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2003年10月03日

絶対に教えたくない店をお教えしよう。

 さて、気合いを入れて書こう。皆さん、この記事は読んでおく価値がありますよ。

 間違いなく現在、東京において最も注目すべき寿司屋がある。なんと僕の会社から100メートルほどしか離れていない、小さな店なのだが、、、この店、あまり教えないでおこうと今まできたが、とうとう雑誌に出てしまうことになった。そうなると悔しいので、誰よりも先に僕がこの店のことを書きたい。ということで、秘密中の秘密の店をお教えしよう。そして、この店自慢のネタ25貫を一挙公開しよう!という企画だ。ぜひ最後まで観て欲しい。

 その店、名前を寿司処「匠(たくみ)」という。門前仲町の裏通りに昨年の10月に開店したばかりの小さな店だ。昨年の終盤にこの店にフラッとランチで立ち寄り、そのちらし寿司の完成度に驚き、以来通うことになった。夜の握りを食べてその絶品さに唸り、最近でも週に1度は握ってもらっている。にも関わらず毎回新しい感動があり、飽きない。
mybook.jpg
 ちなみに僕レベルの人間が週に一度食べられる金額なのが驚異なのだ。例えば旬のお薦めネタを11貫握ってもらうコースが最も高いのだが、それが3,500円(!)。飲み物を合わせても5000円みておけばいいだろう。ちなみに僕はいつも酒を飲まないで握ってもらうだけにしている(こういうのは店にとっては余りいい客ではないのだが)。僕にとっては週に一度の贅沢として重要な位置づけなのだ。

 この店、板前は、店の主の加藤ちゃんただ一人だ。開店当初はもう一人板前さんが居たのだが、辞めてしまった。現在加藤ちゃんと、仲居のバイトちゃんがいるくらいで店を切り盛りしている。繁盛したら手が回らないので、そろそろ真剣に板さんを捜しているところだ。
 この加藤ちゃん、年は若い(30代前半)のだが、キャリアは長い。長崎出身で、東京の寿司屋で修行を重ねている。中でも、築地の場内・場外に店を持つ「寿司大」に在籍していたのは、同店の黄金時代と言われる時期。その黄金時代を支えた板前5人衆の一人だったわけだ。なんと加藤ちゃんに握ってもらうために通算で2時間半待つお客さんが居たそうだから、評判は内外に轟いていたわけだ。そして昨年、念願の自分の店を出したということになる。

 この店の特徴は色々あるが、重要なのは下記だろう。



・握りに煮切り醤油を刷毛で塗って出すので、醤油をつけずにそのまま口に運ぶ、江戸前のスタイルを踏襲している。この煮切りが最高に旨い。醤油につける動作がなくなるのでネタとシャリが崩れず、最適な状態で口に運べる。

・白身やイカなどには特製の塩とスダチで味を付ける。これが絶品。塩は、ある天然塩に手を入れたものだが、どの塩かは秘密。僕は教えてもらったが、、、秘密です。

・まぐろは出来る限り生の本マグロ使用。一時期は大間のマグロばかり出ていたのでビックリした。そうでなくともボストンのインドマグロの生。とにかく生は香りが違う。

・カリフォルニアロールなどのマヨネーズ系のネタは一切ない。店主のポリシー。


 さて、それではその珠玉の握りを、25貫観て頂こう。下記をクリックして、めくるめく握りワールドへ来て頂きたい。(ブロードバンドじゃないと厳しいかもしれませんが、、、)

(続きは下記↓をクリック)

(コメントの執筆、ちょっと待ってくださいね~ 週末で書き上げます。)

加藤ちゃん
加藤ちゃん
この小柄で細身の加藤ちゃんの黄金の手から、珠玉の握りが産み出されるのだ。この加藤ちゃん、フレンチやイタリアンなどの洋モノを殆ど食べつけないという。「美味しいと思ったことがないんだよね~」筋金入りの日本食屋なのだ。それでよい、と思う。


