Archives
Recent Entries
Search


Links
Powered by
Movable Type 2.64

2003年09月29日

過去記事たくさん更新しました

画像をアップしたりしました。
熊本八代編は、ぽっこわぱ農園の記事を追加。
色々変わってますのでご一読。

Posted by yamaken at 01:03 | Comments (0)

四ツ木「伊勢芳」は腹いっぱいだ。

 兄弟分の工藤ちゃん、その弟分の浅見君、雑誌編集者の神吉さんと一緒に、四ツ木の大衆酒場「伊勢芳」に行く。ずっと前から工藤ちゃんが「とにかく盛りがいいから連れて行きたい」と言ってくれていた店だ。特に有名と言うわけではないが、とにかく安くて盛りがよくて旨いらしい。それは俺向きなのである。

 とにかく車を走らせ、葛飾区四ツ木に。店に入ると、あの「山利喜」を凌ぐほどにびっしりと壁に貼られた品書きに圧倒される。非常にいい感じだ!
iseyoshi00.jpg
■伊勢芳
上まぐろ刺身
カンパチ(活け〆)刺身
小柱刺身
ツブ貝刺身
モツ煮込み
エビフライ
アジフライ
天ぷら盛り合わせ
ぬか漬け
オコゼの塩焼き
イカ焼き
鶏唐揚げ
ナス揚げ
あさりバター炒め
iseyoshi04.jpg

これに、各人がご飯を食べて(おいらは大盛りご飯を二杯食べましたゴメン)、一人4000円である。やっすーい。特筆すべきは煮込み。およそ煮込みっぽく無い風体で供されるそれは、味噌味がこってりとしており、適度に下品で旨い!神吉さんもむちゃくちゃ気に入っていた。
iseyoshi05.jpg
それときゅうりとナスのぬか漬けは、ちょっと見ないくらいに古漬けである。酸味が強く、劇ウマだった。
iseyoshi07.jpg

刺身類も鮮度良く、それなのに一皿500円程度で、びっくりしてしまう。
iseyoshi06.jpg

iseyoshi02.jpg

いい店だ。こういう店がある限り日本で生きていける、、、

Posted by yamaken at 00:47 | Comments (1)

阿蘇のぽっこわぱ農園にて

9月21日 八代より阿蘇へ移動

 八代から、阿蘇の長陽村にきた。長い陽と書くだけあって、南と北には山が走っているが、その間の平野部に村が広がっている。熊本と高森を結ぶ幹線道路を降りてすこし入ったところに、ぽっこわぱ農園がある。僕が大学時代に、神奈川の藤沢から後輩達を連れて合宿に通っていたのがここだ。この農園は、思想家のシュタイナーが拓いた「バイオダイナミック農法」を実践していることで有名だが、そういうことよりも、完全に無化学肥料無農薬で4町歩近くの農地を耕し、野菜、米、茶をセットにして数百の世帯に宅配をすることで生計を立てていることに敬服する。ここに年に一回はこないと、自分の中のリズムが狂うようで、落ち着かない。

poko21.jpg

ぽっこわぱに向かう道の風景は昔とまったく変わらず僕を迎えてくれる。今、ぽっこでは、創始者であるよし子さんとドニーさん(フランス人だ)の家族と、よっちゃんの家族、そして研修生数人の、計10人程度で運営されている。すぐにぽっこの空気に戻り、作業をする。
 日曜日は基本的には作業は休みだが、研修3年目のヨウゾウ君がレモンバーベナを摘んで茶を作るというので、手伝いをさせてもらった。バーベナは大好きなハーブだ。これを摘んで洗い、葉の水気を切って茶葉乾燥機に入れ、水分を飛ばすのである。
poko16.jpg

その他、ナスときゅうりの収穫、にんにくの選別、牛にやる草刈り、葉物野菜のセルポットへの種まき。農作業は、人と話しながらするとにぎやかだが、一人で黙々とやるのもまたよい。それは瞑想に似ているが、実は生産という活動に直結している時間の流れだ。それはゆったりとしていて、コンデンスミルクのように濃い時間なのだ。
poko20.jpg

 午前6時から朝作業、8時に朝食をとって9時から作業、日中は午後3時まで日差しを避けて休み、暗くなるまで作業。夕食をとって、選別などの中でできる作業。
 このリズムがだんだん気持ちよくなっていく。
poko17.jpg

心地よい阿蘇時間が流れているのだ。

Posted by yamaken at 00:02 | Comments (1)

2003年09月28日

役得その2

 今日はいったいどういう日なのだろうか。最近もっとも仲良くしている大親友、というか兄弟分の工藤ちゃんが、食器類を大量に持ってきてくれた。彼が勤める飲食チェーンのある店舗が閉鎖になるので、そこの什器一式を引き上げているのだそうだ。ちなみにこういうのは、ほとんど捨て値で捨てるしかないらしい。
 食器といっても本当に半端ではない。ワゴン車1台満載だ。さすがに個人宅でそんなには使えないので、グラタン皿、無地大皿、大どんぶりなど、皿だけで20枚くらい。業務用の大中すり鉢を5鉢、釜飯用の釜セットを5セット、日本酒の升(ます)を15組、ビールジョッキ5客、卓上炭火コンロ3つ、パエリヤ鍋2枚、うな丼用の丼が5つ、業務用ステンレス寸胴鍋(でか!)1つ、杉の飯桶1つ、その他もろもろ。食器棚にはいりきらないほどになってしまった。もしこのblog読んでてほしい方、少しお分けしますよ、、、取りに着てね。

 本当におかしな日だった。朝から食材と食器什器が転がり込んでくる。天に感謝。これから工藤ちゃんをもてなしに大衆居酒屋へ行ってきます。

Posted by yamaken at 19:41 | Comments (0)

役得、、、

 今日、各地での講演を聞いて下さった方々からの心のこもった農産物が届いた。
熊本県八代市からは、とても大きな新高梨5キロ、コシヒカリ10Kg、お茶、そしてなんと上敷き用の畳表が6畳分(!)。これはすごいことになった、と思ったら、その1時間後に、兵庫県の淡路島で講演をした際にお願いしておいた玉葱(淡路の特産)と、玉葱ドレッシングが届いた。
 、、、しばらく買い物の必要がないかもしれない、、、役得である。みなさんどうもありがとうございました。気合を入れていただきます。
awaji00.jpg

 ちなみに今週は出張がほとんど無いので、ぶらぶらと書きます。

Posted by yamaken at 11:12 | Comments (0)

2003年09月27日

週末の料理と夜に備える

 土曜日だ。昨晩は大事なクライアントでもある友人の五木さんと美女2名と、1時過ぎまで飲んでいた。相当酔ったので、午前11時までだらだらと眠り、起きて料理をしようと思う。家には、熊本で買い込んできた食材がかなりあるが、肉と野菜を食べたくなり、買い物に出る。
近所の八百屋(実はこだわり八百屋で有名な八百周という店)で太めのインゲン、葱、泥つき牛蒡(ごぼう)、ミディトマトを買う。卸もやっていてよい肉が手に入る肉屋「ミートショップイワイ」で和牛の切り落としと豚肩ロースを買って戻る。

 まずは炊飯器にご飯を仕込むが、合鴨米に熊本で買ってきた十穀米という、ひえ、あわ、きび、麦等の雑穀を混ぜ込んで炊く。次に何はともあれきんぴら牛蒡。以前も書いたがこれがないと始まらないのだ。ちなみに牛蒡は泥つきに限る。植物にとって泥は人間の皮膚と同じだ。洗ってしまうと鮮度が落ちる。人参もじゃがいももそう。金タワシで擦って泥を落とし、ささがきにして水にさらしアク抜き。フライパンを煙が出るまで熱し、グレープシードオイルを適量おとして鷹の爪を入れ、牛蒡投入。このとき熱されたフライパンからバリバリと音がするが、その音があまりに派手なので「きんぴら」という名前がついたという説がある。(へぇ~)
 僕は炒めの段階でごぼうに少し焦げ目がつくくらいに火を通す。砂糖をまぶし、酒をかけ、アルコールを飛ばしながら甘味を牛蒡に入れ、最後に醤油。これだけのシンプルバージョンだ。

 これを作りながら、熊本の生産農家、鶴山さんの奥さんが送ってくれた「落花生豆腐」をいただく。水でふやかしたピーナッツをミキサーで呉汁にし、吉野葛(くず)で固めた豆腐。とても味わい深い。一緒についてきた甘めの阿蘇醤油がまたよく合う。そして、同じく阿蘇で購入した、豆腐の味噌漬を開ける。水抜きした豆腐を味噌に漬け込んだもので、チーズのような趣のものだ。これがあるとご飯を永遠に食べられる。
 その間、太め(おそらく3Lサイズだ)のインゲンを塩茹でし、ベストフードのマヨネーズで齧る。悪くない。きんぴらが仕上がったので、肉野菜炒めを仕込む。和牛の切り落としと玉葱、もやしを炒める。胡椒とオイスターソースで味を調え、最後に夏の間に作り貯めたバジルペーストを少し落とす。これが旨い。

 ご飯も炊けて全部料理が仕上がった。わしわしと食べる。料理をすると、都会のペースで疲れた体調にリズムが戻る。蘇生した。食休みをしたら、トレーニングをして、夜は阿佐ヶ谷にて大事な友人と会う予定。

Posted by yamaken at 13:51 | Comments (1)

2003年09月25日

これは面白い!

猫の寄生虫が、人の性格に影響を及ぼすそうだ。しかも女性は社交的になり、男は反社会的になるという、、、猫を飼うのは辞めておこうっと。

Posted by yamaken at 13:03 | Comments (0)

赤坂の料亭で珍しい蕎麦を食べた!

