリニューアルが最優先らしいのだが、当然他のラインナップも変わってくるだろう。なんと、この名店の誉れを獲得した今でも、研究開発に余念がないのだ、この店は!
支那そばやの鏡といえるだろう、、、
2004年2月を、晴弘ファンは、刮目して待て! いよいよ「晴弘」が、次なるフェーズへとステップを進めようとしている、、、
出張の部に続いては、首都圏の部だ。エントリ数は44件を数えた。ちなみに、このWebは日記とは名乗っているが、毎日のべつまくなしに書いているわけではない。ちゃんと自分の基準に達した店のみをピックアップしている。
その中でもテーマ的に心に残ったのは、下記のようなエントリ群だ。
・東京の旨い蕎麦
蕎麦については、首都圏外でも旨い蕎麦によく会った年だった。福島の会津若松の割烹の女将が打った蕎麦は、劇的に旨かった。また、北海道夕張の岩崎農場では、人生史上最高の蕎麦を食べてしまった。しかも粉挽きから始まって自分で打つというところまでだ。
・日本酒の旨い居酒屋対決
居酒屋にもよく行った。今年前半によく出没していた「五穀屋日本橋店」の店長が変わってしまってから足が遠のいてしまい、後半は森下の「山利喜」、そして本所吾妻橋の「わくい亭」といった名店に通っていた。どちらも、出てくる酒も旨いし、料理も最高という、隙の無い店だ。来年もまた通うことになるのだろうなぁ、、、
・ロメスパ名店めぐり 後半に掲載しちょっとブレイクしたのがこの路麺スパゲティシリーズだ。大手町の「リトル小岩井」、そして有楽町「じゃぽね」は、読者も足を運んでしまい、すっかりはまったという報告が寄せられている。何と言ってもその焼きソバ的スパの魅力と、レギュラー→ジャンボ→横綱→親方→理事長という段階的大盛りメニューに関心が集まったと言える。来年は、「親方」そして「理事長」に挑戦することになるのだろうな、、、
と、こんな感じで1年が過ぎていったわけだが、、、
この一年、僕が最も愛し、通った店が、門前仲町にある。お分かりだろう、築地周辺の名店を修行で渡り歩き、満を持して2002年秋に独立・開業し、1年かけてきっちりと定着した寿司の名店 「寿司処 匠」 だ。
おそらく今年、僕が最も通ったのはこの匠だ。それなりの投資だったが、、、思えば、一日で僕一人しか客が来なかったり、店を早めに閉めて歌いに行ったりと、店主の加藤ちゃんとの精神的交流は濃密だった。ようやく先ごろ「おとなの週末」に掲載され、それ以降は客足も安定し、スタッフを雇うことができるようになった。来年はさらなる飛躍の年となるだろう。今年、実は31日の大晦日に、スタッフ忘年会があるのだが、それに呼んでもらった。常連客代表として謹んで出席させてもらう。なんとスッポンまで捌くらしい。うーむ楽しみだ、、、
ということで、首都圏の部のグランプリは、文句なしにこの「寿司 匠」とさせていただきたい。
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ベスト・首都圏
門前仲町 「寿司処 匠」
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早いもんだ。もう師走である。あと数日で、新年が来る。
この「出張食い倒れ日記」も、エントリ数140を超えてしまった。一番最初のエントリが、「大阪心斎橋で、小粋な割烹に心酔した」 で、7月8 日付けとなっている。ということは約半年の運用ということだ。だいたい1日に一つのエントリをかけたと言うことか。途中までは身内的仲間が観てくれているひっそりblogだったが、ここのところ、全く僕が知らない来訪者の方が多くなっている。ありがたいことだ。読んでいただいたみなさまに心からありがとうといいたい。
反省としては、どうしても出張よりも首都圏記事のほうが多くなってしまうことだ。昔、メールマガジンとして勝手に食い倒れ日記を送っていたときは、大体1ヶ月の2回くらい、出張先で酔っ払いながら書いていた。それが、なんだか毎日書くことになると、いきおい自分の起居する近隣の出来事が多くなってしまうという次第だ。まあ、仕方がないだろう。
自分でも思ってみなかったことといえば、開拓心よりも店に惚れ込む傾向があるということだ。つまり、いい店を発見したら、それよりいい店を探すのではなく、好きになった店に入れ込むということだ。再三に渡る大阪出張に際しては、「インデアンカレー」を欠かすことは考えられなかった。まあ、インデアンを食べてから別の店にカレーを食べに行っていたりしたのだが、、、そう、この大阪「インデアン」vs「ピッコロカレー」の勝負は自分でも非常にのりまくっていた。そして首都圏では、いくつかの店に集中的に足を運んだ記録が残っていることがわかるだろう。そう、僕は割と浮気しない人間なのだ。
さて、こうした一年の計を残そう。このblogでは「出張」「首都圏」「食材」というカテゴリがある。そのそれぞれでのグランプリを決定していきたいと思う。もちろん、グランプリ選出の店は、右にある「食い倒れの殿堂」入りとする。
僕の仕事は出張が多い。地方の農業関連企業へのコンサルであったり、もっと多いのは講演依頼である。講演に行く際には、できるだけまだ見知らぬ土地を優先している(笑)。
今年出張に行った中で印象に残っているのは下記だ。
・岐阜県 郡上八幡と大垣
今年度最も足を運んだ地域だ。郡上には、鶏の内臓を味噌味で鉄板焼きする「けいちゃん焼き」という料理があり、実に旨い。しかもバカ安なのだ。それと、土産品としては「葉なんばん」が絶品というのも既出の通りだ。
そして大垣では、素晴らしき料亭「四鳥」が僕を迎えてくれた。
・大阪
大阪といえば、もう「カレー夏の陣」である。このblogの中で僕が一番印象強いのがこの辺の対決ものだ。インデアンカレーは、ガイドブックもみずに見つけた店であり、そういうのが本当に嬉しい。ほかにも大阪では旨いもんを一杯食ったのだが、やはり印象が強いのはインデアンカレーなんである。
・北海道 帯広
そして、後半にググっと衝撃的な質量作戦を展開したのが、この帯広編だ。総カロリー数は
計算できない。いや、したくない!とにかく豚丼を食いまくった。もちろん仕事もしたんだヨ!どこまでも続く長いも畑は、圧巻だった。北の大地の素晴らしさを思い知ったのであった。
さて、、、
出張の醍醐味は、単品ではなく、その土地を表す食と出会う喜びである。そう言う観点からこの中で選ぶとすれば、やはり「北海道 帯広の豚丼」となるだろう。カレーはもちろん旨いのだけども、豚丼は北海道それも帯広の文化のなかで育まれた色が濃くでている料理だからだ。「どっちの料理ショー」では、なんだか豪華なだけがとりえの海鮮丼に負けてしまったが、ささやかながらこのblogのベスト・出張先の栄冠をささげたい!中でも、僕の好みの豚丼である、帯広空港のレストラン「白樺」の豚丼をグランプリに推したい。
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ベスト・出張先
「北海道 帯広空港 2Fレストラン「白樺」の豚丼950円」
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石井食品に行った。「イシイのオベント君」のアレである。慶應義塾大学の国領二郎先生のご紹介で、社長さんと名刺交換をしたのだが、その後、情報交換ということでうかがう。
この会社、実に意識の高い会社だ。99年あたりから、全取扱商品に食品添加物の「無添加」を徹底している。部分的な無添加ではなく全商品にというのはものすごい。日本酒業界で、埼玉県の名酒造「神亀」が、醸造アルコール添加が当然だった酒造業界において、全仕込み量を「純米」に切り替えたときと同じようなインパクトだ。
加工食品は、その保存性や食味の観点から、添加物を使わないで作るなどという発想は、夢物語に終りがちだ。しかし石井食品は実行した。それは、バイタリティ溢れる石井社長の、良い意味でのトップダウンの発現と言えるだろう。敬服せざるを得ない。
ただし、うちの社内の子持ち女性・男性に聞いてみたところ、一様に言うのが、
「無添加はいいけど味がねぇ~。」
なぬ?味はよくないの? そういえばもう10年くらい、レトルトや冷食の商品を食べてないからなぁ、、、と、素晴らしいことに本日は石井食品の商品をお土産にいただいたので、味わってみたい。
■石井食品のおそうざい
今晩のハンバーグ 和風おろし
フリーズ亭 エビ塩 中華丼
丹波の黒豆
無漂白栗きんとん
黒豆とくりきんとんは絶品の一言だ。
黒豆は、工場のある丹波産を使用。豆はプロフェッショナルらしくふっくらと仕上がっている。皮の裂けもほとんどなく、美しい。煮汁の甘さも上品で、くどくない。煮豆が苦手な僕でも旨いと思う。
栗きんとんは、原材料の確保に奔走されたらしいが、実に秀逸だ。きんとん餡のネットリクリーミーな粘りと、とろけるような芋の甘味が素晴らしい。栗は韓国産だが、無漂白で丁寧に処理されており、香り高く口の中でほどけていく。
高級料亭のおせち料理との比較ではなく、本当の普及価格帯でここまでのグレードに仕上げているのは、ご立派としか言いようがない。
さて、定番のハンバーグはどうだろう、何年かぶりに食べてみた。
んんん このハンバーグのどこがまずいのだろう?旨いじゃんか。100%鶏肉だから、味わいが淡白ではあるが、妙な人工的風味もなく、優しくふんわりしていて、好ましい味だと思う。
無論、自分で合挽き肉で作るハンバーグが一番旨いとは思うが、この石井食品のハンバーグは、何と言っても湯煎で5分で出来てしまうのだぞ。嬉しいじゃないか、、、
そして、中華丼も食べてみた。
ご覧いただいてわかるとおり、非常にまっとうな概観。添加剤が使われていないということは、着色もされていないということだ。本当に、素直な色あい。なんだか「おうちで食べるご飯」そのものだ。味は非常に優しい。薄味の出汁で具材を煮ている。白菜、きくらげ、たけのこなどの具材は自然味があり、特にエビはぷりぷり感が強く上物である。普通、こういう商品に入っているエビは、申し訳程度にお飾りとして存在しているだけと言うのが多いが、ここのははっきりと「旨いエビ」と言える。うーむ。これはフリーズ亭という名前どおり冷凍モノなので、こうした自然な味と食感を出せるのだろう。僕には塩味が薄すぎるが、これは高齢者を想定してのもの名のだと思われ、非常に良い。唯一惜しいのが、野菜の味だな。これはいい素材を仕入れることができるかどうかにかかっている。
うーむ
石井食品、素晴らしいではないか!僕は応援するゾ!
それにしても黒豆の食いすぎで口が甘い、、、
ご存じの通り、米国で初めて、BSEを発症した牛が確認されようとしている。年末に来た、業界激震のビッグニュースだ。
このニュースでまた、消費者が安心・安全に対して意識を集中するのだろうか。その辺はウォッチしていかなければならないが、そろそろ多くの人が気づき出したのではないだろうか、
「安全な食べ物は安くはならない。」
ということを、、、
ということを、この食い倒れ日記に書くのはモード違いなので、兄弟blog「俺と畑とインターネット」に書いておきましたので、愚痴とおもって観て下さいな。
http://www.yamaken.org/mt/oreto/
本当に、新聞紙上でみる以上にインパクトのある事件なんですよ。このBSE騒動。どうなることやら、、、
親友の金子重人が、ついにメジャーデビューを果たした。 そう、、、金子重人とは、この出張食い倒れ日記の←こちらがわに出ている僕の似顔絵キャラクタを書いてくれた「GC Factry.」その人なのである。いずれデビューすること間違いないと思っていたので、先手を打って破格の値段で書いてもらったのである。ふふふ、、、
で、どういうことかというと、先ごろ週刊少年ジャンプが主催した「デジタル漫画大賞」に入選し、とうとう連載漫画をネット上で発表する運びとなったのだ。
http://jump.shueisha.co.jp/henshu/JDM/index.html
このページを開くと出てくる3つの物語のうち、一番右にある「トラベル&トラブル」が彼の作品だ。まあとりあえずは、紙面ではなくネット上でどのような物語が出来うるのか、遊んでみて欲しい。新しい地平が、そこにはある。
金子は、「○長の野望」などで有名なゲームソフトメーカーに就職後、実績を残しつついきなり退職し、
「世界一周してくるよ~」
と日本を飛び出し、1年以上をかけて世界を回った人間だ。その足跡は、彼のWebに順次アップロードされているが、これを漫画化した日記がまた面白い。ま、いずれこれらも作品化されて、日の目を観るだろう。こうなってしかるべき人が、また世に出ようとしている、ということだ。
彼が世界一周に出ると言ったとき、まだ僕は彼の意思を理解できなかったことを告白しよう。でも、今はよくわかる。彼は、偉大な先達だ。運命を切り開くのは、意思と勇気だ。
金子、おめでとう! 地のはてまで応援するぞ!
