さてジャガイモの次はたまねぎだ。たまねぎの名産地として知られる淡路島から送って頂いたものと、北海道からのものを食べ比べしてみよう。ま、こういう「対決」的なタイトルは本当はよくないのだろうが、やっぱり比較してみたくなるのが人情というものだ。
ちなみにたまねぎの栽培時期は本州と北海道では正反対である。本州では猛暑を避ける意味合いもあって秋に播種~定植し、翌年の初夏に収穫。北海道ではこれが逆になり、ちょうど秋の今頃に収穫期を迎える。つまり、今回届いたのはおそらく今年度産のものである。従って今回はそれを差し引く必要がある。
この画像にある2つがそれで、画面右が北海道、左が淡路島である。産地・時期により品種も変わるので同等条件とは言えない。今回は双方とも品種名がわからないので、とにかく食べてみる。外観はさほど変わりはない。
皮を剥いてみる。淡路のものは白く(美肌?)、北海道ものは既に緑色の縦線が入っている。ちなみに先を包丁で落とした時、北海道ものはすぐに切り口に白っぽい液が滲み出してきた。
真ん中の部分2.5cmくらいをスライスし、焼いてテイスティングすることにした。こうして断面をみるとまったく組成が違う。北海道産は淡路島産にくらべ鱗片(りんぺん)が薄く細かい。木で言えば年輪が多いということになる。ここで端っこの部分をスライスし、生で食べてみる。淡路産のものは刺激が少なく柔らかい味である。北海道産のものは、口に入れたとたんに強い刺激がこみ上げてくる。これは硫化アリルという化学物質で、タマネギの細胞が壊れた時に生成されるものだ。北海道ものはまだ貯蔵期間が短いため、成分が落ち着いていないのだろうか。非常に荒々しい強さがある。
真ん中の部分を、オリーブオイルをひいたスキレットで焼く。塩胡椒もせず、ただ焦げ目が着くまで焼いて食べる。タマネギの甘みは加熱しないと発生しない。加熱調理をして、そのものの味をみなければならない。
焼きの最中で、北海道産はプックリと内側の鱗片部が盛り上がってくる。水分が多いため、加熱により膨張しているのだろう。鍋からも水分が蒸散するジュウジュウという音が絶えない。
焼き上がり。焦げ目の付き方にも差異があることが見て取れる。北海道産は派手に焼き色がついている。
テイスティング。良く研いだナイフで縦横に切り分け、内側から試食する。予想通り味には大きな差が出た。あれだけ刺激成分を多く含んでいた北海道産だが、味の濃さという点では淡路産の方が強い。甘みもそうだ。北海道産はやはり水分が多く、細胞組織も柔らかい感じで、歯触りがしっかりしていなかった。淡路島産はどうどうたる甘みと香りと歯触りのバランスを誇っていた。北海道産も最適条件下で貯蔵し、水分含有量を落とし熟成させればまた違ったかも知れない。
ジャガイモ3つにタマネギ2個分を食べるとさすがに腹一杯になってきた。しかし農産物はやはり面白いものだ。産地×品種×栽培方法という方程式で、無限に味が変わってくるのだ。どれ一つとして同じものが生まれない。今回は平たく言えば淡路島産の方が旨いということになるが、条件が全く違うので、断言するのは的はずれだ。第一、大きな面積を機械を使って集約的に管理していく北海道方式と、小さい面積で丹念に手をかける本州方式では次元が変わる。そして北海道産のタマネギがなくなったら、廃業せざるをえない業者が沢山いるのだ。
従って食べ比べしてはみたものの、どちらがよいかという話はできないのである。また新しいタマネギが生産者レベルで入手できたら試してみようと思う。
「どっちの料理ショー」は、おそらく初めてといってよいほど「素材」とそのつくり手にスポットが当たったエンターテインメント番組である。家に早く帰れるときは観るようにしている。しかし、番組の思うツボというやつだが、毎回毎回歯軋りする思いだ。大体、応援している方が負けてしまうのである。
今回は北海道帯広名物の「豚丼」vs「海鮮丼」だ。僕の豚丼偏愛嗜好は以前のblogで書いている通りで、北海道といえばまずこれだろう、という好物である。
その豚丼が負けた、、、悔しい。何が悔しいかと言えば、海鮮丼に負けたことである。今回の海鮮丼は、ご飯に北海道の海の幸を並べたものである。新鮮極まりないスルメイカの刺身や超特大ボタン海老などをこれでもかと並べた一品。そりゃ、旨いだろう。
しかし。
海鮮丼は、はたして料理として優れているか? 豪華な食材をご飯に並べて出すというだけのものではないか。いや無論そういうのもスキだ。目の前にあったらガッツリ食べてしまうだろう。けど、本道ではないと思う。豚丼は、豚肉を炭火で焼き、タレを絡ませご飯に載せる。このシンプルさではあるが、それだけに素材とタレと焼きという工程で化学変化が起きる。1+1が2以上になるのだ。それが料理の奥深さと言うものではないか。この点で海鮮丼は、単に素材力のみで勝ちあがったと言える。それが納得いかない。
嵐山幸三郎氏も、数年前のdanchyu誌の丼特集の中で、鮭とイクラの親子丼に対して同じようなことを言っている。
「鮭とイクラを乗せても、その二つがぶつかることで相乗効果を出している訳じゃないからなぁ。その点、鶏と玉子の親子丼は全く違う。」
というような内容だったと記憶している。そういうことだ。
ま、とにかく番組では負けたが、僕は豚丼を愛している。帯広よ、、、待ってろよ~また食い倒れに行くから!
北海道の某農園から、たまねぎと馬鈴薯(ジャガイモ)が届いた。本日はちょっと疲れがたまったので休暇を摂っている。ちょうど良いので食べ比べをしてみることにした。
ジャガイモは北海道から男爵とメークインの2種が届いている。これに加えて関西の某所から、現在まだあまり市場に出回っていない新品種「インカの目覚め」をいただいているので、この3種を食べてみよう。
3種のじゃがいも、といっても男爵とメークはスタンダードな品種であり、説明は要らないだろう。さてもうひとつの新品種「インカの目覚め」だ。ジャガイモ界(というものがあるのか知らんが)では長らく男爵とメークの二大巨頭体制が続いてきた。本当は「出島」などの副次的な品種も出回っているのだが、スーパーなどでは品種名が表示されることは少なく、単に「じゃがいも」としか書かれていないので、一般の人はあまりよくわからないのではないだろうかと思う。
しかし最近、この二大巨頭時代が崩れつつある。じゃがいもがあまり売れないというのが根底にあるのだろうが、新品種の売り出しが盛んだ。一昨年あたりからキタアカリをいろんなスーパーで目にするようになった。農業者の間ではもう数年前から「キタアカリが旨い」という情報が飛び交っていたが、生産量が増え、安定供給可能になった一昨年あたりから、本格的に店頭に並ぶようになったわけだ。キタアカリで特筆すべきなのは、芋が美味しそうな淡い黄色であることと、男爵系のホッコリ感と、それまでにはなかったネットリ感が混在する、複雑な肉質にあるだろう。そして味は独特の風味があり濃厚。芋があまり得意でない僕でも、丸ごと加熱してかじりたいという気持ちにさせるものがある。
キタアカリ以外にも、インカレッドのように皮が赤い(紫っぽい赤色だ)品種もよくみかけるようになった。これは実はでん粉の採取用だったり加工用だったりするのだが、転じて小売にかけてみると、面白い物好きなお客さんが買っていくのである。
このように百花繚乱とまではいかないが、だんだんと2大巨頭体制から脱しつつあるジャガイモ界に鳴り物入りで登場したのが「インカの目覚め」だ。僕はこの芋をあるJAの人から聞いたのだが、
「とにかく旨いよ。まっ黄色で肉質はきめが細かくて、栗の香りがするんだよ。」
という紹介のされ方に、思わずよだれが出てしまった。残念ながらその時期は収穫の数ヶ月前だったので現物がなかったし、また生産量が極めて少ないため、分けてはもらえなかった。
「そうだな、男爵200ケースに1箱の割合で分けてあげるよ!(笑)」
そりゃ無理だ、、、
ところがこの秋、とある関西の某所から、
「手に入ったよ~」
と連絡あり。無理にお願いをして、5玉だけ送ってもらったのだ。感想は下記に記そう。
ジャガイモはできるだけ皮をむかずに調理して、後から皮をむくのが望ましい。そうしないと旨みが逃げてしまうからだ。そして、煮るよりは蒸すか焼いて熱を通したほうが美味しい。今日は焼くことにした。最近よく使われるようになったダッチオーブンという鉄鍋があるが、その小型版のフライパンであるスキレットを使う。油はいらない。洗ったジャガイモを並べて蓋をし、弱火でじっくり加熱する。蓋も鋳鉄製で重いので、ぴっちり密閉できるので、食材の水分で蒸しあげることができるという寸法だ。20分ほど火を通し、並べてみた。
こうしてみるとインカの目覚めが一際目立つ色なのがわかる。実に食をそそる黄色なのだ。天然塩のみで3種を食べてみる。男爵はホッコリ感と粉っぽさが同居したあの食感だ。メークも適度なネットリ感があるが、この生産者のはメークらしくなく食感と味わいが豊かなメークだと思った。
さてインカの目覚めであるが、確かに独特の香りがする。香ばしい独特の香りはしかし、栗の香りではないかな。過大に期待していると肩透かしを食らうかもしれない。それより食感が面白い。キタアカリに比べて粉状感が強いのだが適度に粘りもあるので、喉に詰まるということはない。ただ、甘いのでポテトサラダには向くまい。コロッケには良いかもしれない。
これは非常に面白いけど、売り方が難しいじゃがいもだ。特性を最大限に発揮するためには姿のまま出すのが一番よい。これを一般的な加工用にしてしまうとあまり生きてこないような気がする。もう少し手に入れば、いろいろと料理を試してみるのだが、、、
ちなみに先日燻したベーコンと一緒に薄切りにしたインカの目覚めを炒めてみたときは、非常に香ばしく美味しかった。油との相性は絶品、焦げ目を軽くつけるのは大正解と言える。
なんにしても、初めて口にする人には相当インパクトの大きい品種だ。一般に出回るのはおそらく来年からだと思うが、もし店頭で見かけた人は「買い」である。
某社の方々と会食。なぜか銀座の土佐料理の店へとご案内いただく。銀座の裏通りには,名だたる地方メーカーの直営店舗が多い。例えば秋田県の稲庭うどんで僕が最も好きなメーカーである寛文五年堂の直営店もこの辺にあるのだ。そして今日の店は「ねぼけ」という、人を食った名前の店だ。しかし店の前で驚いた。この立地で自社ビル、一軒家である。
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■土佐料理 ねぼけ 銀座店
http://r.gnavi.co.jp/g688000/map1.htm
土佐料理といえばとにかく鰹と皿鉢料理(さわち)だ。鰹は戻り鰹が旨い時期だし、贅を凝らした皿鉢は、懐石と違って一度にドンと出てくるので、酒を飲みながらどれをつまもうかと迷い箸をし、ゆっくりとつつくのに最適だ。
障子で仕切られた座敷に上がり舌鼓を打つ。鰹はやはり新鮮だ。本当は一腹すべて食べたいが、、、
豪勢な皿鉢。鯨の刺身(尾とコロ)、鯨の大和煮、鯛、鰹の皮付き刺身、イトヨリの南蛮漬け、茹で海老、とこぶしの甘露煮、うなぎ寿司、さばの棒寿司。
旨かったのはイトヨリの南蛮漬け。竜田揚げにしたイトヨリを土佐酢で〆ている。皮付きの鰹も旨い。鯨の大和煮はトロトロと溶ける。
皿鉢をつつき、「土佐鶴」を飲みながら某氏が言った。
「山本さん、食事とは快楽です。官能なんです。だから食事とセックスは同じ。」