 酒を3合飲んで酔っ払っている。にもかかわらず書くのは、残したい料理に出会ったからだ。

 なぜか料亭で旨いものを食べたことがあまりない。料亭だと旨いに決まっていると先入観があるからだろうか。もしくは、自分ではお金を払わない(失礼)からか?もちろん中には、日本橋「ゆかり」のように超絶技巧に裏打ちされた日本料理の粋を、手ごろな価格で味あわせてくれる料亭もあるが、少数だと思う。

 そして今日、赤坂の料亭「浅田」に行った。某企業の面白いおっちゃんが、その出身地のためになにかプロモーションなりをしたいということで、彼の知る面白い企業の人間を呼んでの会食だ。会食自体の内容も面白かったが、ここでは述べない。また、締めの蕎麦に至るまでに並んだ料理についても述べる必要を感じない(焼き鱧と甘海老しんじょとマツタケの椀に、鯛のオカラ蒸しは旨かった)。しかし圧倒的に驚いたのは、蕎麦だ。
「美味しいお蕎麦が出ますよ」
と美人仲居さんが言う。出てきたのはおそらく二八の割合で打たれた太麺。それはいいのだが、薬味と一緒に盛りづゆが二種出てくる。ひとつは通常の返しを使ったものだが、もうひとつはほぼ無色の汁だ。
「こちらは、昆布出汁に塩のつゆです。結構人気があるんですよ。」
 正直言うと、こういうところで塩を押し出すのは好きではない。どっちかというと醤油の発酵味と香りでグイグイと蕎麦を手繰っていきたいと思ってしまう。けど、せっかくだし,,,と思い、この昆布出汁のつゆで蕎麦をすすってみた。

やられた、、、

 実に旨いのである。昆布は羅臼か。一晩水に漬けて濃い味の出汁を引き、濃縮させているようだ。旨味成分が溶出している割に、ぬめりと生臭味が出ていないのが料亭の技か。さらに塩で味がついているわけだが、この塩梅が実にナイス。塩梅というくらいで、塩というより醤油のような旨みを感じさせるのだ。そしてつゆだけではなく蕎麦もかなりレベルが高い、歯ごたえがしっかりとしており、江戸前の食べ方ではなく、ムチャムチャと噛んで楽しむのがいい蕎麦だ。
 通常の鰹とかえしの盛りづゆで試すが、こちらは今ひとつと感じた。鰹の香りが濃いのはいいが、かえしに使われている醤油の香りが引き立ってこない。ここで失敗をしてしまったのが、
「昆布だしと鰹だしを合わせると旨いのでは?」
と思い、混ぜてしまったことだ。大失敗だった、、、全然旨くない、長所を相殺しあってしまう。
そこをすかさず美人仲居さんが
「おかわりいかがですか?」
ときたので、また大盛りでお代わりをする。今度は最後まで昆布だしで食べた。
その後出てきた蕎麦湯は、そば粉が足してあり、かなり濃い蕎麦湯で実にすばらしかったのである。

 そこで耳より情報。美人仲居さんによれば

「このお蕎麦は昼もやってます」

とのこと!料亭で飯を食べてしまうと支払いが大変なことになるが、ランチなら手頃。
今度、酔っていないときに出陣を決めた。しばらく山形蕎麦にはまっていたが、加賀蕎麦もイケルのである。赤坂に在住の人はぜひ行ってください。

Posted by yamaken at 00:20 | Comments (0)

2003年09月24日

ペルー料理「インティラミ」にてアンティクーチョにKOされる

 友人とペルー料理を食べに行く。店は、川崎のインティライミである。この店は友人の柴田さんに教えてもらった。彼は静岡県の家畜衛生保健所というところに勤務する獣医さんだが、大の食いしん坊であり、僕の静岡地区の食い倒れ先導者である。ベルマーレ平塚ファンと同時に南米サッカーファンで、首都圏の南米料理の店のほとんどを知っている。そんな彼がお薦めの店なので、間違いないはずだ。
inti11.jpg

インティライミ
アンティクーチョ(牛ハツの串焼き)
セビッチェ
セコ・コン・フリホーレス
アロス・コン・レチェ(米をミルクで煮たデザート)
ペルービール
インカコーラ

 まず最初に、僕がペルー料理で大好きな「アンティクーチョ」。牛ハツの串焼きだが、ハツを漬け込むスパイスが最高で、どんなステーキよりも旨いと思う。これにパセリとニンニクを刻んだ薬味を乗せて食べると、ビールが停まらずヤバイことになる。
inti00.jpg

 セビッチェは、南米版お袋の味噌汁的位置付けで、むこうではこれを上手く作れないといい嫁さんになれないというそうだ。しかし実態は味噌汁ではなくたっぷりの白身魚とたまねぎ、香菜を大量のレモン汁で味付けしたマリネだ。実に酢が利いていて最高。僕は汁まで飲んでしまうのが普通だ。この店、味もいいが、盛りがまたよいのも気に入った。
inti03.jpg

 ジャガイモのマッシュにチーズクリームソースをかけた定番の一品の後、ご飯ものとしてしばし逡巡する。友人の柴田さんは
「アロス・コンポージョがいいよ」
と言うが、さんざん迷った挙句、セコ・コン・フリホーレスという、牛肉シチューと豆の煮込みをご飯にかけたものをオーダー。牛肉の塊がごろんと3切れ乗るその豪快にしてマイルドな煮込みを食べると、さすがの僕もおなかにキタ。珍しいことだ。アロスコンポージョは次回にしよう。店員の対応もよく(おそらく、僕から話し掛けていたからだと思う)、大いに気に入った。
inti06.jpg

 一緒に食べた友人はフランス語堪能で、ブラジルのカポエイラを習い、かつアフリカのブルキナファソまで出向いてジンベ(西アフリカのドラム)の修行をしたというツワモノ女性である。彼女にはジンベのすばらしい音源を借りた。旨い飯と良い友と良い音楽。言うこと無い祭日だったのだ。

Posted by yamaken at 00:35 | Comments (3)

2003年09月20日

熊本県八代市で「い草」について教えてもらった

20030920
 本日から熊本3連戦である。20日(金)は八代農業改良センタと、地元の農業生産者のパソコン利用クラブである「ぐりーんネット」の共催による講演会に招聘されたのだ。題目は勿論、「農産物のトレーサビリティ」。
 八代とは実は関わりが古い。まだ学生の頃、農業情報ネットワーク大会で知り合ったネットファーマー(ネットを駆使する農業者のことだ)に、八代の鶴山さんと宮本さんがいたのだ。二人は、ともに八代名産のフルーツトマトである「塩トマト」生産に取り組む篤農家達だ。生産圃場を見せていただき、その味に驚嘆して以来、取引させていただいたりしながら今に至る。

 熊本空港に着くと、鶴山さんが迎えに着てくれている。半年前の農業情報ネットワーク大会ぶりの握手。
「最近、熊本では黄化萎長病が流行しているんで、トマト農家は壊滅的な被害を受けてるんよ」
という穏やかならぬ情報を聴かせてもらいつつ、1時間半程度で八代へ。昼食には生け簀寿司の店で握りとバッテラをいただいたが、意外(!)に美味しい寿司をいただいた。
yatsusiro000.jpg
「実は熊本の魚は旨いってことが、知られてないんだよねぇ」
本当にそうだ。僕はすばやく認識を改めた。

(続きはこちらをクリック↓)

 講演会場には60人くらいの聴衆が集まっていた。どうやらこれは「めずらしか」ことらしい。やはり今日的な話題で、しかも何をやらねばならないのかがかはっきりわからないテーマだからだろう。皆、熱心に1時間半の講演を聴いてくださった。



 終了後、市内のホテル「大黒屋」へ。ここは宴会場として一番有名なホテルなのだそうだ。料理は、熊本名物も盛りこんだものだが、基本的には宴会料理。九州ならではの鶏のたたきを集中的に食すことにした。

 さてこの宴席で一番面白かったのは、実は食べ物よりも生産者との話だ。それも、食べられる品目ではなく、いわゆる「い業」の話だ。い業とは、い草を生産して畳表(たたみおもて)をつくる仕事を言う(へぇ~)。やまけん的には食べられない作物にはあまり関心がないのだが、これは話を訊いていると非常に面白いものだった。いや、まずは話をしてくれた古島さんという若手生産者さんが面白いキャラクターだったので引き込まれてしまったのだが、、、ごつい外見でかなり笑わせてくれる陽の気を持った人だった。
yatsusiro001.jpg

■い草の話 
1反部(10アール)の畑から、畳表4~500枚分のい草が収穫できる。そのい草を畳表に一次加工したものが、1枚分で900円~1200円になり、1反部あたり大体60万円前後となる。

 この畳表の流通構造だが、やはり一般の青果物と同じく、卸売市場があって、JA経由でそこに出荷、問屋を通じて全国の畳屋に流通することになる。これが一般的なルート。
 そして、ここで登場するのがネットだ。このぐりーんネットの生産者のうちの数人はいち早くWeb上で畳表の直接販売を始めた。顧客対象は当然ながら畳屋さんだ。実は、畳の世界でも、流通場の不具合が散見されていたのだ。例えば畳屋が問屋を通じて仕入れをする場合、いい畳表が手に入った時、「これと同じものを欲しい」と思っても、次回同じものを入手できる見込みは低い。卸売の仕組上、生産者までの指定が難しいらしいのだ。

 つまり、もし「よい畳表」が安定的に入手できるとなれば、直販ルートでも何でもよいという畳屋さんもいるということなのである。
 ここで重要になるのが「よい畳表とは何か」ということだが、これについては僕も選別眼は持ち合わせていない。ただ、もう1人話をしてくれた岡さんの話では、い草のニッチ市場があるという。

「通常、い草は泥染めといって、保存性をよくしたり独特の色合いを出すための着色をするんですが、アトピー等の問題もあって、これを嫌う人たちも居るんです。なので、うちでは完全に薬品等を無添加にして、安全な畳表を出荷しています。生産品の9割以上が直売で売れますね」