ネタケース
ネタケース
ネタケースを見ると、この店の特徴でもあるのだが、意外に貝が多いのに驚くと思う。つぶ貝、白ミル、ホッキ、そして最近出回りだしたイシガキ貝という絶品上品なネタや、生のトリ貝などもある。

加藤ちゃん握り中
加藤ちゃん握り中
ちなみに加藤ちゃんはよくいる頑固オヤジではないので、全く緊張する必要ありません。


まこがれい
まこがれい
夏の間の旬として、マコガレイ。でもこの店ではそんなには出てこない。本日はこれを塩とスダチで。先にも書いたがこの塩が絶品なのだ。


コチ昆布〆
コチ昆布〆
水分を抜いて旨味を凝縮するための昆布〆を多用するのもこの店の特徴だ。特にこのコチはよく出てくるが、実に上品かつ香り高く、旨い。コチはたいていの場合は活けを水槽に放してあり、明日のネタとわかる。行った当日に水槽にヤツがいないと、「お、今日はあるねぇ」とにんまりする次第。

白イカ
白イカ
僕としては墨イカが好きなのだが、匠では白イカを使うことが多い。柔らかい歯ごたえと、やはり柔らかく優しい甘さがいいのだろう。これも塩とスダチで。

つぶ貝
つぶ貝
お得意の貝。歯ごたえの強い貝には塩とスダチにしてあるようだ。

白ミル貝
白ミル貝
このミル貝は一般に人気のあるネタだが、やはり旨い。歯ごたえしゃっきりなので、これも塩とスダチ。

車海老
車海老
エビは、運が良ければ頭の方を少し残して味噌付き握りにしてくれる。茹で立ての時に遭遇したら最高に旨いはずなのだが、開店時間すぐにいけば食べられる可能性あり。

タコ
タコ
基本的には三浦半島の佐島のタコを使用する。ヌメリとりと揉み、茹ではすべて店で行っている。一人で切り盛りするのも大変だろうが、、、


金目鯛昆布〆
金目鯛昆布〆
出た!これこそこの店の看板である。金目鯛を昆布〆にし、握りにするというのはあまり訊かなかった。ここで初めて食べて僕はその旨さに悶絶した。そのままだとブヨっとしがちな水分多めの身が適度に脱水され、昆布の旨味が浸透する。これに煮切り醤油を刷毛で塗ると、旨味が3方から押し寄せる感じだ。初めての人はこれをたべて例外なく驚くことになるのだ。

赤貝
赤貝
貝類が多いのが特徴、と書いたが、加藤ちゃんは赤貝の処理が実に見事。美味しそうに、かつ食べやすい形に仕事してくれる。煮切りをさっと塗って出されると、しばりうっとり。


赤貝ひも
赤貝ひも
実は、赤貝本体よりも旨いんじゃないだろうか、このひもは。やたらと味が濃く、歯触り豊かなのだ。


石垣貝
石垣貝
このいしがき貝には、この店で始めて出会った。美しい、、、としか言いようのない味と香りだ。柔らかい歯ごたえと、スイカやキュウリのような瓜類の甘みと風味があり、あくまで上品に迫ってくる。見慣れない貝がネタケースにあったら、ぜひ所望して欲しい。絶対に後悔はしないと思う。

青柳
青柳
にぎりにはあまり出てこないのが、この青柳。通称バカ貝である。今日は大きめだったので握ってくれた。

赤身ヅケ
赤身ヅケ
さて、この店、マグロの仕入は完璧である。実に素晴らしいモノを仕入れてくる。冬の終わりのしばらくの間は、大間の天然生マグロしか入らなかった時期があって、ちょっと驚いた。これは、築地市場の仲卸さんとのきちんとした人間関係がないと仕入れられないからだ。その大間のマグロの一番旨いのは赤身だといわれる。これを20分程度仕事をした醤油に漬け、ヅケになった段階で握る。ほのかな酸味と特有の血合いの香りが、トロにはない旨さを突出させるのだ。やっぱ赤身はヅケが一番だ。


中トロ
中トロ
赤身が旨くて、トロがまずい訳がない。中トロはもうそれだけで十分な味のノリだ。煮切り醤油がまたビッタシとマッチしている・


大トロ
大トロ

秋刀魚(北海道)
秋刀魚(北海道)

