夜も眠れないほどに気になっていたのだ。
岐阜県の郡上八幡といえば、自然に囲まれた風光明媚な観光地だ。といっても、繁華街はつつましいもので、自然環境もきっちり残っており、美しい街だ。そのメインストリートから校則のインターチェンジに行く途中の街道に、あまり美しくない看板で「ベトコンラーメン」という店がある。ここに出張に来るたびに、車窓からその看板を眺め、気になっていたのだ。足を運ばなかった訳ではない。いつも「食べてみよっか」と寄ってみるのだ。しかし、、、なぜか僕ら一行が足を運ぶと、必ず店が閉まっているのだ。定休日の時もあれば、5時まで休みになっていたりと、地団駄を踏むこと多数であった。
いったい、「ベトコンラーメン」とはいかなる物体なのだろう? 謎は深まるばかりだった。
そして遂に、その謎を解き明かす時が来たのだ!本日は定休日でもなく、すんなりと入ることが出来たのだ。ベトコンというくらいだから、攻撃的な、中途半端エスニック風な店内を予想していたのだが、以外にこざっぱりした、普通の店だ。
「いらっしゃーい」
夫婦らしいおじさんおばさん、そしてホールのおばちゃんが3人で切り盛りしている。店主らしいおじさんはバンダナを締めて黙々と鍋を振っている。カウンターに座ると、目の前にスナップ写真が。
なんと、ベトコンラーメンの店主夫妻と、えーとなんていったっけ、俳優の記念写真だ!
よく壁をみると、芸能人らしい人たちのサインや写真がけっこう貼られている。そういう店だったのか、、、ますます謎は深まるばかりである。
メニューはこんな感じだ。新調したデジカメのおかげで、テキスト打ちしなくても良くなったのは快適至極だ。
初めて頼むのをどれにするか、、、こういうときは一番オーソドックスなメニューにするのが基本だが、このメニューの場合、「郡上ラーメン」がいいのか、それとも看板である「ベトコンラーメン」がいいのか、ようわからん。それに、「新・郡上ラーメン」なんていう、まったく想像できない不親切なメニュー体系になっている。なんだこりゃぁ? 悩んだ挙げ句、「ベトコンラーメン」と、奥美濃古地鶏の唐揚げを頼んだ。
オヤジが振る鍋をのぞき込むと、肉・ニラ・もやしなどがスープと共に囂々と沸いている。愛知県によくある、台湾ラーメン系の作り方だ。スープを具材と共に中華鍋で煮立てて麺に合わせるスタイルだ。程なくあがったベトコンラーメンはこんな感じだ。
なんか、街の片隅にある寂れた中華料理店で出てくる「スタミナラーメン」という風情のラーメンだ。一同、予想と違ったので考え込みながら黙々と食べる。味は見た目ほど濃すぎず、少し塩が強いという範囲だ。もやしとニラはベトナム料理にも使われている食材だし、麺をすすっていると、ニンニクの素揚げが5片くらい出てくる。そうか、ベトナム戦争を戦いきったベトコンのパワーをニンニクで表現しているのか、と独り合点する。
唐揚げも食って、満腹だ。後ろの壁に貼っている紙をみると、本日食べなかった郡上ラーメンのスープには、「長良川の鮎、飛騨ケントン(豚)、奥美濃古地鶏」が使われているという。そうか、お国の素材で作ったから、郡上ラーメンなのね。それと、ベトコンか、、、
そう納得して、勘定をして外に出た。まあ、まずまずの味だったかな、、、と思って振り返ると、同行のI氏が、僕らより遅れて店から出てきた。満面の笑みを浮かべながら、
「君たち人生経験が浅いねぇ~ わからないことは訊かなくちゃ!」
と言う。そう、なんと彼は、「ベトコンラーメン」の由来を、おばちゃんに聞いてきたというのだ。そして、本日最高の衝撃が僕らを襲うのだった。
「あのね、ベトコンってのはね、『ベスト・コンディション』の略なんだってさ!」
えええええええええええ~~~~~~~~~~!
それなら「ベスコン」とかにしろよ!紛らわしい!!!
しかし、一つの謎が解け、歯ぐきの裏に刺さっていた魚の骨がスカッととれたような、そんな爽快な気分を味わったのであった、、、
おもしろい!
思わず声を出してわらってしまった。
やれらたよ、これ。ベトコン。何故ベストコンディションがベトコンになるのか、このセンスは素晴らしい。ここ最近みた現代アートのどの作品よりも素晴らしい。村上隆なんかよりもオレだったらこのネーミングプロセスに価値を感じる。これぞ異化の教科書だね。
久々にやられた。このタイプの肩すかしのやられかたは漂流教室の愛蔵版の一巻でページが切り替わったときに校長先生が顔を押さえ「や、やられた」というシーン以来のやられっぷりだ。(ちなみに上記のシーンのインパクトは素晴らしい。漫画というメディアの持つ力を最大限に使ったシーンの一つだと断言しよう)
あ、そういえば、確か九州方面にも「ベトコンラーメン」があるってきいたことあります。
確か福岡だったかな。。。。
福岡にもあるのか!
ぜひその名前の由来を知りたい、、、
同じだったりして!?
由来,一緒みたいですね。去年,福岡に出張したときに発見しました。
http://www.itsuji.co.jp/mandara/syumi/gurume/betokon5.htm
公務お疲れ様!
なんと!九州にもあったのか、、、
これはもしかすると、けっこうそれなりの流儀があるラーメンなのかもしれないね。
調査ありがとう!
ベトコンラーメンなら、広島にもあります。
Posted by: mekesuke at 2004年02月05日 16:45おお
ゾクゾクとベトコン情報が、、、
こんなに広い地域にあるモノとは思いませんでした。ルーツが知りたいですねぇ、、、
すでにご存知かもしれませんが、ベトコンラーメンはチェーン店です。
愛知県一宮市に本店があります(した?)。
http://www.aigamo.com/ramen/R_SNKYOH.htm
http://www1.harenet.ne.jp/~sugi/ra-men/betokon.htm
Posted by: ツルチャン at 2004年09月15日 13:56はじめまして、長崎在住の大学教師です。
昨日このブログを発見して出張に行った際の楽しみは食べ物と以前から信念があったので(団体で出張に行った際のホテルで夕食、そのあとスナックなんてのが大嫌いです。)すっかり嵌って最初から読み始めやっとここまで来ました。
ベトコンラーメンは倉敷にもあります。日テレの年末のラーメン特番で地方都市ながら77位に入りました。http://www1.harenet.ne.jp/~sugi/ra-men/ra-men1.htm
いつも倉敷に行った際、行こうと思っているのですが、秀逸なバー「ONODA BAR」にひっかかってしまいまだ実現してません。