面白い話である。い草にもそんな市場があるのだ。世の中深いというか、農業はやはり面白い。どこにもあるのが、従来型の市場流通の構造的問題。そしてそれを踏み越える意欲的な生産者がいる。
 勿論、世の中の従来型の市場構造は、悪い側面ばかりではない。ただ、実状に合わなくなった構造は多数存在する。この構造を逆手にとって自己を確立する人たちもいる。日本の農業の衰退は目を覆わんばかりだが、まだまだ元気で面白い人たちがいると実感した。



 ちなみにこの後、二次会にて焼酎を飲み、ラーメン屋にて熊本ラーメンと餃子を食べたが、隣に座っていた兄ちゃんが、
「この店はラーメンよりもチャンポンが旨いよ」
と言うので、チャンポンも頼んでしまった。そして確かに旨かった!ありがとう名も知らぬ兄ちゃん。

yatsusiro002.jpg
yatsusiro002.jpg

こうして熊本の第一夜が更けていった、、、

Posted by yamaken at 23:58 | Comments (2)

2003年09月19日

新宿「日ごろ」で原田夫妻と飲む

 出先で仕事が終わり、京王線で新宿経由で帰ろうとするが、何か無性に飲みたくなる。HP勤務の友人である原田君に電話すると、嫁さんと山手線に乗っているという。
「じゃ 30分後に新宿で」
となり、彼らの行きつけの店「日ごろ」に向かう。新宿の端のそのまた奥の方にある小さな家庭料理の店なのだが、沖縄出身と京都出身のオネエサンが作ってくれる料理は酒のアテとして一級品なのである。

■日ごろ
新宿区西新宿7-16-2
TEL:N/A

 特にここで旨いのは、原田君が「オフクロと同じ味だぁ」というハンバーグ。コンガリと焼かれたぽってり肉塊に、自家製のドミグラスソースがかかっている。このドミソースが半端ではなく旨い。いわゆる凝った洋食屋の旨さではなく、ムチャクチャ高級なおふくろ料理という風情なのだ。このハンバーグで丼3杯はイケル。
 もう一つ出色のできばえなのは、なんと子持ち昆布のフライ。そんなの食ったことないではないか!と食べてみたら本当に卒倒しそうなほど旨かった。子持ち昆布を正方形に切り、それを3辺重ねる。これにみっちりと卵とパン粉をまとわせ、弱火でじっくりと火を通す。この火の通し加減が絶妙で、きちんと脱水されていて、味がギュウギュウと凝縮されている。昆布の卵ひとつぶひとつぶにホッコリと火が通り、ぱりんぱりんと噛み締めるたびに幸せな音を弾けさせるのだ。うう、ホントに旨い、、、これを作るのが実に面倒。厨房では、鮮度を落とさぬために海水に漬けて保存。注文を受けると、5分ほど真水に漬けて塩抜き。その水気を丁寧に拭いて重ね、串に刺し、揚げあがったら余分な油分をペーパーにすわせて、ようやくサーブ。これほど手の込んだアテはなかなかないだろう。本当に気が利いている。

 ちなみにご存じだろうか?子持ち昆布とは、実はニシンの子をワカメに人工的にくっつけたものなのだ。昆布と言いながら実はワカメ。本日のトリビア。40へぇ~くらいかね。

 その他にもたらふく食べて勘定。店を出てすぐのところに博多ラーメンの「天神」がある。どうにも引き寄せられ、ネギ海苔ラーメンで替え玉を2杯。もっと食えるけど、明日から熊本出張なので、胃を空けておこう、と帰ってこれを書いてます。

 そう、明日から熊本出張! 食い倒れ実況中継をお楽しみに、、、
 原田君、また飲みに行こうな!

Posted by yamaken at 00:29 | Comments (3)

2003年09月16日

醗酵リンク大会に参加した。

2003年9月15日

 飯田橋にて、醗酵リンク大会が開催された。どんな会かというと、日本の食文化において最も重要なキーワードである「醗酵」を主テーマに、日本酒や各種醗酵食品を紹介するという会だ。
 実行委員会の親玉は、藤田千恵子さん。彼女は、日本酒について書かせたら間違いなく日本一のライターだ。danchyuなどで執筆しているので、その活躍を目にしている人も多いはず。ちなみにビッグコミックオリジナルに尾瀬あきらさんにより連載されていた、女性フリーライターの物語「みのり伝説」のモデルは彼女である。
chieko.jpg

 会場には、日本酒の蔵本が11銘柄、展示と試飲ブースを設けていた。そしてそれぞれのテーブルには醗酵食品を用いた料理がずらりと並ぶ。根菜サラダと酒粕から創ったドレッシング、五目炊き込みごはん、煮染め、見事な鯵の干物、ちらし寿司、金山寺味噌、その他数々の品が並んだ。これらを快調に3周ほど食べ回ったのは言うまでもない。山梨の名酒「春鶯囀(しゅんのうてん)」の中込さんが出してくださった、こだわりの卵を使った特大プリンの旨さはこたえられなかった。

 出品していた蔵本さんもそうそうたる面々だった。純米酒マニアであればみな舌なめずりをするであろう神亀、武勇、雑賀、杜の蔵、そして私の大好きな島根の桑原酒造の「扶桑鶴」。この桑原酒造の若き専務である大畑さんとは、島根に酒造見学に行ってからも数度、一緒にご飯を食べている。実直で控えめなご性格が、そのまま酒に出ているような、とても品がよく、前に出すぎない、それでいて凄みのある主張をしている酒なのだ。希有である。
oohata.jpg

 と、沢山の酒造がある中で、最も人だかりがしていたのが、我らがタツヤン、石川達也氏が杜氏を務める「竹鶴酒造」だった。バードコートに行った日以降も、毎晩飲み歩いていたらしい。肝臓には気をつけてくれたつやん。
ishikawa-2.jpg

会はタツヤンの音頭によって中締め。その後、神田の居酒屋「新八」にて二次会。JALのチーフパーサーであり、なうての日本酒ライターである鵜飼さんなど、素晴らしい面々が集う。
僕は日本酒業界には門外漢だが、楽しいひとときを過ごした。ちなみにこの会の実行委員で裏方に徹していた工藤君という人物がいる。地酒の世界では有名な居酒屋「五穀家日本橋店」の店長をしていた彼は、今年の初めに同店を辞した。今、別チェーンで修行中だ。僕は勝手に、彼を兄弟分だと思っている。いつもよく喋る彼が、この会では見事に下働き・裏方に徹していた。僕にはできない仕事だ。拍手したいと思った。お疲れさん!

Posted by yamaken at 18:13 | Comments (0)

筋金入りの種屋さんと会う

 種屋、と言っても町なかにある種屋さんではない。いわゆる種苗(しゅびょう)会社という、氏素性のよい種を大量に生産し、販売している会社だ。サカタのタネやタキイ種苗なども勿論そう。この2社はどんな人でも知っているだろうと思うが、実は大小様々に色んな種苗会社があるのだ。
 本日は、その一つである「野原種苗」という、可愛い名前の種苗メーカのコンサルタントである千田さんとお会いした。某大手種苗会社を退職されてから、この小さな種苗会社のコンサルにご就任なさったとのこと。ご高齢であるが、ピンと背筋の通ったお話に、少し感動してしまった。話の内容に、というよりは、育種という、気が遠くなるような品種改良の営み一筋に生きてきた方の存在感自体に、圧倒された。
 野原種苗の十八番は、小松菜だ。数種類の小松菜について熱く語って頂く。「彩夏(さやか)」という品種に惹かれる。濃緑色で、軸も太めでしっかりとしてるようで、噛み締めるときっとシャグッという強めの食感になるのではないか。個人的に買って、種を蒔いてみよう、と思った。今後、色々と種についてお伺いすることにして、お別れした。やはり、戦中派にはどうしても人間としての説得力・存在感で勝てないなぁと思った。

Posted by yamaken at 17:52 | Comments (0)

2003年09月13日

石川杜氏と「バードコート」へ行った

(一つ前のエントリから続く)

 さて、森下の名店「山利喜」から北千住に移動。その昔、ヘンリー・ミラーの小説「北回帰線」をもじって「北千住回帰線」なるパロディを書こうとしていたことを思い出す、、、

 北千住はバリバリのダウンタウンだが、目指す地鶏焼き「バードコート」は、銀座にあっても不思議のない店だ。超有名人気店なので、知っている人も多いだろう。銀座の名店「バードランド」で修行していた野島さんが独立して開店したのがここ「バードコート」なのだ。
 そしてもう一つ縁がある。今夜いっしょに飲み食いしている「竹鶴」の杜氏である石川達也さんは、大学生の頃に無名時代の「バードランド」で働いていたことがあるのだ。

「いやあ、あの頃のバードランドを知っている人間からしたら、頂点に駆け上がるのは時間の問題だって思えるよ。当時からそれだけの価値がある店だったよ。一流の店になることを目線に置いていたから、最初から目指すところが違っていた。」

 そして「竹鶴」も今や地酒界のスターになっている。すごい縁というものだ。今から伺うバードコートの野島さんとは一緒に働いてはいないとのことだが、店には「竹鶴」が置いてあるという。北千住の駅前をしばらく歩くと、以外に周りにとけ込んだ風情で店がある。入店すると、もうギュウギュウに人が詰められている。その中で2人分、焼き手の野島さんが炭火に向かっているリングサイドの席に通される。

 驚いたのは、決して広くはない厨房内に立ち働く人が6人と多いこと。サービスは野島さんの奥さんの千寿子さんが一人で担当している。厨房内では、焼きの一瞬も逃さぬ緊張感に満ちている。野島さんが霧吹きで串に調味液を振り、備長炭にかざす。串は最適な温度(すなわちアツアツ)のまま、即座に客の前に並べられている。スペシャルリングサイドにいるので、僕たちには直接焼き手である野島さんから皿を出して頂く光栄。
nojima.JPG
■バードコート (北千住)
豆腐
地鶏刺身
砂肝の煮こごり
自家製レバーペースト&パン
豆腐の味噌漬け
地鶏焼き(7~9種)
親子丼
鶏雑炊