そこから怒涛の快楽主義映画の話(フェリーニ、リーフェンシュタール、そしてマトリックス、、、)が続いた。確かに、食とは快楽以外の何者でもない。彼の薦めるる映画を今度観てみよう、、、
僕の師匠の農園である熊本・阿蘇にあるぽっこわぱ農園から、ハーブティー二種が届いた。レモンバーベナとレモングラスの二種である。これは、ぽっこわぱの研修生であるようぞうちゃんが丹精したハーブ群を用いたもので、僕が先日行った時に一緒に収穫・乾燥させたものだ。
お茶にも色々あるけれど、蒸しや揉み、そして醗酵といった専門的工程を経ずに作ることが出来るハーブティーは、誰でも作ることができ、敷居が低い。ただしその分、原料のハーブの香りと味が良くなければ、全てが成り立たない。そう言う意味では、やはり農場が丹精したハーブを用いたハーブティーは、家庭菜園ものとは別格の味と香りと思う。
特にこのぽっこわぱ農園ではバイオダイナミック農法を実践しているため、完全に有機肥料しか使っておらず、化学合成農薬は一切使用しない。土壌のパワーはすさまじく、ハーブに必要な香油成分を満開させる土質である。ハーブに重要なのは油だ。植物の醸す香油成分が最高潮に達する瞬間を見極めて収穫し、すぐさま専用の乾燥機にかけ、水分含有量を落とす。この時、若干の熱をかけるのだが、この見極めが難しい。温度が高すぎたり時間をかけすぎると香油成分が飛んでしまうのだ。ようぞうちゃんはこの辺の試行錯誤の真っ最中とのことだった。
バーベナを開封し、葉を5,6枚耐熱グラスに入れて熱湯を注ぐ。くすんだ色に乾燥していた葉がみるみる色づき、もともと畑に生えていたような色彩がよみがえる。湯にはレモン色の濃い成分が抽出される。飲んでみると、ほのかに甘い。レモングラスよりも強い成分を感じる。
バーベナの薬効である「鎮静」が僕を包み込んでいく。こうして遠く離れた阿蘇のふもとの土と、シンクロすることができるのだ。
なお、ぽっこわぱ農園では野菜の産直を行っている。ハーブティーも所望すれば入ってくるので、リクエストしてみてはいかがだろうか。
断言してもよいのだが、「地鶏」と呼称されている無数の鶏種の中で、現在最も美味しいと思うのは「駿河若シャモ」である。現在は生産農家が限られており、また生育日数が通常のブロイラーと呼ばれる鶏種の2倍、最低でも120日かかるため、極めて知名度が低く入手困難な状況だ。
しかし、それほど待たずに日本を代表する地鶏品種になるだろう。
この地鶏、静岡県の超絶飲ん兵衛&食道楽である県職員の岩澤さんが送ってくれたものだ。岩澤さんについてはこちらにも書いているが、とにかく静岡県内すべての旨いものに通じており、また酒造や生産者から絶対的に信頼されている方である。
僕はこの岩澤さんから、
「山ちゃんには静岡の旨いもんをとにかく食わせるから、どんどん世の中に拡めてくれや。」
という任をおおせつかっている。従って飲みかつ食い、そして世に宣伝しなければならないのである。
すでにこの若シャモについては、岐阜県を代表する名料亭「四鳥」に紹介し、その板長である秀ちゃんからは「こ、こいつは旨い!」と絶賛され、取引が始まっている。その辺のいきさつはここにある通りだが、僕もいささか貢献しているのである。
さてこの地鶏だが、特徴としては黒シャモという系統を品種改良して育種したということと、肥育期間を120日~150日まで長く取り、味を濃厚に凝縮させてから肉にするということに尽きる。
スーパーで普通に売られている鶏肉はブロイラーと呼ばれるものだと言うことはご存知だろう。しかしそれら鶏肉が、工場のような窓も無い環境で育てられているところを実際に見た人はいないだろう。60日~90日くらいの短期間で成育し出荷する。効率を優先しリスクを抑えるために医薬品を多量に投与する。その現場を見ると、おそらく食べる気をなくすこと請け合いだ。
無論、それが「悪い」と言っているわけではない。僕も、ブロイラーのあの柔らかくボロボロとした食感も嫌いではない。しかし、「鶏を食べる」という時、どうしても想起するのは、平飼いにした地鶏なのだ。駿河若シャモは、それこそ平飼いの環境で育てている農家さんが多いので、ストレスなく育ち、その肉質は適度に噛み応えがあり、そしてとてつもなく濃い味がする。
この黒い鶏が、駿河若シャモだ。黒いということは旨いと同義なのか、というくらい「黒○○」というのが多い。黒豚、黒麹焼酎、ウコッケイも黒い鶏だ。ちなみにこの写真は、静岡県中小家畜試験場の芝生で撮影したものだ。かなり大柄な鶏で、肉もかなり採れるので歩留まり率は高い。ガラからは極めて濃厚なスープが採れる。
ちなみにこの写真に写っているのが、生産農家の中でもトップクラスと言われている鈴木さんだ。彼女は素晴らしい生産農家さんで、何人ものシェフ・板前が名指しで彼女の飼育する鶏を欲しがる。それもそのはずで、鈴木さんは基本的に無投薬。つまり化学薬品を投与しない。飼料によって「嫌なにおいが鼻につく」ことがあるので、デリケートな飼料を配合している。また、出荷に際しては、飼育日数が何日目だから出荷、という選び方はしない。玉子を生む直前のメスが旨いので、お尻を触って玉子の出産間際の鶏を出荷する。「こだわり」とかそう言うレベルではないのだ。そして彼女の鶏は、やはり柔らかい味がして、旨い。
ちなみに驚くべきことに、彼女は静岡の銘酒「開運」の酒造の娘なのである。僕が手にしているのがその酒だが、なんと12000円もするものである。役得、、、
ま、それはともかく本日は、岩澤さんが飼育した若シャモだ。しこたまいただくことにするのであった。
この若シャモ、一番旨い食い方は、炭火焼に尽きる。一口大に切った腿・胸・肝に天然塩を摺り込み、しばらく置いてなじませ、炭火をぐわっと起こし、強火で炙る。焼けた端から油がジュウジュウいっている肉片を口に放り込む。炭火で燻されスモーキーになっている肉片を噛むと、控えめな肉汁と若干の酸味、旨み成分が口に広がる。レバーはこれまた最高だ。臭みは一片もない。これには軽く塩を振るだけだ。
クライマックスは、釜飯だ。兄弟分の工藤ちゃんからもらった釜飯用のミニ釜に1合米を仕込み、腿肉で取った濃厚な出汁を米にたっぷり吸わせる。肉は甘辛く煮付け、炊き上がる直前に汁ごと釜にあけ、蒸らす。こうして出来た釜飯は実に最高だった。
添え物はもちろん肉で取ったスープだ。ガラがあればもっと面白いのだが今回はガラなし。このスープがまた絶品なのだ、、、
ま、この若シャモ、観るより味わってみなければ、旨さのほどはわからないだろう。本当にびっくりの味なのだ。ただし、一般的に入手は困難を極める。売っているところがないからだ。でも、僕はとりあえず岩澤さんと鈴木さんから「欲しいときはいつでも言いな」と言われている特権階級男である。どーしても食べたい人は相談されたい。
本日の朝は、立て続けに遠方から食材が届いた。静岡県からは先日の中小家畜試験場より「駿河若シャモ」の腿肉と胸肉、ササミ、肝が1羽分届いた。これは大御馳走である。塩をもみこんでいただこう。
それと同じタイミングで届いたのが、広島県東広島市の安芸西条という地域を原産地とする柿で、その名も「西条柿」だ。送り主は、もうこのblogではおなじみの、広島の名門酒造「竹鶴」の杜氏である石川達也さんだ。この柿は主に山陰地方で栽培されている柿で、弾丸形の美しい、きりっと締まった姿形をしている。実はもともとは渋柿であり、ドライアイスを用いてポリ袋に入れ、渋抜きをした形で送られてくる。渋が完全に抜ける日程が書かれているので、その後に袋を開けて食べる寸法だ。
これまで柿を夢中になって食べたことなどなかったのだが、この柿はヤバイ。袋から出した段階で甘い香りが漂う。皮をむいてかじりつくと、本当にびっくりした。サクリとした歯ざわりと、ヌメリとした滑らかな食感が同時にくる、あの感覚。そしてパッと広がる香りはとても強く、その後に強烈な甘味が口に広がる。甘い!なんと糖度は20度にも達するそうで、これはアールスメロンと同等かそれ以上の甘さだ。明日、糖度計をつかって計ってみよう。
石川杜氏に電話すると、
「いやいやいや、あ~、広島にも旨いもんはあるっちゅうことで送っといた。」
うわー広島にも旨いもんはあるどころか、旨いもんだらけじゃないか!しかし、おかげさまでまた味のボキャブラリーが増えた。
西条柿は、掛け値なしに旨い。良いものをいただいた。御馳走様でした。
ほんの木からつい先日出版された
「危機かチャンスか 有機農業と食ビジネス」 矢崎栄司著
に、僕のインタビューが6ページ分掲載されている。
本の帯には大仰にも、
「オーガニックが日本の食と農を救う?! 界のリーダー38人のロングインタビューを掲載!」
とある。知らない内に「業界のリーダー」になってしまったらしい。けど、あまり嬉しくないんである。
インタビューされている38人はオーガニックビジネスに関わる生産者・団体・流通業者などのトップが多いのだが、僕の位置づけは「インターネット販売」である。しかもこの本の取材、なんと2年前のものだ。実は謹呈本が送られてきた時、なんのことなのかわからずきょとんとしてしまったほどだ。ようやく思い出してみると、人からの紹介で、話を聞きたいという著者の矢崎さんを迎えたのだ。その際にも本にしたいという話は聴いていた。
こういう場合、インタビューを起こしてからのゲラを見せてもらって校正をしたりするのが当然だろう。まして、取材から時点が相当にずれているのだから、内容修正も含めて打診があって然るべきだ。しかし、今回はそういうことが一切無かった。だから、内容を読むと明らかに古い。その時点でのベストな話をしているが、現在では陳腐化している部分もある。もっと良くないのは、取引先の実名が出てしまっていることだ。これは、ゲラチェックがあれば当然削除を要請する部分である。どこの企業が取引先を空かすだろうか。しかもそことは現在は取引をしていないのだ、、、
ま、内容的には実名が出てしまっているところにも害はまったく無いはずなので仕方がないかと思うが、著者には厳重な注意をさせてもらった。ま、自分が掲載されている本だから、売れて欲しいとは思うのだが、複雑だ、、、
静岡県には、素晴らしい食い道楽人がいる。岩澤さんという県の職員さんなのだが、この人は静岡県内の全酒造に顔が利く方で、相当な飲んべえ&食い道楽。現在は、先日もベーコンを作りに行った中小家畜試験場にて、駿河若シャモという地鶏の育種をしています。この若シャモはおそらく現在最も旨い地鶏である。それはまた今度書くが、今回は岩澤さんにまた素晴らしい食材を紹介してもらったので、そちらを採り上げたい。
先日のハム・ベーコン講習会で知り合ったのが、静岡県の浅羽町というところの商工会の方だった。この浅羽町の地域食材の動きはとても活発で、目玉は豆腐。原料の大豆は町内の農家さんが自家生産し、その大豆を使って豆乳と豆腐を作り販売をしているのである。メーカーさんはその名も「どんどこあさば」。
特筆すべきなのはその技術。超微粉化という技術を使っていて、大豆をミクロレベルの粉にし、呉汁にするという方式をしているのだ。その粉を湯に溶いて呉汁にする。つまりおからを出さない、大豆成分を丸ごと汁にしてしまうという方式なのだ。実はこの技術自体は結構広まっていて、事例も多いのですが、肝心の旨い豆腐が少ない。粒状感が残って、舌にざらついた食感になったり、くどい甘みが残ったりというように、あまりいい評判を聞かない。元々、微粉にしてしまうことでおからが出ない=産業廃棄物が出ない、という発想で機械メーカが作ったようなものだからかもしれない。
しかし!
