僕が住む部屋は木場と東陽町の間にあるのだが、この辺は実にヤマケン的に最高だ。なぜ木場に住むことにしたかと言えば、旨い店が沢山あることを知っていたからなのだが(←これはマジ)、その後の探索で、予想していたよりも旨い店がそこここに点在しているのであった。それらは実はまだこのblogでも取り上げていない。小出しにしていこうと思っている訳なんだが、、、
で、八百屋である。どの町にも必ずある八百屋だが、近年はスーパーマーケットという業態に押され、衰退の一途を辿っている。車で乗り付けてワンストップショッピングができるというスーパーの利点と、何となく店の人とコミュニケーションをとりたくないという現代人的理由が絡まっているのだろう。
しかし、八百屋に並ぶ商品とスーパーに並ぶ商品とでは、いろいろと違いがあることが多い。それはなぜかと言えば、仕入れ方の違いに行き当たる。スーパーも八百屋も、青果物を卸売市場というところから仕入れるのが基本だ。ただし、スーパーの場合は複数店舗を持っているのが基本だし、扱いの単位がデカイ。従って仕入れの基準は規格(大きさ、外見)が揃ったものが多量に仕入れられるか、ということになる。例えばトマトがあったとして、品質がよいけど数が少ないトマトと、品質そこそこだけど規格が揃ったトマトが沢山あるとすれば、よりスーパーで売りやすいのは後者になるのだ。店内で2つの別の値付けをしたトマトがあると面倒だからだ。(←この説明はかなりデフォルメしているのでご容赦されたい。実際はもっと複雑だ。)
それに対して八百屋は、ほとんどが個人経営だから、仕入れ単位が少ない。それに一国一城の主である経営者が仕入れることが多いから、目利きをしてよいものを競り落としてくることができる。また、店先でやたらと安い特価品が出ているのをみかけるだろうが、ああいうのはB品とよばれるものだ。つまり形が良くなかったりという外見の規格分けで安く売られているものだ。そういうのを仕入れて目玉として販売しているのも、消費者には嬉しい。このように八百屋の店先は、スーパーのそれとはちょっと違う特色があり、楽しいものなのだ。
ただし上記は、その八百屋のおっちゃんが目利きであれば、という条件付きだ。商品や産地に対する知識でスーパーなどを上回らなければ、八百屋にはその存在理由がないといっても過言ではないだろう。八百屋もいろいろあるが、中には本当にやる気が見られないところも多いわけだし。
そんな中、東京都下の八百屋を集めて、産地や野菜に対する知識を勉強しあう会がある。八百屋塾というのだが、これは小売組合などの肝いりで設立されているらしく、僕も参加したいのだが入れなかった記憶がある。ただし会報が出ているのでそれを見ると、いつもレクチャーしてくれる有名な元気そうなおっちゃんがいる。
「江東区の東陽で八百屋を営む野本さんが、、、」
とよく紹介されているのだ。でも、、、あれ?このおっちゃん、見たことあるじゃん?なんとこの野本さんが営む八百周は、僕の家から80メートルのところにあるのだ! ひえええつくづくこういう縁の巡り合わせにはついている俺であった!
ということでよくその店で立ち話をしながら買うようになって今に至る。
■八百周 (お店のWebも一応ある。)
東京都江東区東陽3-20-3
03-3644-3819
※地下鉄東西線の木場駅か東陽町駅を降りて永代通りを5分 「東陽三丁目」の交差点にある。
このおっちゃんが野本さんだ。一見頑固そうだけど、そんなことはない。とても人なつっこく、プリティなおっちゃんなのである。
野本さんの左側の壁にかかっている「野菜よろず相談所」というのれんを見て欲しい。これがこの店最大の特徴だ。並んでいる商品にはすべて「理由」がある。「このきゅうりは旨いんだよ、茨城の○○っていうグループが作ってるんだけどね、熱心なんだ!」とか、そういう話をしながら販売するのだ。これこそ八百屋の鑑だ。
ちなみに置いてある商材は僕の目から見ても非常に面白い。下の写真ではわからないだろうが、「ロジモノ」と小さく書いてあるものが多い。ロジとは露地のことで、つまりハウス栽培ではなく、太陽のもとで育てているということだ。品目にもよるが露地物のほうが旨い場合がある。特に葉物は、寒気に当たった方が旨みがのりやすいので、ハウスものより露地物が旨い。しかし、露地だと温度変化・環境変化が激しいので、農家にしてみればリスクヘッジのためにハウス栽培にしてしまうことが多いのだ。
この店ではロジモノをかなり評価している。店頭に並んでいる半分以上が露地物であった。そして、サプライズ品は店の奥にある。