酒: 小笹屋竹鶴(雄町12BY)
    神亀(12BY)

 ちなみに地鶏は大好きで、色々食べてきた。宮崎の地鶏料理が好きで、常に地鶏の腿焼きとタタキを食べたいがために養鶏農家と友人になったこともある。最近最も旨いと思ったのは、駿河若シャモ。このシャモ、生産量が少なすぎて出回らないのだが、これを岐阜の料亭の友人に紹介したら、鶏嫌いの板前が「旨い」と言っていた。いや、ま、つまり「俺は鶏にはうるさいんだぞ」と言いたいのです。スンマセン。ちょっとやそっとではビックリしないよ、と思いながら席についていたのである。ちなみにこのバードコートで仕入れているのは、奥久慈シャモという地鶏だ。これは初めていただく。
 で、最初に結論を言うのもなんだが、、味わううちに、このバードコートは、焼き鳥としていただく店ではないと思った。同様の意見は多数の方がもたれているようだが、極めて洗練された地鶏創作料理の店と言った方がいいと思うのだ。

 まず驚嘆したのが前菜で出てきた砂肝の煮こごり。煮こごりのゼラチンが無色なので、醤油で煮ているのではないことがわかる。薄塩のガラスープで軽く煮て、そのまま冷やしているのだろう。しかし異様に大きな砂肝である。噛んでビックリ、ちまたの砂肝によくあるジャリ感が全くない!レバーと一緒に付いてくる肝の感触のような、もっちりした歯触りなのだ。独特の香りも押さえられていて、上品極まりない。色々食べてきたけど、こんな砂肝は初めてなんである。
nikogori.JPG
これは当然、串のほうも旨かろう、、、と思っていると、すごいのが出てきた。デカイのである。鶏は今まで自分でもさばいてモツを観てきたが、こんなにでかい砂肝は初めて観た。もちろんデカイだけではなく旨い。噛むと、表面の軽い焦げがカリッとしたクリスピー感を出しているものの、後はスーッと歯が通る柔らかさで、ジュワッと肉ジュースが染み出してくる。これは文句なしに旨い、、、
 この砂肝の印象が強く残ったのだが、他にもソリ、ペタといわれる、滅多に出てこない部位や、適度に脂を落としてこんがりと焼いたボンジリなど、貪るようにいただいた。首肉の部分は、そのシコシコした食感と濃い味に涙が出そうになった。
sunagimo.JPG

 総じてこの店の串はあっさりと塩味で食べさせる形式だ。鶏に脂が乗ってはいるものの、それをしつこく感じさせない調味をしている。最後のつくねはタレと黄身で食べさせるが、僕にはもう少し下品でもいいかなと思う上品さだった。勿論、その上品さは味を損ねるものではない。一本の文脈としては完全である。
tsukune.JPG
 〆は親子丼と雑炊。親子丼は、これも非常に上品な味。コースの流れの〆として、一つの完成形を体現しているのは確かだ。

 タップリ頂くと、周りのお客さんはみな帰り、石川杜氏と僕、そして野島さんご夫妻と店の人たちとでの語らいが始まってしまった。野島さんが、静かに石川杜氏をリスペクトしている様子がよく伝わってくる。とても実直な語り口でにこやかに話される。一流の人間に共通する、あの謙虚さが確実にある。

「僕は知識がまったくないところから出発してますから。色々教えてください。」

とんでもない話である。僕のことを石川さんが紹介してくれ、野菜の話になる。

「焼いて美味しい野菜ってのを色々試したいんですけど、なかなかいい農家さんに出会えないんですよね、、、」

そういう話ならば得意である。いろいろとご紹介することを約束する。とてもよい出会いをいただいた。勘定をお願いしようとすると、受け取ってくれない。石川さんに付いてきてバカ食いして、ご迷惑をおかけした。本と野菜を送らねば、、、

 店をでて、我々の姿が見えなくなるまで見送ってくれるスタッフの皆さん。いい店だ、、、きちんとお返しをしようと心に決めた。

 最後に石川杜氏、どうもありがとう。また飲みに行こうネ。

Posted by yamaken at 22:17 | Comments (0)

石川杜氏と「山利喜」へ行った

 今夜はとても密度濃く、長い夜だった。一言でいうと、

「名門酒造の杜氏とともに、江戸前の名居酒屋と、飛ぶ鳥を落とす勢いの焼き鳥名店で痛飲・痛食した。」

ということになる。行った店は「山利喜」そして「バードコート」だ。

 一緒に食い倒れたのは、純米酒業界ではおそらく知らぬ人のいない、広島の名門「竹鶴」の若き名杜氏、石川達也氏である。何でこんなすばらしい方と知り合えたかというと、僕は竹鶴酒造の次女とマブダチで、学生時代に熊本の師匠の農場に行く前に、よく寄って飯を食べさせてもらっていたのだ。その頃、石川杜氏はあの生きる伝説の蔵元「神亀」の修行から、実家のある広島のこの酒造に移ったばかりだったと記憶している。以来、つかず離れずだが、最近とみによく会い飲み食いするようになってきた。本日も、あるイベントのために上京するので、ついでに飲み明かそうという算段だったのだ。
 昼間、別件で本郷の喫茶「ルオー」にて食事。ここの看板「セイロンカレー」は間違いなく正統派喫茶店カレーで、襟を正したくなるような筋の通ったやさしさのある味だった。大盛りを食べ、まだ時間があるので、いったん体制建て直しでそれぞれねぐらに帰り、体調を整えてから、出陣。

 一軒目は下町・森下を攻める。大江戸線・新宿線の出口を出てすぐのところに、名店が密集している交差点がある。甘めの味噌味ダレで馬肉を供する桜鍋の「みの家」、下町の蕎麦屋を語るときに欠かせない名店「京金」、劇旨カレーパンの「カトレア」、そして名居酒屋「山利喜」、、、「魔のトライアングル交差点」と言っていいだろう。
 目指すのは、石川杜氏も私もまだ行った事の無い「山利喜」だ。←この公式HPには、ダウンロード可なメニューのPDFがある。
20030913_11.jpg
19時の時点ですでに店外に6人ほど並んでいるゾ、、、人気店である。5分ほど待つと、2Fni相席で通される。目に入ったのは、壁の端から端まで並んでいる、勢いのある品書き短冊。ここの短冊の勢いは良い!期待感をあおる。
20030913_01.jpg

■山利喜(森下)
焼きトン6本盛り合わせ
青柳とワケギ、ウドのぬた
煮込み
ガーリックトースト
青菜おひたし
なすの冷製ゴマ和え
小鯵唐揚げサラダ仕立て

 まず、運ばれてきた焼きトンにノックアウトされる。タレは粘度が高い独特のものだが、甘すぎず旨みが濃い。これに添えられているのはなんとマスタードである。このマスタードがかなり利きがよく、鼻にくるのだが、ワインビネガーが香る上質なマスタードだ。これを焼きトンの串につけて頬張ると、普段の串焼きとは次元が変わる旨さだ。

20030913_01.jpg

 ここのお勧めはブーケガルニを使用しているという煮込み。ガーリックトーストを添えるとよいと書いてある。小さな土鍋に盛られてきたその煮込みは、フツフツと沸いている濃褐色のシチュー。油膜が分離しているのがはっきりわかる濃厚さだが、モツ(←シロだと思う)を口に運ぶと、以外にあっさりしたアタリだ。小口切りの葱とモツ片の相性は最高。嚥下する瞬間ふと、ハーブの香りが通り過ぎる。これがブーケガルニの効用か。お勧めのガーリックトーストをドロドロの汁に浸して食べると、これは最高な酒のアテである。
20030913_01.jpg


 ちなみに酒は、新潟の正統派本醸造の「鶴の友」。アル添していても旨いもんは旨いという好例だ。その後、品書きにギネスの樽生があるのを発見し、速やかに注文。最後は上喜元。
 この店の料理は、ハズレが無い。石川杜氏と分析した結果それは、ちょっとした一手間のかけ方が心憎いほど上手いのだということになった。例えば青菜おひたしには、ほうれん草だけではなく京菜、菊の花など数種の青菜が用いられている。それらを単に皿に盛るのではなく、出汁で洗い、供している。当然微妙な歯ざわりとほのかな鰹出汁が香り、絶品のおひたしになる。それと、料理全体に言えるのは、控えめと派手の境界線上にある、絶妙なバランスの味付けなのだ。鯵のから揚げの甘酢の塩梅(あんばい)もそう。

 、、、ただし、本日のメインは、あくまで2店目の「バードコート」。銀座「バードランド」で修行した野島さんが北千住に開き、すぐに予約の取れない店になってしまったという伝説の名店だ。この日も、石川杜氏が電話をすると「うわー9時半からしか空いてません」と言われてしまう。それでも行くということにして、山利喜で下地をつくっていたのである。しかし想像以上に山利喜が良かったので、これ以上居ると下地以上になってヤバイということで、北千住への移動をはじめる。〆て9500円。大満足である。
(バードコート編に続く)

Posted by yamaken at 01:15 | Comments (0)