この浅羽町の豆腐は、旨い。製法上、絹ごししかできないが、マジで旨い。
まず地域の農家が地域の豆腐屋向けに生産している訳だから、手抜きナシの良質の大豆を原料にできる。原料大豆の品種も色々あるが、フクユタカがメインだ。この品種、旨く栽培するととにかく濃厚なタンパクが採れる。それを微粉加工し丸ごと使っている。ちなみに通常の方法で豆乳とオカラを分ければ、豆のエッセンスだけが豆乳に残るので、滑らかだし雑味が入らない。オカラは滓(かす)なので、それ自体の味はじゃまになるわけだ。しかし、良質な大豆を使えば、オカラ部分が入っても味がまったく濁らない!それどころか濃厚さが増し、独特の滑らかさを醸している。味は甘みが強く、豆乳味が濃い。香りも立っている。
ちなみに豆腐も旨いが豆乳がまたメチャ濃厚で旨いのだ!スーパーで売っている豆乳は調整豆乳といって、加工しているものだ。あれをコップ一杯飲んで「まずーい」というイメージを持っている人に試して欲しい。ここの豆乳は、おちょこ一杯分くらいで十分と思ってしまうほどに濃い。そして、なんとも上品。濃くて上品ってすごいことですよ!そのまま飲んでも旨いが、醤油を少し垂らすと、超絶に旨い。これをホワイトソース代わりにしてグラタンにすると、もったいないけど最高である。無論、この豆乳を鍋で熱してニガリを混ぜれば、おぼろ豆腐になる。ちなみに豆乳を買うとパックのニガリが付いてくる。もう言うことないのである。
この浅羽町の豆腐、ネットで購入が可能だ。しかも価格が無茶安で、豆腐が1丁150円、豆乳は500mlで380円~480円。原料大豆にはなんと黒豆もあり、この黒豆豆腐はまた違った風味で楽しい。これからの季節、1週間程度は冷蔵庫で持つので、一度に沢山買い込んでも送料分は惜しくないだろう。
ちなみに今の季節だけ、黒豆の枝豆が収穫できる。ぼくはきっちりいただいた。
黒豆の枝豆は最近ブームだが、味が濃く、茶豆とは違った風味があって素晴らしい。そうそう、知らない人が結構多いようだから言っておこう。
「枝豆とは、未成熟な大豆のことである。」
これ、知らない人けっこういるんだよね、、、
ともあれ、旨くて安くて環境にもよい。関心の有る方はぜひ一度取り寄せて頂きたい。スーパーで買う物とは段違いである。
関西の友人から、東京に出張に出てくる際に、大手町周辺で何か旨いランチが食べられるところを教えろと言われた。そんな貴重な情報、むやみには教えたくないが教えてあげよう。
もしランチで3500円というA級グルメを堪能したいなら、東京駅八重洲口から歩いて5分たらずの料亭「日本橋ゆかり」を推したい。ここはとある料理研究家の先生から教えてもらったのだが、とにかく素晴らしい。松花堂弁当スタイルの2段のお重に、ビッシリと日本料理の粋を凝らした品々が並ぶ。ちょっと高いと思うかもしれないが、満足度で言えばここ以上のものはないだろう。
もうちょっと手軽に洋食を楽しみたいのであれば、八重洲口から300メートルほど歩くが、丸善ビルの屋上にあるゴルフ練習所の横に、クラブハウス風のレストラン丸善がある。ここのハヤシライスはすこぶる旨い。オーソドックスで、何も奇をてらうところがないのでなんとも説明しにくいのだが、実直に旨い。ドミグラスは濃厚にして優しい。昼時に並ぶと、列にいるのがご年配の方が多いのだが、これも「優しさ」と「懐かしさ」故だろうか。
八重洲方面から離れて大手町周辺となると、私が仕事でよくいくことが多いJAビルの地下に足を運んでみるとよいだろう。丸の内線の改札からすぐのところに食堂街があり、インド料理「ガネーシャ」がある。ランチ時には、800円くらいでカレー二種とナンとターメリックライスが付いてくる。味は超一流のインド料理店には劣るが、ライスとナンはお代わり自由で、僕はだいたいいつもライス3杯とナン2枚食べる。
この辺が、女性にもお薦めできる名店群なのだが、、、
僕がもっとも愛している店は他にある。その名は「リトル小岩井」。JAビルとは反対側の丸の内線の改札に近い、小さな喫茶店コーナー&サンドイッチデリである。そう、構えは実に綺麗な店なのだ。正面から見ると、テイクアウト用のサンドイッチがずらりと並び壮観にしてなかなかしゃれた雰囲気である。
名前からしてもどうやら岩手県の小岩井牧場の関係らしく、ショーケースには小岩井牛乳が並んでいる。サンドイッチも人気が高く、昼時にはOLがテイクアウトコーナーに並ぶ姿がいつも見られる。
が、しかし。
この店のウリはサンドイッチではない。実はこの店、スパゲッティ屋なのである。スパゲッティといっても、イタリア風アルデンテの世界では全くない。昨今絶滅したかと思われていた、あの喫茶店でよく出たスパゲッティの店なのだ!こういったスタイルの店は、実は水面下に結構ある。有楽町の「ジャポネ」はかなり有名で、僕もここのナポ(ナポリタン)は大好きだ。これらの店に共通するのは、下記だろう。
・麺は極太。おそらく2.5MMくらいの太さだろう。有名な名古屋のスパゲッティハウスヨコイの使っているボルカノ食品のスパだろうか?
・麺はあらかじめ茹で上げているもの(!)をフライパンで具と炒め、ものの数秒で仕上がって出てくる。
・メニューには必ずナポリタンとジャポネ(しょうゆベース)、インディアン(カレーね)がある。
・これらをゆめゆめ「パスタ」といってはいけない。あくまで「スパゲッティ」である。とはいうものの、リトル小岩井の看板には「パスタ&デリ」って書いてあるんだけどね(笑)
いまどき「茹で上げ麺」である。しかも超極太。これはふやけて太くなっているわけではない。元から太いのである。その証拠に、噛むときちんと歯ごたえがある。
さてリトル小岩井もこの流れを汲むスパゲッティ屋で、メニューには先に述べた基本3種に加え、ナスの味噌炒めと麺をからめた「辛みそ」や、とうていジェノバペーストなど使っていなさそうな「バジリコ」などがある。しかし、はじめていくならやっぱりナポ!だろう。
昼食時にいくと、とにかく並ぶ。回転がやたら速いのでそれほどは待たないで済むが、とにかく並んでいる。その9.5割がおっさんである(写真参照のこと)。
この地下街は昼時にはOLや会社員達でごった返すのだが、ひときわ長い列がここにはできる。そんなにも支持を受けている店なのだ。単なるB級ではないことがおわかりであろう。
席につき「ナポ大盛り」と頼むと、コールスローの小皿が出てくる。ここのコールスローは特に旨いというわけではないが、たまに別皿でも注文してしまう。そしてだいたい3分以内でスバゲティが運ばれてくる。何度も言うがパスタではない。スパゲッティである。極太、真っ赤っかである。具はベーコンと玉葱とピーマン。これに卓上の粉チーズをブワッとかけて麺を啜る。ああ、、、これだこの味だ!学校給食でよくでてきたソフト麺並みにぶっとい麺は、程よいコシでぷつりと切れる。甘すぎないトマト味は、ケチャップではなく、特製ソースの存在をにおわせる。まあとにかく馬鹿にしないで食べてみてほしい。B級と侮れないくらいに旨いのだ。しかも、大盛り50円増しにすると僕でも確実に腹いっぱいになれる。ちなみにナポは650円である。
もぐもぐもぐもぐもぐもぐ
ひたすら麺を啜り、唇を真っ赤に染める。相席でびっしりサラリーマンが座る店内は、ただ麺を口にいれもぐもぐもぐもぐと食べる人たちで一杯なんである。このB級さ加減、とっても大好きである。もしうちの会社が大手町にあったら、確実に僕は週に3日はここで食べているだろう。
ちなみにここのサンドイッチもなかなかイケル。旨いのはコンビーフをキャベツのみじん切りとマヨネーズと和えてイギリスパンに挟んだコンビーフサンド(180円)と、コロッケロール(210円)である。ハムエッグサンドはボソボソしていて旨くないので要注意だ。
どうだろう?参考になっただろうか?東京駅周辺はなかなかのワンダーランドなのである。
外回りの仕事が一段落ついた後、産業総合研究所の江渡君と加賀谷と落ち合い、現在作成中のデータベースシステムについて会議をした。
江渡君は、ネットワークやメディアアートの世界では超有名な、日本有数の頭脳だ。彼の業績はここをご覧いただきたい。ちなみに僕は彼の結婚式の友人代表スピーチをしている。マブダチなんである。
打ち合わせ後、江渡君いきつけの焼鳥屋、「東京やきとり亭 六義園店」に行くことに。江渡君もなかなかに食事にうるさい人なので、期待できる。
産総研の入っているビルからすぐのところにあるやきとり亭では、看板に誇らしげに「名古屋コーチン」と書かれている。名古屋コーチンの焼き鳥は相当に単価が張るだろうなぁと思いながら入店する。
焼き物を出す店だが、店内はきれいに調度されている。酒の冷蔵ケースを覗くと、いくつかの銘柄焼酎とワイン、日本酒にはおきまりの黒龍と、明鏡止水がおいてある。品書きを観ると、なんと僕の好きな静岡の銘酒「正雪」本醸造があるので、これは絶対に飲もう。
あとは江渡君の手引きで注文。3000円・2000円のコースとかもあるが、1000円で正肉、だんご(つくね)、腿肉の三種が来るセットに、単品で正皮、肝、元気鍋、釜飯を頼んだ。
肝心の焼き鳥だが、いわゆる木串での焼き鳥ではない。焼き場でいい感じに仕上げた肉を数片ずつ皿に載せて持ってきてくれる。このため正肉などは串に刺さず肉片が3切れ乗ってくる。地鶏は大好きだが、コーチンはとにかく高くてイカンなぁと思う。コストに見合う味かといわれると、何ともいえないというのがいつも抱く気持ちだ。しかし、この店では苦労しながらも、割安に食べさせる工夫をしていると思う。一皿の分量は少ない(僕にとっては)が、満足感はそれなりに味わえる用になっている。基本的には塩味ベース。肝のみがタレで供される。ここの肝が旨かった。肝自体は勿論だが、タレが旨いのである。濃厚な色のタレは舐めてみると醤油の香りが立つが、それほど甘くない。特に水飴っぽいとろみが余りなく、しつこくない。これを飯にかけて食べたい。
焼き鳥が出てきた後は元気鍋。コーチンとキャベツ、ごぼう、ネギ、ニラ等がスープで煮込まれた鍋を、コーチンの卵入りポン酢で食べる。コーチンの肉はほんとにチョビッとしか入っていないが、これはスープを味わう料理だろう。具を食べ終わるとうどんを入れてくれるが、そのうどんがなんと稲庭うどんの最高峰、佐藤養助商店のものだ。絶対に機械打ちをしない、本当の稲庭うどんだ。これを鍋で熱くして啜る。
釜飯は一般的な鶏釜飯だが、奇をてらっていない味で好感がもてる。この辺で江渡君が「もう食べられない」とギブアップ。そういうやつは大好きである。残りは俺様が食べました。
ビールと日本酒を飲んで、3人で12000円強。コーチンの店としてはリーズナブルな店だと思う。
店を出てのんびりと歩く。別件があったので巣鴨まで歩いて打ち合わせ。その後、乗り慣れない三田線に乗ったら、反対方向に5駅くらい行ってしまった。戻っているうちに最終電車の時刻になり、大江戸線の清澄白川駅で電車が終わってしまった。自転車がある門前仲町まで徒歩20分。かなり気温は低いが、Tシャツでぐんぐん歩いた。これはこれで、いい気分だった。
このページ左側のプロフィールをみていただくとおわかりのように、農業関連の雑誌である「農耕と園芸」という月刊誌に、隔月で連載を書いている。「俺と畑とインターネット」というくだらないタイトルのものだが、なんと実に8年間も連載を続けている。
また、農産物の生産・流通に関しての各種原稿依頼が来るので、出来る範囲で年間に20本くらいは執筆している。
これら原稿は、農業関連メディアという、どちらかというとマイナーな媒体にしか出ない。しかも原稿料は格安で死にそうだ。それではせっかく書いたものがもったいないので、新たにこれらを公開するblogを作った。
食い倒れ日記にマジメモードで書くのはイマイチと思うのでこうした次第。ご関心があれば、覗いて欲しい。
今夜は、我が国が全世界に誇るメディアアーティストである江渡君と加賀谷と僕とで、ある仕組みの打ち合わせ会議をする。この仕組みが日の目をみたら、相当に面白いことになるだろう。そしてその打ち合わせ後、六儀園の横にある絶品焼鳥屋で飲みである。楽しみだ。
寿司処「匠」が掲載された「おとなの週末」だが、効果はあったようだ。金曜日の夜に、以前会社にきていた大根を7本あげたのだが、自分の家用まであげてしまったので一本とりにいった。店はテーブルひとつ残してほぼ満席。ほとんどがご新規さんだ。
カウンターには加藤ちゃんとバイトの娘の他に、2名の若い板前が居た。1人は助っ人だが、1人は今後常駐するらしい。若手に指示を出し、いそいそと動き回る加藤ちゃんの声は、いつもより少しだけ昂揚している気がした。
しばらくの間、匠にいこうと思う人は、予約の電話を忘れないほうがいいだろう。
そして自宅に帰って、親友2人を招き、男三人ダメダメトリオの宴会。したたかに飲み、喰い、酔っ払い二名が自転車でふらつきながら帰っていった。その片一方の加賀谷から電話があった。
「あー、事故に遭っちゃった。これからでかい病院にいってくるけど、鎖骨骨折した。」
なんということ、、、泊めてやったほうがよかったか。おい加賀谷、来週の週末までに治せよ。
今日は岐阜県情報顧問の神成氏の結婚パーティで、幹事である。今夜も酒ということだ。
新聞各紙で報道されている通り、標題の事件について、最高裁が農家側を敗訴とした二審判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻した。この報に接した各メディアから「報道の自由が規制されることを憂慮」する旨のコメントが出ているが、これは考えさせられる問題だ。
どの世界でも同じとは思うが、業界内部の常識とそれを取り巻く一般社会の常識にはズレがある。お茶を「野菜」と表現することは、農業関係者からすれば全くあり得ない話だ。しかし、一般社会からすれば、「農産物にかわりはないでしょ?」と言われるケースもあるだろう。
お前はどちらに立つのか、と問われた場合、私ならどうするか。基本的には、この世の農業を栄えさせたいと考える自分としては、テレ朝に非を求めざるを得ない。私の価値観からすれば、あの報道内容は明らかに適切ではなかった。また、所沢には生産者の友人が沢山いる。実際そうした友人が出荷できず、苦労した場面を直接みてもいる。当時はテレ朝そしてニュースステーションの顔といえる久米キャスターに嫌悪感を覚えたものだ。
しかしこの判決が言論弾圧や報道規制が強化されるという結果を生み出すのは是としない。事件は、報道に関わった個人の判断能力の欠如から発生しているはずだ。そうした個の判断能力やもろもろの要素を、社会的・構造的な規制で改善することは不可能ではないだろうか?問題は別のところに有るとしか思えない。
直截に言ってしまえば、あれだけインパクトの大きい報道を行うに足る裏付けを、合理的に獲得する能力を有していないならば、報道などしてはいけない。それが原則だろう。その原則すら守れないようならば報道などすべきではないのではないか?ということだ。無論、「裏付けはとれていた」という認識やデータがあるならそれは結構。ただ、社会的判断としてそれが「不適切」とされたのであれば、責任を問われるのは当然のことだ。
そういう覚悟を持ったメディア関係者はどれくらい居るのだろうか。
ということを考えた一件だった。今後どのようになるのか関心深いテーマだ。
ああ、イカンイカン。ついマジメになってしまった!今日は家で男3人ダメダメトリオの宴会である。