「おう、今日はいいもんがあるよ!千葉の露地栽培の春菊。こいつは旨いよ!」
と言って出してきたのがこれだ。
写真左下にも写っているが、根っこが長くついていて、いかにも露地モノという感じ。茹でてゴマ和えにしてみたが、通常のハウスもしくは水耕栽培品とは違って歯触りがきっちりとしている。もう春なので香りはそれほど鮮烈でないが、いい春菊だ。
ちなみにこのお方は本まで出している。
「野菜相談うけたまわります」
ISBN:4883400107
205p
創森社 (1995-06-20出版)
先記した八百屋塾のホームページにこのおっちゃんの記事もあった。こんな人である。
このおっちゃんは僕の職業が青果物流通であることを最近、ひょんなことから知ってくれた。
「なんかさ、山ちゃんは農産物とITがどうのこうのなんだろ?こないだね、ウチの関係の勉強会にさ、ワイズシステムって会社の社長さんがトレーサビリティの話をしに来たんだよ。知ってる?」
「わははははは それってウチの会社の社長だよ、おっちゃん!」
「え!なんだそうなのか、、、じゃあ山ちゃんもやってんのかいトレーサビリティ?」
という顛末である。今度、僕の本を謹呈しないとな。
この夏にはおっちゃんと僕でメロン対決をやる。どっちが旨いメロンを出せるかの勝負なのだ!絶対に勝つぞぉ
このblogからリンクを張っている「くいしんぼうのアンテナ」の著者Reitaroさんもいい八百屋さんと仲がいいらしい。ぜひ皆さんも近所の八百屋さんを見直してくださいませ。
Posted by yamaken at 2004年04月06日 08:43 | TrackBack美味しい野菜を食べたいと思ったら、八百屋さんと仲良くなるに限りますよねぇ。
僕の家の傍に農家のおばちゃんがよく路上に野菜をおいて売っていますが、値段が安くなかなか良い品に巡り会えます。ただ実家が農家になりたいのとつっこみたくなるぐらいのレベルで親が野菜作りやってるため、美味しい野菜にはあまり事欠かないです。
こんにちは。
最寄の駅から、自宅までに野菜が買えるお店は6店舗あります。(スーパー、デパートも含む)徒歩8分とそんなに長い距離ではないのですが。。。。
おもしろいなと思うのが、買う側も使い分けしてますが、八百屋さんも棲み分けをしているようなのです。
・珍しい野菜を扱う店
・値段重視の店
・地場物を扱う店
などなど。それぞれ個性がちがうのでついつい何軒もまわってしまうんですよねぇ。
ところで、ここで質問です。
日曜日にデパートの八百屋コーナーで「やわらか春菊」なるものを見かけました。
葉っぱはこのブログの春菊のようなギザギザではなく、もっと、まあるくやさしい感じのギザギザでした。「期間限定」のシールまで張られていたのですが、どうなんでしょう。初めてみたし、ちょっと判断に自信がなかったのでやめてしまいました。
もし、ご存知でしたらどんな感じなのか教えてください。
うちの近くの西○は地場物を扱っていますねぇ~。
って、話しがそれましたけど、やわらか春菊って生食でいけるよう改良された品種だったと思います。
自宅でアジアンを楽しむときに香草類の変わりに柔らかなやわらか春菊の葉を使ったりするといけますよ。
野菜は私も近所の八百屋派です。
糠漬けとか、キムチとか、自家製の漬物につられていきます。
関係ないですけど、今は国産檸檬のとりこです。
魚も魚屋さん派ですねー。
やっぱり対面販売で教えてもらって買ったほうが成長できますよね。
おお皆さん八百屋派ですな。
さてreitaroさん。葉が丸い春菊ということで、それは大葉春菊または中葉春菊ですね。通常売られている品種は葉が一番小さくなるようにされた春菊ですが、昔はむしろ大葉のモノが多かったんです。なぜか市場から淘汰されました。特徴としてはギザギザが大きく丸くなるほど味が柔らかいです。生食用かどうかは、まあ水耕栽培でもしているんでしょうかね。食べてみないとわからないです。
関西の市場では春菊は「菊菜(きくな)」と呼ばれ、箱売りされる一般品とは別に競り(セリ)で生産者ごとに売られます。葉物野菜に対する感度の高さは関西にはかなわないですね、、、
とりあえずそのやわらか春菊、買ってみてはいかが?ゴマと味噌風味のドレッシングなんか合うと思いますよ。
ありがとうございます。
みなさん、詳しいですね~。感心しちゃいました。
やわらか春菊、今週末にでも買って試してみます。どんな感じだったか、また、ご報告させていただきます。
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