ちょうど麺茹での狭間に入ったようで、茹だるまで少し時間がかかる。その間もひっきりなしに客が入ってくるので、たちまちのうちに満員行列になっている。じっとりと待っているとようやく僕らの分らしき2つの大皿が敷かれる!デカ鍋いっぱいに吹きこぼれそうになっている麺を太い菜ばしで皿に盛り込む。おばちゃんがちらっとこちらをみて、
「ちょっと多めですけどいいですか?」
と訊く。いや全く問題ないよ!どんどん盛って!
「ねぎとキュウリが乗りますけど、どっちも大丈夫ですか?」
もうバンバン乗せちゃって!んで、肉みそちょっと多めで!
どど~~~~~~ん!
これがじゃじゃ麺の”大”である!夢にまで見たじゃじゃ麺だ!うおー嬉しいよぉ
じゃじゃ麺の麺は、このとおり小麦粉と塩を練っただけの「うどん」である。カンスイの入った中華麺ではない。それを、さぬきうどんのようなコシのある茹で方ではなく、クタクタのトロトロした食感になるまで軟らかく茹でてある。なぜか数本、緑色の麺が入っているが、ヨモギ入り麺だろうか、、、風流である。
そしてじゃじゃ麺をじゃじゃ麺たらしめているのがこの漆黒の肉みそである!
「味噌だけでも数種ミックスされてますよね」
とI坂さんが言うとおり、ガツンとくる刺激はなくまったりとした味なのに、やみつきになってしまう中毒性をもっている。ゴマの香りが奥深くする、旨味タップリのじゃじゃなのである。中華では甜麺醤を使うが、これは違うな。甜麺醤は小麦粉が原料となった味噌調味料だが、こちらのじゃじゃは大豆由来の味噌ベースなのではないだろうか。
この双方をぐったぐたに混ぜ込みながら食べる。麺に味噌を絡ませ食べるのが旨いから、ここで上品に食べようと思ってはいけない!
ちなみに上に乗っているキュウリとネギも旨いのだけど、ネギは通常の小口切りだが、キュウリの切り方がなかなか特殊だ。中華料理店で出るジャージャー麺や冷やし中華には細い千切りキュウリが定番だが、じゃじゃ麺のキュウリは切り口が長さが2.5センチ、切り口が5ミリ四方になるくらいの直方体に切り揃えられている。
この太さが絶妙なカリポリ食感を産み出しており、柔らかい大量の麺を飽きずに食べさせるアクセントとなっているのである。皿が運ばれてきた当初は瑞々しくパリッとした食感で、食べ進むうちに麺の熱によってしんなりし、食べ終わる頃には食感が変化しているので本当に飽きない。
この他、味の濃い紅ショウガの厚切りとおろし生姜が脇に添えられている。卓上には酢、ラー油がある。カウンターにはなんばん(トウガラシ)の一升漬けと辛みそもおいてあって、自由に使うことができる。ラー油と酢をいれるとまた旨い。また、禁断のニンニク摺り下ろしを混ぜると破壊的に旨いのだが、明日の仕事のことも考え合わせ、泣く泣くあきらめた。
しかし、もう絶品である。これで大盛りが550円とは恐れ入った。
さてこのじゃじゃ麺、目の前の麺を食べて終わりでは、ない。卓上には意味ありげに生卵が入った丼がおかれている。
麺を食べ終わった後には、切れ切れになった麺の残骸とキュウリとネギ、肉みそがペースト状になったのが残っている。ここに卵を割り入れ、掻き混ぜる!
玉子とじゃじゃ麺残骸が混ざり合ったところで、厨房に手渡すのだ。その際に「チータンお願いします」と呪文を唱える。ここで「肉みそ多め」や「スープ少なめ」等のオプショナルな技もある。すると、厨房のおばちゃんが「はい~」と言って、麺茹で鍋から熱々のゆで汁をすくってこの皿の中に入れ、レンゲで掻き混ぜる。そこに肉みそを一盛り入れてこちらに戻してくれるのダ!
これこそがじゃじゃ麺の「後半戦」とも言える「ちいたんたん」(50円)である!絶妙にかき玉汁になった汁に肉みそを溶かし込む。
小麦粉が溶け込んだゆで汁と玉子の柔らかな風味、そこに肉みそが溶け込んだ味はもう筆舌尽くしがたくウマイ。いや、これ単体で食べてどうのという話ではないけど、じゃじゃ麺を食べてチータンで〆めるという、この一連の様式美が素晴らしいではないか!
「いやー旨かった!ご馳走様でした!」
じゃじゃ麺大で550円、ちーたんたん50円で600円。ここから得られる至福感はプライスレス、、、
盛岡のソウルフード、じゃじゃ麺にノックアウトされた午後なのであった、、、
と、そこで終わればいいのだが、終わらないのダ!
出張予告のエントリにコメントくれた方によると、紅茶のお店「シュン」というところの白いカレーなるモノがウマイという。カレー好きとしては押さえておかねばなるまい、と思い並行移動。
有名な商店街の近くにある、非常に綺麗なつくりの店だ。
上品なウェイトレスさんに「白いカレーあります?」と訊くと、、、
「あぁ~ 申し訳ございません、羊の良い肉が今日は手に入らなくて、本日はないんです、、、」
うわあああああああああああああ
ついてない!
