2003年9月29日 from 出張
9月21日 八代より阿蘇へ移動
八代から、阿蘇の長陽村にきた。長い陽と書くだけあって、南と北には山が走っているが、その間の平野部に村が広がっている。熊本と高森を結ぶ幹線道路を降りてすこし入ったところに、ぽっこわぱ農園がある。僕が大学時代に、神奈川の藤沢から後輩達を連れて合宿に通っていたのがここだ。この農園は、思想家のシュタイナーが拓いた「バイオダイナミック農法」を実践していることで有名だが、そういうことよりも、完全に無化学肥料無農薬で4町歩近くの農地を耕し、野菜、米、茶をセットにして数百の世帯に宅配をすることで生計を立てていることに敬服する。ここに年に一回はこないと、自分の中のリズムが狂うようで、落ち着かない。
ぽっこわぱに向かう道の風景は昔とまったく変わらず僕を迎えてくれる。今、ぽっこでは、創始者であるよし子さんとドニーさん(フランス人だ)の家族と、よっちゃんの家族、そして研修生数人の、計10人程度で運営されている。すぐにぽっこの空気に戻り、作業をする。 日曜日は基本的には作業は休みだが、研修3年目のヨウゾウ君がレモンバーベナを摘んで茶を作るというので、手伝いをさせてもらった。バーベナは大好きなハーブだ。これを摘んで洗い、葉の水気を切って茶葉乾燥機に入れ、水分を飛ばすのである。
その他、ナスときゅうりの収穫、にんにくの選別、牛にやる草刈り、葉物野菜のセルポットへの種まき。農作業は、人と話しながらするとにぎやかだが、一人で黙々とやるのもまたよい。それは瞑想に似ているが、実は生産という活動に直結している時間の流れだ。それはゆったりとしていて、コンデンスミルクのように濃い時間なのだ。
午前6時から朝作業、8時に朝食をとって9時から作業、日中は午後3時まで日差しを避けて休み、暗くなるまで作業。夕食をとって、選別などの中でできる作業。 このリズムがだんだん気持ちよくなっていく。
心地よい阿蘇時間が流れているのだ。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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