2003年09月11日

今、東京で最も旨いと思う蕎麦屋の画像をアップ。

 以前の記事に、この店のことを書いたが、蕎麦にはウルサイ人が多いので、もうちょっと詳しく書いておきたい。

 新橋・虎ノ門周辺に行く時には、満腹であろうとなんだろうと寄ることにしているのが、最上質の山形蕎麦を出すこの店「出羽香庵」だ。何と言っても、山形県がアンテナショップとして出しているスペース内に出店しているのだから、県としても最も自信のもてる布陣を敷いてきたと考えてよい。そう、この店は地元の名店「庄司屋」の出店なのだ。その上、県庁の人が「地元より旨いかも」と太鼓判で推薦してくれたので、まずいはずがない。
 新橋・虎ノ門界隈には蕎麦の名店が多く、僕も好きな店が沢山ある。しかし、この店で食べてから、周辺の店にはほとんど行かなくなった。一度、この出羽香庵で大盛を食べた後に、もう一つのお気に入りにハシゴして、そこでも大盛を食べたのだ。しかし粋で勝負しているはずの江戸前の蕎麦なのに、出羽香庵と比較すると、愕然とするほど野暮ったいのだ。以来、ぴたりと他の店に入らなくなった次第。

 この出羽香庵の画像をまだアップしていなかった。ちょうどいいことに、農協関連の団体の方々と昼飯を食べようということになり、この店に決めた。撮影撮影。
 この店に来る際には、時間帯を選ばないといけない。12時になると、周辺の蕎麦好きビジネスパーソンが押し寄せ、果てしない行列になる。ので、11時50分には入店することが望ましい。もしくは、1時以降だ。今回も11時45分に待ち合わせ、比較的スムーズに入店。ちなみにこの店、外観はほんとに展示会のブースってかんじのチープなつくり。食券制で、券売機で買って入店することになる。何にしようか、、、今までここでは、板そばか大盛板そばしか食べていない。本日はかき揚げを単品で頼んでみることにした。

■そば処『出羽香庵』
〒100-0013 東京都千代田区霞ヶ関3丁目8-1
虎ノ門三井ビル 1F
TEL:03-3504-8715
FAX:03-3504-8744
営業時間:AM11:00~PM7:00
やまがたプラザゆとり都内
休業日 土・日曜日・祝祭日・年末年始
地下鉄:銀座線虎ノ門駅(3番出口)から徒歩1分

板そば 900円
大盛板そば 1200円
かき揚げ 400円
itasoba.jpg

ピークタイムにはものすごい速さで茹でられているので、すぐに出てくる。画像ではそばの上に一本、赤い線が入っているのがわかるだろう。これは備え付けの七味だ。一般品にくらべとても香りのよい七味で、これをこのようにそばの上で一文字に線を引き
、そばをすすると、香りと辛みが最高のマッチングなのだ。
 ちなみにそば屋にしては高い値段設定だが、盛りは普通盛りでも通常の蕎麦屋のセイロ二枚分くらいなので、許容範囲だ。

 で、この店、つゆが実に旨い。江戸前そばとの違いは案外ここに集約されるのかもしれない。これは全くの私見だが、そばづゆは、北に行くほど雑味の少ない、透明感のあるストレートな味になるような気がする。福島のてんぐ屋の女将が打つそばもしかり、岩手県紫波郡のロードサイドにある名店「はらぺこ亭」もしかり。このつゆで、湯ごねの麺をすすると、その剛直かつしなやかな太さのそばに程よくからみ、品のよい味の強さで迫ってくるのだ。

 ただし、この日は色気をだしてかき揚げを頼んでしまった。これは失敗。ここのかき揚げ、単品ならいいかもしれないが、そばと合わせると、そばの存在感がなくなる。かき揚げの具にホタテが入っているのがバランスを崩す要因となっていると思う。残念だ。

 次回はシンプルに、大盛板そばで攻めよう、と思いつつ去るのであった、、、

Posted by yamaken at 19:48 | Comments (2)

日々の料理のこと

 以前からだが、最近よく下記のような質問を受ける。

「やまけんはあんなにたくさんのお店で食い倒れをしているけど、家では何を食べているの?それ以前に、料理はするの?」

 お答えしましょう。僕は小学校4年生の頃から料理が好きになりました。高校の3年次では学校の近くに下宿していたので、毎日自炊。大学・大学院はもちろん一人暮らしで自炊。しかもお金が無かったので外食はあまりしなかった。大学生の時、農学部でもなんでもないキャンパス内に畑を創ったのも、自分で育てた野菜を自分で料理して食べたかったからというのが根本的な目的だった。
 このような経緯なので、得意料理とかそういうのは無い。なんでも満遍なく作る。独りなのに天ぷらも揚げるし、学生時代はパンも焼いていた(しかも天然酵母で)。強いていえば、パスタは小学校から好きで探求していたので自信はある。ひところ、僕が連日ラグー(ミートソース)を作っていたので、家族が辟易していたこともある。

 そんなわけで料理は大好きだが、よく言われるのが下記のような言葉だ。

「きっと”男の手料理”って感じなんでしょうね!」

これはきっと誉め言葉なのだろう、、、豪快かつリッチなイメージ。確かに、野外料理をするときにはそういうのも作る。例えばこんなの(3段目の画像が僕)。でも、こういうのを誉められるのはあまりうれしくない。現実には、僕の料理は主婦の料理なのだ。考えてほしいのだが、毎日スペアリブやらステーキといった「ハレ」の料理ばかりを食えるわけが無い。僕がいつも作る料理は「ケ」の料理だ。

 例えば週末の休日には、

・つるむらさきのゴマ和え
・きんぴらゴボウ
・なすの南蛮漬け

といった惣菜を山ほど作って、でかいタッパーに蓄える。それを1週間かけて食べるような感じだ。とくにきんぴらゴボウは僕には欠かせない料理で、よく食べる。なすの南蛮は、夏から秋にかけてナスが出回るとき、大量に作る。串切りにしたナスを高温でさっと素揚げし、鷹の爪を割った酢醤油に漬けて冷やすだけだが、たまらなく好きだ。これら惣菜に、豆腐の冷奴(たいてい一丁分食べてしまう)と納豆をあわせれば、僕の休日の食卓になる。

 日曜日はたいてい寝過ごすので、ブランチとして11時くらいにパスタを作る。トマトソースに自家製のバジルペーストをふんだんに使って、あとは野菜を放り込む。普通と違うのは、麺を200gくらい茹でることだろう。ワンプレートだからふんだんに麺を食べる。うちに来てパスタを食べたことのある人はわかるはずだ、、、

 ま、そんな感じなのです。疑問は氷解したでしょうか、Sさん?
 

Posted by yamaken at 00:29 | Comments (5)

2003年09月09日

和歌山ラーメン地元の厳選3店を味わう

2003年8月11日
 和歌山出張である。和歌山といえば魚が旨いのだが、旅程が限られている場合は迷わず和歌山ラーメンである。ちなみに和歌山では「ラーメン」とはめったに言わない。通常は「中華」というのだ。僕は通常、ラーメンはそれほど好きではないのだけど、和歌山の中華は大好きだ。8年くらい前に和歌山で農業情報ネットワーク大会というイベントが開催された時に、当時すでに全国的に有名になりかけていた「井出商店」に行き、その旨さにノックアウトされたのだ。
 それと、他の地域では見かけないが、和歌山ではラーメンを食べながら「早寿司」という、一口サイズの鯖の押し寿司をつまむのが普通だ。この早寿司が旨い!僕はこれを中華の汁につけて食べるのが大好きで、ラーメン1杯に3個の早寿司を食べるのが普通だ。

hayazushi.jpg

ちなみになぜ「早」とつくのか。本来この地域には、鯖に塩をして、米と一緒に1ヶ月以上漬け込んで乳酸発酵させる「なれずし」があったのだ。今は郷土の伝統食として、メジャーではなくなっているようだが、いわば滋賀県のフナ寿司のようなものだ。その簡易バージョンというか、発酵させていないものが早寿司なのだ。これがまた美味。以前、果樹農家さんの集会に寄らせていただいたら、お土産に20本くらい持たせてくれて、それを2日で全部食べきったときは、至福の時間だった。

 さて和歌山ラーメン(中華)である。今回は変則的だが、ある市場への野菜の入荷風景を視察するのが目的だったので、夜から和歌山入り。すでに10時だが、今回アテンドしていただける津田さんが、

「ま、まずは井出商店にいきたいでしょ?」

と連れて行ってくれる。美人の奥様の運転で、井出商店到着。ああ、懐かしい、、、儲かってるだろうに、まったく変わらない外観だ、、、もうかなり遅いのに店は満員である。なんと残念なことに早寿司が机の上に見あたらない。売り切れてしまっているらしいのだ、、、 悔しがる僕をみて、津田さんの奥さんは「相当におかしな人だ」と思ったらしい、、、
 憂さ晴らしではないが、中華大盛り、である。和歌山の中華は、注文から出てくるまでが早い。今回も速攻で出てきた井出の中華は、懐かしい濃いスープであった。

ide.jpg

スープをすする。 ん、旨い、、、 けど、化学調味料が前来た時より鼻につくなぁ。麺をすする。ん、若干柔らかすぎ、、、 カタ麺で頼むべきだったかも、、、 と細かい部分は気になるが、秒殺で食べ終わる。
 正直なところ、ほっとする旨さがあるけど、和歌山の人が「もっと旨いとこあるよ」というのも納得という感じだ。ま、一日目(というか一食目)だし、いいスタートということにしておこう。


 その後、津田さん宅にておもてなしをいただき、非常に心地よい時間を過ごす。夜中の1時から4時くらいまで市場と物流センタの見学と、ディスカッション。うーん大変。青果物の流通ってのはかなり大変なんですよぉ、読者の皆さん。
 仮眠を2時間くらいとって、午前中にやるべき仕事をし、店舗視察をした後、午後1時半ころにようやく昼飯。

「これくらいの時間にいかないと混んでて、、、」

といって連れてきてくれたのは「和歌山市内の人しか行かん」という、激レアな店「山為食堂(やまためしょくどう)」である。なんでもここは、一般的なラーメン店ではなく、うどんとかトンカツとかもある、普通の食堂。でも、客が「中華とご飯」以外を頼んでいるところをほとんどみないということだ。この店、通常の和歌山の中華に比べると「とにかく濃い」んだそうである。なので、自動的にご飯を頼んでしまうということらしい。ふむ、濃い味好きの私にはビッタシではないか。

yamatame2.jpg

■山為食堂 073-422-9113
和歌山県和歌山市福町12
営業時間 11時~17時 ただし売り切れ可能性あり
日祝休み

中華そば 650円

山為の店内は本当に食堂。名物のおばちゃんが居て、すべてを采配する。中華は大盛りはできない。ので、中華とご飯を頼む。しばし後に運ばれてきた中華&ご飯は、確かに「濃ゆい」存在感に満たされていた。スープをすする。確かに濃い!豚骨醤油に魚系の出汁が混ざったような感じだが、とにかくねっとり感が強く、それだけでオカズたり得る味だ。迷わず白飯を一口。そして麺をすする。若干太めで黄色がかった麺はスープがよくからむ。煮豚チャーシューがいい相性だ。文句なしに旨い。化学調味料のにおいもあまり感じない。ゼロではないだろうが、それよりも魚系の出汁を使っているのではないか。スープを飲み干すと大量に残る粉っぽい堆積物が、それを物語っている。麺→スープ→白飯の繰り返しであっという間に食べ終わる。実に満足した。これで650円は安いぞ!

yamatame1.jpg


 さて山為は美味かったものの、朝から何も食わずにラーメンとご飯(ドンブリ入りだったが)だけで満腹になる訳がない。同行の津田氏は「まだ食うの~?」と引くが、もう一軒ぜひ!