先日、ひっそりとCDデビューを果たした「ペーソス」というデュオをご存じだろうか、、、
っていっても、絶対に知ってる人なんていないのダ!
週間プレイボーイの編集に長らく携わり、業界では超大物編集者・ライターである島本さんという方が、岩田さんというギター好きの相棒と冗談で創作演歌を作っていて、よく歌っていたそうだ。それを聴いたかの写真家アラーキーが、
「5曲できたら、CD出してやるゾ」
と冗談でいったら、その週末に
「できました!」
と言って持ってきてしまい、発売することになってしまったという恐ろしい顛末のCDである。
■ペーソス
「甘えたい」(クエスト)
作詞・唄 島本慶
作曲・編曲 岩田次男
写真・題字/荒木経惟
このアルバムが実に最高! 不惑の中年にしか書けない歌詞のオンパレードなのだ。しかも歌もギターもヘタウマの極地。
「今度生まれてくる時は
できれば女に生まれたい
女に生まれてTバック
履いてブイブイ言わせたい」
「キオスクの おばちゃんに
メガネを褒められた
それだけで 今日一日 生きていけそうだ」
「血糖値が高いから
中性脂肪が重いから
前立腺が腫れてます
とにかく歩けと言われてる」
こんな歌詞が、ムード歌謡や演歌の調べに乗り、切々と歌われるのだ。もう、たまらんのである。ライターのイタバシ師匠の車の中でこれを聴かせて貰った時、一発で気に入り、CDを購入したわけである。そのペーソスがライブをする!しかも日本酒居酒屋「善知鳥」でのシークレットライブである。ま、シークレット以外にはありえないわな。
ちなみに善知鳥(うとう)は、渡り鳥の名前。カウンター10席程度にテーブル2つの小さな店で、よい日本酒を出している店。日本酒ライターの神澤さんご推薦の店だ。
あ、ちなみに以前紹介した神澤さんの著書はかなり色んな書店でみかけるベストセラーだ。
で、青森出身の店主さんが選ぶ酒肴は、めふん(鮭の腎臓)や「ばくらい」(ホヤの塩から)などの渋いものから、特製のナスカレーやシジミラーメンなど、心憎いラインナップだ。特に、ここのカレーは実に旨いので、ぜひ食べて欲しい。
濃厚な旨味を湛えた「めふん」を肴に「鶴の友」本醸造、そして「鷹勇」へと進む。めふんはそれほど癖が強くなく、血合いの香りもほのかにする、実に蠱惑的な味の酒肴である。
と、微酔い気分になってきた頃合いにちょうど、ライブが始まる。 わぁ ホンモノだ。 そして、大爆笑と共感の時間がやってきた。
同行のメンバーもみな、面白いだけではなく佳い、と感じてくれている。そう、この歌、人生経験が深くないと絶対に書けない内容なのだ。
店が狭いので、当然ながらPAも何もなし、言ってみればこれが本当の「流し」だ。ギター一本伴奏に、哀切入り交じりながら中年の歌声が、座敷の渋茶色の柱に浸みていく。
ライブ終了後、記念撮影。島本さんも、このCDの歌をすでに覚えて、歌っているファンがいるとは思っていなかっただろう。
この後しばらく阿佐ヶ谷ブラブラ。変な店がいっぱいあるが、そそられたのが「和メリカン」「サルサ味噌鍋」などの、絶妙にスカした看板類がならぶ路地裏店だ。そういう店を冷やかしながら、思い切り幸せな気分を味わっていたのだった。
やったぜ! ここのところしばらく、Googleで「やまけん」を検索すると、1番上には、芸能人かなんかの「やまけん」という人が来て、2番目に僕のこのサイトが並んでいたのだが、今週は僕が奪還した!
一番上に来るというのは、何にしても嬉しいことなのである、、、
牛タンといえば、ミーハーだけど「太助」が好きです。
高校を卒業し、自転車で東北の民俗芸能を観る旅をした時、仙台の繁華街で食べた「太助」の牛タンは、忘れ得ぬものとなった。以来、畜産関連の出張などで宮城を通る際には、途中下車してでも食べに行っている。
この太助、都内にもいくつか支店を出していることはご存じだろう。僕の会社の近くでは日本橋にあるが、本日、水道橋にもあることを発見。腹が減っていたので、牛タン2人前と麦飯大盛、テールスープを喰らう。
太助の牛タンは、その辺で売っている牛タンを買って再現できるものではない。前にも書いたが、大型動物の肉は、捌きたてでは食感がブリブリしているだけで、味は決して美味しくない。低温で置いておくと、肉が分解する過程でアミノ酸の旨味を産み出し、柔らかく薫り高くなっていくのだ。だから旨い焼き肉屋とは、自分の冷蔵庫を持って、肉を自家熟成させているところを言うのだ。
太助では、丸のタンをごくごく厚めにカットし、かみ切りやすいように表面に3本ほどの筋を入れ、調味液に浸して、それを円柱形にぺたぺたと固めて「肉の柱」を作る。それにラップをかけて熟成し、味が乗り柔らかく薫り高くなったところで炭火で焼いていくのである。普通の牛タンをあの厚さにカットしてそのまま食べると、まず噛み切れないことは間違いない(実は大学時代に実験済みなのだ)。そして熟成だけでなく、あの味付け調味液にも秘密があるはずだが、これは全く組成がわからん。
そして!実は牛タンもさることながらこれが一番のキーポイント!というのが、キャベツの浅漬けと一緒に数本盛られてくる、青唐辛子のみそ漬けだ。タンにこいつを巻いてかぶりつく。タンの旨味と塩味、そして味噌の香りと、唐辛子の辛みが合わさり、目眩がするほどに旨いのだ。鼻孔に流れる味噌の香りが食欲を倍加させる。僕はいつも「唐辛子漬け多めにね!」と頼む。
この牛タンを、とにかくガツガツとたべる。これは絶対に上品に食べてはいけないものなのだ!そうすれば、元気が出てくる。そう、本日はある落ちこんだコの激励をしていたのだが、そのコも牛タンを食べているうちにみるみる元気になってきた。
「あ、お腹空いてただけだったんダ!」
とのたまったそのコは、元気を回復した。
その後、大仁田プロレスを後楽園ホールにて観覧。ちょうど入ったその時に、メインイベントが始まった。ショボイだろうと思っていたが、全くそんなことはなかった。後楽園は大入り満員、立ち見が居た。若い女性も多い。大仁田が場外でパイルドライバーを決めるたびに会場が大きくうねる。試合が決した後も、「ワイルド・ボーイズ」のテーマにのせて大仁田が、
「おいおめーら、プロレスは、プロレスは、プロレスは、美しい! 俺たちは、俺たちは、俺たちは、同士だ!」
と絶叫すると、会場にすさまじいエネルギーが竜巻のようにうねっていった。
牛タンとプロレスは、元気回復薬だ。
そして牛タンは、やはりメジャー路線だけども、「太助」に限るのだ。
昼から、大ご馳走をいただいてしまった。
いつもお世話になっている石井先生から、ほんのお手伝いだけしかしていないのに、ご馳走に預かる。場所は、東京・丸ビルの中華「筑紫樓」だ。来たことがなかったか、フカヒレと北京ダックが有名な店だとのこと。ランチタイムでもう席は一杯。しかもOLが並んでいる所をみると、お得度が高いのだろう。間違いなさそうだ。
当然ながら個室、、、石井先生はにこやかに「この店の味はねえ、君向きだよ!」とおっしゃる。果たして官能の昼餉(ひるげ)が繰り広げられたのであった。
■前菜盛り合わせ
大豆の煮物
チャーシュー
ワカサギの中華マリネ
鶏・トマト・キュウリの酢の物
クラゲ
実に完成度の高い前菜。小振りな高級クラゲの淡い味とカリッとした歯ごたえが堪らなかった。焼き物が旨い店らしく、チャーシューも肉汁が閉じこもっていて旨い。しかし、この前菜の中でひときわ僕が工夫を感じたのは豆の煮物だ。大豆を煮豆にしており、甘いものがあまりすきでない僕は一瞬「むむ」と思ったのだが、食べてみると全く甘くない。五香粉と八角と醤油の香りがするが、他にもまだあるはず。
給仕さんに訊いてみると、中国人のフロア責任者がにこやかに来てくれて「クローブ(丁字)も使っています。」とのこと。たかだか煮豆といわれそうな料理に丁寧に手を入れており、恐れ入る。
■スープ 鶏の上湯と海老ワンタン
このスープにワンタンは不要だったかも知れない。非常に上質な鶏の旨味タップリの上湯。ワンタンは豚挽き肉と海老だが、豚の香りが上湯の上品さを消してしまう。でも旨かった。
■魚 モンゴウイカ、ズッキーニ、ヤングコーンのクリーム炒め
生クリームというよりエバミルクで炒めたイカは、念入りな下処理がされているらしく、ポニョポニョクニュリンとした絶妙な食感。優しいミルクの香りが解け合って至極美味。
そしてクライマックスその1がやってきた。
■フカヒレの姿煮
問答無用だ。姿煮が、中ぶりのもの2枚入っている。フカヒレ自体には食感はあっても味がないので、決め手はフカヒレを煮るソースの旨さだ。一口すすって、やばいと思った。やまけん好みの旨味濃目過多の芳醇ソースだ!これだけで飯がどんぶり2杯はイケル。
フカヒレも勿論、レンゲで救うだけでちぎれるホロホロの柔らかさ。
「もやしを混ぜて下さいネ。」
と置かれたもやしは、丁寧にヒゲ根を取り除いたもの。これを混ぜ込むとシャキシャキ感がプラスされてなお美味。うーむ
そして第2のクライマックスが来たのだ。
■北京ダック
、、、何も言うことはない。甜麺醤(てんめんじゃん)や海鮮醤(はいせんじゃん)をベースにした甘味噌が、ダックの絶妙な皮と肉のぱりぱりに合わさり、それがフンワリとした純白の饅頭(マントウ)に包まれて供される。ネギが香りをプラスし、キュウリが清涼感をそよぎ、口の中の幸福一杯が止まらない。ああ、この北京ダックを10個食いたい、、、
■チャーハン
クライマックス2品の余韻に浸る中、運ばれてきたチャーハン。タイミングからすると、前の2品の後だけに分は悪い。しかし、全く手抜きがない。絶妙に焦がした長ネギのみじん切りとXO醤の旨味をベースに、蟹・海老・卵を炒めている。貝柱の旨味が油に乗り、それを米粒が吸い、油と熱でコーティングされる。旨い!
■デザート 杏仁豆腐
疾風怒濤のコース、〆のデザートがいまいちすきでない僕だが、ここのプリンタイプの杏仁豆腐は非常に美味しくいただいた。
いや~ 丸ビルのような流行のスポットには出入りしないので知らなかったが、楽しめるなぁ。実に素晴らしい中華だった。いずれ自腹で、ここの名物らしい「フカヒレそば」を食べに来よう。石井先生、本当にごちそうさまでした!