今日は久々に完璧な食い倒れが満喫出来た。静かな満足が僕を包んでいる、、、
朝から重要な会議。きっちり仕事しましたぜ!マジで! 朝飯も食べずに、客先を辞去したのが12時半過ぎ。もう腹は減りまくっているのであった。同行の青果物流通業者の方々と共に昼食をということになる。
会議が住道(すみのどう)という場所だったのだが、駅までの道のりにいろんなものがあって冷やかして帰るのが面白かった。豆腐屋ではいかにも旨そうな生湯葉が売っていたので足を止めると、ひろうす(がんも)も旨そうだ。2つずつ買い求める。湯葉はわさび醤油か、柚子胡椒で食べると旨いらしい。
商店街に入る前の空き地の横で、何やら面白い車が停まっている。なんと業務用の電気オーブンを積んで、その場でメロンパンを焼き、直接販売をしているのだ!焼き上がり時間の目安が書かれており、すでに5,6人の行列ができている。俺の闘魂は一気に燃え上がった。
並ぶこと5分、見事焼き上がったメロンパンを同行の皆さん分も買い求め、出来たてアツアツのメロンパンにかぶりつく。表面は当然ながらクリスピー感たっぷりでカリっとしているが、クッキー生地の部分以外は驚くほどにフワフワ。生地に空気をたっぷり含ませているので、大きめなのに実にライトなのだ。内部に密に詰まっていないので、軽く食べられてしまう。これは幸先がよい。
■シャレードのメロンパン 120円/個
移動店舗(っていうか、車)なので、大阪府内を適当に巡回しているらしい。
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さてその後は同行の方々とみっちり2時間の会議であった。梅田の地下街の喫茶店で会議をしている間、地下街のトイレに行ったとき、どうにも気になる店を見つけてしまった。それが「ピッコロカレー」である。インディアンカレーと同じように数店舗のチェーン展開をしているようだ。雑誌に取り上げられたりしているようで、店先には記事のコピーが貼られている。同行の皆さんに聞くと、
「うちのおかんは大阪ではピッコロカレーが一番美味しいって言うてました。」
という。
実は本日は、昨晩食べられなかった「インディアンカレー」に絶対に行こうと思っていたのだ。しかしこのピッコロカレー、非常に気になる。なんといってもトイレの横にある8席しかないカウンターだけの店というのが、絶妙にソソルのだ。
その時、食い倒れの神が俺にこう囁いた。
「心配するでない。ピッコロカレーではビーフカレーを食し、その後インディアンカレーにてハヤシライスを食べればよいのだ。さすればカレーが重なることはない。」
おおっ そんなことは考えてもみなかった! なんと素晴らしい啓示だろうか!? 実は昨晩、本格派インドカレーを食べ終わり床に就き、ひそかに悩んでいたのだ。
「インディアンカレーは実に旨いのだが、あそこのハヤシライスも食べてみたい、、、でもカレーも食べたい、、、どおしよう!?」
この悩みが一挙に解消されるのである。あとは、肉まんやら何やらを詰め込んだ胃袋にカレーとハヤシが入るのか?という点だけであるが、そんな心配はないことは読者の皆様はご存知だろう。
ピッコロカレー店内は、渋く光るカウンター席と、8席の丸イスで構成される純喫茶風の調度だった。ビーフカレー、チキンカレー、シーフードカレーが品書きされている。ビーフが旨いと聴いているので、ビーフを頼む。店番の女性がまず別皿に白菜の浅漬けを出す。大阪のカレーの付け合せは面白いなぁ、インディアンカレーでもキャベツの甘酢漬けがでるし。業務用アルミ鍋に一人分のルーを入れ、熱を通す。ご飯を盛ってその上にたっぷりと濃い茶褐色のルーをかけ、それは供された。
■ピッコロカレー
・ビーフカレー 980円
濃い。
とにかく濃厚なプレゼンテーションである。茶褐色というか暗褐色のルーは、見るからに煮込まれ度の高さと深さを感じさせる。スプーンで軽く混ぜ、口に運ぶ。インディアンのようなパッと散るような辛味はない。見た目通りの濃厚でねっとりとした芳香が立つ。牛肉はスネか肩を長時間煮込んでいるようで、やわらかい身がゴロゴロと入っている。これもおそらくバラ肉をつかってトロリと仕上げているインディアンとは対照的だ。無論これはこれで好ましい。美味しいカレーだ。量的にも価格相応に盛りがよく、満足いく。皿を舐めるようにいただいた。これは、家庭で食べる日本風カレーを、限りなくプロフェッショナルに拡張したカレーだ。そのため、実に心地よく懐かしく、期待を裏切らない味だと言える。いい店を見つけた。
しかし、
と、地下街を「インディアンカレー」に向かって歩きながら自問した。俺が求めていたカレーはあのピッコロカレーだろうか、と。昨晩から俺の魂が欲していたのは、鋭くエッジの立った、風が通り抜けてゆくあの感覚ではなかったか、と。
と、格好つけてみたが、単にインディアンカレーにも行きたいだけである。ここ1ヶ月半の内に3回目だ。いや、今後もできることなら大阪にきたら必ず寄りたいのだが。今日はしかし、カレーではなく、前回隣の人が食べていて気になったハヤシライスを頼んでみよう。エッジの立ったカレーはまた次回だ。
ちなみにカレー780円に対してハヤシは600円と安い。スパイスや手間がカレーよりかかっていないのだろうか。カウンター中央の飯櫃(めしびつ)のまん前に座る。これまでも観察していたのだが、この飯櫃前にいるのが店のチーフである。山田と名札に書かれた、20代後半っぽいそのチーフは「いらっしゃいませ」を言うとき、愛想笑いのひとつもない。かといって不快な無愛想感を漂わせているわけでもない。そして飯櫃から適量のご飯を皿に盛り、カレーをレードル一杯分、綺麗にかけて供する手際は、どうみてもプロフェッショナルである。このカレーかけはどんなに店が混んでも彼一人が担当している。
ハヤシが出てくる。なんとも初めて見る色彩である。オレンジに近いトマト色、玉葱は櫛型カットが大量にのっている。そしてグリーンピース6粒。うーむ適度なチープ感が漂っている。このハヤシは山田チーフではなく奥の厨房でソースがかけられて出てくる。さて、どのような味だろうかと一口食べて、驚いた。カレーで感じたあの甘さが、ハヤシだとストレートに出てきている。甘い。無論、好ましい甘さである。玉葱のプンとする香りが鼻腔を抜ける。ハヤシのソースはこれもまたねっとりしており、口中に適度な摩擦感を感じさせながら甘味を発しつづける。う、、、旨い!こんなハヤシライスは初めてなのだった。
無論カレーとは違って辛味は一切ないのだが、なぜかあの「エッジ」を感じる。それは、完成度といってもいいかもしれない。全く、隙や脇の甘さがないのだ。それも味だけではなく全体の世界観を通じて、である。これはびっくりした。
その世界観の礎を発見した。さきほど触れた飯櫃である。この飯櫃、単なる業務用のガス飯釜かと思ったが違う。本当に飯櫃なのだ。ステンレスの胴の中に、キャンバス地のような布の飯袋をいれ、そこに炊き立ての飯を詰めて保温しているようだ。これに気が付いて感動してしまった。大体どこのカレー屋でも、業務用ガス釜から直接飯を盛っている光景を見る。でもこの店では、飯櫃ひとつにもこだわりを見せている。そう思いながら見ていると、貴重な場面に出くわした。飯を使い切って、新たな飯を充填するシーンだ。奥から新しい飯釜を持ってきて、入れ替えをするところだった。残念ながらハヤシを食べ終わってしまい時間が経っているので席を立たざるを得なかったが、なんだかこの店の世界観を構成する重要なポイントを発見したような気持ちになった。
大阪は、善い。顧客を喜ばせるためのプロフェッショナリティとサービス精神に満ち溢れている。仕事がうまくいったこともあり、気持ちよくのぞみ号に乗り込み、帰郷して、これを書いている。あー、旨かった。
僕の現在のno.1である寿司匠が、とうとう雑誌メディアに掲載された。
紙面は「大人の週末」だ。この雑誌は先月に月刊化されたもので、他誌に比べると、カラーページが多いのに価格設定が非常に安い。加藤ちゃんも喜んでいるし、良いことだなと思った。昨年11月の開店以来、閑古鳥が泣いていたり、一日に1人もお客が入らない時期があったりした。その時分からのつき合いだから、やっぱりこの店がメディアに採り上げられると嬉しい。反面、繁盛してしまうと、今のように兄弟のようなつきあいが出来なくなるのではないかというのもあってちょっぴり寂しい。
大阪出張の前に東京駅にて当の紙面をパラパラとめくる。3000円台で食べられる寿司屋という企画らしい。加藤ちゃんが修行をしていた寿司大が特集の先頭を飾っている。
で、肝心の匠のページだが、なぜか大きく掲載されているのは握りではなく、金目鯛の煮付けの写真だ。ムム?と言う感じ。にぎりの写真は10貫を皿に盛ったのが掲載されているのだが、なんとなくシズル感に欠ける印象だ。うーむ、、、 その場で板前の加藤ちゃんに電話すると、やはり反応はよくない。僕と同様の感想であったようだ。
とはいえ、広告掲載ではなく取材記事としてメディアに載った。一つの実績としては上々だろう。これでどれくらいの集客になるのか、期待しておこう。
またも大阪出張である。しかも朝からの仕事なので、前泊する。うーむ嬉しい!大阪には友人が多々いるのだが、同じ農産物の業界にいる親友と会うことにした。今回は翌日の仕事の関係で京橋というところにホテルをとったのだが、着いてみてビックリ、繁華街というか歓楽街というか、東京でいえば新大久保のようなところだった。びっしりと店が並んでいるが、立ち呑みの店や串揚げ、魚料理やラーメンなど、素晴らしく雑多にして猥雑な空間が広がっていた。こういうのは大好きなのである。片っ端から食いまくりたいという活力が身体からみなぎってくる。
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友人と落ち合い、店に移動。実は、大阪出張編ではすでこのblogに2回登場している「インディアンカレー」が好きだ、と言っておいたのだが「この近くにあったよ。そこに行こう」という。インディアンカレー、京橋にあったっけ?と思いながら風俗街を抜け、繁華街のはずれまで歩いてきたところに、非常に美しいアジア女性が店先で通りをじっと見つめている光景に出会った。年の頃30台後半か。アルカイックな眼がとても印象的だ。と、思っていたら友人が「ここだここだ」という。
えっ?インディアンカレーじゃないじゃん、と思いながら合点がいった。友人は、僕が「インドのカレー」を食べたいのだと思ったのだ。僕は「インディアンカレー」というチェーンに行きたかったのだが、説明不足だった。が、くだんの店は明るいログハウス風喫茶のような綺麗な店構えで、何よりこの印象的なアジア(っていうかインド)美女がいらっしゃる。非常に速やかに僕の心は本格インド料理向けにリセットされた。
店名:アルナーチャラム
大阪市都島区片町2-7-21
06-6881-6771
店内はきれいな喫茶店風だが、厨房を覗くと本格的なタンドールがある。ナンやタンドリーチキンを焼くための壺だ。金属製の壷の中に火をおこし、内壁にナンの生地を張り付けて焼くためのものだ。本格的なタンドールがあるということは、きっちりとしたナンが食べられるということだ。しかも料理人はネイティブのインド人が2名だ。それに先ほどのインド美人が厨房にいる。うーん楽しみになる、、、
メニューはワープロうちされたもので、全てに日本語の説明が入っているが、料理自体は全く北インドのバリエーションだ。タンドール料理各種にパコラ(揚げ物)、いわゆるカレー各種にビリヤニ(ピラフのようなものだ)。その各種に、チキンかエビか野菜か、素材を選ぶことが出きるようになっているようだ。
店内でサーブしているのは日本人のお姉さんである。この人もなかなかに美しいので、いろいろと相談しながらメニューを決める。
・ベジタブルパコラ
・チキンサグワ(チキンとほうれん草のペーストカレー)
・シュリンプガルニ(エビのカレー)
・チキンのガーリック焼き
・チキンビリヤニ(ピラフ)
・ナン
運ばれてきてびっくりした。どちらかというと王宮料理系の、まろやかにしてリッチな味わいのインド料理なのだ。二種のカレーのうち特にシュリンプのカレーは、トマトが多用されていて真っ赤で、そしてマイルドで非常に旨い。本気で旨い!東京でもあまりお目にかかれない系統のインド料理だと思う。
お姉さんにヒンディー語で「美味しい」はなんというのかと尋ねると、
「アチャ」
だという。ここから店内にブルースリーが2人いるような状態になったことは言うまでもない。
「アチャ、アチャアチャ!」
しかし実際に旨いのだ。マサラの芳醇な香りが、トロリとしたサグ(ほうれん草)と溶け合っている。いたずらに尖った辛みはなく、実にマイルドな王宮ぶりだ。
あまりに「アチャ」が多いので、料理人が代わる代わる僕らを見に来る。ひたすら食べて、最後に茄子のカレーとご飯をまた頼んでしまった。
デザートはクルフィーというアイスキャンディーにチャイだ。もう大満足。友人Mよ、よくぞ俺の真意を誤解してくれた!なんと良い店に突き当たったことか。
最後にみなさんと記念写真を撮った。なかなかインド美女は入ってくれようとしなかったが、、、
これだから大阪はやめられない。もっとこよう、と思いつつ友人と別れる。その後、俺の足は自然と繁華街に向かっていた。風俗店の兄ちゃんが客引きをしてくる。その兄ちゃんに「あのさ、ラーメン旨い店ってどこ?」と訊くと、気勢を逸した兄ちゃんは「僕やったらサイガのスタミナラーメンですわ」という。その兄ちゃんを信じて、2分後にはサイガのカウンターに座ってスタミナラーメンと餃子を食べたのであった。
さて明日は仕事だ、、、
<好きな店>わくい亭:本所吾妻橋
都営三田線の本所吾妻橋駅は、こう言っちゃあなんだが、用もなしに行くような処ではない。しかし旨い酒と肴があれば、遠かろうが何だろうが行きたくなる。そんな店が本所にはあるのだ。それが「わくい亭」。大衆居酒屋なのだが、料理がめっぽう旨く、酒の品揃えも実に気が利いているのだ。
場所は本所吾妻橋の駅からどんなに早足で歩いても8分はかかる。飾らない一軒家の引き戸を開けると、カウンターおよび周りのテーブルに満杯の人。ここは大体6時半くらいから混み出すので、エイヤっと覚悟を決めて会社を出ることが必須だ。
席を確保したら、黒板に勢いよく書かれた品書きに急いで目を通す。ここの黒板は、旨い店に共通する、あの煌めく品書きだ。輝かんばかりの、一読しただけで全てを頼みたくなってしまうような、食欲がしたたり落ちる品書きなのだ。もしそそるネタがあれば即座に店のお姉さんに頼むのが吉。すぐに料理が品切れになってしまうのだ。
この煌めく品書きが、なんとレシピ集として出版されている。実にいい本だし、良いレシピ集だ。僕は著者である女将の涌井純子さんのサイン本を持っている。自分の本との交換で、、、
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ちなみに、全般的に魚のお薦め度は高い。鰯の刺身と〆サバがあれば頼んでみよう。特に〆サバは実に馴れた塩梅でイイ。あと、エリンギと何かを炒めるメニューが載っていることが多いのだが、これは実に◎。絶妙な歯ごたえとしっかりしたアタリで、酒のアテに最高だ。
〆サバは絶妙な塩梅だ。
それに加えて定番料理を2品選ぶとしたら下記だ。
何が何でもメンチカツ!