 行きたかったのは、これも津田さん情報で、あの井出で修行していたらしい人が始めた「丸三」という店。市内をしばらく走り、見えてきたのは比較的綺麗な一軒家の店だ。

marusan2.jpg

■丸三食堂
和歌山市塩屋6-2-88
0734-44-1971
営業時間11時〜23時
日祝 休み

中華 500円
特製中華 600円
大盛中華 600円
大盛特製中華 700円
早すし 100円

おおおおやった~! この出張で初めて早寿司に出会えた~!
歓喜の私である。大盛特製中華をオーダーした後、早速1つ食べる。旨い!
中華が出てきた。ちなみに特製とはチャーシュー大盛りのことだ。それに麺も大盛りにしたのが大盛特製中華。説明しなくてもわかるか。この、丼に表現された世界が実に美しい、、、写真をみていただきたい↓
marusan1.jpg

どうですか!? 小宇宙が見事に表現されている!(なんのこっちゃ)
井出も山為も、いい意味でぶっきらぼうな感じなのだが、丸三は芸術点を挙げたくなる完成度なのだ。そしてそれは外見だけではなかった。

「旨ぁ~い!」

個性が違うことを差し引いても、どう考えても今回一番の旨さである。よく考えて欲しいのだが、私はすぐさっき中華とご飯を食べている。その上に大盛を食べて「旨い」というのだから、客観的評価としてはすさまじい高得点になるはずだ。
 一番感じるのはスープの繊細さだ。豚骨醤油のベースは変わらないが、雑味が少なく、味わせたい要素を絞り、その各要素を際だたせることに成功している。濃厚さをあまり意識させない内に食べ終わってしまうのだ。麺は今回の3店中で最も細いので、これがスープを繊細に感じさせている要因の一つだろう。しかもチャーシューも手抜きナシで、旨い。バラ肉だと思うけど、味がきちんとしていて、口でとろける。とにかく旨いのである。
 おもわず早寿司をもう一つ食べる。中華のスープに少し浸して口に運ぶ。スープと酢飯は絶妙のコンビネーションだ。一口大のガリがスープの脂を引き締める。と、津田さんがレジに立って会計をしてしまう。あああ、、、この「あああ、、、」は、おごって頂いてしまったどうしよう、という気持ちともう一つ「早寿司もういっちょ食べたいんだけどなぁ」という2つの意味がある。
 それでもう一つ店員さんに100円払って早寿司を食べたのであった。それで諦めたけど、本当のことを言うともう一つ食いたかった。何せ最高なのである。

 大満足して帰途へ。なんと津田さんの奥様が、早寿司を10本セットで買っていてくださり、お土産にもたせてくれる。なんと出来た嫁さんなのだろう、、、でも、告白しよう。この10本の早寿司、東京の自宅について、寝る前にすでに5本食べてしまったのだ。だって旨いんだもーん、、、

 こうして和歌山ラーメン紀行その1は終わった。しかし情報によればまだまだいい店があるらしい。続編を期待して欲しい、、、

Posted by yamaken at 08:40 | Comments (2)

2003年09月08日

久しぶりにカフェハイチのドライカレーを食す

 大崎のゲートシティにて仕事。3時に終了後、昼食を抜かしてしまったので店を物色していると、なんとゲートシティ内に「カフェハイチ」を発見してしまった。カフェハイチは、もともと新宿にあるハイチ家庭料理の店なのだが、最近はいろんなところに展開しているのをみかける。学生時代、ヨガで新宿に週二回通っていた頃は、2回ともこのハイチで食べて帰っていたものだ。ハイチ料理といっても、中軸になるのは看板メニューのドライカレー。ほぼ水分が無くなるまで炒め込まれた挽肉カレーがご飯の上にのっているだけのものなのだが、この味が他では味わえないものなのだ。濃い茶色の具には挽肉とタマネギしか見えないが、スパイス含め、謎の工程に満ちあふれているはずだ。一回目はピンとこない味なのだが、3回通うと癖になってしまうのだ。ルーの持ち帰りができるので、学生時代に何度も持ち帰り、同じ味を出そうとチャレンジしたが、どうしてもたどり着けない。しかもこの店、カレーとビッタシ合うご飯を用意している。粒のエッジが立っている、蛋白が少な目の米だ。単純に美味しい米と、カレーに合う米というのは意味合いが違う。ハイチカレーの米は、ここのドライカレーに最適化された米だと思う。ということから、下手にまねをするよりハイチで食べるのが一番だという結論に達したのだった。

 久しぶりに入ったハイチ(大崎店)だが、レシピは同じでも店舗により味の違いがあるはずだ。それも念頭に、やはり頼んだのはドライカレーとハイチコーヒーのセット。このコーヒーが、深入りのオールドビーンズのようなコクのある味わいで、カレーとの相性が絶妙なのだ。
 カレーが運ばれてくる。器の柄も、中央にこんもりと盛り上げたご飯も、それを覆い隠すようにトップに塗り込められたドライカレー、そしてその上にかかるドライパセリの緑の色彩も昔と同じだ。味はといえば、なんとなく特有の香りが薄いかとも感じたが、これは記憶の誤差範囲内だ。旨い。すごく懐かしい。
 カレーを食べ終わるいいタイミングで、コーヒーが運ばれてくる。これについてくるブランデーを少量加えると風味が増す。僕はいつも10回振る。ただし大崎店のコーヒーは、独特の風味が薄くなっている。普通っぽい味と香りで、少し残念。

 とはいえ、この味と満足感は代え難い。僕の胃袋からすると少な目の量なのだが、これは食事というより「おやつ」だ。それもすごくほっとするおやつなのだ。チャージさせてもらった。ごちそうさま。

カフェハイチ 大崎ゲートシティ店
ドライカレーとコーヒーセット 850円

Posted by yamaken at 06:33 | Comments (0)

2003年09月07日

マリレン&オリビエ壮行会

 マリレンとオリビエが9日にフランスに帰国する。その壮行会で、お台場のZESTへ行く。集まった面々で僕が知っているのは加賀谷のみで、初対面の人ばかりだ。でも、皆とてもオープンマインドな人たちばかりで、すぐに打ち解けた。
 中でも面白かったのはMさんという人で、フランスにも行っていたが、アフリカのブルキナファソに行って、アフリカのドラムであるジンベを習っていたとのこと。ジンベは僕も持っていて学生時代に少しやっていたけど、アフリカまで行くことはなかった。今度、いろいろ教えてもらうことにした。

 ZESTのメキシコ開拓風料理はどれもそつなく旨かった。しかも一人3000円くらいで、びっくりするほど安かった。
 終盤、マリレンとオリビエに、持参した日本茶をご馳走する。もちろん僕がいつも扱っている、静岡の葉桐の茶で、本山の築地勝美さんが生産した「やまかい」という品種茶だ。この茶は、やぶきたなどの品種と比べ、濃いダシのような旨みが抽出できるのが特徴。しかも今年度産の築地さんの茶はすばらしい出来で、フルーツの香りがする。ZESTの店員の兄ちゃんに湯をもらいたいというと、ポットで快く持ってきてくれた。ナイスガイ。60度程度まで湯温を下げ、2分ほど抽出する。オリビエ、マリレンとみんなも、茶を喜んでくれた。もうすこし時間をかけるか、湯温を上げたほうがよかったかもしれない。

 面白い出会いと別れが交錯する。でも、フランスにすぐに会いに行くぞ。

Posted by yamaken at 23:43 | Comments (0)

門仲・極上の寿司をまさみさんと楽しんだ

 5年ぶりにまさみさんに会う。まさみさんは、僕が大学時代にやっていたヨガの先生である。ヨガというと、「身体が柔らかくなる」とかいう安易なイメージが流布されているが、そんなものではない。準備運動が腕立て伏せなどから始まり、強烈な体位(アーサナ)をとって内蔵に刺激を入れ、一定の呼吸を行うことでエネルギーを回していく。そうすると日常的には入らない刺激が身体の各部に入り、活性化していくのだ。僕はこのまさみさんのクラスに5年ほど通っていた。
 5年ぶりに会うきっかけは、彼女が出版した本を購入したからだ。「本気の扉」というその著書は、これまでも彼女から聴いていた話に、最近の彼女の境地が綴られている。人生に希望をもてない人や、何かしらブレイクスルーを必要としている人に紹介したい、インパクトの大きな本だ。何せまさみさん自身が、重病を煩っていたり、大きな問題を背負っていた人で、そこからヨガを通じて問題を克服してきたという歴史があるから、ものすごい説得力がある。