いい店、というには、味や雰囲気、価格といった構成要素が安定していることも重要だ。客人が来た時に連れて行って絶対に外さない店は数軒キープしているが、わくい亭は客人より自分で率先していきたい店だ。まっとうな仕事をしている、正当派の居酒屋なのだ。
で、羽子板市を後に、わくい亭に向かったのだった。8時前に入ったが、満杯。カウンターを少しずつ詰めてもらい、なんとか座る。女将に熟成かぼすをお土産に渡しながら「メンチある?」と訊くと、「あるある。」よかった、、、
本日のメニューはいつもの煌めきはなぜかみえなかったものの、定番系のつまみが豊富で、質が高かった。
■イカの塩辛
これが絶品なのだ。自家製の、あま塩で本当に一夜漬け的なあっさり塩辛。しかし、ワタの部分にゴマペーストか何かが練りこまれており、実にクリーミー。日本酒が加速するのだ。
■寒ブリの刺身と〆鯖
〆鯖が美味い店は例外なくいい店だ。このわくい亭も、柑橘系を混ぜた酢でやわらかく〆めているらしく、ふんわりとした酸味がうっすらと薫るだけで、殆ど生に近い食感。勿論臭みなど一片もなく、とろけるような脂の乗りである。
この妖艶な切り口を見よ!↓
■あんこうの煮こごり
本日の出色はこれだ。あんこうの実を敷いた煮こごりは、口に入れると瞬時に溶け、強いが淡い旨味がジワッと舌に浸みる。思わず日本酒「千代の光」本醸造で口を緩めた。
■ワイン(赤) ミッシェル・リンチ
ここは実はワインも佳いものがある。今日はミッシェル・リンチ。相方が是非というので所望。これが大当たりだった。「ヨソじゃ1万円はとるよ!」というその値段は5000円。味は最高だった。デキャントしない、まだ粗いうちの尖った渋味が、特大メンチカツとがっちり四つ相撲をとる旨さだったのだ。
■ネギ玉
いい店はいいオムレツを出すものだ。ネギ玉は、長ネギ小口切りがたっぷり入ったオムレツ。バターたっぷりのオーソドックススタイルながら、滋味万点、トロリと中は半熟の心憎い火加減だ。
■じゃこご飯
7皿くらい平らげて、客も僕らともう一組だけになり、そろそろと思ったら、女将がご飯釜の前にいる。
「あ、飯たべた~い。」
とおねだりすると、
「ほい、じゃこご飯。」
と言って、ちいさな茶碗によそってくれる。これが最高に旨かった!じゃこと醤油のシンプルな炊き込みご飯(混ぜご飯か?)だが、酒の〆に格別の味だった。
いつ行っても裏切りがない店というのはいいものだ。こういう店をあと50軒くらい、心のリストに載せておきたいところなのだが、、、
ああ、、、久しぶりに素晴らしい音楽に打ちのめされた。
高校時代からパット・メセニーのファンなのだ。本日は、ブルーノートでのライブの最終日。クリスチャン・マクブライド(b)とアントニオ・サンチェス(ds)とのトリオだ。親友の高橋パヤと一緒に観る。トリオでのアルバムがそれほど好きでないせいかあまり期待していなかったのだが、とんでもなかった。
友人に手伝って貰い、午後1時前から入場整理券の列に並ぶ。41番目に入る権利を獲得し、入ってみるとマクブライドの目の前。パットの手元も表情も、そしてサンチェスのドラムの生音も聞こえる、ベストな位置だった。2時間弱の演奏、感動の連続であった。
これが本日最大の、大ご馳走であった。今年はもうこれで打ち止めにしてもいい。パヤと、そう言いながら、終電の地下鉄駅に向かった。いい一日だった。
「羽子板市をみないで文化を語ってはいけない」という友人に連れられ、浅草寺へ。
羽子板というものが、専門の市が立つようなものだとは思っていなかったので新鮮。一通り観ると、店ごとに羽子板の盤面のデザイン、歌舞伎役者や舞妓の描き方が微妙に違うのがわかって面白い。
でも、僕の関心はそっちよりも、寺の裏手に出ているテキ屋街だ。お好み焼き、焼き鳥、煮込み、カルメラ焼きなどの屋台が並んでいる。ここのモツ煮込みが、なかなかいい具合にマズイと友人が言う。それはかなりソソル。テントの中で寒がりながら、マズイ煮込みで一杯やるというのは、いい構図ではないか。
一通り観て回る中に、カルメラ焼きの屋台があった。うらぶれた感じの、ハンチング帽をかぶったじいさんが絶妙な手つきで焼いている。砂糖をお玉に入れ、コンロの火でグラグラと煮立てる。それも、結構な強火で、はらはらするくらいの時間、煮立てつづけている。そしてこちらのはらはらが限界にきそうなところでお玉を火からはずし、重曹を少し入れ、かき回す。その間、濡れ布巾にお玉の底をあてたりして温度調節に余念がない。重曹をいれて少しすると、シュワワっと泡のテクスチャが変化してくる。だんだんと色が白っぽくなり、固形を目指しだすのだ。みるみるまに盛り上がり、楕円のボール型に。お見事だ!これは伝統芸能といっていい業だと思う。
ということで買う。2つで200円。アツアツのを食べると、砂糖の甘味とホロホロの崩れ感がたまらない。でも、甘いので半分でギブアップだ。
さて寒いのでモツ煮込みに向かう。やきそば、煮込み、おでんなどの集合屋台に入る。冷やしラムネを頼み、モツ煮込みと焼きそば。煮込みは500円で、内容物が多い。モツのシロが多量に入ってきた。味噌仕立ての煮込み汁だが、、、 本当にまずい!なにがまずいかといえば、汁に旨味がほとんどないのだ。味噌と醤油といくばくかの酒で、モツを煮たというくらいのものだ。なおかつ、モツはところどころに、まだ煮えきってなさそうなのがある。毎日足しながら煮ているからだろう。
しかし、美味しい。まずいとおいしいの線引きは難しいのだが、このモツ煮は、料理としてはマズイのだけど、食事としては美味しいのである。これは重要なことだ。焼きそばも、中太麺にキャベツ、紅しょうがをソースで味付けした代物だが、これも不味くて美味しい。いや、けっこうこの焼きそばは食えた。
この屋台には、焼きそばの鉄板や煮込みの鍋前にいる若い衆と、客から注文をとって指図するおっちゃんで構成されている。ここのおっちゃんはあまりうらぶれたところのない、かれているけど活発なエネルギーを発散している。それをぼんやり観ながら、さっきのカルメラの屋台のおっちゃんを思い出した。あのハンチング帽、そしてずっと歓声を上げながらみていた我々に対して、最後まで愛想の一つも飛ばさなかったあのおっちゃんは、やはりテキ屋界の裏街道というか、最後の場末にたどり着いているのだろうか。だとすると、テキ屋界でのキャリア組という連中はどこにいるのかな、、、
マズイ煮込みを食べ終わり、ブラブラと流しながら、浅草の1駅むこうの本所吾妻橋「わくい亭」へと向かいながら、まだ同じことを考えつづけていた。
寿司匠の冬ネタを接写した。
まずはずせないのが富山の寒ブリだ。今の時期、大間のマグロの大トロより旨いかもしれない。このきめの細かい、ピンクの艶やかな身は、本当に色っぽい。
そして、秋頃から出てきていたが、牡蠣の昆布〆。写真で出すのは初めてだな。冬に入ってますます味が乗っている。
あと、釣りアジが相変わらず旨い。釣りアジとは読んで字のごとく、網ではなく竿で釣るアジだ。兵庫県淡路島沖。網で獲ると、アジ同士で身がぶつかり合い崩れてしまう。釣ったアジの食感は、
「いままで食ってたアジってなんだったんだ、、、」
と呆然とするものである。ビロードの絨毯のような滑らかさなのだ。
そして、夏の間がまんしていた真鯖が、いよいよ本番シーズンを迎えた。〆鯖は、最後のストッパーに最高である。脂ののり、高貴な香りともに素晴らしい。
ちなみにこの画像だけシャリとネタのバランスが美しくないが、これは僕用のシャリの大きさ「やまけんサイズ」だからだ。いつも僕のはシャリ大なのだ。けど、寿司としてのバランスは悪いので、初心者にはお薦めできないので、、、
今年末は匠の忘年会に呼ばれている。料理人たちが自分達のためにやる忘年会、、、アンコウとスッポンは今のところ判明したラインナップだ。何があろうと、これだけははずせないのだ、、、
この写真のスケール感を感じて欲しい。真中にある小さく見える大根が、通常サイズの大根である。
つまり、この画像には巨大大根と巨大人参が写っているわけなのだ。片手で持ち上げるのがかなり厳しい重さ(おそらく10Kg以上はある)だ。
根菜類は、肥料養分があって順調に育てば、かなり底なしにでかくなることはなる。本物の三浦大根は、通常の出荷箱に入りきらないほど大きくなったりする。しかし、これは普通の青首系の大根で、ここまで大きいのはあまりみない。
これ、千葉の産地から洒落で送られてきたものなんだが、だれも持ち帰る者が居ない。そりゃそうだ電車で持ち帰ると周囲の視線が痛そうだ。ということで、適当に切って持ってかえって、煮大根を仕込んでみることにした。
皮を剥いて輪切りにしながら、思わず笑ってしまった。
だって、大きすぎて一つの鍋に一片しか入らないのだ!