ここにきたらまず着座するなりメンチカツを頼んで欲しい。すぐになくなってしまう超人気メニューだからだ。これを目当てに行ったのに「売り切れだよ~」と言われること数度。最近では電車の中から「とっておいて!」とお願いするようにしている。
これが運ばれてきた時、初めての人は目を疑うだろう。とにかくデカイのである。皿から殆どはみ出している。アツアツジュワジュワのメンチは、しかもやたら滅法に旨いのである。ソースでも醤油でもよい。添えられた鮮やかなカラシ牛肉特有の臭みが巧く消されている。練り込んだ挽肉にありがちなノッテリした感触ではなく、「肉を噛んでいる」と思える歯触りがある。これは挽肉だけではなく細切れ肉を粗く叩いたものが入っているからだそうだ。そしてこのメンチが、日本酒に合う。しかも冷えても旨い。脂が固まって不味くなると思いきや、そんなことはない。実に不思議で旨いメンチなのだ。洋食屋で食べるメンチも好きだがここのメンチの充実感に優るものに、未だ出会っていない。
誰もが絶句する絶妙のカニサラダ(ごめん、画像ナシ)
量ばかり言うのもなんなのでまず味のことから書くと、このカニサラダは絶品だ。レタスとキュウリとセロリ、タマネギそしてカニのほぐし身をドレッシングで和えただけのシンプルな構成だけに、最重要なのはドレッシングの塩梅だ。それが憎いほど決まっている。フレンチ系だが若干クリームっぽく、それぞれの素材にきちっと絡んで、しっかりと味付けをしている。つまらないレストランで出てくるグリーンサラダを想像してはいけない。しっかり味の付いた一品料理だ。
そして、、、恐るべき量なのだ。ハーフで頼んでも、フグ刺しの皿くらいの大きい平皿に山盛り出てくる。僕はいつも2人で行く時もこれを頼むが、相方は呆然とするケースが多い、、、
その他も色々あるのだが、、、
この店で酒を頼む際には、いろいろと悩むことになる。ビール、日本酒は勿論ながら、ワインの品揃えも豊富だからだ。だが、実はこの店には、他であまりみない、イイ酒がある。
「千代の光」の本醸造だ。
これは僕がこの世で最も好きな酒だ。本醸造だから、純米酒ではない。けど、旨い。これについては余計なことは書かないでおく。だって、品切れになると困るから、、、
「こうかいぼう」は、門前仲町界隈では文句なしに1,2位を争うラーメン屋である。本日はラーメンとチャーシューご飯セットの大盛を食べてきた。その魚貝中心の深いコクのスープにはいつも満足感を覚える。
始めていった今年の8月に雑記したものがあるので引用しておこう。この界隈に来たらぜひお試しいただきたい。場所等は、ネットで検索すれば沢山ひっかかるはずだ。
そう、この「こうかいぼう」の2軒となりに、ラーメン「蘭丸」が開店している。寿司匠の加藤ちゃんによるとこっちも旨いそうだ。今度攻めてみよう。
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実はラーメンはそれほど好きではない。勿論嫌いというわけでもなく、地方にいったりすれば人気の店を一通り回る。しかし、マニアではないということだ。理由は単純で、あまり美味いと思うラーメンに出会ったことがないからだ。ラーメンとはスープと麺の複合体だが、私は麺に重きを置く。スープは麺を美味く食べるためのものである。しかし最近の主流であるこってりとしたスープは、私には過剰に感じるのだ。
しかし、つけ麺は大好きである。どうみても麺が主役だからだ。また、汗かきの私がラーメンを食べると、全力疾走後のような汗をかくのに対して、つけ麺はそうならない。と思っていたら、今月号のdanchyuでつけ麺が特集されていた。そこに、門前仲町にある「こうかいぼう」が紹介されているではないか。ということで行ってみた。
綺麗な作り(趣味のよい喫茶店のようだ)の店内に入る。ラーメンの店だが、迷わずつけ麺を選ぶと、主人と思われる男性が「1.5倍の大盛りと、2倍の特盛りもございます」とのこと。ここも迷わず特盛りとする。
しばらく待って出てきた麺。チャーシューが結構多めと、メンマとネギ、ノリが麺に載っている。麺量は、正直言って私が「特盛り」と思う量ではない(少ない)が、まあいいだろう。あとはこの特盛りで幾ら増しになっているかが問題である。スープが出てきたところで主人が「麺を食べ終わられた後で、付け汁にスープを足せますので」という。これをスープ割りと言うらしい。そば湯よりもゴージャスだ。
さて麺を汁に浸し、食べる。スープは魚貝の利いた味と香りで、かなりマイルド。店の紹介を書いた札にも「当店のスープは毎日のみそ汁のようなものを目指しているので、最初は塩が物足りなく感じるかも知れません」と書いてある通り。しかし、満足感がないわけではない。コクは十分、まろみもあり、上等な味である。少なくとも私の嫌いなギットリヌトヌト系ではなく、ほっとする。チャーシューもこの店の売りらしいが、麺の上にある状態では冷えているので、旨味は感じない。スープに入れて温めるとスープの温度が下がるので好ましくない。メンマも
同様。ただしメンマは大ぶりで味付けも爽やかでよい。肝心の麺だが、中太のストレート麺。卵・鹹水は薄めだがモチモチ感は強く美味しい部類である。量も、最後にさしかかると満腹感が出てきた。
そして、くだんの割りスープをやろうと顔を上げた瞬間、店主が「はい!」と間髪をいれずにやってくる。少し待つと、なんとスープが足されるだけではなく、ネギも入れてくれた、吸い物椀のような一品が出てくる。これがやたらと美味い!つけ麺スープの際には際だっていなかったが、魚節系の香りと旨味が強く出ている。本当にみそ汁感覚である。しかし、ガラと豚のげんこつも使っているということで、きっちりとコクも出ている。これは美味い。おそらくつけ麺よりもラーメンの方が満足度が高いのではないかと思った。
勘定をすると、つけ麺特盛りと焼き餃子(結構ふつうの味)で1250円。つけ麺の普通盛りが700円。餃子が350円ということは、特盛りで200円増しということだ。これは十分にリーズナブルな価格だと思う。
ちなみに、この店は接客態度が100点満点である。店主と奥さん、そしてもう一人の男性の3人だが、それぞれ客にきめ細かい心配りをしている。いい店だ。久々にラーメンを食べて、すがすがしく感じた。
目覚めたらなんと午後2時だった。おまけに外は豪雨だった。ずっと暗くて目覚めが悪かったのか。いや、どうみてもこれは疲れだろう、、、徹底的にぐうたらしようと思うが、だいぶ寝たので部屋とキッチンの片づけをする。洗いものをして、シンクやガスコンロ周りを拭く。
夜はカルボナーラと決めている。昨日燻した自家製ベーコンと、もらってきた駿河若シャモの玉子でカルボナーラを作る。なんという贅沢か! そういえば駿河若シャモについて、まだきちんと説明を書いていないことに気づいた。明日書こう。この食い倒れ日記のコメントに親友の加賀谷が「ベーコン食いてぇ」と書いてあるので、家に誘うと来るという。
しかしカルボナーラはパスタの中でも相当に高カロリーである。トレーニングは必須。ジムでボクシング系のトレーニングを1時間と水泳を30分。帰りに材料を買ってきた。
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加賀谷が大量のビールと共にやってくる。HCDの準備期間から、会う回数がやたら多いな。カンパチのカルパッチョと豆腐、ベーコンとジャガイモの炒め物でビールを飲んどいてもらう。とはいっても、ジャガイモは「インカの目覚め」という新品種で、現在まだ市場にはあまり出回っていないものだ。栗のような香りとねっとりホクホク感があって実に旨いのだ。加賀谷は「うめー!うめー!」といいながら食ってくれていたが、本当に旨かったんだろう。
■カルボナーラ
・ベーコン(薄いのは×。塊を買って拍子切りにする)
・生クリーム
・玉葱
・チーズ
・塩・胡椒
・良質の卵黄(駿河若シャモの玉子を使用した)
・スパゲッティ(1.8MM。濃厚なのでとにかく太いのがいい)
①油を引かないスキレット(鉄鍋)にベーコンを入れ、じっくり火を通す。表面がカリカリにこげるまで。
②ベーコンを引き上げ、出た油で玉葱をしんなりするまで炒める。
③玉葱に生クリームを入れ、少し煮詰める。塩・胡椒をふり、チーズを溶かす。ここでは熊本で買ってきたゴーダを使用。
④パスタをアルデンテに茹で、あまり水を切らないうちにパンに投入。生クリームと絡めながら卵黄を入れ、これも絡める。ただし熱はかけない。しあげに再度胡椒を振る。
これを皿に380gくらい盛って二人でわしわしと食べる。加賀谷も喜んで食べていたので、旨かったのだろう。黄身が通常の玉子ではないので、実に濃厚だった。ベーコンが旨いのはいうまでもなし。
メシを食い終わり、秘蔵の日本酒「渡舟」を出してやることにした。茨城の府中誉酒造に見学にいった際に買ってきたものだ。ああ、これも書かなければなぁ。渡船は生酒なので置いておくと悪くなっているかと思ったが、実に旨かった。酔っ払い二人で、いろんな話をした。イヤーブックという、卒業記念写真集をみて、好みの女の子は誰か?というのをやると、ことごとく加賀谷と僕の好みは合わないことがわかって面白かった。人は、多様だ。
さて、そろそろ寝よう。明日は仕事だ。
今回、ハムは関師匠が仕込んでくれていたわけだが、ベーコンは参加者各自が仕込んだ。
この美女が居酒屋・日本酒ライター神澤女史である。
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兄弟分の工藤ちゃんと浅見君も、でっけーのを漬け込んできた。
そしてこれが出来上がりのベーコンだ。この豊かな飴色の風合いを観よ!
