4日目、イラブー汁と山本彩香さんの料理を食べ、その果てしなく奥深い琉球料理の世界を垣間見ることができた。しかし、それも含めたうえで、沖縄での一番のご馳走は何だったろうか?それは、文句なしで「人」であった。出会った人たちとの交歓こそが、大ご馳走だったのだ。
5日目、朝から離島に渡って慶良間の海を満喫する予定だった。しかし、晴男ぶりには自信のある僕と卓がいるにも関わらず、かなり強い雨と風で、フェリーは欠航となる。残念だが島には渡れない。
「仕方がないね、丸一日呑んで過ごそう!」
キッペイの声がかりで太田ちゃんの家に皆で移動。仲間のナガハマちゃんのお姉さんが石垣島から石垣牛を買い込んできてくれているので、これを焼きながらの酒宴と相成った。
チューハイやらビールやらを30本以上買い込んでおり、泡盛は3リットル入りのデカイPETボトルで、これを延々と飲み続ける。沖縄の飲み会は長く、緩く続いていく。この独特の緩さが、暑さと相まって心を溶けさせる。
「沖縄ではね、仕事をしようとすると、人間関係があるかどうかで早さが変わるんだよ。飲み会で一度でも一緒に杯を交わしていると、すごくスムーズにことが進む。だからこれは、とても重要なことなんだよ!」
今回の旅路は、卓と高校時代の親友であるキッペイ、そのネットワークを巡る旅であった。全土にわたりキッペイの仲間ネットワークは張り巡らされ、どこにいっても友人達が杯を持って歓迎してくれた。素晴らしいのは、キッペイの友人達が、
「キッペイの友達は私たちの友達でしょうが!」
と、我々を喜ばせるために様々なことをしてくれたということだ。彼らの仲間意識は余りにも濃密だった。
この日最高に感動したのは、イカ墨汁だ。雨が上がったので、近くの海岸で少し泳ぎ、身体が冷やした後のことだ。
「やまけん、イカ墨汁で沖縄そば食べようね」
と、買い込んできた墨イカを女性陣が捌き、墨袋を取り出し、鰹だしにあわせて、イカと大根がタップリ入ったイカ墨汁を作る。
これを湯通しした沖縄そばにかけてすすり込むのだ。
「おおおお 旨いなぁ、、、」
しみじみと旨い!鰹だしとイカすみの風味が相まって、あっさりしていながらも旨い。冷えた身体に熱が入り込む。この「じんわり感」こそが、沖縄の味だなぁ、、、と思う瞬間だった。
しかし、東京で飲み会をやる時に、こういう風に郷土の旨い料理をささっと作って供するようなことがあるだろうか?イカ墨汁は八重山出身の女性が中心になって作ってくれたのだが、みんなで作って食べるというのがごく当然のような雰囲気だった。これこそが本当のもてなしだ。沖縄の友人達に、本当に脱帽した瞬間だった。
夕方、皆と別れて帰る時に、加賀谷が「オレはちっと呑んでいくから」と歩き出す。それをみたキッペイが「あ、じゃあおれも一杯だけ」といい、さらにその後をヤマコちゃんが追う。果てしなく続く宴。最終的には他の同窓会に出ていた卓も、ホテルでblogを書いていた僕も、そしてすでに3軒ハシゴしてきた卓パパも合流して、「こうちゃん」で呑むのであった。
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9月12日、沖縄での最終日。この日は卓が朝一便で帰京、キッペイが建築士試験の模試ということで、加賀谷と二人で最終の東京行きまで過ごす。
普通の観光客ならば一日目に足を踏み入れるであろう国際通りを、最終日になってようやく散策する。Tシャツを買い、食堂を楽しみ、市場を冷やかした後、手持ちぶさたになる。
「あー、今日が一番天気いいな、、、海でも観に行くかぁ」
そう、この6日間で最高の青空が拡がっていた。空港には5時間後に着けばいい。
「じゃ、路線バスで1時間程度走っていける海でビール呑もうや」
県庁前から、シートに落書きだらけの路線バスに乗り込み、58号線を北へ向かう。この道も見慣れた風景になった。昼寝をしながらガタゴトと揺られ、海浜公園という停留所で降りる。商業施設でビールとポーク玉子おにぎりををしこたま買い込み、海へ向かう。
テトラポッドの上から望む海と青空は、江ノ島のそれの100倍くらいの鮮やか度で迫ってきた。
僕も加賀谷も何も言うことはない。ひたすらビールを呷り、その水平線を眺め、空港に戻る時間まで心ゆくまで沖縄を満喫した。
この日の海が網膜に焼き付いたのか、帰りの飛行機の中では海の残像ばかりが夢に出てきた。きっとこれからもこの残像が残り続けるだろう。
熱く駆け抜け、食べ抜いた5泊6日であった。
Posted by yamaken at 2004年09月21日 08:57 | TrackBackFind Phendimetrazine
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