いっておくがミニサイズの鍋ではないぞ。業務用の23センチ・28センチ鍋だ。昆布と醤油三種類(関東の醤油、鹿児島の「ははゆずり」、そして愛知県の3年寝かせたタマリ醤油)だけで煮る。醤油には旨味成分がタップリ含まれているので、大根を煮る時はこれだけでよい。1時間ほど煮て、一晩冷やして煮汁を含ませると、旨そうなベッコウ色に煮上がった。しかし、鍋は大根のみで一杯だ。
皿に盛ると、いつもテイスティングに使う皿が、大根だけで一杯である。
しかし意外や意外。
食感スカスカかと思いきや、かなり美味しい大根に仕上がっている。
青首系は、大きくしても味がくずれないものなのだな。勉強になった。ま、とても技術のある生産者のところの大根なんだけどね。
と、ベトコンの笑いの後には、巨大ネタを提供してみました。
これから年末にかけて、八百屋やスーパーでは大根・ニンジン・小松菜が最も売れる時期となる。冬は、身体を暖める野菜が旬を迎える。前述の3種はその最たるものだ。ゴボウも含めて根菜と青菜で、コンディションを整えよう。
追伸:
煮物、あまりに巨大すぎてまだ食べ終わりません、、、2日経過。
銀座というと、表向きはおとなの店、お値段もチョット高めで、庶民風ではないというイメージが濃い。けど、ほんとはそんなことはない。ちょっと歩いて裏通りに行けば、すぐに庶民的な店が並ぶ。例えば和光から100m東銀座方面に歩いた地下道にシネパトスという地下映画館(というとまさにアングラっぽいな)があるが、その脇に並ぶ店は面白い。大人のおもちゃ屋さんの隣の隣に安い寿司屋があって、きちんと握ってくれたりする。そういう店が面白いのだ。
さて本日は同僚を連れて仕事のあと、遠回りをして、例のロメスパの名店「ジャポネ」へ。僕は明太子ジャンボ、彼はジャリコのレギュラーを食べる。この同僚は面白いヤツなのだが、食べながらマジで感動していた。
「男が必要とする焼きスパの全てがここにありますよ!」
そうだろそうだろ。
ちなみにこれが明太子ジャンボだ。
そして意味ないけどアップ。
蒲田(もっと大盛→大森の先という意味)
↑
大森(大盛)
↑
大井(多い)
という序列になっている。昔は上にもう一つ「川崎」というのがあった。これは蒲田のはるか先、ということで、超大盛の意味だ。しかしこれは、「口害のため、自粛します」という理由で無くなってしまった。 ニューキャッスルの盛りは、実は大森が普通盛りに相当するので、僕には川崎がちょうどよかった。残念だ。
ちなみにこれが外にあるメニュー看板だ。この脱力系のコメントに注目。
「くせにしちゃってごめん」と、「手作りカレー」の「ー」の意味のない長さが、たとえようもなくよいのである。
久しぶりにはいって、「大森」と一声かけると、名物のオヤジが
「足りないだろ。蒲田にしときなよ。」
と言う。人の顔を見る人だ、、、でも、俺がこの前に大盛りスパゲッティ食べてきたとは思わないんだろうなぁ、、、ということで、「蒲田」を頼んでしまった。
ちなみにこれが大森と蒲田だ↓
■大森
■蒲田
久しぶりの辛来飯は実に旨かった。ドライカレーのネットリしたルーだけを切り出したような、粘質の舌触り、そこに野菜・バナナなどのざらざらしたテクスチャーが残っていて、いかにも濃い味だ。このカレーを、どこかの掲示板で「ぼそぼそしていて美味しくない」という人がいたが、そうかなぁ。僕は好きなのだ。
こうして銀座裏通りの密かな名店をはしごしてしまった。かなり腹の中が脂ぎった感じであり、消費せねばと焦るのであった。
もし岐阜県の郡上八幡にいくことがあるならば、お土産は「葉なんばん」で決まりだ。葉なんばんとは、郡上名産の唐辛子の実と葉を佃煮にしたものだ。当然ビリッと辛いものだが、甘辛という感じで、こいつがあると、ご飯が進みすぎて大変なことになってしまうのだ。
葉なんばんを売っているところもいくつかあるが、本家といわれているのが、街中にひっそりと店を出している「大國」という店だ。
■大國(おおくに) (05756)5-2366
http://www.net-club.co.jp/ookuni/
葉なんばん 1瓶 650円
この店の葉なんばんは、おばあちゃんとおじいちゃん夫婦が手作りしているものだ。しかもそのおばあちゃんが店番しているので、ついつい買ってしまうのだ。辛さも5段階くらいあるが、一番辛い「劇辛」にしても、僕にはちょうどよいくらいだ。これを納豆に混ぜて食べると、実に滋味深く美味しいのである。
この方がおばあちゃんである。可愛らしいおばあなのダ。
また、葉なんばん以外にも、仕入販売している商品がいくつかある。本日、うるかが売っていることに気づいた。うるかとは、鮎のハラワタの塩辛で、酒呑みにはこたえられない肴だ。そう、郡上といえば清流・長良川。ここで育った鮎のハラワタのウルカといえば、垂涎の的である。2瓶買い求める。
この辺では季節なのだろう、栃(トチ)の実を剥いたものも売っている。トチもちにするのだろう。
自然薯も売っている。画像では見えないだろうが、「絶対に、なぶらないでください」と書いてある。これはおそらく「さわらないでください」ということなんだろうなぁ。
こんなものを観ているだけで、なんだか幸せになるのが、郡上八幡なのだ。つまらない観光コースはどうでもいいので、この大國は絶対にはずさず、葉なんばんを買いに来ることを進める。そうそう、どうしても食べてみたい人は、上記のWebからFAXオーダーも可能だ。しかし、おばあちゃんに会って買わないと味が出ない気がするんだよなぁ、、、
今年はみかんが旨いはずの年だった。みかん(温州みかん)は不思議な性質をもっていて、日本中のみかんの樹が揃って、1年ごとに美味しい年と不味い年を交互に繰り返すのだ。これを「隔年結果」と言う。一般の方はご存知ないだろうが、みかん業界では常識である。
で、今年は本来はあたり年のはずなのだが、夏の低温期のダメージが後を引き、イマイチだと言われている。たしかに店頭で買うみかんは、優等生的で旨くない。僕のところにも、「美味しいみかん、教えてよ」という声が寄せられた。
ということで、僕の知っている産地数ヶ所のを食べ比べてみた。正直、今年はやはり例年よりは品質が落ちる。ただ、それをさっ引いて考えた上で、僕の好みに合うところのものを紹介しよう。
■愛媛県西宇和農業協同組合 八協共撰
・特選みかん 3kg箱入り
「共撰」というのは、共同選果場の略。みかん産地ではこの共撰単位で物事が決まっていくという、農協の最小クラスターと言っていい共同体だ。愛媛県の早生みかん最大の産地である西宇和の管内にも11もの共撰場がある。その内訳は下記の西宇和農協Webでみられる。
http://www.rakuten.co.jp/ja-nishiuwa/
この中で、市場で高値で取引されるブランドは、「日の丸」や「川上」だ。ミミにしたことのある人も多いだろう。けど、旨い共撰は他にもある。
僕がしばらく前に、愛媛の産地で販売に関わらせて頂いた年には、それはもう嫌と言うほど様々な産地の様々なみかんをたべた。その中でもベストと思ったのは、「八協共撰」というところのみかんだ。この八協、地元では「八協のみかんが欲しいなんて、珍しいねぇ」と言われる、どちらかというと小さな共撰さんだ。しかし、ここの生産者の中でも優秀な人たちのほ場を下見し、糖度が13度以上確定している農家さんのみのものを選果している。
愛媛では、地面を覆う被覆シートの導入が進んでいる。これを使うことにより、水分を切ることができるので、味が凝縮される。そして、太陽光が反射してみかんに当たり、旨くなるという算段だ。八協でも導入が進んでいるはず。
八協の関係者には僕の名前が割れているかも知れないと思って、会社の名前とかはださずに連絡していたのだが、ばれてしまった。そう、僕は以前にも楽天のフルーツ食べ比べの企画で、西宇和を採り上げたことがあるのだ。その御礼を言われてしまった、、、
届いた八協みかんは、小玉のSS~Mサイズだ。これはポイントなのだが、小玉のみかんの方が断然味が乗って旨い。スーパーでは何故か無難な大きさのMM~Lが売られることが多いのだが、SやSSサイズのものがあったら、そちらの方が旨いと思った方がよい。
果たして八協みかんは甘かった!甘いだけではなく、深いコクがある。同時に凝縮された酸がたち、甘みがいっそう際だつ。ただ、昨年にくらべるとややビビッド感が弱い。それは気候の性で仕方がないのだが、、、今年のみかん戦線の中では、贈答に使える美味しいみかんだと思う。
ちなみに、このみかんはWebショップなどでは買えない。
西宇和農業協同組合 特産センター
(TEL) 0120-478186
に電話をし、「八協の青箱3Kgのみかんが欲しい」と言ってみて欲しい。
ちなみに3Kg で2500円程度だと思う(思う、というのは、僕にはちょっと安く売ってくれたと思うから)。 市価から比べるとかなり高めだ。でも、僕なら水っぽいみかんを10玉食べるより、こちらの1玉を選ぶ。いうまでもないが、ここで宣伝したところで、僕には一銭もはいってこないよ!
という、ジャスト・アン・インフォメーションでした。
夜も眠れないほどに気になっていたのだ。
岐阜県の郡上八幡といえば、自然に囲まれた風光明媚な観光地だ。といっても、繁華街はつつましいもので、自然環境もきっちり残っており、美しい街だ。そのメインストリートから校則のインターチェンジに行く途中の街道に、あまり美しくない看板で「ベトコンラーメン」という店がある。ここに出張に来るたびに、車窓からその看板を眺め、気になっていたのだ。足を運ばなかった訳ではない。いつも「食べてみよっか」と寄ってみるのだ。しかし、、、なぜか僕ら一行が足を運ぶと、必ず店が閉まっているのだ。定休日の時もあれば、5時まで休みになっていたりと、地団駄を踏むこと多数であった。
いったい、「ベトコンラーメン」とはいかなる物体なのだろう? 謎は深まるばかりだった。
そして遂に、その謎を解き明かす時が来たのだ!本日は定休日でもなく、すんなりと入ることが出来たのだ。ベトコンというくらいだから、攻撃的な、中途半端エスニック風な店内を予想していたのだが、以外にこざっぱりした、普通の店だ。
「いらっしゃーい」
夫婦らしいおじさんおばさん、そしてホールのおばちゃんが3人で切り盛りしている。店主らしいおじさんはバンダナを締めて黙々と鍋を振っている。カウンターに座ると、目の前にスナップ写真が。
なんと、ベトコンラーメンの店主夫妻と、えーとなんていったっけ、俳優の記念写真だ!
よく壁をみると、芸能人らしい人たちのサインや写真がけっこう貼られている。そういう店だったのか、、、ますます謎は深まるばかりである。
メニューはこんな感じだ。新調したデジカメのおかげで、テキスト打ちしなくても良くなったのは快適至極だ。
初めて頼むのをどれにするか、、、こういうときは一番オーソドックスなメニューにするのが基本だが、このメニューの場合、「郡上ラーメン」がいいのか、それとも看板である「ベトコンラーメン」がいいのか、ようわからん。それに、「新・郡上ラーメン」なんていう、まったく想像できない不親切なメニュー体系になっている。なんだこりゃぁ? 悩んだ挙げ句、「ベトコンラーメン」と、奥美濃古地鶏の唐揚げを頼んだ。
オヤジが振る鍋をのぞき込むと、肉・ニラ・もやしなどがスープと共に囂々と沸いている。愛知県によくある、台湾ラーメン系の作り方だ。スープを具材と共に中華鍋で煮立てて麺に合わせるスタイルだ。程なくあがったベトコンラーメンはこんな感じだ。
なんか、街の片隅にある寂れた中華料理店で出てくる「スタミナラーメン」という風情のラーメンだ。一同、予想と違ったので考え込みながら黙々と食べる。味は見た目ほど濃すぎず、少し塩が強いという範囲だ。もやしとニラはベトナム料理にも使われている食材だし、麺をすすっていると、ニンニクの素揚げが5片くらい出てくる。そうか、ベトナム戦争を戦いきったベトコンのパワーをニンニクで表現しているのか、と独り合点する。
唐揚げも食って、満腹だ。後ろの壁に貼っている紙をみると、本日食べなかった郡上ラーメンのスープには、「長良川の鮎、飛騨ケントン(豚)、奥美濃古地鶏」が使われているという。そうか、お国の素材で作ったから、郡上ラーメンなのね。それと、ベトコンか、、、
そう納得して、勘定をして外に出た。まあ、まずまずの味だったかな、、、と思って振り返ると、同行のI氏が、僕らより遅れて店から出てきた。満面の笑みを浮かべながら、
「君たち人生経験が浅いねぇ~ わからないことは訊かなくちゃ!」
と言う。そう、なんと彼は、「ベトコンラーメン」の由来を、おばちゃんに聞いてきたというのだ。そして、本日最高の衝撃が僕らを襲うのだった。
「あのね、ベトコンってのはね、『ベスト・コンディション』の略なんだってさ!」
えええええええええええ~~~~~~~~~~!
それなら「ベスコン」とかにしろよ!紛らわしい!!!
しかし、一つの謎が解け、歯ぐきの裏に刺さっていた魚の骨がスカッととれたような、そんな爽快な気分を味わったのであった、、、
実を言うと、僕も知らなかったのだ。
カボスといえば、鮮やかな緑色で、ちょっと強めの酸味と香りがパッと立つ果実を想像されるだろう。しかし、実はあれはまだ未成熟果。強い酸を前面にだすためにはあの堅さ・熟度で出荷し流通されるが、樹においておけば、熟成が進んで真っ黄色になるのだ。
ここまで熟成が進むと、果汁はとてもまろやかで、尖った酸味は感じられない。円く、ふくよかで腰の入った香りがする。これがカボスか、と目から鱗が落ちた思いだ。
このカボスは大分県臼杵(うすき)市の産。ひょんなことから知己を得た後藤さんが送ってくれたものだ。彼女は地元では有名な製薬会社の経営をしている。色んな関係から、このカボスのような、本当に身体によい食材をビジネスに載せていくことが、日本社会に必要なのではないかと真剣に考えているのだ。まろやかな酸味は、全ての料理を引き立てる。塩分や糖を制限されている人の食卓でも、カボスの絞り汁は使うことが出来る。もちろん酸味は立派に塩の代替委になるのだ。
こういうスタンス、僕は大賛成である。アメリカのファイブ・ア・デイ運動(一日5品のやさいを食べようという健康運動で、それなりに成功を収めている)に例を引くまでもないが、国家が国民の健康を向上しなければ、国が破綻するという危機がいずれ訪れるはずだ。事実、アメリカの成人病患者がこのまま増え続ければ、早晩国家予算を保健医療費で食いつぶしてしまうと言われている。
健康とは、人間生活の基本であり、それはまず食から生まれるものなのだ。それをヨーク考えてからFTA等を論じるべきである。開放は良い。その後、内部をどのようにすべきか、というビジョンを伴っているならば。ま、そう言う話はいいか。
ということで熟成カボス、最高なんである。後藤ちゃんを三顧の礼で迎えるため、寿司 匠に連れて行く。無論、カボスを持って。通常匠では白身や貝に天然塩とスダチを使うのだが、これにカボスを使って貰う。という算段だ。
結果はいうまでもないだろう。淡泊な平(たいら)貝の握りに一塗りしたカボスのかぐわしさは、貝の切り身を一枚も二枚も高級にしてしまった。文句なしの旨さだ。スダチや若いカボスだと、刺激が強すぎてこうはいかない。単なるアクセントになってしまうのだ。熟成カボスは、りっぱな調味料である。それも、他には望めない麗しい香りのたつ、万能調味料だ。
匠には大きいのを10玉置いてきたので、今週中に行って「カボスで!」と所望すれば、出してくれるはずだ。その際には、遠い大分県臼杵市を思い浮かべて頂きたい。
デジカメを新調した。これまではCASIOのカードサイズデジカメ初代Exilimを使っていた。昨年初夏の発売日翌日にゲットして、これまで愛用してきた。しかし、パンフォーカス機のため、90cm以上の接写ができない。これは、僕のような食材撮影者には致命的だ。しかし、カードサイズという小ささは何者にも変えがたく、かつほぼ電源スイッチを押した瞬間に使えるようになる高速起動に慣れてしまったので、同等の性能を求めてしまうのだ。
いろんな機種を触って、今回購入に踏み切ったのが、CANONのIXY-Lだ。中田とミラ・ジャボヴィッチ(だっけ?)がCMに出ているあれだ。
このデジカメ、Exilimより少し大きいのだが、画質の点では大幅に優れている。なんと言っても購入の一番の動機となったのは、3cmまで寄れるスーパーマクロ撮影機能だ。この穴子の写真を見て欲しい! 穴子のコゲまでくっきり撮れているでしょ?