おいらのベーコン。小さいのを3本作った。これ、正解。
ケーシングしてスモーカーに肉を入れてからここまで3時間だ。前夜からの疲れと移動の疲れで、かなりヘロヘロだ。でも旨い燻製を作ることが出来たと言う達成感と、なにより肉隗の重みが、疲れを忘れさせてくれる。
師匠!どうもありがとうございました!!東京へ帰る道のりはひたすらいびきと与太話であった。
ホームカミングデーの心地よい興奮と疲れが全く癒えぬままに、朝5時に起きる。本日は、ハム&ベーコン講習会の第二回目だ。舞台は静岡県菊川にある中小家畜試験場。このblogにも「ハム太郎」の名前でコメントを残してくださっている関哲夫さんが、僕の燻製の師匠だ。
5時半に兄弟分の工藤ちゃんと、その弟分の浅見君が車で迎えに来てくれる。ひどい土砂降りが幸いしてか道は空いており、3時間で菊川着。本日はこれに加えて、居酒屋ライターの神澤さんと、週間少年マガジンに連載されていた「ボーイズbe」の原作者(!)である板橋さん夫妻と一緒だ。ちなみに神澤さんは著書「日本酒ソムリエが通う東京のizakaya」を上梓されたばかり。これがまたいい本だ。日本酒に興味を持ち始めの女性にお奨めである。
さて講習の始まりだ。
あらかじめ、関師匠が10数人分の豚肩ロース肉を、ハム用のピックル液(ソミュール液ともいう)に漬け込んでおいてくれている。これをケーシングで包んで整形し、数時間スモークをかけ、そして70度の温度でゆっくりとボイルをすればハムの出来上がりだ。
ベーコンはボイルをせず、スモークをやや強めにかけながら温度を上げ、火を通してしまうのだ。師匠も書いておられるが、ピックル液の味が一緒なのに、味わいは全く違ってくる。不思議なのだ。
用意された肉塊たち
我らがハム太郎、この道20年の関師匠
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ケーシングで整形する。
これが家畜試験場自慢の手製スモーカー。数々のノウハウに裏打ちされた完成度。
スモーク終了。
70度に保った湯でボイルして出来上がり。出来たても美味しいが、冷蔵庫で締めると、全く違う味わいになる。
今日は、大学のホームカミングデー、つまり卒業生全員向けの同窓会だ。幹事だったので朝から出張る。面白かった!やっぱり、久しぶりに人が集まるだけで十分面白い。
けど、9時に家を出る前に、きっちりベーコンの下準備。
①塩漬けにしておいた肉。厚手のビニール袋に密閉して漬け込んである。
②寸胴いっぱいの水で塩抜き5時間。
③塩をいったん抜いて、燻して熱が入った後にちょうどよい塩梅になるように調整するのだ。
さあ、明日は東名高速の工事中なので、4時間以上かかるだろうなぁ、、、ということで朝5時半出発である。寝るぞ、、、
これは2003年8月8日の記事だ。
自宅で普段使っている塩は「赤穂の天塩」だ。その「赤穂」が地名で、しかもあの赤穂浪士の赤穂だというのはうっすらとは知っていたが、余り正面に捉えては居なかった。しかし今や、赤穂と言えば!それは激旨イタリアンの赤穂と言うほかないでしょう!という認識が俺的宇宙の中で強く礎を築いたのだった!
一言で言ってしまえば「赤穂には素晴らしいイタリアンがある!」ということです。
大阪出張の後、本来なら熊本に講演で飛ぶはずだったのだ。しかしなんと台風が来ているため、前日夜にいきなりキャンセルの電話がかかってきたのだ。うーむ困るなぁ、、、しかし気持ちをエイヤと切り替える。神戸の親友である西垣内(ニシガイチと読むのだ)に相手してくれ~と言うと、「それなら俺も行きたかった店にいってみよか?」となる。いい友だ!
その「いい店」が、兵庫県の端の端に位置する赤穂の「さくら組」だ。この店、結構有名らしく、大阪から車で食べに来る人もいるらしい。有名なのは石釜焼きのピッツアだという。けど、海っぺりにあるわけだし、ピッツア以外にも魚貝が旨いだろう。関西方面のイタリアンの実力を知るいいチャンスだ、ということで一も二もなく賛成した。
翌朝、大阪から神戸に移動し、西垣内の車にて一路赤穂へ。これがムチャクチャ遠い。しかも台風の影響で大雨。雨も断続的に降る。いきなりあがる。晴れ間が見える。と思ったら視界20メートルくらいの大雨。大変な赤穂行きになっちまったのである。でもそのおかげで、西垣内の半生をだいぶ理解した。こいつ、本当にいいヤツなのだ。
2時間半くらいかけて赤穂についた。西垣内も実は店の場所はよくわかってなくて、あてずっぽうで走っているうちに、その店が忽然と現れた。
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瀟洒なつくりの店を想像していたら、小さいカフェのような、しかも雑然とした作りの店だったのでちょっと驚いた。いや、これはいい意味で言っているのだ。綺麗すぎる作りの、いわゆるリストランテではない。漁師町のトラットリアといった風情。実際はピッツェリアなんだが、その雑然さが、なんとも旨そうな予感を漂わせている。しかもすし詰め満員である。
この店に来る前に西垣内が、
「きっと客層の大半が、近所のちょっとお金のある中年主婦ばっかりやろ」
と言っていたのだが、まさしくその通りだった。テーブルを囲むマダム達。思わず笑ってしまった。しかし、予約しておいて正解だ。平日の13時なのに待ちが沢山入っている。ちなみに男性は俺たち二人だけなのであった。
10分ほど待ってテーブルが空く。メニューを観ると、ぉお!あの、本当に美味い店でしか観られない煌めきが見える!メニューはオーラを放つのだ。ひと皿の単価は1200円~1800円と高めだが、それだけの内容なのだろう。じっくり考えたあげく、
前菜盛り合わせ
パスタ
カジキのソテー
ステーキ
デザート
というセットを2名で頼み、かつピッツアマルゲリータを頼む。足りなかったら追加するのだ。我々の軽妙なトークで可愛いウェイトレスちゃんを笑わせつつ、キリッと冷えた桃入り白ワインを飲んでいると、前菜の盛り合わせが出てきた。ドドーンと盛られたイタリアによくある威勢のいい前菜は、見た目も味も最高の一言だ。食事はたいていの場合、前菜で決まる。前菜の満足度が低くて、最後まで楽しめたことは少ない。しかもここは盛りがいい。
次に出てきたペスカトーレが出色だ。かなり太めのリングィーネを使ったこのペスカトーレ(漁師風)、とにかく魚貝のダシが濃厚。アルデンテより固めに仕上げた麺にサルターレ(熱を通しながら絡める)をして、濃厚な味を麺に吸わせている。思わず西垣内と顔を見合わせて
「旨いっ!」
麺がもう200gくらい欲しくなるような、そんなパスタだった。
ここでピッツアが出てくる。生地を捏ね、焼いているのは小柄な女性だ。しかし業務用の小麦粉袋を運ぶ彼女はタフだ。プロの匂いがする。出てきたピッツアもタフだった。なよっとした生地では全くない。台はパリっとし、小麦の香りが立ち、熱いチーズとうっすらと塗られたトマトとバジルの香りが相乗する、絶妙の味だ。森下にある某店で石焼きピッツアにがっかりした僕にとっては、目からウロコのピッツアだった。(食べるのに夢中だったため、写真はない。下の写真は、ピッツアを焼く石釜と西垣内だ。)
そしてここから怒濤のメインだ。カジキマグロのソテーにはタマネギと赤ピーマンのソテーと粒ケイパーが絡まっており、レモンを搾って食べるだけのシンプルな構成。しかし、旨い。何というか、皿の裏に見えない文脈があるかのようだ。そう、勢いがあるのだ。そのスピード感に乗って食べるのが心地よい。
そして牛肉のステーキ。網焼きではないけど、イタリアンパセリと粒胡椒を載せて、ヘタな味付けをしていないそれは、肉汁と野趣の溢れる、これまたスピード感抜群なひと皿だった。
満腹。はるばる来た甲斐があった。西垣内も満足そうだ。
ドルチェには、桃のプリンとティラミス。桃は、生桃を裏ごしして固めたもの。ティラミスはでかくて甘くて下品で旨い。ヴォーノ!
これで二人で9600円程度か。安いとは言わないが大満足だ。あまりに遠いが、また来たい店である。
関西のイタリアンは旨い!少なくとも赤穂にはいい店がある。これは真実である。
本日は、サンプル品の大根が大量に余っていたので、寿司匠で刺身のツマになるかと思い、大根5本を差し入れしたのであった。ツマにしてしまうには全く惜しい、無化学肥料無農薬のいい大根なのだが、、、
ネタケースをみるときらびやかなネタが一杯!そうだよな金曜日の開店直後だもんな、、、
と、希少価値のミル貝の肝を発見!今日は金欠だけど1貫ならいいだろう、握ってくれ!このミル肝ポン酢は、貝の肝とは思えないミルキーでシルキーな味わいなのだ。
その隣の隣の隣のケースに、何かの肝を発見。カワハギっぽいなと思っていたら、案の定そうだった。なんと、カワハギのそぎ身にこの肝を乗せるのだそうだ。うまそぉ~~~
ということで食べることにした。カワハギ肝乗せ。所感は、、、言うまでもないだろう。上品だけど味の濃い白身に、肝の濃厚さと香りがプラスされるのだ、、、2分ほど無言で、固形がなくなるまで噛んでいた。
これを幸せというのだ、きっと。これからもこうやって、ネタケース覗いて気になったのを1貫とか2貫だけつまんで帰れば、破産しないな!と思った。
本日は岐阜に出張だ。目指すは郡上八幡。はるかなる道のりだ。
東京から新幹線のぞみに乗り、名古屋にて乗り換え。乗り換えの際には迷わず新幹線ホームの両端にある立ち食いきし麺屋に行く。これ鉄則。カレーきしめんが割と旨いのだけど、かき揚げ天ぷらきしめんを食べる。
多くの名古屋人が「新幹線ホームのきしめんがいっちゃん旨い」というのだが、数年前に店舗を新しく建て替えてからめっきりと味が落ちた。ダシが不味いのである。それでも標準以上の味ではあるので、食べる。
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さて岐阜羽島から車で郡上へ。郡上八幡は、最高に風光明媚で空気と水の旨い地域だ。ここは水道水でさえも旨いのだが、多くの家庭で井戸や山からのわき水を使っている。極めて品が良く力強い水なのだ。旨い水と山々に囲まれた地域では、例外なく蕎麦が旨い。この日も昼食は、郡上出身のT氏が「この辺じゃここが一番旨い」という蕎麦屋「善兵衛」へ。
盛り蕎麦500円。天ぷら蕎麦650円。ん?安~い! 郡上は何故か安いのである。この辺では冷やし蕎麦のことを「コロ」と呼ぶらしい。僕は天コロ蕎麦大盛りを頼む。程なく運ばれた蕎麦、実に旨い!細めの堅麺で、角がビシッとしている。つゆがシャッキリ濃いめの塩梅。天ぷらは大海老と、海苔の天ぷら二枚がアクセントになっている。
なかなか感動してしまった。おかげで長引いた仕事の打ち合わせもきっちり済ませることができた。もうへろへろである。
そして日記は夜の部へと続くのであった。
さて岐阜の夜は、大垣随一の名料亭、「四鳥(よんとり)」である。
四鳥
大垣市東外側町1-15
http://www.spi.ne.jp/~yontori
ここは県知事が食べにいらっしゃるような超名店だ。料亭の跡取りであり、板長でもある津谷秀次郎さんは、日本料理の枠に囚われない自由な料理を創り出す。フォアグラがよく出てくる料亭ってそんなにないだろう。日本酒とワインにも精通している、素晴らしき人なのだ!
なんでそんな格式の高い料亭に僕なんぞが行けるのかというと、この四鳥と昵懇にしている僕の先輩に連れて行って頂いたのだ。その時、食材の話になり「美味しい地鶏が欲しいんだよね~」という話があり、「それならば!」ということで、僕が食材を紹介したのだ。
その食材とは、静岡県で育種された「駿河若シャモ」。このシャモについては、この日曜日にシャモを育種した静岡県中小家畜試験場に行ってハムとベーコンを作ってくるので、その際に詳しく紹介したい。とにかく今最も注目すべき地鶏である。特に鈴木さんという生産者さんが育てた地鶏が最も旨いのだ。この鈴木さんの地鶏を秀さんに送ったところ、ムチャクチャ気に入ってくれ、その後、鈴木さんとの取引が始まったわけだ。
今日は、そのシャモを秀さんがどう料理しているのか、楽しみにして来たのだ!