 5年ぶりに会う彼女をもてなすために、今僕が最も自信を持って人を招待できる店、門前仲町の寿司「匠」に連れていく。ここではいつも最初から握ってもらう。一つ一つのネタが真剣勝負である。

■寿司「匠」(門前仲町)
生まぐろ大トロ
あいなめ
いしがき貝
白イカ
金目鯛の昆布〆
ミル貝
コチ
白エビ
バフンウニ
生いくら
大トロ炙り

日本酒:るみ子の酒(三重県、純米酒)

 まさみさんは「全部美味しい!」と言ってくれた。あまり量を食べない彼女だが、平らげてくれて僕も嬉しい。今日は特にウニとイクラがよかった。匠では、ウニを軍艦巻きにはしない。勿論海苔でウニの香りが消えてしまうからだが、それにはウニの吟味が必須だ。ここのバフンウニは、ミョウバン液に漬けていない本物のウニなので、口に入れたとたんにとろける。濃厚なクリーム、と言っていい。最高なのだ。それとイクラは、今年度産の生イクラの初物だそうだ。イクラの初物なんて初めてだが、本当にフレッシュな風味で、いつも食べているのはやはり塩蔵品なのだな、と感じた。今日は板前の加藤ちゃんが張り切ってくれて、いくらは通常の軍艦の上に桂剥きの胡瓜を巻いてくれ、目にも涼やかだが口にするともっと涼しく風流な香りが通り過ぎた。文句なしだ。これだけ食べて、ビールと日本酒を楽しみ、1人6千円以下なのだ。築地・銀座を含めて今最も推薦できる寿司屋だ。

 寿司をたっぷり堪能した後、近くにあるバー「オーパ」にてカクテルを楽しむ。
 久しぶりにまさみさんに自分の甘い部分を指摘される。
「今いる場所、環境で自分を深めて行かなくちゃ、別の環境に移ったって同じことの繰り返し。3年かかて深めてきたことがまた最初からやりなおしになるから、薄っぺらいまんまよ」
「組織や人との関係をきちんと作っていくことに向き合っていかなくちゃ」
久しぶりのまさみさんの言葉は、誰よりも思いやりを感じる。やはり自分の背骨を自分で矯正するにはまだ未熟だ。こうやって観てもらうことが必要だと再認識した。

 最後の一杯はマティーニ。ゴードンのジンとノイリープラットのベルモットでドライに。ここのバーテンダーのエース格の兄ちゃんのマティーニは魔法のように滑らかで旨い。最後にレモンピールを絞る手つきは本当に手品師のようで、まさみさんが目を丸くして見つめている。
「なにあれ、おまじない?」
レモンピールの説明をすると、嬉しそうに「お洒落ねぇ、、、」とうっとりしてくれた。本当にお世話になった女性にこうしてご馳走させてもらえることがこんなに幸せなことだとは思わなかった。また招待しよう、と思った。

Posted by yamaken at 06:07 | Comments (0)

2003年09月06日

大阪・阪急梅田の地下にてインディアンカレーに感動す

関西出張3日目。あまり時間はないが、淡路島の北の方(北淡という)の農場を視察。花と稲作、そしてあまり規模の大きくない蔬菜生産が主流で、のんびりしている。南淡では対照的に大規模農家が多く、品目はレタスやたまねぎなどに絞られる。小谷さんが説明をしながら車で案内してくれたのだが、北淡の農村部は実に暖かい風景だった。高台から海が見えたとき、心がさっと開いた気がした。その後、市街地に戻ると、心の温かみはすっと引いた。小谷さんが「街はどこへいっても画一化されていますからねぇ、、、」と言う。そうか、植物はその環境によってまったく態様を変えるから、土地によって差異が出る。けど、街のありようは、どこに行ってもあまり変わらなくなってきている。では、街には郷愁を持ちづらいのだろうか、と考えてしまった。

淡路港から出ている高速バスに乗って大阪へ。小谷さん、どうもありがとう。淡路の暖かい気の流れと、農業を正面から考える普及員さんたちに出会えてよかった。

大阪に着くとすでに12時。仕事先に行く前に昼を取ることができる。幸い阪急梅田の地下街がすぐにある。ここで探そう、とさ迷い歩く。いくつか気になる店があったのだが、見つけたのはカレー屋「インディアンカレー」。バーカウンタースタイルのカレーショップで、店構えはこぎれい、メニューはカレーとハヤシしかない。あとは卵のトッピング。この店が繁盛していた。サラリーマンのおっちゃんばかりではなく女性もかなり入っている。こういう店は美味いはずだ。列に加わり店に入ると、食券を買うことになっている。通常のカレーを注文する。大盛りを頼まないのは、いまいちだった場合、すみやかに他の店をはしごするためだ。

indean2.jpg

この店、店員の態度がよい。何がよいかというと、自分たちが供している食事がおいしいものであるということをよく理解していて、それを誇りにもちながらも、あくまで冷静に、客の邪魔にならないようにサービスをしていることがわかるからだ。不味い店で、従業員がそれを認識していて、かつ自分の仕事が淡々とその不味いものを出すことだと割り切っている店には、このピンとした空気は漂わない。これはイけるな、と確信した。
すぐに席が空き、並べられたカレーを見てそれが真実であることを知った。かなり盛りのよいライスに、インディアンといいつつもトロミの強いルーがかかっている。色は淡い。匙で一口目を味わう。最初に甘味を感じ、すぐにその色からは創造できない辛味が立ち上がる。こういう路面店で、客が辛さを指定できないカレーとしてはかなり辛い。そして、とても旨い!付け合せは福神漬けではなくキャベツの甘酢漬けだが、この相性がまたいい。一気呵成に食べてしまった。正直、大盛りを頼まなかったことを後悔した。でも、また大阪にきたときの楽しみが増えた。この店、東京に出ないかなぁ、、、

indean.jpg

蛇足だが、しばらく前に東京の蒲田で食べたおいしいシナそばとカレーの店も「インディアン」だ。このキーワード、押さえておこう。

すばらしい気分で店を出て、もう少しお腹に入れたいなぁと思い、もうひとつ気になっていた代わりカツ丼の店へ。いろんなトッピングができるのだが、大きなミスを犯した。キムチマヨネーズなるものを選んでしまったのだ。運ばれてきたのは、キムチ味のマヨネーズソースが豚カツにかかっただけのもの。ひたすら咀嚼し、すぐに店をでた。でも、インディアンカレーの味と香りはきっちりと舌の記憶に残っていた。

Posted by yamaken at 01:43 | Comments (42)

2003年09月04日

兵庫県加西市と淡路島にはスバラシ食文化が横たわっていた

 会津若松・福島出張から帰った翌日、すぐさま兵庫県加西市に向かう俺であった。今回も農産物のトレーサビリティについての講演。そもそもは淡路島の農業改良普及員の小谷さんという方が、いきなりお誘いのメールをくれたのがきっかけで、結局、県の農協全体が結束して呼んでくれた。その際には勿論「夜は淡路にわたって旨いものをぜひ」とお願いしていたわけだが、淡路には今回初めていくことになるのだ。
 さすがに出張二連戦で疲れていたこともあるが、新幹線の中で爆睡。新神戸にて、迎えにきてくださった県の方と落ち合う。神戸から加西市の試験場まで1時間半の間に、車中で兵庫県の食について伺う。
 まずどこでも「この辺にしかない料理ってなにがありますか」と訊くことにしているが、ほぼ例外なく相手の反応は「いやぁ、、、ふつうですよ」というものだ。そう、彼らは生まれてからずっとその土地の食文化で生きているから、普通のものしかないと言ってしまう。けれども、外からきた人間が観ると「えぇ~ こういうものがあるの?」と言ってしまうようなことが多いのだ。
 今回面白かったのは、車の運転手をしてくださった榎本さん。いろんなことを訊いたのだ。例えば下記。

・兵庫では海でいかなご(小魚)がたくさん獲れる。これを甘辛く炊きあげて佃煮のようにするのを釘煮(くぎに)という。何で釘というか、だが、実はこれを作るとき、年代が上の人はわざわざ釘を水に漬けて錆びさせたものを鍋に入れる。すると酸化鉄の作用か何か知らないが、照りが出て美味しそうになる。黒豆もこうして釘を入れて煮るとよいとされている。この釘を入れるタイミングと時間が微妙なこつで、適当なタイミングで引き上げないと、鉄臭くなるのだ。

・加古川市では、「かつメシ」という食べ物がある。関西では割と有名でテレビにも取り上げられているが、、、どういうものかというと、ご飯に千切りキャベツを乗せたうえにトンカツが乗り、そこにデミグラスっっぽいソースをかけて食べるというもの。このソースが旨い。加古川では「かつ一」という店が元祖とされるが、運転手仲間では、その隣町のイナミという町のある喫茶店のカツメシの方が旨いとされている。高速道路の三木のSAでも食べられるよ

・姫路駅構内の立ち食い蕎麦屋には不思議な蕎麦がある。ここで「そば」というと、だしは普通の醤油だしで、麺が中華麺というものが出てくるのだ。もし、通常の蕎麦を食べたいならば「和蕎麦」と言わなければならない。そしてこのソバの味は、、、

とこのようなヨダレのたれそうな情報をたくさんくれる。

この話をしているときは昼食時で、加西市の近くの小野町にある「豊後」という魚料理の店。〆鯖の丼定食と、豊後巻きという、長芋と海鮮の海苔巻きという、二人前のメシを食べてしまった。悪いのは、旨そうな情報を教えて、やまけんの食欲を増進しまくる榎本さんである。