色の再現性もよい。実際より彩度が若干上がって華やかになるが、青果物にはそれくらいがちょうどいい。巻きものを写すと、イカの照りやトロタクのコントラストもきちんと表現されている。
これで、本当に旨そうな写真が撮れるはずだ、、、100人力だ。今後さらに、食い倒れ道を突き進んでいきたいと思う。
郡上八幡方面に出張なので、更新は夜以降ということで、、、
記事を書いたちょうどこの日(金曜日)が銀座に用事がある日だったので、またジャポネに行く。すでに2時を回っているのに、カウンターはほぼ埋まっている。なんでだ?
「ナポ、横綱!」
「はいぃ~」
こういうスタンドの、出入りの激しい店なのに、言葉遣いは丁寧なのである。観ていると、いかにも銀座って感じのOLのお姉ちゃんも来て、持ち帰りナポんかを頼んでいる。もうがっちりとこの地に根を下ろして存在が確立された店なのである。
ちなみに今日は、僕の後に来た人が
「ヘルシースパ大盛、激辛でね!」
とオーダーしていた。ヘルシーなのに激辛なんかい!? いや、激辛ってのがヘルシーと言えるんかい!?
どうやらいろいろと細かいオーダー方法があるのだな。知らんかった、、、
さて何年かぶりのナポ横綱だ。
どうだろうか?先日はジャリコ大盛の画像を掲載したが、その縦方向にベクトルが1.5倍伸びた感じである。タップリ入った小松菜の緑色が、興をソソル。
ちなみにこの調理過程だが、デカイフライパンに具を入れて麺を軽く炒めた後、ケチャップをレードル(お玉ね)で3杯(!)放り込んでいた。うーむこれをすべて胃の腑に収めるわけだ。ここのナポは、トマトケチャップ味はそれほどしつこくはない。想像ほど甘ったるくないのがイイ。
ネッチリ感も強く、そこに小松菜がシャキンとアクセントになり、どんどんいける。横綱と頼むと周りの人から一瞬じろりとみられたが、正直言ってこれくらいの分量なら一応なんということはないんである。
しかし、、、困ったことがある。熱くなるのである。何かを食べるということは、栄養を摂取する以前に、その物理的な「熱」を摂取するということだ。少なくとも300gはある麺を鉄鍋でアツアツに炒め抜いたものをワシワシと食べるのだ。冬なのにドドっと汗が噴き出してくる。
しかもこういう時に限って隣にOL風綺麗な女の子が2名ならぶ。うーむ。もちろん、汗だくになりながら、涼しい顔で切り抜けた。
やはりここのナポは旨い。しかし、しつこいようだがチーズのかけすぎには要注意だ。水分が少ないので、ぼそぼそして食べにくくなり、喉に詰まる。
ああ次に行けるのはいつかなぁ。よく考えてみたら、これまでナポとジャリコしか食べたことがない。次回はあのすさまじい明太子にしてみよう。いや、噂のヘルシースパの激辛も試してみたい。それと、、、
ロメスパの話は以前、大手町の「リトル小岩井」でしたのでご存じだろう。「路傍の麺屋」を略してロメンという訳だが、そのスパゲティ版がロメスパと呼ばれているわけだ。ロメスパファンは全国に分布しており、喫茶ナポと称したり、いろいろなカテゴリがある。しかし、共通しているのは、「いわゆるパスタと称するものとは違う」ということだ。茹で上げて置いてある麺(極太であることが多い)を、中華鍋のようなフライパンで具と共に炒め、ナポであれば店ごとに特色のあるケチャップソースで絡め、もしくは醤油ベースのタレや塩味など、様々な味付けを施す。そして大体の店は、盛りつけの美しさなどはまったく考えずに「どさっ」と盛ってくる。焼きそばと行った方がいいかも知れないこの料理が、しかし人気を呼んでいるのも事実だ。
その東京近郊の王者と言えるのが、有楽町の「ジャポネ」だ。ちょうど、銀座の関連会社で打ち合わせがあったので、久しぶりに行ってみることにした。大手町のリトル小岩井には良く行くのだが、ジャポネは数年ぶりだ。
ジャポネは、数寄屋橋交差点を東京駅八重洲方面に曲がって100mほど歩いた左側の「銀座インズ3」というビルの1Fにある。本屋とこぎれいなカフェの影にそっと存在しているので、初めての人はわかりにくいかもしれない。この下の画像のように、はためからは裏側の空間に存在しているのだが、、、
この角を曲がると、1時を回っても人が切れることがない、サラリーマンや得体の知れないオッサン、そして老人の集うロメスパ店が現出するのだ!
このようにカウンター席のみなのだが、ここにギュウギュウと人が肩寄せ合いながらスパをもくもくと摂取するのである。ちなみに女性もかなり並んでいる。メニューも非常に楽しい。
■スパゲッティ&カレー 「ジャポネ」
東京都中央区銀座西1丁目2番地先 銀座インズ3 1F
03-3567-4749
メニュー:
------------------------------------------------------------
■和風
めんたいこ 550円 (明太子・シソ・椎茸・オニオン・のり・ほうれん草)
ジャポネ 500円 (肉・椎茸・オニオン・のり・ほうれん草)
ジャリコ 550円 (海老・肉・シソ・トマト・椎茸・オニオン・ほうれん草)
ヘルシー 550円 (野沢菜・かいわれ・オニオン・椎茸・ほうれん草・ごま・赤唐辛子)
------------------------------------------------------------
■梅のり 550円 (練り梅・のり・シソ・椎茸・オニオン・ほうれん草)
醤油味
塩味
------------------------------------------------------------
■中華風
チャイナ 500円 (ザーサイ・椎茸・オニオン・ほうれん草)
醤油味
塩味
------------------------------------------------------------
■洋風
ナポリタン 500円 (海老・椎茸・オニオン・ほうれん草)
インディアン 500円 (カレーソース)
バジリコ 550円 (海老・肉・シソ・トマト・椎茸・オニオン・ほうれん草)
------------------------------------------------------------
魅惑のラインナップである!
ちなみに客の7割方が注文するのが「ジャリコ」だ。醤油味ベースで具がタップリ、麺もバッチリ大盛だ。ほうれん草と書いてはいるが、僕は小松菜の時にしかあたったことがないなぁ
あとここの明太子はすごい。550円で割に合うのか?と疑問に思うほどの明太子が乗ってくる。しかも通常、麺はあまり味付けないで明太子のせるでしょう?ここは具と麺を塩味で炒めまくって、その上更に明太子をドカン載せするのだ。痛風の人には絶対に食べさせられないのである。
ところでこの店、「盛り」については非常に範囲が広い。メニューの記載では
レギュラー(並)
↓
ジャンボ(大盛) 150円増し
↓
横綱 250円増し
となっていくのだが、実はこの先に「理事長」というクラスが存在する!なんでも麺がレギュラーの4倍以上らしく、「横綱」を食べきった実績がないと出してくれないらしいのだ(笑)
僕は横綱は食べたことがあるが、この僕でさえ相当に腹一杯になる。その上のクラスだから、かなりなものである、、、
さて、下が「ジャリコ」の大盛だ。ちなみに上にかかっているのは粉チーズだ。粉チーズも、塩・砂糖入れみたいな容器にドカッと入っていて、自由にかけられる。ただし注意!炒めの工程であまり水分は足されないので、沢山チーズをかけると、パサパサ感が強くなってしまうのダ!
どうだろう?旨そうでしょう?油ギットンギットンだけど、旨いよ!化学調味料もボンボン入っていると思うけど、旨いのダ!麺はスパゲッティと思えないほどにぶっとく、噛むとネッチンネッチンという食感。でも、何とも言えず旨~いのである。ま、完全にB級グルメですが、それが好きな人には絶対にお薦めな店です。まあ、初めての人は「ナポ(ナポリタン)」から頼んでみてください。
昔、オヤジに連れて行って貰った喫茶店で、瓶に入ったコーラと共に出てきた、あのケチャップまみれのナポリタン。
その拡張版が食べられるのである、、、
ちなみに僕の隣に、60代と思われるじいさんが座った。彼のオーダーは、
「ジャリコの塩、大盛。」
えええええ そんなのあるのぉ? ジャリコって醤油味でしょう?
でも至極当然のごとく、店長は
「はい」
と差し出す。じいさん、大盛の麺を一本も残さずたいらげる。おそらく週に3回は、この店に来ているのだろう。こういう店が銀座にあるのが、嬉しい。何だか、幸せになった。
最近、会ったことのない方からのコメントが散見されるようになった。皆さんありがとうございます。インデアンカレーのネタには必ずといっていいほど大阪近辺の方からレスがつきますね。いや、マジであのインデアンの味を超えるカレーはそうそう無いと思います。あのために大阪に住んでもいいくらいだ。
さて本日はフランスの友人、ベンジャミンと、そのガールフレンドのリナ(コロンビア人だ)と、加賀谷を寿司処 匠に連れて行く。大人の週末に採り上げられてからしばらくは満員状態だったが、最近では、ようやく落ち着き始めている。とはいいながら一定の客数は確保できているようで、ようやく立ち上がったな、という感じ。
と、ネタケースに薄いピンク色の身を発見。
「富山県、氷見(ひみ)の寒ブリだよっ!」
来たっ!!
これぞ冬の味である。
青森県・大間の大トロとタメを張る脂の旨さとコクだ。嚥下した瞬間、一同ぼーっと言葉を失うの巻。
それと今日は〆サバもよかった。コロンビア人のくせにすでに日本化が進んでいるリナ曰く
「酢で〆てるとは思えな~い」
という通な発言。いや、君がコロンビア人だということの方が信じられな~い!