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帰京するので2時間しかとれないのであわただしく入店。店の前にはハイヤーが数台停まり、お付きの人たちらしい黒服が数名。VIPがいるらしい、、、そこに俺ごとき若造が入っていくのはとっても違和感がある。
たたきで靴を脱ぐと、女将さん仲居さんが「あらまあようこそ」と迎えて頂く。びびりそうな個室に通され、いざ宴(独りだけど)が始まった。
前菜
シャモの笹身の塩じめと霜降り
皮煎餅(竜田揚げ)
通常の鶏肉(ブロイラー)はどうしても短期間で仕上げるためか、旨味に乏しいのが常である。特に、牛肉と違って酸味が乗っていないというのが鶏肉の欠点と言われる。しかし、この駿河若シャモは、肥育期間が120日以上と長いため、鶏とは思えないほどの旨味が乗る。最もあっさりしているササミでさえも、ほのかな酸味を感じるのだ。その辺のエセ地鶏とは違うのである。これを気持ち濃いめの仕込み醤油でいただく。新鮮なササミにしか感じられない微細な繊維感とヌメ感。皮煎餅は片栗をまぶしてカリっと揚げており、心地よい。否応なく期待が高まるのだった。
酒はぬるかんの「みちざかり」。僕はワインより日本酒だなぁ。特に燗酒は優しく身体に浸透し、心地よさを倍増する。仲居さんが良いテンポで皿を運んでくれる。
若シャモの首肉と茸、白菜の椀
鶏の部位で最もうま味と歯ごたえが良いのは、なんと言っても首肉だ。骨の周りに少ししか就いていないこの部位が、僕は最も旨いと思う。これを椀にしている。白菜が首肉の濃いスープに絡んで何ともいえず旨い。
若シャモ炭火焼き
待ちに待った腿と手羽先が焼かれて出てくる。正直言って、若シャモらしさを最高に活かすのはただの炭火焼きだと思う。これは秀さんも同意見とのこと。ここでは肉に塩まぶさず炭火であぶり、皿に添えられた塩につけるようになっている。塩は伯方の岩塩だそうで、適度に尖った酸味があり、若シャモに合う。シャモのモモ肉は強い弾力と驚くほどの旨味を含んでいる。どんな人でも噛んだ瞬間に他のモノと違うことがわかるだろう。
手羽先はねっとりとしたゼラチン質がビッシリついており美味。ただし余分な脂がないので食べるところは少ない。これが平飼いの地鶏の特徴だ。
卵管、腹卵と肝の山椒甘露煮
この若シャモ、なんといっても肝が妙味だ。僕も驚いたのだが、丸で捌いたときに目に付くのは、肝がオレンジ色と言うこと。そんなの始めてみた。今回は肝、卵管、腹卵がこっくりとした甘露煮にされている。山椒の実と葉がアクセントになっている。実に酒が進む、、、
甘露煮の甘濃さが強すぎる管もあるが、それは岐阜特有の甘めの味付け故と思えるし、第一甘くとも全く嫌みはない。山椒の実を噛むと広がる強い香りが甘さを緩和するので、爽やかだ。
手羽元のフライ味噌ソース添え
この日最高の一品がこれ。手羽元は細かいパン粉でフライに仕上げている。肉は驚くほどにほどに弾力に富む。かといってかみ切れない訳ではなく、絶妙の繊維感を歯の記憶に穿ちながら噛み切れていく。そう、肉の繊維の一筋一筋がきっちりと自己主張をしており、みっちりほくほくと歯に感触を伝えるのだ。これはどうやったら伝えられるのだろうか?食べてみれば、言っていることがわかると思うが、、、
そしてこのフライと味噌ソースの相性が最高!味噌ソースとは、名古屋や岐阜では一般的なみそカツのあのソースに一手間かけたモノだ。秀ちゃんいわく、みそカツソースそのものだとシャモの味を壊す。レシピ教えてくれたけどここには出さないよーん。これがまさに絶妙で、シャモの味と香りを最大限に引き出すチューニングになっている。フライには塩よりも味噌ソース!こいつは大発見である。
モモ肉と胸肉の地鶏すき焼き
厚手の鉄板で、鶏すき焼きを作ってくれる。僕一人のためになんと手が込んでいることか、、、申し訳ないっス。甘めのタレで仕上げてくれるすき焼きは、「頼むからご飯をドンブリ一杯くれ~」といいたくなるが、ここで若女将(秀ちゃんの奥様)が登場。お相手をしてくださる。
その後、冷や酒の純米大吟醸を持って秀ちゃん登場。酒は 可児市の林酒造の酒で「美濃天狗 いひょうゑ 純米大吟醸」←劇ウマ。
料理にも満足した旨を伝える。俺、秀ちゃん大好き。飾らず、食への執着、探求心が子供のように純粋。僕が知っている旨い食材をすべて紹介したいと思う。ちょうど冬場のフルーツトマトを知らないというので、八代の塩トマトを今年は送ることにしよう。楽しみにしておいてね、秀ちゃん。
〆はオムライスと冷やしうどん(本当はどっちか一品だけなんだけど)。満腹になり、大垣駅へ向かう。こうして一日が終わった、、、若シャモについては今度ゆっくり書きます。
SAVAさんからリクエストがあったので、バジルペーストの作り方をお教えしよう。ペスト、とかジェノベーゼとか色々な呼び名があるが、実に色々な料理に使えるソースだ。僕はこれを夏場のバジルが一番美味しい時期に大量に作り、ジャムの瓶などに保存している。
ただ、もう寒くなってきているのでバジルの時期じゃないんだよなぁ、、、ちょっと遅かったか。
■材料
バジル(両手にいっぱい)
にんにく 3かけ
ナッツ類
松の実100g
カシューナッツ 50g
ピスタチオ 10g
塩(天然塩)
胡椒
オリーブオイル(できればEXバージン)
(レシピ詳細は下記をクリック↓)
①ニンニク&ナッツペーストを作る
フードプロセッサに皮をむいたにんにくとナッツ類を入れる。これをペースト状になるまでミキシングする。ある程度細かくなると油分でぼそぼそと固まってしまうので、オイルを入れて伸ばしながらミキシングする。僕が思うに、バジルペーストの要はバジルもそうだけど、ナッツのコクと風味だ。ナッツとニンニクが滑らかになるまでミキシングしよう。
②バジル投入
バジルは洗わず、濡れ布巾で拭くようにする。洗うと香りが飛ぶ。葉を茎からはずして、葉だけ使うようにする。茎は、トマトソースを作る時に一緒にいれて煮込むと香りが移るので、残しておこう。その後ざるに入れて冷蔵庫で冷やしておくこと。熱に弱いので常温でもすぐに黒ずんでしまうから。さてフードプロセッサに投入したらオイルを多めに入れ、塩と胡椒を入れてミキシング。オイルは全体が滑らかになるくらいに多めに入れておく。ちなみにバジルの香りはオイルにしか溶けない。ので、オイルは多め。
③味の調整
全体に混じったらここで味を見る。この時点では塩気は強めがいい。ここでパルミジャーノを入れることもあるが、そうすると長く置いて置けない(チーズがかびる)ので、僕は入れない。強めの味に仕上がったら、あらかじめ熱湯消毒して乾かしておいたビンに入れる。最後にオイルを満たしてペーストが空気に触れないように蓋をする。この状態で1年持つ。
注意点!
・ナッツ類はすべて生を使用すること!市販されているのはほとんどがローストされているが、これはすぐに酸化する。酸化したナッツ油は毒である。ナッツは、百貨店の地下とかで生のが売っている。少し高いけどね、、、でも、1回作っておけば大量にできるのでフンパツしよう!
・もし生がどうしても手に入らなければ、市販のローストのものでよい。その代わり、つくったら2週間以内に使ってしまおう。
・ピスタチオの生はなかなか手に入りにくいので、なければ省略可。でもあると香りとコクが変わるよ。ナッツを数種類使うと、味が複雑になって旨い。松の実だけでもいいけど、おいらは複数使うのが好き。
料理
このペーストをどう使うか。茹で立てのパスタと和えるというのは一般的だけどあんまり僕はしない。トマトソースにペーストを溶くと、相乗効果で旨くなる。この時、醤油をすこしたらすと味に一本筋が入る。この、トマト&バジルペースト&醤油少々、が僕の3原則だ。
例えば野外BBQなんかでよくやるのだけど、パスタを茹でながらあらかじめ別鍋にペーストを入れ、パスタのゆで汁で伸ばしておく。この時火にはかけない!香りがとぶからね、、、そして醤油少々たらす。パスタが茹で上がったら(ディチェコのリングィーネがお奨めだ)ここに入れてペーストと和える。そこに、別に作っておいたトマトソースをかけて軽く和える。
これを食べて旨いと言わなかった人は、今のところ居ない、、、と思う。
参考になれば幸いです。
2003-10-08の続きだ。
さて、夜の部は心斎橋にある おおさか料理 「き川浅井」だ。この店は実に素晴らしい。前にも書いたが、勢いのある品書きだ。きらめくお品書きと言っていい。こうした、発光しているような品書きがある店は実に美味いことが多い。勿論この「浅井」も最高だ。
しかし、、、申し訳ないことがある。全ての画像をデジカメで撮影したのだが、デジカメが故障し、その画像を取り出せない!不測の事態になってしまった、、、この日食べたのは下記だ。
怒濤の品数、、、念のために言っておくと3人で食べたんですよ。まあ、ほとんど私が食べてましたが、、、
三寸
ナスごまクリーム和え
くじらベーコン
つぶ貝のお造り みそ醤油添え
コチのウニ巻きお造り
関さば生寿司
穴子白焼き
明太イカのお造り
かわはぎお造り肝ポン酢
甘鯛のポテトサラダ湯葉巻きグリル
レンコンとウニ餡の饅頭
合鴨ロースのマスタードクリームソース
鯨さえずりの土手鍋
ナスとあわびのウニ乗せグラタン
蟹入りひろうすの冬瓜あんかけ
うるか和え
納豆雑炊
特に絶品だったのは「甘鯛のポテトサラダ湯葉巻きのグリル」だ。甘鯛の身でポテトサラダを巻き、その上からさらに生湯葉を巻いてアルミホイルでくるみ、蒸し焼きにしている。ポテサラの酸味が利いて、実に旨い!これが「おおさか料理」なんだなぁ、、、としみじみ納得。飾っていないのだ。ポテサラなんて、例えば京都では甘鯛に合わせないはずだ。でも、実質的に旨い。だから巻く。これが大阪のおおさか料理たるゆえんだろう。
ここは今度、怖いけど自腹で来よう、、、 と堅く心に誓ったのだった。
待ちに待った大阪出張だ!過去ページを観ていただいていればわかると思うが、今回は2店舗、絶対に行きたい店がある。行きたいというよりは再訪したい、だな。前回行って、実に関心感動した2店なのである。大阪ってほんまに旨いんやね、ということを知った店だ。
それは、阪急梅田駅地下街などにあるインディアンカレーと、心斎橋にある「おおさか料理」を標榜する割烹「浅井」だ。それぞれ過去ログを観ていただきたい。
大阪へはのぞみで行く。3時間かかる時間、出張先へ持っていく資料を整理しながら、文集文庫から出ている名著 「すきやばし二郎 旬を握る」 を読み直す。
すきやばし二郎は、言わずと知れた銀座の江戸前寿司の名店。その主である小野さんが、いかにして今の握りスタイルにたどり着いたかを、豊富な図解入りで語っている本である。感動させられるのは、この人の寿司に対する探究心の深さだ。車えびを旨く握る最適な方法を見つけるため、手を変え品を変えながら実験をし、大量に自分で食べる。そして「車えびは人肌で出すのが一番香りがたって旨い」などの知見を得るのだ。そう、食べ物については、味覚の正確さと、自分が経験した味の記憶の蓄積と、そして執着心がないとたどり着けない境地がある。それをまざまざと見せ付けられる本なのだ。今回はこれを仕事先でお見せするのだ。
さてそうこうするうちに、新大阪に到着。まず目指すのは、前回の大阪訪問時に偶然入って、瞬時にその虜になってしまった「インディアンカレー」である。
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前回は、淡路からバスで移動したのだが、そのターミナルのすぐ地下に店があった。今回は電車なので、大阪に不案内な僕には位置関係がようわからん。前行った店は「阪急梅田」にあるらしい。とりあえず大阪駅にきてみたが、どう行けばいいのかわからないので色々とモバイルで地図を探す、、、よくわからない。仕方ないので通りがかりの人に聞いたら、
「阪急梅田は大阪駅から歩いてすぐやで」
と言われた。ほんとだすぐだ!と足が浮き立つ。地下2階に降り立つと、強いカレーの香りが漂っている。再訪だ。
このインディアンカレーについては、読者から情報をいただいた。
・ご飯大盛りにすると、ルーが足りなくなるので、ルーも大盛りにした方がいいよ。
・「目玉」と言うと、生玉子が乗せられてきます。これを混ぜながら食べると最高。
なるほど!そいつぁありがたい。これを踏まえて注文は「ご飯とルー大盛り、目玉入り」とする。1030円なり。カウンター席に座ると、隣の人はハヤシライスを食べている。ケチャップ色に近く、玉葱がゴロゴロしていてこちらも旨そうだ。次回は両方食べよう、、、
と思っているとカレーがすぐに運ばれる。キャベツの甘酢漬けも別皿に盛られてくる。一口カレーを口に運ぶ。一口目から強い辛味が弾ける。旨い!
