ビカビカに煌めくお品書きに出会った!大阪の中華「福龍園」

2003年11月26日 from 出張

fukuryumon-s.JPG 僕がよく書いていることだが、旨い店のお品書きは例外なく何かの輝きを発している。。「旨いぜ!」という店主の意気込みが、オーラとなって品書きの背後から見えてくるのが、いい店の絶対条件である。そんな店に、また出会った。

 今日も大阪出張である。もう、ほとんど旨いものを食べるためだけに出張をしているということをよく知ってくれている友人が案内してくれたのは、中国酒家「福龍園」。

■福龍園
大阪市北区天満4-16-8 ハイツ天満宮1F
06-6353-7224


 車以外ではなかなかアクセスが悪いところらしいのだが、僕は車で行ってしまったので本当によくわからない。確かに裏通りにひょっこりとある店だ。しかも小さい。友人が「屋台に毛が生えたようなもん」といっていたのがなるほどという感じだ。

oshinagaki.JPG そして引き戸を開け、小さなテーブルについたとたんに目に飛び込んできたのが、壁に掛かった小さな黒板にぎっしり、びっしりと書かれた品書きだ。その勢いと確信的な配列が一瞬で僕を魅了した。
だってまず最初の行に
「アイガモとオレンジの炒め物」などという料理が載っている店はそうない。思わず品書きの端から順に頼んでいきたくなるが、この日はコースを頼んでいるそうなので、流れに任せるコトにする。

そして、至福のひとときがやってきたのだ。

・前菜5種
豆モヤシとアナゴの中華和え物
バンバンジー
小茄子の四川風挽肉炒め
エビのカレー風味揚げ
大根甘酢漬け
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 魅惑の前菜だ。クラゲやザーサイなどで誤魔化さないのがよい。イタリアンやスペインの前菜盛り合わせのように、勢いを感じる構成だ。特に豆モヤシとアナゴの和え物が秀逸だった。それと意表を突く小茄子の四川風には美学を感じた。

・豚ヒレ肉と花ニラ、カリフラワーの炒め物
 この店の味付けの傾向がよくわかった。こんなにわかりにくいところにある小さな店で、高級中華のマイルド感を見事に出している。つまり、労働者階級に向けた味付けの濃い、一皿で満足する料理ではなく、重層的な味覚の積分でコースを堪能させるあの味付けだ。

・エビマヨ炒め
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 きわめてポピュラーになったこの料理も、突出せず非常にマイルド。独自のマヨネーズとエバミルクをベースにしているが、香り付けにジンは使われていないみたいだ。

・生牡蠣のトウチ蒸し
 品書きだけで旨そうだったのがコースにも入っていた。白菜の芯を縦に裂いたものが敷かれ、牡蠣がトウチソースに浸されて蒸されている。牡蠣の半生の触感と、トウチジャンの濃い味付けがガツンと合って、職が進む。

・グレの甘酢あんかけ
 グレは癖のない魚だ。これをコイのように丸揚げして甘酢をかけている。みてわかったが、甘酢はスープと黒酢をベースにしたしつこくないもので、これも箸を進めさせるものだ。骨までばりばりと食べ、堪能した。

この辺まで、皿がくるごとに僕が「いや旨いな~」を連発していたせいか、店の奥の料理人のおっちゃんが、にこにこして話しかけてきてくれる。
「このあとマーボー豆腐がでるけど、スーパーマーボーにしたろうか?」
よくわからんけどスーパーの方がいいに決まっている。
「それでいって!がつんとね!」
というと、ニヤリと笑って鍋を振りだした。

・スーパーマーボー豆腐のチャーハンのせ
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 劇辛である。四川の山椒である花椒(ホワジャオ)が、直線的にぱっと散る辛さと痺れ感(麻という)を降り散らす。辛くて痺れて、4人一同気を失いそうになる。もう僕はTシャツ一枚になって、汗をだらだらとかきながらメシをかっこむ。ああ、メシといっても白飯ではない。チャーハンである。

・蒸し鶏ソバ
 地獄のマーボーの後にはマイルドな鶏ソバだ。見事な上湯(シャンタン)で、実に滋味深い。極細ながら腰のある麺が大量のネギと絡んで実に旨い。
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 と、ここでコースは終わりなんだが、僕がどうしても食べたいのでもう一品いただく。

・茄子と豚の味噌炒め&ご飯大盛り
 やはりこういうオーソドックスな料理を食べないと、店の真価がわからない。果たして、テンメンジャンのこってり甘みが利いた炒めものは、ご飯大盛りをたいらげるに十分な味だった。

 このあとデザートに、上新粉の餅でカスタード餡を包み、ココナツフレークをまぶした温かいまんじゅうがでたが、これも旨かった!

shef-s.JPG いやー ひさしぶりにこんなに旨い中華を食べた!充実である。壁にはダンチュウなどに掲載された記事がたくさん貼ってある。知る人ぞ知る店なのだろうなあ。
 結局最後の客になったが、みせのおっちゃんもあきれかえっていた。
「ふつう、おなかいっぱいになってくれるようにコース組んでるのに、バンバン頼むからコースの流れが全く変わっちゃうよ。でもよく食べるねぇ、、、」
そういいながら笑っていた。

大阪で中華を食べるなら、ここ福龍園にきて損はない。またこようと、ココロに誓うのであった。今度は絶対に合鴨のオレンジ炒めを食べたい!