しかし本当に今日のサバは最高だった。ちなみに淡路島近海で揚がった真サバだ。これからの時期、もっと旨くなっていくだろう。
その後、定番の「晴弘」にて、芋焼酎を飲みながらシナソバをすすって解散。富岡八幡宮の境内を通って駅に行く。冬の門前仲町は、飲みにも食にも堪らない街なのだ。
皆さんは、蕎麦の粉を挽くところから蕎麦を打ち、茹でて食べるという経験をしたことがあるだろうか?まあ、身内に自家製粉するこだわりの蕎麦屋でもいないかぎり、ある訳ないわな。今回はそれをやってしまったのだ。しかも、そのソバを生産した農家の家で、、、とてつもなく贅沢なことをしてしまった。
しかも笑えることに、まずはソバ挽き用の石臼マシンの改修作業から入るのだ。
「ちょっと機械を直すからサ。」
といって岩崎氏、電ノコで火花を散らしながら鉄板を切り始める。石臼マシンとは、簡単に言えば、石臼を自動的に回し続ける機械だ。ソバの剥き実を石臼内に流し込み、それを回転する石臼が挽き続けるのだ。そうして出てくるソバ粉は、まだ粒子が粗いので、目の細かい網でふるって、粒子の粗い粉を再度投入して挽いていく。ふるいにかけるのも自動的に行う機械があり、石臼マシンと篩(ふるい)マシンをドッキングさせたのが先の改修内容だ。これを繰り返し数時間かけて、数キロのソバ粉が出来上がるという算段。
■これが石臼&篩マシンだ! 今、ソバむき身を投入しているところ。
■これが剥きソバです。ソバは秋の終わりに収穫後、製粉所で殻を取ってもらう。このむき実を一つまみ口に入れる。唾液が浸みると粒がボロっと崩れる。その瞬間、なんとも甘い、優しい味が拡がる。本当に旨いんだ。生でも。
■石臼が回転して、ソバ粉が出てくるのダ。
このソバだが、先に書いたように、他にはあまり出回っていない品種だ。10割で打てて、しかも薫り高く旨いということなのだが、作りにくく収量が少ない。まあ、それでは誰も作らないわな。でも、味はバツグンなのだ。実はこのソバ、地元の蕎麦屋や製粉所でも大評判になっており、来年以降は作付けを増やして出荷するそうだ。
通常、ソバは輸入だと1俵3000円程度で販売されるという恐ろしい安値なのだが、岩崎農場のこのソバは1万円をはるかに超える高値で売れるというすさまじい高級食材になるのだ。このソバ粉は、、、まあ、俺は数度食ったことがあるので、何の疑問もないのだが。
さて粉を挽くのに時間がかかったので蕎麦打ちは翌朝。ああ、ちなみに先程来、「ソバ」と「蕎麦」とかき分けているのにお気づきだろうか。原料としてのそばは「ソバ」と標記し、調理の手が入ったものを「蕎麦」と記載するのである。
さて蕎麦打ちは全くの素人ではないが、家でトライしても生地が割れたりしてナカナカ繋がらない。岩崎氏の指導のもと、トライすることに。これが意外にもすんなりと伸び、繋がってくれるので本当にビックリ。やはり素材の良さが最も重要なのだと痛感する。
■捏ね鉢とソバ粉
■水回し。適量を見極め加水していく。ここが命といって過言ではない
■捏ねた生地を「のす」作業に入る。面白いように滑らかに伸びてくれる
■伸びた生地を切る。あっしも結構旨いんですぜ。揃ってるでしょ?
■茹ではほんの数十秒
■完成!画像ではわからないだろうが、新ソバ特有の青みがかっている
さて打ち立て茹で立てを食べる。
蕎麦通はよく何もつけずに蕎麦を一口すすり、味を確かめるという。が、おいらは濃い味好きなのでそんなんはどーでもいい。どーでもいいんだけど、まずはつゆにつけないで食べてみようかな、と一口すすってみる。
衝撃が走った。
蕎麦が、甘い、、、
また、噛み締めた後に、蕎麦の香りが強く濃く香り立つ、、、
どこの名店にいっても味わえなかった(竹藪にはいったことないけど)蕎麦の味だ、、、
呆然としながら、つゆにもつけずに半分くらい食べてしまう。岩崎夫妻が次の蕎麦を打ちながらにやにや笑っている。お母ちゃんが通りがかりに
「あたしはねぇ、街に出てもぜったいに蕎麦屋には行かないんだよ。どこいってもがっかりしちゃうからね、、、この蕎麦を食べちゃうと。」
それはそうだろう、、、でもお蕎麦屋さんは泣くよ!
いや本当にビックリである。この蕎麦には薬味のネギもいらない。僕が薬味好き、濃いダシ味好きであることを知っている友人がこのシーンをみたら驚くと思う。そんなの要らない味なのだ。
しかしそれより価値崩壊だ。それなりにいろいろと回って旨い蕎麦店を発掘していたつもりだったが、価値の尺度が根底から覆ってしまった。ああこれからどうしよう、、、お母ちゃんのようにがっかりしてしまうのだろうか。
そうはならないように、とりあえずソバ粉はしっかりと分けて頂いた。ありがとう!家で打ちます。岩崎家では年越し蕎麦用にまとまった量の粉を挽き、その後は大体1月~2月で食べきってしまうそうだ。ううううう またそれまでに行こうと心に誓った俺だった。
申し訳ないがこの岩崎農場の蕎麦については、まとまった量が出荷可能になるまではあま詳しいことは教えられないのであった。ふふふ どうだ羨ましいだろう? これぞ優越感というものである。
蕎麦を食べ終わり、千歳空港へ。途中、北海道でしか売っていないアイテム(清涼飲料水コアップガラナ、ナポリン、ガラスープの素など)を買い込み、しばしの別れを告げる。
ああ、北海道。そこは夢の世界だ、、、
北海道シリーズを見て頂ければわかるとおり、かなりエネルギー摂取過多に陥っている。なのに、仕事が繁忙&飲み会シーズンで、トレーニングにいけない。身体の中に膿が溜まっている感覚がする。燃焼させねば、、、
カロリー消費には、運動しかありません(きっぱり)。または粗食。通常は納豆ご飯が基本なのです、私。しかし、今週もかなりイベントが入りまくっている、、、
うーむちょっと辛くなってきた、、、
しかし!世の中には上が居るのだ。レストラン評論家の山本益博氏のことは誰でも知っているだろう。彼のことを余り知らないが、メディアでよくみかけるというくらいの人もいるだろう。
この人はスゴイのだ。僕が高校生のころに読んだ彼の本で、なんと1年間365日外食をし続けたという、空前の行為をしているのだ。いや、蕎麦屋とか定食屋ではないですよ。フレンチとかイタリアンとか鰻とか、とにかく美食系の「ハレ」の食事ばかり食べ続けているんですよ!そして彼は、とうとう体を壊したということなのだけど、、、しかし、これはスゴイ記録。僕は別に追いかけるつもりはないけど、プロ根性とはそう言うものだと思う。
彼が最近、雑誌「おとなの週末」に食べ歩き日記形式の連載を書いているが、非常に面白い。とにかく食事をする店についての嗅覚は動物的なわけで、店に対する提案や叱咤激励まで愛情がこもっている。
僕が「スゴイ」と思う食の冒険家は、この山本益博さんと、もう一人東京農業大学の教授である小泉武夫先生。日経新聞の木曜日夕刊に「食あれば楽あり」というコラムを書いている方といえばおわかりだろうか。テレビにも良く出てくる、発酵食品大好きなおっちゃんである。このお二人には今のところ全くかなわないなぁ、と思う。
というお二人に少しでも近づくため、本日は絶対にトレーニングに行ってエネルギー消費し、胃袋を整えるのダ。
さて帯広に別れを告げ、特急「スーパーとかち」に乗り、一路夕張を目指す。帯広インデアンカレーの余韻が消えないうちに、と車内で原稿を打っていると、にわかに景色が変わってくる。いつの間にか雪が降っているのだ。みるみるうちに空が曇り、パラパラとまばらに降っていた雪が、すぐに横殴りに降り積もる重めの雪に変化する。これが北海道なのだ。
カレーの余韻に浸る2時間はあっという間に過ぎた。新夕張に着くと、雪は止んでいた。簡素な駅の簡潔な改札に、ツナギを着た岩崎英伯(ひでのり)氏が迎えに着てくれていた。彼との出会いは7年ほど前。農業情報ネットワーク全国大会というイベントで出会い、その後、北海道に講演として呼んでくれたのだ。
この岩崎氏、夕張特産のメロンの生産農家としては僕が今のところベストと思う人だ。実際、一昨年前までは僕も売らせて貰っていた。夕張メロンといえば一玉5000円クラスが相場だが、彼は殆どを直販で売ってしまうため、見栄えにこだわらず(ネットが綺麗でなかったりという些細なこと)、とにかく味を追求している。彼のメロンを食べたら、おそらく今まで口にしていた夕張メロンとは何モノか、と思うこと請け合いだ。
ちなみにメロンは昨期がほんの一時期に限られてしまう。彼の農場では主力商品として中玉の高糖度トマトを作っている。こちらは僕の好みの味ではないのだが、かなりいい条件で販売ができているようだ。それと、日本では珍しくルバーブも生産している。東京近辺で手に入る生のルバーブがあったら、ほぼ間違いなく彼が生産したものだと考えて良い。築地市場には彼のものが入っているし、新百合ヶ丘にある某有名洋菓子店のルバーブケーキも彼のものが使われている。とにかく、一生付き合っていきたい素晴らしい生産者なのだ。
今日は、せっかく北海道にきているので、彼の家でお世話になることにした。実を言うと彼が上京する時は、僕の家に泊まることが多い。まあ、持ちつ持たれつと言うことだ。
新夕張駅から車で20分くらい、栗山町という田園地帯が彼の拠点だ。一昔前に流行ったウインダムヒル・レーベルのCDジャケットのような自然風景が目の前に拡がっている。隣家との距離は通常200メートル先という感じだ。今のメイン品目である中玉トマトの巨大ハウス内を観る。イスラエル製の養液栽培システムを導入し、コンピュータ管理をしながらトマト生産をしている。養液水耕栽培は僕はあまり好きではないのだが、彼の作る中玉品種のレッドオーレはいい線いってる方だとは思う。岩崎農場の一族(母ちゃん父ちゃん、そして嫁さん)となつかしの再会をし、夜は近所のジンギスカンに行く。
■ジンギスカン 「かねひろ」
・上ジンギスカン 9人前
・野菜セットA 1つ
・野菜セットC 2つ
・大盛ご飯1杯+普通盛りご飯1杯
このジンギスカンがムチャクチャに旨かった!北海道内でもジンギスカンには2種類ある。ラム肉をあらかじめタレに漬け込んで焼くものと、味付けしていない肉を焼いてタレにつけて食べるものだ。栗山町ではタレにつけ込む派。僕もどちらかといえばこちらの方が好きだ。それにしても全く臭みが無くて旨い。思わずご飯大盛と普通盛りの2杯を食べてしまった。
この後、彼の部屋で酒盛り。本場韓国産のジンロ(日本で出回っているジンロは不味い。)と金沢の銘酒「萬歳楽」1本を空ける。話題は農業の話からシュタイナー教育、そしてインターネット産直の話へと変遷を続けていった。
朝がきた。さてお楽しみの本番である。この岩崎農場にて、販売を目的として作っていない作物がある。「ソバ」である。自家製と、好きな人にだけ分けている分しか栽培していないというソバなのだ。しかも、幻の品種である。とても旨いのだが、収穫量が少ないということで試験場では採用されなかった品種のソバなのだ。このソバはものすごくて、終了は少なくても10割ソバとして(つまりツナギなしで蕎麦になる)食べることが可能な蕎麦なのだ!
ソバの収穫は秋の終わりだ。岩崎農場でも収穫し、つい先日堅い殻を製粉所で取り払い、むきソバにした状態で保管をしていた。つまり、ちょうどこの日、岩崎家でも今年の新ソバを初めて食べるタイミングだったのダ!