■豊後
〆鯖丼定食
豊後巻(山芋と海の幸を巻いた、超ビッグ海苔巻き)

bungo.jpg
bungo2.jpg

午後から始まった講演自体は大成功。それほど大きくない会議室に150人がすし詰めになり、熱心に訊いてくれた。会の終了後、そもそものきっかけをつくってくれた小谷さんと落ち合い、淡路へ。
その途中、例の三木SAに寄っていただき、カツメシを探す。なんとこのSA、地元の名門ホテルである宝塚ホテルのレストランとベーカリーが入っていて、とてもきちんとした料理を食べさせる。うどんコーナーで出てくるカツメシもしっかりとしたものが出てくるのだ。
 出てきたカツメシは、確かにソースカツ丼のソースがデミグラスベースのものになっているものだったが、それだけではない、何か特徴的な旨さがあった。それで680円である。スバラシイ。思わず榎本さんに電話で感謝の意を伝えてしまった。

■中国自動車道 三木SA 宝塚ホテル直営うどんコーナー
かつ飯 680円

katsumeshi.jpg

 さて、淡路である。まずは旅館にチェックインし、すぐさま宴席へ。ここで、実に実に旨い創作魚料理を堪能することになったのだ。淡路と言えばタマネギ。このタマネギをふんだんに使ったドレッシングが活躍するのだ。

■魚佐太(淡路島津名町)
0799-62-0215

太刀魚と焼きなすのおろしタマネギマリネ
レンコン豆腐のあんかけ
ハモとタマネギと水菜の小鍋仕立て
お作り三種(サンマ、鯛、鮪赤身)
瀬戸内の穴子のソテーゴマソース
鰻蒲焼きと茄子素揚げ トマトジュレ添え
穴子の磯部揚げ
茶碗蒸し
但馬牛のたたき

uosada1.jpg
uosada4.jpg
uosada3.jpg

この一つ一つが旨かったが、非凡に美味しかったのが、最初の太刀魚と、ハモとタマネギの小鍋仕立てだ。列席してくれた改良普及員さんから、淡路特産のタマネギの技術情報について色々教わった。いかにして糖度がきっちりと乗ったタマネギを作るか、いろんなノウハウがあるのだ。そうしたプロフェッショナルな話を聞いていると、マーケティングやトレーサビリティについてのコンサルをしている自分の足下がずいぶんと軟弱な地平のような気になる。ああ、生産技術っていいなあ、、、やっぱり早いとこ、畑がほしい。

なんと残念ことに今日の宿泊施設は11時が門限。一次会で切り上げということに。明日は淡路の農家の現場を数件のぞかせていただき、一路大阪へ移動である。


Posted by yamaken at 14:27 | Comments (1)

2003年09月03日

会津若松の味はさらに続く

福島講演当日
 会場セッティングを終えると、管家さんが昨夜の酒宴で話題になった地元の伝統食材「さんぼ茸」をアルミホイルに包んできてくれる。さんぼ茸とは、サルノコシカケみたいな茸で、木の上になっているのを採集するのだが、堅くてそのままでは食べられないとのこと。それでどうするかというと、味噌の中につけ込んで3年ほどおいておくのだそうだ。そうすると良い具合に熟れて柔らかくなり、食用になるという。何時の遠くなる話か、、、
今日持ってきてくれたのは塩抜きをしているのでそれほど辛くはないという。楽しみだ。

、、、蕎麦やの桐屋にて、蕎麦を頼む。頼んでからくるまで時間が長かったので、サンボ茸を食べる。見た目はきのこ(茸)そのものだが、傘の上の部分がテラテラとしていて、不思議なテクスチャだ。僕のデジカメでは残念ながらそのテクスチャと質感が撮影できなかった。口にすると、やはり塩抜きをしているせいだろうか、歯触りも柔らかい。味は、思ったほど塩辛くないのだが、全体的に輪郭がぼやけてしまっているかもしれない。やはりこれは、地元の人がいうように
「一口舐めただけで、どうしようもなくしょっぱくてご飯が一杯食べられてしまう」
くらいの方が、それらしいのではないかと思った。管家さんには、次回があるならばぜひ塩抜きしていないモノをお願いしますとメールしておいた。

さて、それはそうと蕎麦である。昨晩の宴席は割烹だったが、そこの女将が打ったという蕎麦が絶品だった。山形蕎麦とはまた違う、細目だが角の立った、繊細な蕎麦だった。それをまた体験できるかと思い、この辺の名店と皆がいう「桐屋」にきたのだが、、、
結果から言おう。会津若松で2回食べただけという、非常に浅い体験ではあるが、旨い蕎麦は、その割烹の女将が打つ蕎麦であった、、、

Posted by yamaken at 14:14 | Comments (3)

福島の郷土料理は立体的味覚だった

福島の会津若松にきた。実は会津若松は初めてと言っていいくらいだ。ただ、かなり昔に会津田島でラーメンを食べて感動したことがある。そこは、ごくふつうの食堂なのだが、厨房にはいとも当然のようにかまどがあり、よれよれのお婆ちゃんがそれで麺をゆでていた。透き通った醤油スープにちぢれ太麺。シンプルきわまりないそのラーメンは、オーソドックスにして感動を呼ぶ味だった。今日は絶対にどこかで食べていこう。

講演前夜に歓迎会を開いていただく。割烹「てんぐ屋」では、素晴らしい郷土料理が並んだ。中でもとりわけ舌の記憶に残ったのが下記。

・身欠きニシンの山椒漬け
ニシンと山椒の葉を重ねて酢醤油に漬け込んだもの。これが滋味溢れて旨い!カチカチに干したニシンを戻した特有の苦みとえぐみ、薄い酢醤油のじんわりした味、それに山椒の葉の高貴な香りが絡んで、深くて立体的、重層的な味だ。地元の人から見たら
「そんなの特別なもんじゃないよ」
という感じだろうが、感動した。
tenguya.jpg

話は飛ぶが、この福島出張の帰りの電車で駅弁を買ったら、そこにも同じモノが入っていた。それを食べ、そのすぐ後に隣に並んでいた海鮮サラダのようなものを食べたのだが、その味の次元の違いに驚いた。マヨネーズと油脂、アミノ酸によって着味されたサラダは、1次元的に平坦な、のぺっとした味世界だった。これだけ食べていれば、全く問題はない。とてもわかりやすい味だ。しかし、ニシンの山椒漬けを口にすると、その味わいを認識するのに少々時間がかかる。香りと味があまりに複雑な組成だからだ。この旨さを、ファーストフードに慣れた人がどう捉えるだろうか。あまり美味しいと思わないかもしれないな、、、と思った。

・厚揚げの田楽
これは本当に絶品。この田楽は味噌がミソだとのことだったが、台となっている厚揚げに感動したのだ。見事な脱水加減の豆腐を、供する直前に菜種油か大豆油で揚げ、軽く表面を炙った後に味噌を塗って出している。それがわかるのは、厚揚げの揚げ部分と中の豆腐の境界がぶよぶよと厚くなく、カリッとした歯触りが伝わるからだ。甘めの味噌との相性は最高で、文句なしに旨い。

dengaku.jpg

そして、クライマックスは、ここの女将が手打ちしてくれる蕎麦だった。小さな椀につゆと一緒に盛られてきた蕎麦は、繊細な細打ちで、訊けば10割だという。期待せずに口にしたら、あまりに清々とした、背筋の伸びた味に、してやられた。

大満足なのであった。

とは言ってもこの後、スナックでしこたま飲んだ後、会津のラーメンを食べにいたのだった。ネギラーメン。あの懐かしい味が、そこにあった。
la-men.jpg

この講演をお膳立てしてくれたのが、日本のカスミ草の生産関係者では知らぬ者のいない管家(かんけ)さん。以前、太田市場の卸売会社での僕の講演を聴いて、福島に呼んでくれるために奔走してくださった。静かな語り口、でも日本の花の生産・流通に人生をかける凄みのある人だ。こういう人に会えると本当に嬉しい。多謝である。
kanke.jpg

Posted by yamaken at 14:12 | Comments (1)

2003年09月02日

会津若松行きの電車で田口ランディを読む

福島にて明日、講演がある。東京から新幹線に乗り、郡山から在来線に乗り継いで3時間半の車中で、田口ランディの小説を初めて読んだ。読んだのは文庫本の「コンセント」だ。あまりに面白いので、一気に読み終えた。もったいないことをした、、、どうも俺には、流行っている作家の本をあえて読まないという、斜に構えた性向がある。これは、無駄だな。ユタとかシャーマニズム、セックスを露わにしていて、しかもエンタテインメントになっている。この小説で書かれている世界はずっと前から存在していたわけだけど、このような語り口が出きる人が現れてきたのだな。こういうのが売れるようになってきたのだな。それは一方で社会にこうした物語を求める人が多いということだな。やはり火星の接近と関わりがあるのかな。

 火星の接近の話題は、昨晩の藤幡正樹展のレセプションで、藤幡さんと交わした会話からのものだ。僕が影響を受けた農法にバイオダイナミック農法というのがある。思想家のシュタイナーが拓いたものなのだが、特徴の一つに天体のリズムと植物の生育に規則的な相関があるとし、これに合わせた作業をするということだ。天体の運行は軌道計算ができるので、365日分のカレンダーが制作されている。バイオダイナミック農業(BD)の実践者はみなこの農事カレンダーを携えているのだ。
 でもこれは当然植物への影響だけではない。菌類や動物にも作用する。ある星位になると、ヨーグルトやパンの発酵は調子が悪くなったり、養蜂家はミツバチがあまり蜜を集めてこないことを不審に思う。とすれば人間の生活にも何らかの作用があるはずだ。最近の社会に溢れるいろんな出来事も、我々がまだ意識に取り入れることのできないほど大きな秩序からの影響として引き起こされているのかもしれない。

 どちらにせよ、個人がどのように生きるのか、ということが決定的に重要なのだという気がする。そんなことを思わせるに至ったのは田口ランディの本の力だ。週末にでも他の本を読んでみようと思う。

Posted by yamaken at 16:50 | Comments (1)