2003年12月22日 from 首都圏
いい店、というには、味や雰囲気、価格といった構成要素が安定していることも重要だ。客人が来た時に連れて行って絶対に外さない店は数軒キープしているが、わくい亭は客人より自分で率先していきたい店だ。まっとうな仕事をしている、正当派の居酒屋なのだ。
で、羽子板市を後に、わくい亭に向かったのだった。8時前に入ったが、満杯。カウンターを少しずつ詰めてもらい、なんとか座る。女将に熟成かぼすをお土産に渡しながら「メンチある?」と訊くと、「あるある。」よかった、、、
本日のメニューはいつもの煌めきはなぜかみえなかったものの、定番系のつまみが豊富で、質が高かった。
■イカの塩辛
これが絶品なのだ。自家製の、あま塩で本当に一夜漬け的なあっさり塩辛。しかし、ワタの部分にゴマペーストか何かが練りこまれており、実にクリーミー。日本酒が加速するのだ。
■寒ブリの刺身と〆鯖
〆鯖が美味い店は例外なくいい店だ。このわくい亭も、柑橘系を混ぜた酢でやわらかく〆めているらしく、ふんわりとした酸味がうっすらと薫るだけで、殆ど生に近い食感。勿論臭みなど一片もなく、とろけるような脂の乗りである。
この妖艶な切り口を見よ!↓
■あんこうの煮こごり
本日の出色はこれだ。あんこうの実を敷いた煮こごりは、口に入れると瞬時に溶け、強いが淡い旨味がジワッと舌に浸みる。思わず日本酒「千代の光」本醸造で口を緩めた。
■ワイン(赤) ミッシェル・リンチ
ここは実はワインも佳いものがある。今日はミッシェル・リンチ。相方が是非というので所望。これが大当たりだった。「ヨソじゃ1万円はとるよ!」というその値段は5000円。味は最高だった。デキャントしない、まだ粗いうちの尖った渋味が、特大メンチカツとがっちり四つ相撲をとる旨さだったのだ。
■ネギ玉
いい店はいいオムレツを出すものだ。ネギ玉は、長ネギ小口切りがたっぷり入ったオムレツ。バターたっぷりのオーソドックススタイルながら、滋味万点、トロリと中は半熟の心憎い火加減だ。
■じゃこご飯
7皿くらい平らげて、客も僕らともう一組だけになり、そろそろと思ったら、女将がご飯釜の前にいる。
「あ、飯たべた~い。」
とおねだりすると、
「ほい、じゃこご飯。」
と言って、ちいさな茶碗によそってくれる。これが最高に旨かった!じゃこと醤油のシンプルな炊き込みご飯(混ぜご飯か?)だが、酒の〆に格別の味だった。
いつ行っても裏切りがない店というのはいいものだ。こういう店をあと50軒くらい、心のリストに載せておきたいところなのだが、、、
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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