6年前にこの地を訪れた際にも、このソバを蕎麦に打っていただいたことがある。無論、美味しかったのだけど、実を言うとあまり心に残っていなかった。しかし、今年の蕎麦は全く違った。自分のこれまでの蕎麦観が変わるような体験を、してしまったのだ、、、
(その2へ続く)
帯広での質量ともにおびただしい夜が過ぎた。仕事は終わったので、本日は夕張の生産農家の友人宅に遊びに行くことにしている。 僕はホテルの朝飯は陳腐なのでいつも頼まない。それより、町に出て何かおもしろいものを探す方が楽しいに決まっている。特に、昨晩農協のOさんから聞いた一言が頭から離れない。
「山ちゃんさぁ、帯広でカレーって言ったら、ふつうみんなが思い浮かべるのがインデアンっていう店のカレーなんだよ。」
帯広にもインデアンという店があるらしいのだ。フジモリという駅前にある食堂がその発祥で、道内に数店舗のインデアンというチェーンがあるとのこと。帯広の学生たちはこのカレーを食べて育つのだそうだ。ご存じの通り、大阪の名店「インデアン」カレーは、この出張食い倒れ日記の殿堂入りを果たしている(右側のツールバーを参照のこと)。名前が同じだし、旨いカレー、しかも地元での評判が高いということで、行ってみたいと思う。
まずは帯広駅のビル内の喫茶店でコーヒーを飲む。やたらとひとなつこいお姉ちゃんで、
「まだいるよね、ちょっと買い物行って来るから」と客に店番をさせ、20分ほどもどってこない。帰ってきた姉ちゃんにフジモリの場所を聞くと、
「フジモリも近いけど、駅前のスーパー長崎屋の中にもインデアンが入ってるよ。そっちの方が安いから、、、」
ということだった。ではそっちに行ってみよう。
長崎屋は本当に駅前すぐだ。2Fに上がると食品売場だ。ふつうスーパーといえば地下や1Fに食品売場があるが、ここは2Fからメインフロアが始まっている。もしかして、豪雪で1Fが使いものにならないからだろうか、、、それはともかく食品売場を回る。
僕は初めての場所では必ずスーパーの食品売場とくに調味料売場を回る。その土地ならではのものがいっぱいあるからだ。特に北海道帯広である。調味料コーナーにはまず豚丼のタレが数種類おいてある。一番シェアが高いのは空知(そらち)のタレである。それと双璧をなすのが、ベルというメーカーのジンギスカンのタレだ。
タレだけではない。ラム肉をジンギスカンダレに漬け込んだものが1つのコーナーを形成している。牛肉とか豚肉とかのカテゴリと同じように、ジンギスカンコーナーがあるのだ!思わずかって帰りたくなるココロを鎮めるのに苦労した。
食品売場ですでに興奮してしまったが、そこを抜けると、ほのかにカレーの香りがしてくる。おお、あった!インデアンである。
キッチンの中にはちゃんとした調理スペースがあり、職人さんがタマネギなどを刻んでいる。基本中の基本であるインデアンカレーを注文。なんど380円という安さである。ここでびっくりしたことがある。
このインデアンカレーのシンボルマーク、大阪のインデアンとそっくりだ!!
上の画像の上部の「インデアン」という名前のネオンの左側に、ターバンを巻いたインド人のようなマークがあるだろう。これと、このページにある大阪のインデアンのマークを比べて欲しい。
うーむ なんだなんだなんなんだ? もしかして系列店なのか?そうでなければどっちがオリジナル?
と、カレーが出てきた。ネットリ感の強そうな真茶色のルーが、定番のアルミ皿にもられている。ビーフの角肉の量も多く、ご飯の盛りもよい。一口食べてみる。
これは旨い!380円の味ではないぞ!
糸を引きそうなネットリ感とともに、まずは甘さがドンと舌にくる。大阪のインデアンだとこの直後に機関銃掃射のような辛さが点滅するのだが、ここ帯広インデアンではそれはこない。あくまで甘みが続く。しかしこの甘さがコクと絡み合って非常にイケル。子供から大人まで食べられるカレーだ。薬味は福神漬けを中心に3種。けど、オリジナルのカレーの味が旨いので薬味はいらないかもしれない。あまりに感動して、さきの疑問も含めて職人クンに聞いてみる。
「いや 旨いね~ 東京から来てるんだけど、このマークって大阪のインデアンカレーと似てるね」
「そうなんですよ、、、実はココのオーナー(フジモリ食堂の社長)が大阪でインデアンカレーを食べて感動し、自分なりに作ったのがこの店らしいんです。」
「ええ?じゃあ資本関係はまったくないけどマークは似てるの?」
「まあそういうことになりますかね、、、」
いいんだろうか?これ、意匠としてはまったく近似しているぞ。ま、北海道の帯広に数店舗ということで許容されているのだろう。職人君も、旨いウマイを連発しながらいろいろ聞いてくる俺に興味が生まれたらしく、
「同業者さんですか?」
などと聞いてくる。ちなみに彼曰く
「もう一つある長崎屋の近くにある「一品」という店の豚丼が旨いです」
とのことだ。
いやーしかし旨いカレーだ。そういえば昨晩農協の人に連れられていったクラブのおねーちゃんが
「やっぱりインデアンでは、シーフードカレーが一番よね」
といっていた。
シーフードカレーは670円である。380円からいきなりグレードアップだ。気になる。ということで、もういっぱい食べることにした。本当はカレーを食べて、昼飯には駅で打っている豚丼弁当にしようと思っていたのだが、ここのカレーの方が今となっては興味の的である。
「シーフードもう一つ!」
というと職人君、目を丸くする。そしてやおらナスの細切れをフライヤーで素揚げにし始める。平行してルーを鍋に盛り、シーフードを投入する。さっと火を通し、ナスの素揚げを混ぜ込んでご飯にかけて供される。
これは絶品である!びっくりした!
シーフードは、よくあるシーフードミックスの安物ではなく、小エビ、ホタテ、アサリがきちんと入っている。バター風味がほのかに香る。タマネギ、シシトウ、ナスがうまみを引き立てる。言うことないのである。いやほんとうに脱帽だ。てきとうに探したこの店でこんなにおいしいカレーに出会えるとは思わなかった。やばい、この店も殿堂入りさせたくなってきてしまったが、そうそうは簡単に殿堂には入れられない。しかしこのコストパフォーマンスは、大阪インデアンよりも遙かに高い。
今や職人君も僕とある種の共感を分かち合うようになってしまった。また来てくださいね。おう、また来るよ。
帯広のスタンダードカレー「インデアン」は旨い!
しかも、大阪の殿堂入り名店「インデアン」の影響を受けた店である。必食である。
そして物語の舞台は、夕張の生産農家の親友宅に移るのである、、、北海道編はまだまだ終わらないのであった。
(その1より続き)
さてぱんちょうのソフトにしてこってりした豚丼をたいらげた後は、夜の宴席である。もう先方も僕のことをよくわかって下さっているので、美味しい店に連れて行ってくれた。今回は魚貝である。前菜的位置づけでまず、毛ガニが並んでいる。当たり前のように一人一杯だ。身をほじくりだして食べていると、
「あのねぇやまちゃん、味噌の部分にかぶりつくだけでいいんだよ、カニはさ。」
という。ちょうどいいのでさっきからさがしているもののことを聞く。
「あの~、カニ酢みたいなのってないんですかねぇ?」
というと、先方お二人ともやおら首を振る。
「カニに酢なんかつけたら、カニの味がしないだろ!」
なるほどぉ、、、そう言うモノなのか。そして二人とも、身がぎっしり詰まっているカニの皿を
「おれはもういらね。」
と僕に流してくる。これをすべてほじくりだし、皿一杯になったところで一気に食べているのが下記の写真である。
カニ、揚げ物、焼き物、魚の煮付け、寿司と食べ進み、コースがはねる。
「じゃあラーメンいくか!」
と向かったのは、当然ながら前回も行った、手がプルプル震えながらラーメンを作ってくれるおっちゃんの店「頓珍館」である。
ここの塩ラーメンはやっぱり旨い。何でだろう、、、あんな小さい鍋で、、、
ここで一同お別れ。どうもありがとうございました!次は年始に、、、
僕ら出張3人組はホテルに帰る。帰る道すがら、前回来た時に
「あそこは居酒屋だけど豚丼が旨い」
と言われて、行ってみたけれどもご飯がなくて食べられなかった「田悟作」の前を通りかかった。そのエピソードを知っている同行者が
「いいの?いかなくて、、、つき合うよ」
と言ってくれたので、これはもう突き進むしかない。田悟作に入店し、豚丼を3つ注文したのであった。
運ばれてきた豚丼は、白樺で見たようなちょっと煮詰めスタイルの豚丼だ。口に運んで「ん?」と思う。この香りは、、、山椒だ!鰻丼のように、軽く山椒がふられている。しかもこれはタレに最初から仕込んでいるようだ。この山椒の香りと風味がアクセントになり、イケル!ただ、肉は少々ぱさつき感が強いようだ。タレは甘めの濃いめ。酒を飲んでの最後の締めにいい感じかも知れない。前に座っていたT氏が早々にギブアップ。半分くらい残っているのを僕が食べる。でも全部はさすがに食べられない。このころになるとさすがに僕の胃袋も相当にハードな状態である。
下記がこの一日の食事だ。
(昼)
白樺の豚丼 ★★★
白樺のカレー ★
(夜)
ぱんちょうの豚丼(梅) ★★★
魚貝料理の店(名前ワスレタ) ★★
頓珍館 塩ラーメン ★★★
田悟作の豚丼 ★★
もー食えん、、、
ただ、集中的に食べて、豚丼については定見ができた。
「豚丼に同じ味なし」
どの店や家庭でも、自分なりの味というものを持っている。それが豚丼だ。方程式としては、
焼きの方法(炭火かフライパンか)
肉のカット方法と厚み
タレの濃さ
タレのつけかた(煮詰めかさっと塗って焼きか)
ご飯へのタレの絡め方
という要素があるように思うのだが、肉やタレなどのベースが旨いから、どんな風にしたってまずくはならないのだ。従って、
「豚丼のベストチョイス」というものは存在しない。
と言える。あえて僕的に好きなのは、、、空港レストラン「白樺」の豚丼は旨いなぁ。
ちなみにこの豚丼のタレ、有名なのは空知(ソラチ)というメーカの商品だ。これは空港でも売っている。スーパーでもドドドドンと並んでいるので、北海道に来た人はぜひ買って帰って欲しい。ちなみにこれ、僕の冷蔵庫には常備されている、、、
■ソラチの豚丼タレ
注意が必要なのは、肉を焼いてタレをかけるというのではなく、フライパンの中で肉を焼き、頃合いを見計らってタレを絡め、少々煮詰めたほうが旨いということだ。それと、豚肉は集めの方が旨いので、トンカツ用の肩ロースを買って、これを包丁で3枚くらいに切り出すとよいと思う。
また、コンロが汚くなって良いなら、魚焼き用の網を十分に熱し、肉を焼くと旨い。いや、炭火を用意できるならそれがベストだが。この場合は、タレを最初に肉に絡めながら焼くと良いと思う。
まあとにかく言えるのは、「豚丼は帯広限定にするにはもったいない料理だ」ということだ。一日に3杯食べた人間がそう言うのだから間違いないだろう。北海道にいくならぜひ、食して欲しい。
念願の第二回帯広出張だ。前回は壮絶に食い倒れた。この記録を読んで友達付き合いを考え直したいと言う人もいたくらいだが、今回は前回に勝るとも劣らない食い倒れをしたのだ。
今回のテーマはずばり「豚丼」だ。前回は帯広を広く味わうための回だったが、今回はその中でも特に豚丼にスポットを当ててみたいと思うのだ。しかし、結果として豚丼以外にもとてつもないインパクトの食に出会ったので、それについてもレポートする。まずは第一日目の顛末を観ていただきたい。
12月5日 JASの飛行機で帯広空港に降り立つ。同行の新人君とまず向かったのは、前回ダークホース的に旨い豚丼を食べさせてくれた空港2Fのレストラン「白樺」だ。レストランといっても、10年前のデパート最上階の食堂的雰囲気の店なのだが、ここの豚丼がめっぽう旨い!どのように旨いかは前回に詳しく書いているので、ご覧いただきたい。果たして、2ヶ月ぶりに食す豚丼は旨かった。肉をタレで少し煮詰めたスタイルの白樺豚丼は、すんなりと胃の府に収まった。
しかし今回は、もう一つテーマがあるのだ。前回の白樺編を見てくれればわかるように、僕はここのカレーライスにも関心があったのだ。そう、隣のおばちゃんの頼んでたカレーがとてもいい香りを漂わせていたのだ。と言うことで豚丼に引き続き、カレーを頼んだら、給仕のおばちゃんに変な顔をされた。 、、、カレーは間髪居れずに運ばれてきた。嫌な予感がする。すぐに出てくるのは、鍋でずっと保温されているということだし、一手間もかけていないと言うことだ。
香りはいいのだが、、、トロミたっぷりのカレー。しかし、肉片がかなりバラバラにほぐれている。つまりこれは極度に煮込みがかかっているか、、、もしくはレトルトか缶詰の高圧調理の結果だ。
食べてみた。
缶詰だった、、、
豚丼の幸せな記憶が、缶詰カレーに上書きされてしまった、、、まあ仕方が無い。こんなこともあるのだ。トライ&エラーが大切だ。明日に同じことを繰り返さないことが重要なのだ。
「一つの店に豚丼とカレーは両立しない」
これが今回の教訓だ。
「さあ、山ちゃんを今回はどこに連れて行こうか、迷ったんだよぉ」
たった2回目でこう言ってくれるまでになったということで、すでに満足である。
いったんホテルに帰って街に出るということになった。小一時間あくことになったが、この間ぼやっとしているわけにはいかない。今回泊まったホテルは「パコ」という変な名前のホテルだが、帯広では有名なシティホテルだ。そしてなんと、このパコから50メートルのところに、豚丼の元祖といわれている有名店「ぱんちょう」があるのだ!ホテルのフロントのあんちゃんに訊いても、「行列してますよ」と言う。そういわれるとますます行きたくなるのダ!ということで、駆け足(マジで)で行ってみた!
