2003年12月22日 from 首都圏
牛タンといえば、ミーハーだけど「太助」が好きです。
高校を卒業し、自転車で東北の民俗芸能を観る旅をした時、仙台の繁華街で食べた「太助」の牛タンは、忘れ得ぬものとなった。以来、畜産関連の出張などで宮城を通る際には、途中下車してでも食べに行っている。
この太助、都内にもいくつか支店を出していることはご存じだろう。僕の会社の近くでは日本橋にあるが、本日、水道橋にもあることを発見。腹が減っていたので、牛タン2人前と麦飯大盛、テールスープを喰らう。
太助の牛タンは、その辺で売っている牛タンを買って再現できるものではない。前にも書いたが、大型動物の肉は、捌きたてでは食感がブリブリしているだけで、味は決して美味しくない。低温で置いておくと、肉が分解する過程でアミノ酸の旨味を産み出し、柔らかく薫り高くなっていくのだ。だから旨い焼き肉屋とは、自分の冷蔵庫を持って、肉を自家熟成させているところを言うのだ。
太助では、丸のタンをごくごく厚めにカットし、かみ切りやすいように表面に3本ほどの筋を入れ、調味液に浸して、それを円柱形にぺたぺたと固めて「肉の柱」を作る。それにラップをかけて熟成し、味が乗り柔らかく薫り高くなったところで炭火で焼いていくのである。普通の牛タンをあの厚さにカットしてそのまま食べると、まず噛み切れないことは間違いない(実は大学時代に実験済みなのだ)。そして熟成だけでなく、あの味付け調味液にも秘密があるはずだが、これは全く組成がわからん。
そして!実は牛タンもさることながらこれが一番のキーポイント!というのが、キャベツの浅漬けと一緒に数本盛られてくる、青唐辛子のみそ漬けだ。タンにこいつを巻いてかぶりつく。タンの旨味と塩味、そして味噌の香りと、唐辛子の辛みが合わさり、目眩がするほどに旨いのだ。鼻孔に流れる味噌の香りが食欲を倍加させる。僕はいつも「唐辛子漬け多めにね!」と頼む。
この牛タンを、とにかくガツガツとたべる。これは絶対に上品に食べてはいけないものなのだ!そうすれば、元気が出てくる。そう、本日はある落ちこんだコの激励をしていたのだが、そのコも牛タンを食べているうちにみるみる元気になってきた。
「あ、お腹空いてただけだったんダ!」
とのたまったそのコは、元気を回復した。
その後、大仁田プロレスを後楽園ホールにて観覧。ちょうど入ったその時に、メインイベントが始まった。ショボイだろうと思っていたが、全くそんなことはなかった。後楽園は大入り満員、立ち見が居た。若い女性も多い。大仁田が場外でパイルドライバーを決めるたびに会場が大きくうねる。試合が決した後も、「ワイルド・ボーイズ」のテーマにのせて大仁田が、
「おいおめーら、プロレスは、プロレスは、プロレスは、美しい! 俺たちは、俺たちは、俺たちは、同士だ!」
と絶叫すると、会場にすさまじいエネルギーが竜巻のようにうねっていった。
牛タンとプロレスは、元気回復薬だ。
そして牛タンは、やはりメジャー路線だけども、「太助」に限るのだ。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
本サイトの著作権はやまけんが保持します。出版物・放送等に掲載される場合はご連絡を下さい。トラックバックはご自由に。