2003年12月28日 from 首都圏
門前仲町「晴弘」は、支那そばの名店としてdancyuにも掲載されたことのある、有名店だ。支那そばは勿論旨いが、酒の品揃えも素晴らしく、芋焼酎は品書きの表面にラインナップがびっしりと書き込まれている。そして、グレンリベットやマッカランといったシングルモルトが、1杯500円で飲めてしまう、恐ろしいほど酒をわかった店なのだ。それに合わせる酒肴も秀逸の一言で、芋の煮物などは、昆布ダシの強く効いた、実に滋味溢れる仕上がりだ。
■晴弘
江東区富岡1-21-9 竹内第一ビル1F
03-3642-8037)
地下鉄東西線の「門前仲町」の一番出口を出て、永代通りを左手(木場)方面へ直進。富岡八幡宮の次の通りを左折してすぐ。
月曜定休
※飲食は1時間以内にすること。ちなみに酔っぱらいは嫌われる。
前の店で飲みまくって酔っぱらい、何気なくラーメンが食べたくなり、寒い中、自転車を走らせて富岡八幡宮横を通り、暖簾をくぐる。カウンターにつき、すぐに
「つけ麺、メンマ増し!」
と注文する。一人で来る時は酒抜きである。 そう、しばらく前からこの店の品書きに加わった「つけ麺」が、とてもよい感じなのだ。つけ麺はブーム以前から大好き。ここのつけ麺は、実は支那そば本体よりも旨いと密かに思っている。ここの支那そばは細麺だが、つけ麺は中太麺で、とてもよい風味なのだ。
卵の香りがプンとし、腰の通った麺を熱いスープにくぐらせ、青ネギをまとわせてすすりこむ。強めの塩と香りの高い醤油の旨味が旨い。この店は素材をすさまじく吟味しているから、醤油の旨味が非常に強く、素晴らしいのだ。
そして、このつけ麺のクライマックスは、実は麺を食べ終わってからにある。銀色の紅茶ポットのような器になみなみとたゆたっているのは、この店の味付け前の濃厚なスープそのものである。背脂も浮き、実にコラーゲンタップリ感のあるスープだ。こいつを、つけ汁の残りに注ぎ足し、アツアツをフーフーしながら啜る。これが絶品!本当に旨いのだ。しばらく前に編集者の師匠を連れてきた時には、「そばより何よりこれが一番旨い」と言っていた。それは本当かもしれない。
さて、本日も同じように割りスープを楽しんでいたら、珍しく店主のおっちゃんが話しかけてきた。
「うちのつけ麺、悪くないでしょ?」
ああ、このおっちゃんが話しかけてきてくれたのは初めて。ていうか、客と話すのをみるの自体初めてである。うーむ、覚えられたか!ていうか、つけ麺、悪くないどころかスゴ旨っす!
「いや実はね、2月から、もっとパワーアップするから!」
なに?一体なんのこと??
「あのねぇ、製麺機を買うことにしたんだよ!自家製麺をやるよ!」
ええええええええ まじぃ????
なんと、晴弘が自家製麺だ。これは大ニュース!
そう、今まで実は、晴弘の唯一の弱点は麺だと思っていた。オーソドックスな醤油味の支那そばには、極細麺が使われている。この麺、旨いんだけど、やはりパンチが効かなさすぎ。なので、僕はいつもつけ麺にしている。
それが!なんと自家製麺になると!
つけ麺のリニューアルが最優先らしいのだが、当然他のラインナップも変わってくるだろう。なんと、この名店の誉れを獲得した今でも、研究開発に余念がないのだ、この店は!
支那そばやの鏡といえるだろう、、、
2004年2月を、晴弘ファンは、刮目して待て! いよいよ「晴弘」が、次なるフェーズへとステップを進めようとしている、、、
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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