17時半と、時間的に谷間だったのか、それほど混んでいない。面白いのは、女性の一人客が数組いることだ。そういう食べ物なのだな、豚丼って。店のおばちゃんはじめ給仕の女性達は皆一様にやたらと礼儀正しい。
「どうもありがとうございました。」
「またぜひいらっしゃってください。」
などと客に声をかけている。持って来てくれた品書きを見ると、豚丼にはグレードがあって、
松 850円
竹 950円
梅 1050円
華 1250円
という順になっている。ここで注意して欲しいのは普通と逆で、「松」が一番低いランクになっているのだ、なぜかというと、、、どうやら女将さんの名前が「梅」なんだと(笑)
ということで梅がいままで一番高かったのだが、どうやらもう一つ上のクラスを新設したようだ。
これから僕は会食があるので、華にいきたいのをぐっと我慢し、梅にしておいた。ちなみにここの店は豚肉を炭火焼きにするので有名だ。家庭などでは、豚をフライパンで炒めた後にタレを絡めて少々煮詰めるなどの方法が主流のようだが、豚丼専門店では炭火で焼くことが多い。そのせいか出てくるまでに時間がかかる。
6分ほどして出てきたのが、蓋をされた丼にはいった豚丼だ。しかし、蓋は閉まってないゾ!そう、梅とか竹とかの違いは、肉の量なのだ。期待に胸をときめかせながら蓋をとると、ふうわりと香ばしい炭火焼き独特の香りと、醤油ダレのこげた燻し香が鼻を刺激する。肉のプレゼンテーションはばっちりで、これは文字通りご飯が見えないまでに重ねられている。
肉を食べてみる。うーむ 厚みのある肉がフカフカの食感に焼きあがっている。表面はカリッと香ばしくこげているが、噛むとふんわりフカフカもっちんもっちんとした優しい感触なのだ。そして肉にまぶされているタレは淡い。「白樺」の豚丼は、肉がチャコール色に染まるほどタレを絡めていたが、ここでは炭火で炙りながらタレはさっとしかくぐらせていないような風情だ。だからか、肉自体の味、とくに脂の甘味が際立つ。しかしながらおもしろいのは、ご飯にはしっかりと
した味のタレがまぶされており、こちらは塩気も強く、肉と合わせたときの感触は最高なのだ! これはさすがに元祖と言うだけあって、非常に練られた世界だと実感する。同時に、豚丼の奥の深さを思い知った次第だ。この豚丼は確かに旨い。けど、これまで食べてきた豚丼がこれに劣っているわけでもない。豚丼の味は、店ごと、家庭ごとに違うのだ。そしてその違いはすべて許容されるものなのだ。炭火焼もうまいし、フライパン煮詰めタイプも旨い。自分がどれを選択するのか、だけなのだ。
(その2に続く)
5日から日曜日まで、帯広を再訪します。
あの伝説の食い倒れの夜の再現となるのか、、、
友人がMacを買うというので、話題のアップルストア銀座店に行ってきた。Powerbook、iBookなどが整然と並んだ空間だった。2Fには画像や動画編集などのテーマ別のスペースが。4Fには周辺機器がと色んな趣向が凝らされている。
しかし、すぐに飽きてしまった。やはりバリエーションが狭すぎる。それに、何か魔術の匂いがしない。大学生の頃、西新宿にあったPowerLabという小さなMac専門店は、本当に狭い店だったが、Powerbookの改造パーツやドックなどを中心にマニアックな品揃えがあり、非常に心をくすぐる空間だった。呪術空間的な色彩があったのだ(その頃僕はPowerbookDuo280cをひょんなことからApple本社から貰って使っていた)。
でもそのくすぐったい感覚が、このアップルストアの4つのフロアからは感じられなかった。ちょっと残念だ。密かにiBookへの購買欲があったのだが、失せてしまった。
ストアを出て、腹が減ったのでメシをということになった。僕は銀座はテリトリーではない。理由は簡単高いからだ。けど、気になる店はある。フレンチをベースにした「マルディグラ」が旨くて豪快ということは良く聞いていた。電話をしてみると、予約が一杯の中、席が用意できるというので行ってみることにした。
そうだ、あらかじめ言っておくと、店内が暗かったので画像は補整をかけても全く品質が悪い状態だ。美味しそうにみえないが申し訳ない。
新橋寄りの、クラブがわんさかある通りの目立たない入り口を地下に降りると、20席くらいの小さな空間があった。フリースのジャケットにブルージーンズで行ってしまったのだが、ドレスコードはないということでホッとした。
肉料理の豪快さは有名だが、気になっていたのは香菜のみのサラダなど野菜料理だ。何かの雑誌の野菜特集でもこの店が採り上げられていたのだ。
■マルディグラ
・香菜の爆弾 1300円
・季節の野菜のグリル 1600円
・黒のブーダンと白のブーダン 1500円
・豚のアメリカ風BBQ 2600円
グラスワイン 1000円/杯
農産物の仕事をしている身としては、こういう店で野菜料理を頼みたくはないのだが、やはり習性だろうか、試してしまう。料理人が野菜に対してどのようなアプローチをしているのかを見てみたくなるのだ。
「香菜の爆弾」はここの看板で、フレッシュの香菜とエシャロットをドレッシングで和えただけのものだ。通常はツマのような扱いの香菜がメインになっている訳だ。これが文句なしに旨かった。決め手は強めの味付けだ。カリカリに揚げたみじん切りのニンニクとオイル、そしておそらく魚醤で味を付けているが、塩気がバン!と効いている。好みの味だ。よく野菜というと、
「素材の味を活かして、、、」
という言葉を隠れ蓑に、淡い味付けに終始してしまう店が多い。これは語法がおかしいと常々思っている。本当にいい素材であれば、塩を強くしようがソースをかけようがなんだろうが際だつのである。素材を素材の味以上にするのが料理の技法であって、素材の持ち味に終始してしまったら意味がない、と僕は思っている。ただ、和食の場合は違うけどネ。上記は、特にヨーロッパの料理において、という注釈である。
とにかくこの香菜爆弾は旨かった!もっとデカイドンブリに一杯食べたいくらいだ。香菜はその辺の市場で売っている市販品ではないだろう。香りが強く、土耕栽培の産直品だと思われる。
この調子なら野菜のグリルも期待できるかな、、、と思ったが、それは違った。運ばれてきたのは、ズッキーニ、ナス、トマト、パプリカ、スナックえんどう、長ネギ、カボチャ、ニンジンがグリルされているのに、3種のオイル(ガーリック、チリ、ECヴァージンオリーブ)が添えられたものだ。
一通り食べてみてがっかりした。まず、カボチャとネギを除いて全ての野菜が季節はずれもいいところだ。今の時期に出回るズッキーニやナスは旬とは言えないし、パプリカは輸入物だろう。僕ならば大胆に大根のグリルを主軸に、甘いカブ、ゴボウ、ナガイモ、寒ニンジン、太ネギなどを配するだろう。それらが今もっとも旨い野菜だからだ。このひと皿からは創意のかけらも感じられなかった。
と、野菜についてはそう言うコメントになるのだが、この店はやはり肉、肉、肉!なのだと思う。
■「黒のブーダン 白のブーダン」
ブーダンは腸詰めだ。黒は、いわゆる豚の血のソーセージだ。僕はこいつが大好きなのに、あまり国内では売っていない。マルディグラの黒ブーダンはなぜか米が入っていて、あまりこってりしていない感じで食べやすい。本当はもっとしつこい血の味がする方が好きなのだが、、、 白のブーダンは、豚肉がスフレのようにフンワリしており、非常に上等な味。付け合わせのほうれん草も強気の塩加減で、素晴らしかった。
そして極めつけが豚スペアリブのBBQだ。
■アメリカ風BBQ (←本当は何かアメリカの地名が入った名前なのだが、、、忘れました)
デカイ皿に、どんと関節ごとに分断されたスペアリブが35cm分くらい載っている。何だかシュリンプペーストの香りがするタレ、がまぶされており、食欲をそそりまくる。ナイフとフォークを捨ててかぶりつくと脂が柔らかに溶け、旨味が拡がる。文句なしに野趣が溢れており、旨い。よくよく火を通しているようで、髄までかみ砕ける。この肉の味付け、脂とワイン(UNTIを頼んだ)の強さがバチンとぶつかり、堪まらない。骨までしゃぶってしゃぶりつくした。
この塩気まんまんの料理の後に甘いものは食べたくない。デザートは断り、コーヒーで締めた。
この店は、ワインと肉を楽しむ店らしい。そう割り切れば非常によい店だ。価格も、2名で12500円くらい。銀座ではまずまずのラインだろう。特にメリハリの効いた味付け、おおぶりな盛りつけは目にも美味しい。
ただし、満足度ベースで言うと、前菜の一皿単価が高いと感ずる。野菜を食ったからかなぁ、、、今度はピンチョスと、多くの人が旨いというトスカーナ風フライドポテトを食べてみよう。ちなみに主菜については満足だ。次回訪れたら★の数が変動する可能性は大である。
この店、すでにかなりの評判をとっているのだから、今度は地価の安い郊外で新店を出して欲しいモノである。
豚骨ドロドロ系に嫌気がさして、ラーメンについてはあまり踏み込まないでいたのだが、最近のブームは好ましい。魚系のダシを多用し、化学調味料無添加(無化調)と、僕にとってはとてもありがたい流れになってきている。現在の僕の活動のベースである門前仲町には名店「こうかいぼう」があって、どうしてもラーメンが食べたい時はここに行くのだが、その2軒となりに「蘭丸」ができ、かなりの人を呼んでいた。これまで入る機会が無かったのだが、寿司匠の加藤ちゃんが
「あそこの特製塩そばは旨いっすよ!」
と断言するので、行ってみた。
■支那そば屋蘭丸(門前仲町店)
東京都江東区深川2−13−1
・塩そばとチャーシューご飯のランチ 1080円
店にはいるとすぐに食券販売機がある。選んでカウンタに座る。3人の若衆が寸胴鍋の温度についてチェックをしている。どうやら一人が新入りみたいだ。チャーシューはバラ肉を筒に丸め、スープと一緒に煮ているゆで豚系でかなり大きめ。
程なくして特製塩そばが出てくる。表面には油の層が出来ているが、いい感じに澄んだスープだ。すすってみると、貝のグルタミン酸のダシがぶわっと拡がる。これはかなり濃い旨味だ。スープには魚貝系特に干しホタテなどを使っているようだが、ここまで旨味を出すのはコストがかかるだろう。その結果、通常の支那そばより200円高になっているのだと推測。けど、支那そばはまだ食べてないが、こちらを頼む価値はあるだろう。ちぢれ細麺、メンマ、先のチャーシューとの相性もよい。ランチセットのチャーシュー丼も美味しくいただく。昼食として満足できるレベルである。ただ、塩そばのタレはもう少し塩を抑えても良いかもしれない。塩味が濃く、かつ旨味が濃いため、ちょっと安っぽい印象を受けてしまう。もう少し塩を控えれば、上物度が数倍上がると思う。
お隣の「こうかいぼう」の魚貝ダシ醤油×中太麺の組み合わせと、この「蘭丸」特製塩そばのどちらを食べようかと悩ましい選択が増えることになった。門前仲町の裏通りでわかりにくいところにあるが、密かに熱い通りになってきた。