2003年9月 6日 from 出張
関西出張3日目。あまり時間はないが、淡路島の北の方(北淡という)の農場を視察。花と稲作、そしてあまり規模の大きくない蔬菜生産が主流で、のんびりしている。南淡では対照的に大規模農家が多く、品目はレタスやたまねぎなどに絞られる。小谷さんが説明をしながら車で案内してくれたのだが、北淡の農村部は実に暖かい風景だった。高台から海が見えたとき、心がさっと開いた気がした。その後、市街地に戻ると、心の温かみはすっと引いた。小谷さんが「街はどこへいっても画一化されていますからねぇ、、、」と言う。そうか、植物はその環境によってまったく態様を変えるから、土地によって差異が出る。けど、街のありようは、どこに行ってもあまり変わらなくなってきている。では、街には郷愁を持ちづらいのだろうか、と考えてしまった。
淡路港から出ている高速バスに乗って大阪へ。小谷さん、どうもありがとう。淡路の暖かい気の流れと、農業を正面から考える普及員さんたちに出会えてよかった。
大阪に着くとすでに12時。仕事先に行く前に昼を取ることができる。幸い阪急梅田の地下街がすぐにある。ここで探そう、とさ迷い歩く。いくつか気になる店があったのだが、見つけたのはカレー屋「インディアンカレー」。バーカウンタースタイルのカレーショップで、店構えはこぎれい、メニューはカレーとハヤシしかない。あとは卵のトッピング。この店が繁盛していた。サラリーマンのおっちゃんばかりではなく女性もかなり入っている。こういう店は美味いはずだ。列に加わり店に入ると、食券を買うことになっている。通常のカレーを注文する。大盛りを頼まないのは、いまいちだった場合、すみやかに他の店をはしごするためだ。
この店、店員の態度がよい。何がよいかというと、自分たちが供している食事がおいしいものであるということをよく理解していて、それを誇りにもちながらも、あくまで冷静に、客の邪魔にならないようにサービスをしていることがわかるからだ。不味い店で、従業員がそれを認識していて、かつ自分の仕事が淡々とその不味いものを出すことだと割り切っている店には、このピンとした空気は漂わない。これはイけるな、と確信した。 すぐに席が空き、並べられたカレーを見てそれが真実であることを知った。かなり盛りのよいライスに、インディアンといいつつもトロミの強いルーがかかっている。色は淡い。匙で一口目を味わう。最初に甘味を感じ、すぐにその色からは創造できない辛味が立ち上がる。こういう路面店で、客が辛さを指定できないカレーとしてはかなり辛い。そして、とても旨い!付け合せは福神漬けではなくキャベツの甘酢漬けだが、この相性がまたいい。一気呵成に食べてしまった。正直、大盛りを頼まなかったことを後悔した。でも、また大阪にきたときの楽しみが増えた。この店、東京に出ないかなぁ、、、
蛇足だが、しばらく前に東京の蒲田で食べたおいしいシナそばとカレーの店も「インディアン」だ。このキーワード、押さえておこう。
すばらしい気分で店を出て、もう少しお腹に入れたいなぁと思い、もうひとつ気になっていた代わりカツ丼の店へ。いろんなトッピングができるのだが、大きなミスを犯した。キムチマヨネーズなるものを選んでしまったのだ。運ばれてきたのは、キムチ味のマヨネーズソースが豚カツにかかっただけのもの。ひたすら咀嚼し、すぐに店をでた。でも、インディアンカレーの味と香りはきっちりと舌の記憶に残っていた。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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