ということで、もう一つの定番メニュー「わがままカレー」を食べました。
タマネギをたっぷり使った優しい味のカレー。「辛いですよ」といっていたが、あまり辛くはない。おちついた、紅茶専門店の風格が滲んだカレーだ。これはこれで美味しくいただいた。
いやしかし研究の合間を縫ってご案内頂いたI坂さん、本当にありがとうございました!
車で盛岡駅に行く途中、岩手山がパノラマに綺麗にみえた。
「昨日まで雨だったのに、今日はスゴイ晴れようです。明日からまた崩れるようですが、、、」
はい、それは私が晴れ男だからです。イヤほんとに綺麗な岩手山。満足感に浸りながら、岩手の銘菓「鴎のたまご」を買って社内で食べ、帰京したのであった。
Posted by yamaken at 2005年03月10日 10:12 | TrackBackおお、パイロンのじゃじゃyめん。まずよそでお目にかかれない御当地麺ですね。
最初はそんなに「うまい」と思わない味なんですが、病み付きになりますよね。寒い時期に一気にかっ込んでちーたんたんで〆ると、体が火照るくらいあったまる、冬向きの麺ですね。
通販で取り寄せると、肉味噌が多めについてきて少し余るので、きしめんを長めにゆでてあえて見たら店で食べるのと近い味わいになりました。
やまけんさま、出張お疲れ様です。盛岡じゃじゃ麺いいっスよね。小生も競馬旅打ち滞在中は毎日食すくらいよかったっす。今度行く際は白龍さんも覗いてみたいっす。
Posted by: コビ at 2005年03月10日 12:27昔北京と上海に行った時、いわゆるカンスイを使った麺というのには一度もお目にかかりませんでしたね。その点で、本場中国式だなぁと思いました。ちぃたんたん。秀逸なアイディアだなぁ。中国も盛岡ももう10年以上言ってませんが、行きたくなってきました。
Posted by: らっぱー at 2005年03月10日 12:29あの緑色の麺なんですけどね、
ワカメが練りこんであるんだそうですよ。
麺箱1ケースにつき1玉しか入ってないんですって。
白龍でじゃじゃ食った後にどうかな…と思っていたのですが、「しゅん」にも足を延ばしていただいたんですね。ありがとうございます。しかし、白いカレーがなかったとは残念です。もし、次の機会があれば、カウンターに腰掛けて、お店のオーナーと話しながら白いカレーを食べてみてください
Posted by: わたなBee at 2005年03月10日 20:00まぁどんな会のなんばんのセットが届きました。お漬物の賞味期限がちかかったので、このおいしさをおすそわけしようと、友人を呼んでパーティーをしました。おつけものそのもののおいしさに大満足です。他に、お漬物を細かく刻み、御飯と混ぜ、裏返しにした油揚げに包んだお稲荷さん、刻んだものをよーく水切りした豆腐と和え、白和えにしたり、刻んだものをマヨネーズとあわせて温野菜につけていただいたりと、どれもすごくおいしくいただきました。すばらしい食品を生産、販売していらっしゃる皆様にどうしても一言感謝の気持ちをお伝えしたく、初めてコメントさせていただきました。本当においしかったです。ありがとうございます。コメント長くなってしまって申し訳ありません・・・・。これからもお体おいとい下さいませ。
Posted by: じゅりおxxx at 2005年03月11日 14:59やまけんさん、はじめまして。いつも楽しく拝見している元岩手県人です。
まさかここで「シュン」を見ることになるとは!!嬉しさのあまりコメントしてしまいます。高校をサボるとき、遠距離恋愛の初めてのデートのときetc.とにかく思い出のいっぱい詰まった店です。ここで窓際の席に座り、紅茶とスコーンを食べつつ文庫本を読むのは私にとってしみじみと嬉しい至福のとき。珠玉の喫茶店です。やまけんさん、いい記事をありがとう!!
初めまして、いつも楽しく拝見しています。
とても解りやすい解説や食べ物に対する愛情など尊敬させられます。
でも、お気分を悪くさせられるかもしれませんが、みなさんのコメントに対して一言でも返信していただいたらどうでしょうか?
お忙しいのはわかります。でも、やまけんさんのことが大好きでコメントしてると思うので返事があると嬉しいと思います。
昔は毎日のようにコメントしてくれたのをみてると寂しくおもいます。
気分を害されたならごめんなさい。
写真見て一言。
やまけん、ちょっと太ったんじゃないの?
失礼・・・しました。
今日シチリアのアンティカ・マリーナを
見返してたらやっぱ行きたくなった。
あれだけ混んでて、しかも地元の人もだから、
なんとか安く、いつでも行けるような
裏技があるのではないかと思う。
はじめまして炸醤麺と水餃子の荒川です。私のHPを紹介してくださりありがとうございました。
丁度私の関心も麺からミソに移りつつあります。北京では大豆を原料にした黄醤を使いますが、人によっては甜麺醤も混ぜるらしくこの辺は現在情報収集中です。で、その黄醤ですが、仙台味噌に似ているという感想を持つ人もいます(下記掲示板参照)。
http://tcup7022.at.infoseek.co.jp/farakawa/bbs
Posted by: ジミ-荒川 at 2005年03月24日 12:06紹介したばかりでもうしわけありませんが、掲示板のURLを下記に変更いたしました。
http://f41.aaa.livedoor.jp/~reimen/keijiban/
しゅんの白いカレー、食べましたよ。
別添で写真、お送りしましたが、届きましたか?