アジ(兵庫)
アジ(兵庫)

白イカゲソ
白イカゲソ

コハダ
コハダ

白海老(富山)
白海老(富山)

子持ち昆布
子持ち昆布

トビッコ
トビッコ

生イクラ
生イクラ

バフンウニ(赤)
バフンウニ(赤)

玉子
玉子

穴子
穴子

ミル肝ポン酢
ミルポン酢

寿司処匠概観
寿司処匠概観

Posted by yamaken at 2003年10月03日 20:16
Comments

うぉ~!!やまけん、すぐにでも行きたいぞっ!
しかし、六本木行ったらアカンわな…(笑)

Posted by: at 2003年10月04日 20:35

いい流れだ。うまそう!
つぶ貝や金目鯛なんて、いいじゃないですか。
子持ち昆布、とびっこ、いくら、ばふんウニ、玉子の流れもいいねえ。
秋刀魚と鯵の間に鰯を入れたい。

3合は飲めるな。

Posted by: しんのすけ at 2003年10月04日 23:19

おお、二人とも、食べにこいよ!
ちなみに加賀谷はもう、食べているゾ、、、
いつでも待っている。

Posted by: やまけん at 2003年10月05日 10:33

じゃあ何時にどこにするか?決めてくれぇ~。旨そう!楽しみです

Posted by: いけだ at 2003年10月10日 11:12

日曜にお電話して予約してからついに匠に伺うつもりです。
のびのびになっていた誕生日祝いをしてもらいに。
堪能してまいります。

Posted by: satoko at 2004年03月03日 18:00

satokoさん:
ぜひぜひ 堪能してきてください!
いま、加藤ちゃんにも言っておきましたから、、、一声かけてみてください。
カウンターに座るようにね!

日曜日はわたしは広島の竹鶴酒造に遊びに行っているので、遠いところからお祝い致します。ちなみに私は明日誕生日です。
では!

Posted by: やまけん at 2004年03月03日 23:34

ダイヤルアップからブロバンになったので、早速見てみました。
うまそうですね…海外にいる身としては溜息が出てしまいました。
8月に帰国したら(あまりいい季節ではないですが)門前仲町にダッシュします。

Posted by: のだいら at 2004年06月25日 02:47

昨日、行ってきました!!最高に美味しかた!!!! 
うにが本当に口の中でとろけました~♪♪
しかも、佐藤の黒の焼酎がボトルであり、さらに感動(>_<) 
しかも18歳の店員さんの女の子がめちゃくちゃ可愛かった。私の事を若く見えるといってくれてありがとう!!!
加藤さん共々本当にありがとうございました。

Posted by: なおみ at 2004年06月30日 13:34

昨日出張で東京へ来たついでに前々から
東京へ行ったら是非!と楽しみにしていた
「匠」へ友人と2人でやっと行って来ました!

超絶握りの前にお造り+焼き物も頂きました。
全てが旨かったぁーっ!
「これが美味しかった」と選べないほど♪

茅場町に勤務していて問仲周辺はよく知ってる
友人もここはモチロン知らなくて、感動してました!
「おあいそ」も車で10~20分の某ギ○ザ辺りで
食べたら3倍ぐらいはしちゃいそう(*^o^)

で、私、決めました!

「ギ○ザに1回行くより「匠」に3回!」と(^_^)/

やまけんさん、イイ店ありがとー!

Posted by: ぶるぶる at 2004年11月17日 17:35

やまけんさん、初めまして。yukiといいます。
大阪に住んでいるのですが、仕事で東京へ行く機会ができたので
匠へおじゃまして来ました。

おまかせをお願いしたのですが、写真で見て食べたかった牡蠣をはじめ
どのねたも最高においしかったです! うにやエビがご飯に絡んで解ける
感じはたまらなく癖になりそうです。
また、カワハギがそれほど好きではなかったのですが
肝をのせたカワハギの握りはとてもおいしくびっくりしました。
お店の方にお話したところ、汁物にする際でも
肝を叩いて入れたら美味しさが増す事を教えて頂き
勉強になりました。

お料理もお店の雰囲気も最高によかったですし
女性店員さんがタイミングよく飲み物に気を配ってくれたりと
最高に気持ちよく食事ができました。
お土産を作って頂き、帰ってから主人に食べさせたところ
身悶えしてました。(笑)
また、東京へ行く際は是非是非行きたいお店です。
やまけんさんのBlogで匠を知ることが出来て、よかったと思っています!
ありがとうございました!