そしてこの一瞬、実はインディアンカレーを構成する重要な要素に対する理解が瞬時にできたのだ。それは、このカレーを忘れがたくしているのは、この辛味ではなく、その裏にある「甘さ」なのだということだ。絶妙な辛みに隠しているが、このカレーには糖類の甘みがかなり入っている。それも、「タマネギをじっくり炒めて甘みを出しました」というようなものではない。直接的に甘みを入れているはずだ。思うに、、、浅めに火を通したカラメルではないだろうか。この甘みがあることによって、「辛い」→「けど甘い」→「辛い」→「うまーい!」というサイクルになるのだろう。
卵の黄身を割ってまぶして食べると、これまたマジ旨!うーん やっぱり大阪のランチはインディアンカレーに限る!次回はハヤシライス大盛を食べることにして、一路仕事に向かうのであった。
朝から熱があってだるいのだが、頑張ってベーコンを仕込んだ。
というと唐突に聞こえるかもしれないが、次の日曜日に、静岡県菊川にある中小家畜試験場というところで、ハム&ベーコン講習会というのがあるのだ。僕の燻製の先生である関さんがこれを仕切ってくださっている。前回は春のあたたかな日に実施。僕は自分で1.5Kgの豚バラを仕込んで、その場で燻製にしてもらい、ベーコンにしたのだ。そのときは若干スパイスのバランスが悪くて、僕の納得いくものが出来なかった。とはいっても、分けてあげた人からは「もしや天才では?」といわれる出来ではあったのだけど。具体的には、タイムとオレガノを使ったのだけど、これはいらなかった。スパイスについてはシンプルな方がいいみたい。
今回はその雪辱の第二回目だ。燻製の詳しい手順は日曜日に実際にしてきた後で書くとして、その前処理を説明しよう。
材料:
豚バラ肉(ブロック) 1.5Kg
前回は1.5Kgの塊を買ったが、今回は500g×3本にした。なぜかというと、端っこの、煙にあたっている部分がもっとも美味しいから。塊だとそれが4辺しかとれない。最初から3つに分ければ、4辺×3の12辺が端っこになるからだ!
ピックル液:(漬け込み液)
・水 1リットルくらい
・塩(天然塩。赤穂の天塩とか) 30%くらいの濃度になるくらい
・砂糖(精白してないやつ。塩と同量)
・日本酒適当
・芋焼酎適当
・胡椒(粒を包丁で刻む)
・月桂樹の葉
・ブーケガルニ
・ニンニク1つかみ
・玉葱ぶつぎり
・セロリ1束
これらを一回煮立てて冷ます。これがピックル(漬け込み)液。
ピックル液ができたら、豚バラブロックをこれに漬けるだけ。ただ、できれば余分な水分をあらかじめ抜き、塩が浸透しやすくするためにあらかじめ豚に塩を摺り込んで数時間置くという下漬けをする。
その後、厚手のビニール袋に豚バラブロックを入れ、ピックル液を満たし、空気が入らないように上手く抜いて縛る。これを冷蔵庫で4日~1週間ほど置いておくのだ。その間に、豚肉の中心部まで塩と砂糖が浸透する。そしてスモークの前日にこれを取り出し、水で塩を抜く。いったん塩を浸透させて、また抜くというプロセスが、肉に化学反応を起こさせるのだ。面白い。
ま、とりあえず12日の日曜日を楽しみにしておいてほしい。市販されているベーコンとはまったく別物が出てくるからネ、、、
寿司匠編、色々と評判がいいようです、、、まだ、一貫一貫のコメントを書いていないのだけど、もうこのページをみて匠にいったお客さんがいるらしい(板前の加藤ちゃんより)。
おーい、そういう人はぜひコメントを書いてくださいね。
さて本日行ったら、なんとすごいネタが出てきました。
それは
「牡蠣の昆布〆」。
中ぶりの真牡蠣を昆布〆することで余分な水分が抜け、旨みが凝縮される。それを握って煮きりを一ハケ塗って出してくれるのだが、、、ブリンブリンの牡蠣の味が、いつもの3倍くらい濃くてむせ返りそうになるほど。とてつもないネタを食べてしまった、、、
必食である。
さて、気合いを入れて書こう。皆さん、この記事は読んでおく価値がありますよ。
間違いなく現在、東京において最も注目すべき寿司屋がある。なんと僕の会社から100メートルほどしか離れていない、小さな店なのだが、、、この店、あまり教えないでおこうと今まできたが、とうとう雑誌に出てしまうことになった。そうなると悔しいので、誰よりも先に僕がこの店のことを書きたい。ということで、秘密中の秘密の店をお教えしよう。そして、この店自慢のネタ25貫を一挙公開しよう!という企画だ。ぜひ最後まで観て欲しい。
その店、名前を寿司処「匠(たくみ)」という。門前仲町の裏通りに昨年の10月に開店したばかりの小さな店だ。昨年の終盤にこの店にフラッとランチで立ち寄り、そのちらし寿司の完成度に驚き、以来通うことになった。夜の握りを食べてその絶品さに唸り、最近でも週に1度は握ってもらっている。にも関わらず毎回新しい感動があり、飽きない。
ちなみに僕レベルの人間が週に一度食べられる金額なのが驚異なのだ。例えば旬のお薦めネタを11貫握ってもらうコースが最も高いのだが、それが3,500円(!)。飲み物を合わせても5000円みておけばいいだろう。ちなみに僕はいつも酒を飲まないで握ってもらうだけにしている(こういうのは店にとっては余りいい客ではないのだが)。僕にとっては週に一度の贅沢として重要な位置づけなのだ。
この店、板前は、店の主の加藤ちゃんただ一人だ。開店当初はもう一人板前さんが居たのだが、辞めてしまった。現在加藤ちゃんと、仲居のバイトちゃんがいるくらいで店を切り盛りしている。繁盛したら手が回らないので、そろそろ真剣に板さんを捜しているところだ。
この加藤ちゃん、年は若い(30代前半)のだが、キャリアは長い。長崎出身で、東京の寿司屋で修行を重ねている。中でも、築地の場内・場外に店を持つ「寿司大」に在籍していたのは、同店の黄金時代と言われる時期。その黄金時代を支えた板前5人衆の一人だったわけだ。なんと加藤ちゃんに握ってもらうために通算で2時間半待つお客さんが居たそうだから、評判は内外に轟いていたわけだ。そして昨年、念願の自分の店を出したということになる。
この店の特徴は色々あるが、重要なのは下記だろう。
・白身やイカなどには特製の塩とスダチで味を付ける。これが絶品。塩は、ある天然塩に手を入れたものだが、どの塩かは秘密。僕は教えてもらったが、、、秘密です。
・まぐろは出来る限り生の本マグロ使用。一時期は大間のマグロばかり出ていたのでビックリした。そうでなくともボストンのインドマグロの生。とにかく生は香りが違う。
・カリフォルニアロールなどのマヨネーズ系のネタは一切ない。店主のポリシー。
さて、それではその珠玉の握りを、25貫観て頂こう。下記をクリックして、めくるめく握りワールドへ来て頂きたい。(ブロードバンドじゃないと厳しいかもしれませんが、、、)
(続きは下記↓をクリック)
(コメントの執筆、ちょっと待ってくださいね~ 週末で書き上げます。)
加藤ちゃん
この小柄で細身の加藤ちゃんの黄金の手から、珠玉の握りが産み出されるのだ。この加藤ちゃん、フレンチやイタリアンなどの洋モノを殆ど食べつけないという。「美味しいと思ったことがないんだよね~」筋金入りの日本食屋なのだ。それでよい、と思う。
ネタケース
ネタケースを見ると、この店の特徴でもあるのだが、意外に貝が多いのに驚くと思う。つぶ貝、白ミル、ホッキ、そして最近出回りだしたイシガキ貝という絶品上品なネタや、生のトリ貝などもある。
加藤ちゃん握り中
ちなみに加藤ちゃんはよくいる頑固オヤジではないので、全く緊張する必要ありません。
まこがれい
夏の間の旬として、マコガレイ。でもこの店ではそんなには出てこない。本日はこれを塩とスダチで。先にも書いたがこの塩が絶品なのだ。
コチ昆布〆
水分を抜いて旨味を凝縮するための昆布〆を多用するのもこの店の特徴だ。特にこのコチはよく出てくるが、実に上品かつ香り高く、旨い。コチはたいていの場合は活けを水槽に放してあり、明日のネタとわかる。行った当日に水槽にヤツがいないと、「お、今日はあるねぇ」とにんまりする次第。
白イカ
僕としては墨イカが好きなのだが、匠では白イカを使うことが多い。柔らかい歯ごたえと、やはり柔らかく優しい甘さがいいのだろう。これも塩とスダチで。
つぶ貝
お得意の貝。歯ごたえの強い貝には塩とスダチにしてあるようだ。
白ミル貝
このミル貝は一般に人気のあるネタだが、やはり旨い。歯ごたえしゃっきりなので、これも塩とスダチ。
車海老
エビは、運が良ければ頭の方を少し残して味噌付き握りにしてくれる。茹で立ての時に遭遇したら最高に旨いはずなのだが、開店時間すぐにいけば食べられる可能性あり。
タコ
基本的には三浦半島の佐島のタコを使用する。ヌメリとりと揉み、茹ではすべて店で行っている。一人で切り盛りするのも大変だろうが、、、
金目鯛昆布〆
出た!これこそこの店の看板である。金目鯛を昆布〆にし、握りにするというのはあまり訊かなかった。ここで初めて食べて僕はその旨さに悶絶した。そのままだとブヨっとしがちな水分多めの身が適度に脱水され、昆布の旨味が浸透する。これに煮切り醤油を刷毛で塗ると、旨味が3方から押し寄せる感じだ。初めての人はこれをたべて例外なく驚くことになるのだ。
赤貝
貝類が多いのが特徴、と書いたが、加藤ちゃんは赤貝の処理が実に見事。美味しそうに、かつ食べやすい形に仕事してくれる。煮切りをさっと塗って出されると、しばりうっとり。
赤貝ひも
実は、赤貝本体よりも旨いんじゃないだろうか、このひもは。やたらと味が濃く、歯触り豊かなのだ。
石垣貝
このいしがき貝には、この店で始めて出会った。美しい、、、としか言いようのない味と香りだ。柔らかい歯ごたえと、スイカやキュウリのような瓜類の甘みと風味があり、あくまで上品に迫ってくる。見慣れない貝がネタケースにあったら、ぜひ所望して欲しい。絶対に後悔はしないと思う。
青柳
にぎりにはあまり出てこないのが、この青柳。通称バカ貝である。今日は大きめだったので握ってくれた。
赤身ヅケ
さて、この店、マグロの仕入は完璧である。実に素晴らしいモノを仕入れてくる。冬の終わりのしばらくの間は、大間の天然生マグロしか入らなかった時期があって、ちょっと驚いた。これは、築地市場の仲卸さんとのきちんとした人間関係がないと仕入れられないからだ。その大間のマグロの一番旨いのは赤身だといわれる。これを20分程度仕事をした醤油に漬け、ヅケになった段階で握る。ほのかな酸味と特有の血合いの香りが、トロにはない旨さを突出させるのだ。やっぱ赤身はヅケが一番だ。
中トロ
赤身が旨くて、トロがまずい訳がない。中トロはもうそれだけで十分な味のノリだ。煮切り醤油がまたビッタシとマッチしている・
大トロ
秋刀魚(北海道)
アジ(兵庫)
白イカゲソ
コハダ
白海老(富山)
子持ち昆布
トビッコ
生イクラ
バフンウニ(赤)
玉子
穴子
ミル肝ポン酢
寿司処匠概観
今日、嬉しい報告があった。
僕の著書である「実践 農産物トレーサビリティ」が、ようやく初版を売り切ったらしい。本日出版社から連絡があった。さすがに専門書なので動きは鈍かったが、出版社の担当者さんによれば、「半年でここまでいくのは農業書としては異例」とのこと。まあよし、としておくか、、、
あとは重版がかかればいいな、、、と祈ることにしよう。ちなみに印税は会社にはいるのだけどね。よし、今日はずっと仕事するつもりだったけど、、、飲みに行こうかな!