Posted by: yuki at 2004年12月13日 12:55

4月9日(土曜日)丁度桜も満開の日に、やっと「匠」を訪れる事が出来ました!私は海の側に生まれて(タコや真鯛で有名な佐島とかも近いです)海産物にはうるさいと思ってます。で、はずれが無い寿司屋ははじめてだったかも!!噂の金目鯛の昆布〆も美味しかったし、私の好きなさよりの昆布〆も美味かった。
しかも良心的な価格と、しっかりしたサービスときちゃあ、また行くしかない~♪
やまけんさん、良い店をありがとう^^

Posted by: TARO at 2005年04月11日 10:50

はじめまして、最近都民になったHaruと申します。

行った日が悪かったんでしょうか。
とても期待していた3,800円のおまかせ握りですが・・うーん、確かに美味しいけど皆さんが感動するほどでは。
その他、一品料理と刺身をつまんで、ビール1本お酒×2で2万円近く・・
友達とちょっと無言で帰りました。
千葉から引っ越してきたばかりなので、地方の安くて美味しいお店に慣れすぎてしまったんでしょうか?

Posted by: Haru at 2005年05月31日 23:51

はじめまして。
文京区から木場に引越しをしてから、美味しいおすし屋さんを求めてはや半年。。
こちらでうわさの「匠」に、週末に行ってまいりました。
うわさどおり、塩で頂く白身魚はすごく美味しく、また、握りの寿司飯も私好みで、本当に堪能できました。ありがとうございます。

ただ、、行ったタイミングが悪かったのか。
最初は私と連れの二人だけだったのでよかったのですが、その後常連と思しき3人組がカウンター隣に。その3人ともチェーンスモーカー。。ずーっと煙を吐きます。さらに、その後現れて真後ろに座った3人組がこれまたスモーカー。
で、たばこが苦手な私は耐え切れず、途中から気分悪くなってきて、最後は逃げ帰ってしまいました。
おすし屋さんのカウンターで、チェーンスモーキングはいかがなものでしょうね。。。

Posted by: YASU at 2005年06月02日 10:38

私も多大なる期待をしていったのですが、がっかりして帰ってきた一人です。
まずカウンターに座りたくて、いすに荷物を載せている常連さんらしき人に
すいません、、って声をかけたのですが無視されて。
挙げ句お店の人も何もいってくれないどころか、テーブルがあいてますからと
カウンターに座らせてもらえませんでした。
しゃりはぬるい通り越してあったかいし、カウンターの中でしゃりの大小について
相談しあってるし、なかなか次の皿がでてこなくてすごくまたされたし。
帰ってきてこのサイトをみてみたところ、写真の方はいらっしゃらなかったように
思うので、別の日に再度チャレンジしてみたい気持ちはなくはないですが
本来だったら二度といかないお店かなと思いました。

Posted by: たまぞう at 2005年06月18日 17:23

やまけんさん、昨日は楽しいお話有り難うございます。隣に座っていた男です。 寿司は美味しいのはもちろんでしたが、なにより熱燗が苦手な自分が、やまけんさんとの出会いで、克服どころか、一夜にして、大好きになりました。  「るみ子の酒」 最高です!!      今月行く大阪旅行でのイン「デ」アンカレーが楽しみです。^^今度匠でお会いできたら、るみ子の酒を飲みながら、食い倒れ
のお話が聞きたいっす!

Posted by: わだ at 2005年07月13日 22:33

明日予約を取りました~初匠ですっ。どうなるんでしょうか・・・10歳の息子を連れての初陣となります。ふふふ。

Posted by: ぽつ at 2005年07月19日 23:22